1 00:01:11,905 --> 00:01:13,949 {\an7}60年代の オ︱ストラリアは︱ 2 00:01:13,156 --> 00:01:17,703 {\an1}オリビア・ ニュ︱トン・ジョンの声 3 00:01:14,074 --> 00:01:15,742 {\an7}保守的だった 4 00:01:20,998 --> 00:01:23,876 世界から切り離されて― 5 00:01:26,920 --> 00:01:29,173 半分 眠ってる状態 6 00:01:41,143 --> 00:01:42,978 {\an1}音楽で人々は目覚めた 7 00:01:41,685 --> 00:01:43,937 {\an7}ジミ︱・バ︱ンズの声 8 00:01:51,028 --> 00:01:52,696 社会は― 9 00:01:53,030 --> 00:01:56,867 国民的スターの誕生を 待ち望んでた 10 00:02:02,080 --> 00:02:04,583 僕はロンドンで生まれた 11 00:02:06,001 --> 00:02:08,878 オーストラリアへ来たのは 10歳頃だ 12 00:02:14,092 --> 00:02:16,887 {\an7}うちには いつも 音楽があった 13 00:02:15,719 --> 00:02:20,766 {\an1}母親 ロ︱ズ・ファ︱ナム 14 00:02:17,012 --> 00:02:20,766 {\an7}ジョンは2歳違いの ジ︱ンと︱ 15 00:02:20,891 --> 00:02:24,561 {\an7}周りの大人たちを 楽しませてたわ 16 00:02:28,941 --> 00:02:31,693 “涙の少年兵”を披露した時 17 00:02:31,818 --> 00:02:35,155 ジーンがステージ上で 転んだけど― 18 00:02:35,280 --> 00:02:37,658 ジョンはショーを続けた 19 00:02:38,158 --> 00:02:41,912 義父は“あいつは ショーマンになる”と 20 00:03:06,520 --> 00:03:09,773 コヒューナの町で バンドをやってた 21 00:03:10,148 --> 00:03:14,778 ストリングス・ アンリミテッドっていうバンドだ 22 00:03:14,987 --> 00:03:18,282 大物 ベブ・ハレルの バックも務めた 23 00:03:18,407 --> 00:03:21,785 なぜ あなたと ここにいるの? 24 00:03:21,910 --> 00:03:25,205 誠実になると決めたのに 25 00:03:25,539 --> 00:03:30,878 リハでバックバンドが 演奏を始めた時は驚いた 26 00:03:31,003 --> 00:03:33,630 {\an7}〝誰が 歌ってるの?〟ってね 27 00:03:31,503 --> 00:03:33,630 {\an1}ベブ・ハレル 28 00:03:43,849 --> 00:03:48,020 ボーカルの若者を 陰から のぞきながら 29 00:03:48,145 --> 00:03:50,647 ただ感心してた 30 00:03:51,356 --> 00:03:53,275 すごかったの 31 00:03:54,234 --> 00:03:55,485 すべてがね 32 00:03:56,612 --> 00:03:59,907 当時の恋人ダリルも 会場にいて― 33 00:04:00,199 --> 00:04:02,409 同じことを思ったみたい 34 00:04:02,534 --> 00:04:04,703 “彼はスターになる”と 35 00:04:04,828 --> 00:04:07,831 彼の素質を確信した理由は? 36 00:04:07,956 --> 00:04:10,709 {\an1}ルックスと ステ︱ジでの振る舞い 37 00:04:09,708 --> 00:04:12,878 {\an7}マネジャ︱ ダリル・サンベル 38 00:04:10,834 --> 00:04:12,878 {\an1}まずは そこかな 39 00:04:13,003 --> 00:04:16,005 ダリルはジョンに 連絡先を聞いた 40 00:04:16,130 --> 00:04:19,051 “君のマネジメントに 興味がある”と 41 00:04:19,468 --> 00:04:23,597 7週間後くらいに 仕事を紹介された 42 00:04:23,722 --> 00:04:26,016 3本で30ドルだった 43 00:04:26,141 --> 00:04:31,063 週22ドルで配管工員の 見習いをしてた僕が― 44 00:04:31,188 --> 00:04:33,732 初めて歓声を浴びた 45 00:04:34,691 --> 00:04:38,904 {\an1}一緒にテレビ番組を やってたベブから︱ 46 00:04:39,029 --> 00:04:42,741 {\an1}ヘアメイク担当の ダリルを紹介された 47 00:04:42,866 --> 00:04:47,829 {\an1}番組中に彼と雑談してて 薦められたのが︱ 48 00:04:43,784 --> 00:04:47,829 {\an7}音楽プロデュ︱サ︱ デヴィッド・マッケイ 49 00:04:47,955 --> 00:04:49,581 ジョニー・ファーナムだ 50 00:04:50,707 --> 00:04:55,379 ある時 アンセット航空の 新しいCM曲を― 51 00:04:55,462 --> 00:04:58,298 {\an1}〝どの航空会社も 同じ?〟 52 00:04:56,338 --> 00:05:01,009 {\an7}誰に歌わせたらいいかと 相談されてね 53 00:04:58,423 --> 00:05:01,009 {\an1}〝我々には ス︱ザンがいる〟 54 00:05:02,344 --> 00:05:05,556 私がジョンを推し 起用となった 55 00:05:05,681 --> 00:05:07,850 スーザン・ジョーンズ 56 00:05:08,016 --> 00:05:11,478 フレンドリーな笑顔の 陽気な娘 57 00:05:11,603 --> 00:05:16,149 彼はレコーディングの 経験がなかったが 58 00:05:16,275 --> 00:05:20,863 すぐに指示を理解し 軽々とやってのけた 59 00:05:21,196 --> 00:05:25,075 プロのCM歌手でも そうはいかない 60 00:05:25,200 --> 00:05:30,664 その場でEMIとの契約を 持ちかけたところ― 61 00:05:30,789 --> 00:05:33,876 彼は“両親を説得して”と 62 00:05:35,627 --> 00:05:39,256 翌日 早速 ご両親に会いに行った 63 00:05:41,091 --> 00:05:42,843 {\an1}不安はあったよ 64 00:05:42,968 --> 00:05:46,305 {\an1}見習いも 辞める気でいたしね 65 00:05:43,051 --> 00:05:46,305 {\an7}父親 ジョン・ファ︱ナム・シニア 66 00:05:47,181 --> 00:05:50,559 “チャンスなんだ”と 両親を説得した 67 00:05:50,684 --> 00:05:55,856 一生 配管工員をやるか 音楽の道へ進むか― 68 00:05:55,981 --> 00:05:58,483 選択肢は2つに1つ 69 00:05:58,609 --> 00:06:03,322 でも歌手になるチャンスは 人生で一度だった 70 00:06:03,488 --> 00:06:08,076 両親は“お前がやりたいなら 応援する”と 71 00:06:08,994 --> 00:06:12,289 自作の曲はあるかと 尋ねたら― 72 00:06:12,414 --> 00:06:15,292 “イン・マイ・ルーム”を 歌ってくれた 73 00:06:15,417 --> 00:06:18,670 僕の部屋には悩みがある 74 00:06:19,296 --> 00:06:22,549 僕の部屋には悲しみがある 75 00:06:23,175 --> 00:06:27,846 幸せはなく あるのは痛みだけ 76 00:06:27,971 --> 00:06:30,724 いい歌だなと思ったよ 77 00:06:30,849 --> 00:06:34,019 当時 歌手は 自分の曲を書かず― 78 00:06:34,144 --> 00:06:37,648 プロデューサーが デモを輸入してたの 79 00:06:40,150 --> 00:06:41,151 何してる? 80 00:06:41,276 --> 00:06:43,362 今 掃除する気か? 81 00:06:43,612 --> 00:06:46,490 オンエア中はダメだと 言ったのに 82 00:06:46,615 --> 00:06:50,536 世界中の音楽出版社に 問い合わせても― 83 00:06:50,661 --> 00:06:55,582 送られてくる曲は 英米の売れ残りばかり 84 00:06:55,707 --> 00:06:56,542 名前は? 85 00:06:56,667 --> 00:06:58,544 セイディ 掃除係よ 86 00:06:58,669 --> 00:07:01,630 “セイディ”は まさに売れ残りだった 87 00:07:01,755 --> 00:07:05,843 ロック志望の僕は 気が乗らなかった 88 00:07:05,968 --> 00:07:11,348 でもデヴィッドは 大ヒットすると確信してた 89 00:07:11,473 --> 00:07:12,432 その通り 90 00:07:13,100 --> 00:07:16,353 だからジョンを説得したの 91 00:07:16,478 --> 00:07:20,649 “この次は 君の好きにすればいい”とね 92 00:07:20,941 --> 00:07:22,025 喜劇だな 93 00:07:22,150 --> 00:07:22,860 マダム 94 00:07:22,985 --> 00:07:25,153 彼が私の歌を歌うの 95 00:07:25,279 --> 00:07:26,446 説得は成功 96 00:07:26,572 --> 00:07:28,699 メルボルン郊外から来た― 97 00:07:28,824 --> 00:07:31,660 {\an7}ポップス界の 期待の新人です 98 00:07:31,785 --> 00:07:35,664 {\an7}では お聴きください ジョニ︱・ファ︱ナム 99 00:07:37,332 --> 00:07:41,920 セイディ 掃除係のレディ 100 00:07:42,713 --> 00:07:47,342 ブラシとバケツが 彼女の頼り 101 00:07:47,718 --> 00:07:53,348 あくせく働くよ 自分の生活のために 102 00:07:54,016 --> 00:07:58,103 1967年11月19日に リリースした 103 00:07:58,228 --> 00:08:02,191 セイディ 掃除係のレディ 104 00:08:02,316 --> 00:08:06,361 2日後にはビクトリア州で チャート1位に 105 00:08:06,528 --> 00:08:08,614 あれには驚いたよ 106 00:08:10,199 --> 00:08:14,161 すぐさまブレークし 人気者になった 107 00:08:14,286 --> 00:08:18,332 夜はテレビを見ながら うたた寝 108 00:08:18,457 --> 00:08:21,627 まだ17歳くらいだったのよ 109 00:08:25,672 --> 00:08:29,885 ジョニーは まさに ポップアイドルだった 110 00:08:30,010 --> 00:08:33,472 セイディ 掃除係のレディ 111 00:08:33,597 --> 00:08:37,851 {\an1}友達とパ︱スでの コンサ︱トに行ったら 112 00:08:35,015 --> 00:08:37,851 {\an7}音楽エグゼクティブ シェリ︱・ロマロ 113 00:08:38,059 --> 00:08:40,645 女の子たちが絶叫してた 114 00:08:43,065 --> 00:08:44,399 曲は“セイディ”だけ 115 00:08:44,525 --> 00:08:47,236 男と手もつながない 116 00:08:47,361 --> 00:08:52,115 このままいけば 空腹で心も空っぽさ 117 00:08:52,241 --> 00:08:55,202 さあ ゴシゴシ床を磨こう 118 00:08:55,327 --> 00:08:57,120 親愛なるセイディ 119 00:08:57,246 --> 00:08:58,997 僕は兄の影響で― 120 00:08:59,122 --> 00:09:02,543 {\an1}若い頃から ロックが好きだった 121 00:08:59,623 --> 00:09:03,794 {\an7}ジミ︱・バ︱ンズ 122 00:09:02,668 --> 00:09:04,795 {\an1}でもジョンの声は︱ 123 00:09:04,920 --> 00:09:09,967 コミックソングを歌ってても どこか魅力的だった 124 00:09:10,092 --> 00:09:13,053 思わず口ずさみたくなるんだ 125 00:09:13,178 --> 00:09:15,639 “セイディ”には笑ったよ 126 00:09:15,764 --> 00:09:18,767 {\an7}〝ロックンロ︱ルを 目指してた男が〟 127 00:09:16,223 --> 00:09:20,102 {\an1}ストリングス・ アンリミテッド ドラマ︱ P・フォギ︱ 128 00:09:18,892 --> 00:09:20,102 {\an7}〝何してる?〟と 129 00:09:20,352 --> 00:09:24,314 {\an7}私の好みではないけど 大流行してた 130 00:09:21,144 --> 00:09:24,606 {\an1}オリビア・ ニュ︱トン・ジョン 131 00:09:25,774 --> 00:09:30,571 {\an1}今となっては驚くけど オ︱ストラリア国内では 132 00:09:27,109 --> 00:09:30,404 {\an7}音楽エグゼクティブ シェリ︱・ロマロ 133 00:09:30,696 --> 00:09:33,699 {\an1}60年代最大の ヒット曲だった 134 00:09:35,742 --> 00:09:40,747 “セイディ”のヒットで 多忙を極めたジョンは 135 00:09:40,873 --> 00:09:46,003 曲を書く暇がなく オリジナル曲は少なかった 136 00:09:51,300 --> 00:09:54,720 雨粒が僕の頭に降り注ぐ 137 00:09:55,596 --> 00:09:59,433 足がベッドから はみ出てるみたいに 138 00:09:59,641 --> 00:10:02,769 何も ぴったりこないんだ 139 00:10:02,895 --> 00:10:06,356 {\an7}僕は彼の見せ方を 模索してた 140 00:10:04,146 --> 00:10:07,357 {\an1}マネジャ︱ ダリル・サンベル 141 00:10:06,648 --> 00:10:09,401 {\an7}当時 ちまたでは ロングブ︱ツや︱ 142 00:10:09,526 --> 00:10:12,112 細身のパンツが流行はやってた 143 00:10:12,237 --> 00:10:14,740 そこで思いついたのが― 144 00:10:14,865 --> 00:10:18,285 “ジョニーウォーカー”の ボトルの男 145 00:10:19,494 --> 00:10:20,913 ハット抜きのね 146 00:10:21,038 --> 00:10:25,083 文句を言ったって 雨はやまない 147 00:10:25,209 --> 00:10:29,463 {\an7}〝雨にぬれても〟の カバ︱も再び1位に 148 00:10:26,001 --> 00:10:29,463 {\an1}オリビア・ ニュ︱トン・ジョン 149 00:10:29,588 --> 00:10:32,674 僕は自由だから 150 00:10:32,841 --> 00:10:35,010 何も心配ないさ 151 00:10:35,135 --> 00:10:38,722 ジョニーはハンサムで ヒット曲もあった 152 00:10:38,847 --> 00:10:42,017 君を思いながら 逆立ちして歩く 153 00:10:42,142 --> 00:10:43,977 君はどうしたいの? 154 00:10:44,102 --> 00:10:46,230 彼はキングになった 155 00:10:46,355 --> 00:10:50,567 おめでとう! 君がキング・オブ・ポップだ 156 00:10:52,778 --> 00:10:55,948 君を思いながら 逆立ちして歩く 157 00:10:56,073 --> 00:10:58,617 君はどうしたいの? 158 00:10:58,784 --> 00:11:00,494 ジョニー・ファーナム! 159 00:11:03,956 --> 00:11:06,041 私も王冠が欲しい 160 00:11:06,959 --> 00:11:09,294 王冠に合う服もある 161 00:11:13,966 --> 00:11:17,427 {\an1}キング・オブ・ポップには 思い入れがある 162 00:11:14,716 --> 00:11:17,427 {\an7}歌手 ダリル・ブレイスウェイト 163 00:11:18,512 --> 00:11:22,266 {\an7}僕は3回 ジョンは 5回連続受賞した 164 00:11:19,972 --> 00:11:23,559 {\an1}〝5回連続でキング!〟 165 00:11:22,391 --> 00:11:23,559 {\an7}おめでとう 166 00:11:23,684 --> 00:11:27,729 この王冠は 君にこそふさわしい 167 00:11:28,230 --> 00:11:29,690 フィットするかな? 168 00:11:29,857 --> 00:11:34,278 ジョンは まさにキングで 皆の憧れだった 169 00:11:32,067 --> 00:11:34,278 {\an7}〝ジョニ︱・ファ︱ナム〟 170 00:11:38,198 --> 00:11:43,912 1は人にとって 一番 孤独な数字 171 00:11:44,329 --> 00:11:48,041 彼はテレビや新聞に 引っ張りだこ 172 00:11:48,166 --> 00:11:51,670 ジョニーに CMをお願いしましょう 173 00:11:51,795 --> 00:11:54,006 今やるの? オーケー 174 00:11:54,131 --> 00:11:57,301 わずか1ドル85セントで GEのテレビが・・・ 175 00:11:57,426 --> 00:12:00,345 器用で どんな要求にも応えた 176 00:12:00,470 --> 00:12:02,306 仕事の合間に寝てた 177 00:12:02,848 --> 00:12:05,058 とにかく働きづめで― 178 00:12:05,601 --> 00:12:07,686 体はボロボロだった 179 00:12:07,811 --> 00:12:10,314 とても つらい経験さ 180 00:12:10,439 --> 00:12:15,068 業界での経験が浅かった ダリルにとって― 181 00:12:15,194 --> 00:12:18,030 トップアイドルの マネジメントは― 182 00:12:18,155 --> 00:12:20,407 大きな挑戦だった 183 00:12:20,532 --> 00:12:26,038 ステージの準備もしたし バンドのリハも手伝った 184 00:12:26,371 --> 00:12:29,666 素人ながらに音は分かった 185 00:12:31,251 --> 00:12:33,295 すごい熱の入れようで― 186 00:12:33,670 --> 00:12:39,176 自ら見いだしたジョンに すべてを注ぎ込んでたわ 187 00:12:40,219 --> 00:12:43,055 {\an1}ジョンに ほれ込んでた半面︱ 188 00:12:41,678 --> 00:12:45,349 {\an7}妻 ジル・ファ︱ナム 189 00:12:43,388 --> 00:12:45,349 {\an1}鬼の一面もあった 190 00:12:47,601 --> 00:12:50,270 ジョンは薬を与えられ― 191 00:12:50,395 --> 00:12:53,815 死んだように 眠ることもあった 192 00:12:53,982 --> 00:12:55,609 女性と会う時間は? 193 00:12:55,734 --> 00:12:59,363 ないですね ジョンに恋人はいない 194 00:12:59,905 --> 00:13:03,617 それはファンのため? マネジャーのため? 195 00:13:03,742 --> 00:13:07,496 彼は あなたに 振り回されてるようだ 196 00:13:07,621 --> 00:13:09,957 ジョンとは仲間だ 197 00:13:10,082 --> 00:13:13,710 歌手とマネジャーと いうよりはね 198 00:13:15,212 --> 00:13:17,548 あなたは彼の父親役? 199 00:13:17,673 --> 00:13:22,302 {\an7}どうかな たぶん 自分のためにやってる 200 00:13:18,882 --> 00:13:23,011 {\an1}マネジャ︱ ダリル・サンベル 201 00:13:36,692 --> 00:13:39,278 愛する人を誘ったの 202 00:13:40,153 --> 00:13:41,613 散歩しようって 203 00:13:41,738 --> 00:13:46,368 {\an7}スタ︱を目指す人は皆 ロンドンへ向かった 204 00:13:42,948 --> 00:13:48,453 {\an1}音楽エグゼクティブ シェリ︱・ロマロ 205 00:13:46,493 --> 00:13:48,745 {\an7}大物のオリビアもよ 206 00:13:48,871 --> 00:13:52,249 彼女はジョンの先を行ってた 207 00:13:52,374 --> 00:13:58,088 当時のロンドンには すばらしい才能が集まってた 208 00:13:58,422 --> 00:14:01,258 オハイオ川の岸辺を― 209 00:14:02,092 --> 00:14:03,886 歩こうって 210 00:14:06,138 --> 00:14:10,475 実力のあるバンドは皆 ロンドンを目指した 211 00:14:11,643 --> 00:14:13,979 アメリカは まだ閉鎖的でね 212 00:14:14,104 --> 00:14:18,233 {\an1}僕らのル︱ツでもある イギリスに行って︱ 213 00:14:17,524 --> 00:14:20,819 {\an7}ジミ︱・バ︱ンズ 214 00:14:18,358 --> 00:14:20,819 {\an1}一旗 揚げようとした 215 00:14:25,407 --> 00:14:26,742 海外で成功できる? 216 00:14:26,867 --> 00:14:28,660 もちろんだ 217 00:14:28,785 --> 00:14:29,870 簡単かな? 218 00:14:30,329 --> 00:14:32,789 ツテがあれば楽勝だ 219 00:14:32,998 --> 00:14:35,000 海外でスターになれる? 220 00:14:35,459 --> 00:14:38,629 分からないけど挑戦するよ 221 00:14:42,799 --> 00:14:45,052 “セイディ”の おかげで私は― 222 00:14:45,177 --> 00:14:49,139 {\an1}イギリスのEMIへ 異動できることに 223 00:14:47,012 --> 00:14:49,139 {\an7}音楽プロデュ︱サ︱ デヴィッド・マッケイ 224 00:14:49,264 --> 00:14:55,145 イギリスに行けば 向こうで ジョンを紹介できると思った 225 00:14:55,270 --> 00:14:56,522 “アビーロード” 226 00:14:56,647 --> 00:15:00,442 ダリルは渡英後すぐに 失態を演じた 227 00:15:00,567 --> 00:15:02,903 酒に弱いこともあり― 228 00:15:03,028 --> 00:15:08,450 ジョンを売り込む役目を 果たせなかったんだ 229 00:15:09,284 --> 00:15:11,286 私も売り込んだが― 230 00:15:11,620 --> 00:15:15,123 EMIや音楽出版社は 興味なしだった 231 00:15:15,249 --> 00:15:18,377 “イギリスには クリフ・リチャードがいる”と 232 00:15:18,502 --> 00:15:20,504 おめでとう 233 00:15:20,712 --> 00:15:23,006 大いに祝福しよう 234 00:15:23,131 --> 00:15:26,301 僕は これ以上ないほど幸せさ 235 00:15:26,677 --> 00:15:29,847 ジョンは とんぼ返りになった 236 00:15:30,013 --> 00:15:32,057 苦い経験だったよ 237 00:15:44,361 --> 00:15:45,946 “殺しに加担するな” 238 00:15:47,573 --> 00:15:48,949 “徴兵反対” 239 00:15:54,788 --> 00:15:57,165 {\an7}ベトナム戦争への 参戦で︱ 240 00:15:55,998 --> 00:15:59,084 {\an1}音楽エグゼクティブ シェリ︱・ロマロ 241 00:15:58,584 --> 00:16:00,669 {\an7}オ︱ストラリアは 一変した 242 00:16:02,379 --> 00:16:05,257 遠く離れてるからじゃない 243 00:16:06,466 --> 00:16:09,261 君が恋しいから― 244 00:16:09,928 --> 00:16:12,764 君のことを思い出すんだ 245 00:16:13,765 --> 00:16:18,478 国内の音楽シーンは 異常な熱を帯びてた 246 00:16:18,645 --> 00:16:22,482 やりたいようにやり なりたいようになれ 247 00:16:28,197 --> 00:16:31,700 やりたいようにやり なりたいようになれ 248 00:16:42,336 --> 00:16:46,173 作られたポップスターは もはや過去のもの 249 00:16:46,298 --> 00:16:49,801 ソロは廃れ バンドの時代が来た 250 00:16:52,346 --> 00:16:56,350 やりたいようにやり なりたいようになれ 251 00:16:56,475 --> 00:16:58,519 僕らマスターズ・ アプレンティスは― 252 00:16:58,644 --> 00:17:01,313 ワルなロックバンド 253 00:17:01,563 --> 00:17:05,317 {\an7}ポップスタ︱の ジョンとは大違いだった 254 00:17:02,564 --> 00:17:05,317 {\an1}グレン・ウィ︱トリ︱ 255 00:17:05,983 --> 00:17:08,737 でも彼と意気投合した 256 00:17:08,862 --> 00:17:11,073 私の4つ下の妹は― 257 00:17:11,198 --> 00:17:15,035 {\an7}〝イン・マイ・ル︱ム〟 258 00:17:11,198 --> 00:17:15,035 {\an1}ジョンのポスタ︱を 部屋中に飾ってた 259 00:17:15,160 --> 00:17:16,578 {\an1}私の部屋は︱ 260 00:17:15,618 --> 00:17:17,871 {\an7}ゲイナ︱・ウィ︱トリ︱ 261 00:17:16,703 --> 00:17:19,540 {\an1}マスタ︱ズ・ アプレンティス一色 262 00:17:19,665 --> 00:17:23,335 お互いのポスターが 廊下にも あふれてた 263 00:17:25,921 --> 00:17:28,131 週末 ジョンと遊んでた 264 00:17:28,257 --> 00:17:32,177 ウサギ狩りに行き 車中泊もしたよ 265 00:17:32,678 --> 00:17:34,388 いい遊び仲間さ 266 00:17:35,556 --> 00:17:39,059 ジョンとグレンは 友達になった 267 00:17:39,184 --> 00:17:43,272 {\an7}同じ時代の 音楽仲間としてね 268 00:17:39,768 --> 00:17:43,981 {\an1}〝マスタ︱ズ・ アプレンティス ジョン・ファ︱ナム〟 269 00:17:43,689 --> 00:17:48,610 {\an7}グレンはロック魂の中に 優しさを秘めてた 270 00:17:48,735 --> 00:17:51,822 逆にジョンは優しさの中に― 271 00:17:51,947 --> 00:17:54,241 ロック魂を秘めてた 272 00:17:54,366 --> 00:17:58,203 だから2人は 分かり合えたの 273 00:17:58,495 --> 00:18:03,000 お互いに癒やしというか 友情を見つけた 274 00:18:05,752 --> 00:18:08,797 マネジャーも同じ ダリル・サンベル 275 00:18:09,590 --> 00:18:12,968 セントキルダで 共同生活もしてた 276 00:18:13,093 --> 00:18:15,762 ダリル自慢の “ペントハウス”でね 277 00:18:16,722 --> 00:18:19,725 ただの最上階の部屋だが― 278 00:18:20,309 --> 00:18:24,313 ダリルの友人が たくさん集ってたよ 279 00:18:26,815 --> 00:18:29,067 そこに僕らもいた 280 00:18:34,615 --> 00:18:36,408 人生の転機は― 281 00:18:36,533 --> 00:18:40,287 フェスティバル・ ホールでのコンサート 282 00:18:40,621 --> 00:18:43,332 マスターズ・アプレンティスが 目玉だった 283 00:18:43,457 --> 00:18:47,085 僕はステージから 引きずりおろされ― 284 00:18:47,211 --> 00:18:50,047 ベルベットのスーツは ズタズタ 285 00:18:50,172 --> 00:18:54,176 {\an7}僕のベ︱スは 会場を1周することに 286 00:18:51,965 --> 00:18:57,721 {\an1}〝観客が暴徒化〟 287 00:18:54,468 --> 00:18:57,721 {\an7}あの夜 プロモ︱タ︱が こう叫んでた 288 00:18:57,846 --> 00:19:00,098 “ビートルズ以来の 大観衆だ”と 289 00:19:00,849 --> 00:19:03,477 あれは感慨深かったね 290 00:19:04,937 --> 00:19:09,650 だが あの夜の僕らの報酬は わずか200ドル 291 00:19:09,775 --> 00:19:12,528 それを4人で分けた 292 00:19:12,653 --> 00:19:16,698 買い替えたスーツが 70ドルだから赤字だ 293 00:19:16,823 --> 00:19:20,744 それでマネジメントに 疑問を抱き― 294 00:19:21,370 --> 00:19:24,623 ダリルのもとを 離れると決めた 295 00:19:24,748 --> 00:19:30,087 マネジメントは僕が引き継ぎ 仕事のやり方も変えた 296 00:19:32,005 --> 00:19:34,132 リトル・リヴァー・バンドだ! 297 00:19:34,258 --> 00:19:37,261 グレンは マネジャー業に専念し― 298 00:19:37,427 --> 00:19:41,139 最高の歌手と ソングライターを集めた 299 00:19:41,265 --> 00:19:44,226 それがLRBこと リトル・リヴァー・バンド 300 00:19:44,351 --> 00:19:46,019 大ブレークしたわ 301 00:19:46,311 --> 00:19:50,524 どうして急ぐの 心配する必要ある? 302 00:19:50,691 --> 00:19:54,319 周りを見て ペースを落とそうよ 303 00:19:55,112 --> 00:19:59,157 安全な囲いの中で 悩んだりする? 304 00:19:59,283 --> 00:20:03,120 罪じゃないんだ 悩みは手放そう 305 00:20:03,370 --> 00:20:05,038 踏ん張れ 306 00:20:05,581 --> 00:20:07,249 助けは来る 307 00:20:07,708 --> 00:20:10,919 できるだけ 急いで向かうよ 308 00:20:12,838 --> 00:20:14,464 舌を巻いたよ 309 00:20:15,257 --> 00:20:20,429 外れてる音がないし 歌のハモリなんかも完璧 310 00:20:20,554 --> 00:20:23,265 {\an7}すべてが見事に ハマってた 311 00:20:21,221 --> 00:20:23,265 {\an1}ギタリスト トミ︱・エマニュエル 312 00:20:25,142 --> 00:20:29,646 {\an1}僕らから見れば 第2のイ︱グルスだった 313 00:20:26,435 --> 00:20:29,646 {\an7}ダリル・ブレイスウェイト 314 00:20:29,771 --> 00:20:32,191 誰が味方か忘れないで 315 00:20:33,066 --> 00:20:37,863 海外でも成功を収め 皆の夢をかなえてた 316 00:20:41,992 --> 00:20:44,494 噂では キャピトル・レコードと― 317 00:20:44,620 --> 00:20:48,415 何百万ドルもの大型契約を 結んだとか 318 00:20:50,250 --> 00:20:51,752 噂は事実だ 319 00:20:52,377 --> 00:20:56,507 ここアメリカで キャピトルと契約した 320 00:20:56,632 --> 00:20:58,175 踏ん張れ 321 00:21:09,561 --> 00:21:14,149 70年代半ばには ジョンの人気は衰えてた 322 00:21:18,570 --> 00:21:19,947 スレート11 テイク1 323 00:21:21,031 --> 00:21:22,324 憂鬱ゆううつになる? 324 00:21:22,449 --> 00:21:23,283 なるよ 325 00:21:23,408 --> 00:21:28,580 憂鬱って言葉は何となく 好きじゃないけど・・・ 326 00:21:29,915 --> 00:21:32,918 いろいろ考え始めるんだ 327 00:21:35,587 --> 00:21:39,132 どこへ行って 何をしたいとか― 328 00:21:39,883 --> 00:21:43,011 とりとめもなく考える 329 00:21:43,762 --> 00:21:45,430 奇妙な感じだ 330 00:21:52,312 --> 00:21:55,858 ダリルの勧めで ミュージカルにも出た 331 00:21:55,941 --> 00:21:57,568 {\an7}〝チャ︱リ︱・ガ︱ル〟 332 00:21:57,150 --> 00:21:59,903 そこで運命の出会いが・・・ 333 00:22:01,238 --> 00:22:04,783 {\an1}面白いし 一緒にいて楽しかった 334 00:22:02,322 --> 00:22:07,661 {\an7}ジル・ファ︱ナム 335 00:22:04,908 --> 00:22:09,621 {\an1}気さくな性格で すごくキュ︱トだったわ 336 00:22:15,794 --> 00:22:20,757 ジルは時代を代表する モダンダンサーだった 337 00:22:22,593 --> 00:22:24,511 彼女は輝いていて― 338 00:22:24,636 --> 00:22:28,557 すぐにジョンの目に留まった 339 00:22:28,682 --> 00:22:30,726 彼は心を決め― 340 00:22:31,143 --> 00:22:34,396 ジルとの未来へ突き進んだ 341 00:22:34,521 --> 00:22:37,941 どこからともなく 現れた彼女 342 00:22:39,568 --> 00:22:41,528 言われてみれば・・・ 343 00:22:41,945 --> 00:22:46,408 ダリルはジョンを 奪われた気分だった 344 00:22:46,533 --> 00:22:50,913 彼女の笑顔に 心が膨れあがる 345 00:22:51,038 --> 00:22:56,793 ダリルは あらゆる手で ジルを追い払おうとしたけど 346 00:22:56,919 --> 00:22:58,504 逆効果だった 347 00:22:58,629 --> 00:23:00,881 {\an7}魔法だって知ってる? 348 00:23:02,007 --> 00:23:04,134 これは魔法なんだ 349 00:23:05,344 --> 00:23:08,805 彼女の 少し潤んだ瞳を見て 350 00:23:08,931 --> 00:23:12,518 天国が訪れようとしてる 351 00:23:12,643 --> 00:23:15,979 これが魔法だって 知ってる? 352 00:23:16,271 --> 00:23:18,815 これは魔法なんだ 353 00:23:19,441 --> 00:23:23,195 魔法の絨毯じゅうたんに 愛する人を乗せるよ 354 00:23:23,403 --> 00:23:25,489 “披露宴” 355 00:23:25,656 --> 00:23:29,576 ジョンは9年を共にした ダリルと決別し― 356 00:23:30,369 --> 00:23:33,455 数か月後 EMIに 契約を解除された 357 00:23:34,706 --> 00:23:39,169 君と僕 2人のために 358 00:23:39,294 --> 00:23:42,631 この業界じゃ 切り捨てはザラだ 359 00:23:45,467 --> 00:23:48,971 70年代の ある時期 ジョンは消え― 360 00:23:49,096 --> 00:23:52,349 彼の歌声も失われてしまった 361 00:23:52,474 --> 00:23:56,520 文句を言ったって 雨はやまない 362 00:23:56,645 --> 00:24:00,357 姿をくらまし 再起不能かと思った 363 00:24:01,942 --> 00:24:07,072 娯楽施設でライブがあると知り 見に行ったよ 364 00:24:07,281 --> 00:24:08,448 ありがとう 365 00:24:09,199 --> 00:24:11,952 古い曲を聴きたい? 366 00:24:12,703 --> 00:24:15,080 Cをくれる? Cだ 367 00:24:15,205 --> 00:24:17,040 それじゃ いこう 368 00:24:21,128 --> 00:24:23,672 素人同然のバンドで― 369 00:24:23,797 --> 00:24:28,594 ジョンが 曲を中断させる場面もあった 370 00:24:28,844 --> 00:24:32,389 さらに バンドが 曲に戻るために― 371 00:24:32,806 --> 00:24:35,934 {\an7}彼がカウントして あげてたほどだ 372 00:24:32,931 --> 00:24:35,934 {\an1}グレン・ウィ︱トリ︱ 373 00:24:37,936 --> 00:24:40,230 心底 残念だったよ 374 00:24:40,355 --> 00:24:42,983 僕の知る最高の歌手が― 375 00:24:43,108 --> 00:24:47,237 なぜ こんなバンドと 組んでるんだとね 376 00:24:50,157 --> 00:24:55,078 {\an7}ジル・ファ︱ナム 377 00:24:50,157 --> 00:24:52,618 {\an1}ある夜の観客は15人 378 00:24:53,076 --> 00:24:55,078 {\an1}お金も底を突いた 379 00:24:56,330 --> 00:25:00,167 僕は彼のちょうネクタイを 投げ捨てて言った 380 00:25:00,292 --> 00:25:04,213 “君ともあろう者が 素人と組んでるって―” 381 00:25:05,047 --> 00:25:06,798 “どういうことだ?”と 382 00:25:10,886 --> 00:25:12,304 いい夜を! 383 00:25:15,724 --> 00:25:17,309 周りを見て 384 00:25:17,434 --> 00:25:19,853 転機はベガスでの夜 385 00:25:19,978 --> 00:25:23,941 グレンがジョンを LRBのライブに招いた 386 00:25:24,066 --> 00:25:27,110 時間を作るための 時間を作れ 387 00:25:27,236 --> 00:25:31,406 ジョンはLRBの 人気ぶりに驚いてた 388 00:25:31,532 --> 00:25:33,659 周りを見て 389 00:25:33,784 --> 00:25:35,077 衝撃だったよ 390 00:25:35,244 --> 00:25:38,205 ライブ後 グレンに 近況を聞かれ― 391 00:25:38,330 --> 00:25:40,916 “イマイチだ”と答えた 392 00:25:43,877 --> 00:25:47,714 ジョンは投資失敗で 金に困ってた 393 00:25:47,881 --> 00:25:49,842 君が一番 好きだ 394 00:25:51,844 --> 00:25:53,804 他の誰とも違う 395 00:25:53,929 --> 00:25:55,722 彼は破産寸前 396 00:25:55,848 --> 00:25:58,600 必要な時 君はいてくれる 397 00:25:58,725 --> 00:26:01,645 ジョンに マネジメントを申し出た 398 00:26:01,770 --> 00:26:04,940 君が必要なんだ 399 00:26:06,483 --> 00:26:09,820 グレンにマネジメントを 任せたことで― 400 00:26:09,945 --> 00:26:13,282 ジョンは真の理解者を得たの 401 00:26:13,407 --> 00:26:16,660 ジョンは あくまで アーティストで― 402 00:26:16,785 --> 00:26:20,038 ビジネスでは 支えが必要だった 403 00:26:20,163 --> 00:26:23,208 僕は“ジョニー”を やめようと言った 404 00:26:23,333 --> 00:26:26,712 {\an7}〝ジョニ︱〟といえば 〝セイディ〟の青年 405 00:26:26,295 --> 00:26:28,714 {\an1}マネジャ︱ グレン・ウィ︱トリ︱ 406 00:26:27,004 --> 00:26:28,714 {\an7}今後は〝ジョン〟だと 407 00:26:28,839 --> 00:26:32,050 芸名を“ジョン”に変え 本格的な― 408 00:26:32,176 --> 00:26:35,053 大人のアーティストを 目指したの 409 00:26:36,597 --> 00:26:41,602 以前は仕事に 刺激を感じられず不満だった 410 00:26:41,727 --> 00:26:44,771 周りも そう感じてたと思う 411 00:26:45,022 --> 00:26:49,109 だから思いきって 方向転換したんだ 412 00:26:49,693 --> 00:26:51,403 “ヘルプ!”のカバーは― 413 00:26:51,528 --> 00:26:54,531 自宅での弾き語りが きっかけだ 414 00:26:54,656 --> 00:26:56,575 僕が若かった頃 415 00:26:56,700 --> 00:27:01,121 今よりもずっと 若かった頃・・・ 416 00:27:02,039 --> 00:27:03,790 {\an1}ジョンは〝ヘルプ!〟で 417 00:27:02,581 --> 00:27:07,085 {\an7}ジル・ファ︱ナム 418 00:27:03,916 --> 00:27:07,085 {\an1}ようやく 手応えをつかんだの 419 00:27:07,211 --> 00:27:12,341 {\an7}彼は自身の才能や音域を よく生かしてた 420 00:27:08,003 --> 00:27:12,341 {\an1}リチャ︱ド・マ︱クス 421 00:27:13,008 --> 00:27:18,096 できたら助けてよ 落ち込んでるんだ 422 00:27:20,474 --> 00:27:24,770 本当にありがたいと思ってる 423 00:27:25,145 --> 00:27:26,897 そばにいてくれて・・・ 424 00:27:27,022 --> 00:27:29,858 あれこそ ジョン・ファーナムだった 425 00:27:29,983 --> 00:27:33,445 独自の色を出し “これが僕だ!”と叫んでた 426 00:27:34,238 --> 00:27:38,742 僕の人生は変わった いろんな意味で 427 00:27:38,867 --> 00:27:40,911 感情が伝わってきた 428 00:27:41,036 --> 00:27:43,455 あれを聴いて思ったの 429 00:27:43,580 --> 00:27:45,499 “彼は本物だ”って 430 00:27:45,624 --> 00:27:50,963 できたら助けてよ 落ち込んでるんだ 431 00:27:53,006 --> 00:27:57,177 本当にありがたいと思ってる 432 00:27:57,344 --> 00:28:01,181 ジョンが歌うと パワー・バラードになる 433 00:28:01,306 --> 00:28:03,934 ボーカルのお手本だよ 434 00:28:04,059 --> 00:28:06,478 どうか お願いだ 435 00:28:06,603 --> 00:28:10,482 僕を助けて 436 00:28:10,607 --> 00:28:15,529 歌手生命を懸けてたとまで 言わないけど― 437 00:28:15,654 --> 00:28:19,533 あれは世界への 再挑戦の曲だった 438 00:28:24,079 --> 00:28:25,455 届くかな? 439 00:28:25,581 --> 00:28:27,499 最高の歌手だ 440 00:28:28,584 --> 00:28:31,879 どんな曲でも歌えるんだ 441 00:28:32,004 --> 00:28:34,840 言いたいことがある 442 00:28:34,965 --> 00:28:38,677 {\an7}彼にプロデュ︱スを 申し出たよ 443 00:28:36,508 --> 00:28:38,677 {\an1}ソングライタ︱/ プロデュ︱サ︱ グレアム・ゴ︱ブル 444 00:28:38,802 --> 00:28:40,220 君が欲しい 445 00:28:40,345 --> 00:28:43,932 グレンがグレアムに 掛け合ったの 446 00:28:44,057 --> 00:28:47,811 “新曲 新アルバムで ジョンを再起させ―” 447 00:28:47,936 --> 00:28:50,189 “彼の声を取り戻そう”と 448 00:28:50,314 --> 00:28:53,692 それが続くようにしよう 449 00:28:55,152 --> 00:28:58,113 グレアムは LRBの創設メンバーで 450 00:28:58,238 --> 00:29:01,658 彼らのヒット曲も 多く書いてた 451 00:29:01,783 --> 00:29:03,035 金曜の夜 452 00:29:03,160 --> 00:29:06,038 君を送り届け 門に着いた 453 00:29:06,163 --> 00:29:08,498 この夜を夢見てた 454 00:29:08,624 --> 00:29:11,084 LRBの ソングライターは数人 455 00:29:11,335 --> 00:29:12,586 うまくいく? 456 00:29:12,711 --> 00:29:14,963 僕なしでも曲は出せた 457 00:29:16,423 --> 00:29:19,843 {\an7}だからプロデュ︱ス業に 専念した 458 00:29:16,924 --> 00:29:19,843 {\an1}グレアム・ゴ︱ブル 459 00:29:19,968 --> 00:29:22,763 君の周りに 世界を築こう 460 00:29:22,888 --> 00:29:25,432 グレアムは癖が強い 461 00:29:25,974 --> 00:29:30,020 でもジョンの声に 強い思い入れがあり 462 00:29:30,270 --> 00:29:33,065 すばらしい曲も持ってた 463 00:29:33,190 --> 00:29:36,693 いい声といい曲を 掛け合わせたの 464 00:29:36,944 --> 00:29:42,074 ジョンは それまでに 多くの曲を提供されてた 465 00:29:42,741 --> 00:29:44,493 100曲ほどね 466 00:29:44,618 --> 00:29:49,957 でも僕が興味を持ったのは “ヘルプ!”のカバーと 467 00:29:50,332 --> 00:29:54,002 ジョンが奥さんに 書きかけてた曲だけ 468 00:29:54,127 --> 00:29:58,257 だから僕の曲を 使うことになった 469 00:29:58,382 --> 00:30:01,134 グレアムは仕切り屋なの 470 00:30:02,177 --> 00:30:04,471 ジョンに 何を歌わせたいか― 471 00:30:04,596 --> 00:30:09,059 アルバムの話が出る前に 決めてたはずよ 472 00:30:11,770 --> 00:30:15,315 「アンカバード」での 彼の歌声は最高だ 473 00:30:16,942 --> 00:30:20,529 「アンカバード」は ジョンの代表作になり得た 474 00:30:20,654 --> 00:30:25,534 でもプロデューサーの グレアムの意向が強く出た 475 00:30:25,659 --> 00:30:30,163 結局 10曲中8曲は 僕が書いた曲になった 476 00:30:30,497 --> 00:30:34,126 本格的なロックへの 路線変更は― 477 00:30:34,251 --> 00:30:37,087 賭けでもありますね 478 00:30:37,212 --> 00:30:41,300 {\an7}あなたの人生を 変えるほどの決断だ 479 00:30:39,131 --> 00:30:43,177 {\an1}1981年 ﹁ウィルシ︱﹂ 480 00:30:41,425 --> 00:30:42,843 {\an7}大きな変化だ 481 00:30:42,968 --> 00:30:45,053 {\an7}もう〝セイディ〟は 歌ってない 482 00:30:45,179 --> 00:30:47,389 前へ進むと決めたんだ 483 00:30:47,514 --> 00:30:50,309 “君は一流だ”と 背中を押した 484 00:30:50,434 --> 00:30:52,644 “実力を見せてやれ”と 485 00:30:52,769 --> 00:30:55,063 ムチャだ 急すぎる 486 00:30:55,272 --> 00:30:57,107 バンドも用意した 487 00:30:57,608 --> 00:31:00,903 トミー・エマニュエルを 擁する最高のバンドだ 488 00:31:01,028 --> 00:31:03,822 リハで音を合わせたら― 489 00:31:03,947 --> 00:31:06,825 {\an7}最高の仕上がりになった 490 00:31:04,406 --> 00:31:07,910 {\an1}ギタリスト トミ︱・エマニュエル 491 00:31:06,950 --> 00:31:09,161 {\an7}メンバ︱も粒ぞろいで 492 00:31:09,286 --> 00:31:11,747 一緒にツアーも回った 493 00:31:12,998 --> 00:31:16,084 ツアー初日に グレンと知り合った 494 00:31:16,376 --> 00:31:19,463 彼はジョンに 新バンドを用意し― 495 00:31:19,588 --> 00:31:22,633 「アンカバード」の曲を 歌わせてた 496 00:31:22,758 --> 00:31:25,928 初めて“セイディ”を 披露しなかったわ 497 00:31:28,430 --> 00:31:31,642 {\an1}80年代の 国内の音楽シ︱ンは 498 00:31:29,306 --> 00:31:33,519 {\an7}シェリ︱・ロマロ 499 00:31:31,767 --> 00:31:34,895 {\an1}新しいサウンドで あふれてた 500 00:31:36,396 --> 00:31:41,568 皆 パブに繰り出し ロックバンドに熱を上げてた 501 00:31:41,693 --> 00:31:44,780 ミッドナイト・オイルや コールド・チゼルにね 502 00:31:45,197 --> 00:31:49,117 昨日は夜通し 学んでた 503 00:31:49,243 --> 00:31:54,081 パブは みだらな酔っぱらいで あふれかえり― 504 00:31:54,206 --> 00:31:55,415 カオス状態 505 00:31:56,124 --> 00:31:57,626 図太さが必要だ 506 00:31:57,751 --> 00:31:59,962 橋が燃えてた 507 00:32:00,087 --> 00:32:04,258 観客の野性的なノリに ついていけなきゃ― 508 00:32:04,383 --> 00:32:06,051 ライブは失敗だ 509 00:32:08,887 --> 00:32:11,181 ジョンにパブは向かない 510 00:32:12,933 --> 00:32:15,060 革パンツをはいても― 511 00:32:15,185 --> 00:32:17,771 ジミー・バーンズには なれない 512 00:32:19,940 --> 00:32:23,026 {\an1}ジョンは 当時の音楽シ︱ンに 513 00:32:20,524 --> 00:32:24,653 {\an7}シェリ︱・ロマロ 514 00:32:23,151 --> 00:32:25,696 {\an1}ハマってなかったの 515 00:32:26,154 --> 00:32:29,449 ある夜 ステージを 終えた後の楽屋で― 516 00:32:29,575 --> 00:32:33,871 {\an7}ジョンがロッカ︱の扉を 思いきり殴った 517 00:32:30,701 --> 00:32:34,997 {\an1}トミ︱・エマニュエル 518 00:32:33,996 --> 00:32:36,081 {\an7}だから彼に言ったよ 519 00:32:36,206 --> 00:32:38,792 “君の時代は来る 心配するな” 520 00:32:38,917 --> 00:32:40,377 “そこまで来てる”と 521 00:32:40,502 --> 00:32:42,880 ハッピー・アニバーサリー ベイビー 522 00:32:43,005 --> 00:32:45,007 君のことを考えてた 523 00:32:45,132 --> 00:32:48,510 LRBにも外と内の顔がある 524 00:32:48,802 --> 00:32:54,183 グレンは強烈な個性の彼らを よくさばいてたと思う 525 00:32:54,308 --> 00:32:55,726 分かるよ 526 00:32:55,851 --> 00:32:58,520 大戦をさばくようなもんさ 527 00:32:58,645 --> 00:33:00,397 {\an7}〝大ウソ〟 528 00:32:59,855 --> 00:33:03,150 炸裂寸前の爆竹を抱えてた 529 00:33:04,109 --> 00:33:05,444 漏らしたかも 530 00:33:05,569 --> 00:33:08,572 イーグルスとも 一緒に演奏し― 531 00:33:08,697 --> 00:33:11,074 {\an7}実力は同等と思ってた 532 00:33:09,072 --> 00:33:11,074 {\an1}ソングライタ︱/ プロデュ︱サ︱ グレアム・ゴ︱ブル 533 00:33:11,658 --> 00:33:15,162 そんな時 シャロックが 抜けることに 534 00:33:15,829 --> 00:33:21,627 シャロックとの関係が破綻し 僕もウンザリしてた 535 00:33:22,336 --> 00:33:25,380 向こうも ウンザリしてたはずだ 536 00:33:26,340 --> 00:33:29,968 {\an7}脱退は僕自身じゃなく 周りが決めた 537 00:33:26,340 --> 00:33:29,968 {\an1}歌手/ソングライタ︱ グレン・シャロック 538 00:33:30,093 --> 00:33:33,639 シャロックの後任に ジョンが浮上した 539 00:33:33,764 --> 00:33:38,352 シャロックは僕の曲を 独自に解釈するが― 540 00:33:38,477 --> 00:33:42,564 ジョンは素直に歌う そこは魅力的だった 541 00:33:42,773 --> 00:33:47,986 大事な人が去る時には 学びがあるよ 542 00:33:48,111 --> 00:33:51,073 私は この時期に グレンと結婚した 543 00:33:51,365 --> 00:33:56,411 シャロックとジョンは 2人とも式の介添人で― 544 00:33:56,537 --> 00:33:58,038 いい友人だった 545 00:33:58,830 --> 00:34:00,916 僕らはジョンを選んだ 546 00:34:01,166 --> 00:34:03,168 ハッピー・アニバーサリー 547 00:34:05,796 --> 00:34:09,507 {\an7}悩むジョンの 背中を押したわ 548 00:34:06,421 --> 00:34:09,507 {\an1}ジル・ファ︱ナム 549 00:34:11,092 --> 00:34:13,804 ジョンにとって LRB加入は― 550 00:34:13,929 --> 00:34:17,599 メインストリームに 復帰するための― 551 00:34:18,141 --> 00:34:20,643 絶好のチャンスだった 552 00:34:21,228 --> 00:34:25,232 ジョンに再び 注目が集まり始めた 553 00:34:25,357 --> 00:34:27,860 大きなコンサート会場でね 554 00:34:28,735 --> 00:34:30,654 僕は加入前から― 555 00:34:30,779 --> 00:34:34,366 “シャロックのようには 歌えない”と伝えてた 556 00:34:34,867 --> 00:34:37,202 “自分の歌い方で歌う”と 557 00:34:38,620 --> 00:34:39,871 {\an7}ようこそ 558 00:34:39,663 --> 00:34:43,708 {\an1}1983年 ﹁ドン・レイン・ショ︱﹂ 559 00:34:42,123 --> 00:34:45,668 {\an7}今日のゲストには 興奮するね 560 00:34:45,793 --> 00:34:50,591 新ボーカルを迎え バンドにどんな影響が? 561 00:34:50,716 --> 00:34:53,802 ジョンは ソロの印象が強いけど 562 00:34:53,927 --> 00:34:57,389 影響については まだ分からない 563 00:34:57,514 --> 00:34:59,892 ジョンの加入以来― 564 00:35:00,017 --> 00:35:03,437 これが初めての公式な仕事だ 565 00:35:03,562 --> 00:35:07,399 でも僕らは うまくいくと確信してる 566 00:35:07,524 --> 00:35:10,944 ジョンは LRBの過去の曲も歌う 567 00:35:11,069 --> 00:35:13,614 あくまで LRBの一員だね? 568 00:35:13,739 --> 00:35:18,535 ジョンはLRBのツアーを すごく楽しみにしてた 569 00:35:18,660 --> 00:35:21,663 ようやく念願がかなって― 570 00:35:21,788 --> 00:35:28,003 パブでもキャバレーでもない 自分の舞台に戻ってきたの 571 00:35:28,128 --> 00:35:31,423 大きなステージに 大勢のクルー 572 00:35:31,548 --> 00:35:34,384 きらびやかな照明を浴び― 573 00:35:34,510 --> 00:35:37,554 何万人もの観客の前に立てる 574 00:35:37,679 --> 00:35:38,972 最高だ! 575 00:35:40,015 --> 00:35:41,266 ありがとう 576 00:35:42,601 --> 00:35:47,356 人生で1つだけ 懐かしく思うものは 577 00:35:47,523 --> 00:35:50,776 独りで過ごした時間 578 00:35:51,777 --> 00:35:57,908 冷たく澄みきった海で ボートを走らせてた 579 00:36:01,578 --> 00:36:04,581 ジョンと僕は新入りだった 580 00:36:04,706 --> 00:36:06,625 {\an7}だから お互い︱ 581 00:36:05,165 --> 00:36:10,838 {\an1}ミュ︱ジシャン/作曲家 デヴィッド・ ハ︱シュフェルダ︱ 582 00:36:06,750 --> 00:36:10,838 {\an7}自分の個性を出そうと 必死だった 583 00:36:12,589 --> 00:36:17,511 ジョンはフロントマンで パフォーマンスが派手だった 584 00:36:17,636 --> 00:36:18,929 他の皆よりね 585 00:36:20,556 --> 00:36:24,393 前に出ていって 観客を巻き込み― 586 00:36:24,560 --> 00:36:26,562 スポットライトを浴びてた 587 00:36:29,314 --> 00:36:32,150 {\an7}常にジョンが ライトを浴びてて 588 00:36:29,731 --> 00:36:32,150 {\an1}ソングライタ︱/ プロデュ︱サ︱ グレアム・ゴ︱ブル 589 00:36:32,276 --> 00:36:36,905 正直 僕らがいる意味は 何なのかと感じた 590 00:36:37,823 --> 00:36:40,868 ソロ歌手のバックバンドと 化してた 591 00:36:42,870 --> 00:36:46,456 ある時 グレアムが クルーに指示して― 592 00:36:46,582 --> 00:36:51,211 ジョンのマイクスタンドを 粘着テープで固定させた 593 00:36:51,336 --> 00:36:53,964 ジョンは怒って 引きはがしたよ 594 00:36:56,925 --> 00:37:00,929 覚えてないが 昔の僕なら やりそうだ 595 00:37:02,556 --> 00:37:03,932 今はやらない 596 00:37:10,355 --> 00:37:14,067 ジョンは たぶん LRBの曲に― 597 00:37:14,193 --> 00:37:17,863 自分らしさを 加える気でいたの 598 00:37:20,240 --> 00:37:21,575 でも実際は― 599 00:37:22,367 --> 00:37:26,496 他の誰かの歌を 歌わされていただけ 600 00:37:26,622 --> 00:37:28,332 グレアムのステージでね 601 00:37:29,499 --> 00:37:33,253 僕は既存のヒット曲を 歌ってるだけ 602 00:37:33,462 --> 00:37:35,297 よそ者だった 603 00:37:35,464 --> 00:37:40,677 LRBでは自由に歌えず 窮屈だっただろうね 604 00:37:40,802 --> 00:37:42,930 “セイディ”の時と同じだ 605 00:37:43,055 --> 00:37:45,015 厳しいと感じてた 606 00:37:45,724 --> 00:37:49,269 ジョンは再び がんじがらめになった 607 00:37:49,728 --> 00:37:51,897 脱がないよ ダメだ 608 00:37:52,523 --> 00:37:55,984 {\an1}息子 ミュ︱ジシャン/俳優 ロバ︱ト・ファ︱ナム 609 00:37:53,357 --> 00:37:55,234 {\an7}ニットが伸びる 610 00:37:57,611 --> 00:38:01,740 ジョンが“非情のゲームプレイング・トゥ・ウィン”を 書いた時を覚えてる 611 00:38:03,367 --> 00:38:05,369 彼が殻を破った曲よ 612 00:38:06,119 --> 00:38:09,790 “勝つためにプレーするプレイング・トゥ・ウィン” 僕のモットーだ 613 00:38:09,915 --> 00:38:12,543 LRB時代に書いた曲だ 614 00:38:12,668 --> 00:38:17,506 {\an1}あの曲はLRBへの メッセ︱ジだった 615 00:38:13,168 --> 00:38:17,005 {\an7}ジル・ファ︱ナム 616 00:38:17,631 --> 00:38:21,176 ある夜 米ユニバーサル・ アンフィシアターに― 617 00:38:21,301 --> 00:38:23,887 LRBファンが集まってた 618 00:38:24,137 --> 00:38:26,056 モタモタするな 619 00:38:27,182 --> 00:38:29,601 今回は勝つために プレーしてる 620 00:38:29,726 --> 00:38:34,565 有名人も大勢 来てた フランク・シナトラもね 621 00:38:34,690 --> 00:38:39,111 でもLRBは 完全に内部崩壊してた 622 00:38:39,778 --> 00:38:41,697 今回は勝つ 623 00:38:42,447 --> 00:38:47,160 メンバーをなだめようと 駆けずり回ったよ 624 00:38:49,454 --> 00:38:52,833 グレンの飲み物に 精神安定剤を入れたわ 625 00:38:55,043 --> 00:38:56,920 2錠 入れたと思う 626 00:38:57,129 --> 00:39:00,299 でも2錠目は余計だった 627 00:39:00,424 --> 00:39:04,303 皆が大ゲンカしてる時に グレンは― 628 00:39:04,428 --> 00:39:07,806 控室のソファで寝ちゃったの 629 00:39:07,931 --> 00:39:11,059 必要ないと 気づかずにいた 630 00:39:11,393 --> 00:39:13,187 俺はバカだった 631 00:39:13,979 --> 00:39:16,982 ジョンは グレアムとビーブに言った 632 00:39:17,107 --> 00:39:21,028 “邪魔するな もう ほっといてくれ”と 633 00:39:22,279 --> 00:39:27,868 スポットライトを浴び 重圧に耐えるのは僕だ 634 00:39:27,993 --> 00:39:31,622 だから ちゃんと 納得したかった 635 00:39:32,998 --> 00:39:38,378 人気バンドにいても 大金を稼げたわけじゃない 636 00:39:38,504 --> 00:39:43,800 LRBの過去のアルバムが 赤字を出していて― 637 00:39:43,926 --> 00:39:47,304 ジョンの収入にも響いてた 638 00:39:47,763 --> 00:39:52,684 LRBを去る頃には 多額の借金を抱えてたわ 639 00:39:56,480 --> 00:40:02,402 すばらしき神の恵みが― 640 00:40:02,611 --> 00:40:07,824 私に恐れる心を 授けてくださった 641 00:40:08,951 --> 00:40:15,040 そして この恵みで 私の恐れは― 642 00:40:15,332 --> 00:40:19,169 解き放たれた 643 00:40:19,294 --> 00:40:22,005 家も車も売り払ったよ 644 00:40:22,130 --> 00:40:24,341 ある時 義理の母が― 645 00:40:24,466 --> 00:40:27,761 “ロバートをマクドナルドへ 連れていこう”と 646 00:40:27,886 --> 00:40:30,889 でも そのお金すらなかった 647 00:40:31,223 --> 00:40:36,186 多くの危機と― 648 00:40:36,311 --> 00:40:41,358 苦しみと誘惑を乗り越え・・・ 649 00:40:42,109 --> 00:40:44,653 借金はあれど成長があった 650 00:40:44,778 --> 00:40:49,992 私は既に たどり着いた 651 00:40:52,870 --> 00:40:56,957 神の恵みこそが 私を・・・ 652 00:40:57,082 --> 00:41:01,295 レコード契約を結ぼうにも 問題があった 653 00:41:01,420 --> 00:41:03,172 “セイディ”の呪いだ 654 00:41:03,297 --> 00:41:07,050 どのレコード会社も “ジョニーは結構”と― 655 00:41:07,342 --> 00:41:09,219 契約を拒んだ 656 00:41:09,511 --> 00:41:13,974 私を お導きくださった 657 00:41:15,017 --> 00:41:18,937 アメージング・グレース 658 00:41:19,062 --> 00:41:21,023 何を歌っても完璧よ 659 00:41:23,609 --> 00:41:26,653 ジョンが歌う “アメージング・グレース”は 660 00:41:26,778 --> 00:41:31,742 {\an7}真心がこもっていて 澄み渡ってたわ 661 00:41:27,946 --> 00:41:31,742 {\an1}ボ︱カリスト ヴェネッタ・フィ︱ルズ 662 00:41:31,909 --> 00:41:35,495 私を救ってくださった 663 00:41:37,414 --> 00:41:42,920 かつては 道に迷っていた 664 00:41:43,086 --> 00:41:44,421 ジョンに誓ったよ 665 00:41:44,546 --> 00:41:49,676 “君の個性を打ち出す アルバムを世に送り出す”と 666 00:41:51,345 --> 00:41:56,767 ジョンは希望を失い 心を閉ざしかねなかった 667 00:41:58,060 --> 00:42:02,231 でもグレンとジルは ジョンの声を武器に― 668 00:42:02,356 --> 00:42:05,776 起死回生のプランを立てた 669 00:42:05,901 --> 00:42:10,489 今の私には見える 670 00:42:11,031 --> 00:42:15,494 そう 今なら見える 671 00:42:21,208 --> 00:42:23,460 こんばんは 今夜のニュースです 672 00:42:26,588 --> 00:42:28,632 ある時 妻に話した 673 00:42:28,757 --> 00:42:31,760 {\an7}〝家を担保に 金を借りた〟と 674 00:42:29,675 --> 00:42:36,181 {\an1}マネジャ︱ グレン・ウィ︱トリ︱ 675 00:42:31,885 --> 00:42:35,013 {\an7}スタジオや ミュ︱ジシャンに︱ 676 00:42:35,264 --> 00:42:37,432 {\an7}払う金が必要でね 677 00:42:37,558 --> 00:42:40,978 昔 うちは抵当とは無縁だった 678 00:42:41,103 --> 00:42:44,439 今じゃ抵当地獄だけどね 679 00:42:44,565 --> 00:42:47,150 私に相談してくれてたら― 680 00:42:47,276 --> 00:42:50,362 {\an1}ジョンのために 家を2軒 差し出した 681 00:42:48,360 --> 00:42:52,865 {\an7}ゲイナ︱・ウィ︱トリ︱ 682 00:42:50,654 --> 00:42:52,406 {\an1}今 思えばだけど 683 00:42:53,740 --> 00:42:55,158 必死の思いで― 684 00:42:55,284 --> 00:42:58,161 大物プロデューサーを 当たった 685 00:42:58,287 --> 00:43:00,581 クインシー・ジョーンズに― 686 00:43:00,706 --> 00:43:04,501 アルバムを依頼し 断られたようだ 687 00:43:04,877 --> 00:43:07,838 ロス・フレイザーは LRBの米ツアーで 688 00:43:07,963 --> 00:43:10,924 ステージマネジャーを 務めてた 689 00:43:11,049 --> 00:43:13,468 ロスが名乗りを上げ― 690 00:43:13,969 --> 00:43:16,513 グレンは実際に任せた 691 00:43:16,638 --> 00:43:21,018 ロスは物静かで おおらかな性格だから― 692 00:43:21,852 --> 00:43:24,021 ジョンと馬が合った 693 00:43:24,146 --> 00:43:29,151 当時 ジョンが借りてた マニンガム通りの家には 694 00:43:29,276 --> 00:43:30,736 ガレージが付いてた 695 00:43:31,069 --> 00:43:35,115 そこでガレージバンドを 始めたの 696 00:43:35,657 --> 00:43:39,369 {\an7}時々 ガレ︱ジに おやつを運んでた 697 00:43:36,116 --> 00:43:38,660 {\an1}ジル・ファ︱ナム 698 00:43:39,494 --> 00:43:41,538 {\an1}ジョンの提案で︱ 699 00:43:40,037 --> 00:43:41,538 {\an7}音楽プロデュ︱サ︱ ロス・フレイザ︱ 700 00:43:41,663 --> 00:43:45,542 D・ハーシュフェルダーに 声をかけた 701 00:43:45,667 --> 00:43:50,172 アルバムに参加しないかと 聞いたら 彼は快諾 702 00:43:50,297 --> 00:43:55,344 ちょうど高価な機材を 買ったばかりだったんだ 703 00:43:55,469 --> 00:43:59,306 84年当時 3万5000ドルもした フェアライトだ 704 00:44:00,265 --> 00:44:05,103 機材1つに とんでもない大金を払ったよ 705 00:44:05,604 --> 00:44:09,441 僕はワーゲンバスに 機材を詰め込んだ 706 00:44:09,566 --> 00:44:14,905 フェアライトにDX7に プロフェット5もね 707 00:44:15,072 --> 00:44:18,534 {\an7}QX1シ︱ケンサ︱は DX7 8台分の︱ 708 00:44:15,405 --> 00:44:18,534 {\an1}ミュ︱ジシャン/作曲家 デヴィッド・ ハ︱シュフェルダ︱ 709 00:44:18,951 --> 00:44:21,703 音源モジュールにつないでた 710 00:44:22,204 --> 00:44:25,332 ジョンの自前の 8トラック・レコーダーで― 711 00:44:25,457 --> 00:44:27,793 ボーカルを アナログテープに録音 712 00:44:27,918 --> 00:44:32,589 それをロスのドラムマシンの 音源と合わせた 713 00:44:32,714 --> 00:44:36,301 そうやってガレージで 曲を作ったんだ 714 00:44:36,677 --> 00:44:39,096 「ウィスパリング・ ジャック」のね 715 00:44:39,429 --> 00:44:43,392 サンプリングなどの デジタル技術は― 716 00:44:43,517 --> 00:44:45,602 当時では最先端 717 00:44:45,769 --> 00:44:50,482 使用した機材も 国内で最新のものだった 718 00:44:50,607 --> 00:44:54,152 ジョンは 好奇心旺盛な人だから― 719 00:44:54,278 --> 00:44:56,572 何にでも挑戦したよ 720 00:44:59,783 --> 00:45:04,454 個性の違う3人が 同じ船に乗ってた 721 00:45:07,082 --> 00:45:10,752 ジョンと僕はいわば クリエイティブ担当 722 00:45:10,878 --> 00:45:13,088 ロスは状況を見て― 723 00:45:13,213 --> 00:45:16,216 全体のかじ取りをする役目 724 00:45:16,341 --> 00:45:18,093 いいチームだった 725 00:45:18,427 --> 00:45:20,596 ジョンにとっては― 726 00:45:20,721 --> 00:45:25,809 多くのものが懸かった 重要なアルバムだった 727 00:45:27,060 --> 00:45:29,229 曲探しから始めた 728 00:45:29,354 --> 00:45:32,441 軽く2000曲は聴いたと思う 729 00:45:32,566 --> 00:45:36,695 デモテープは全部 曲の最後まで聴いた 730 00:45:36,820 --> 00:45:40,574 曲作りの大変さを 知る者として― 731 00:45:40,699 --> 00:45:44,036 そうするのが礼儀だからね 732 00:45:44,161 --> 00:45:47,206 音楽出版社に デモを送ってくれと― 733 00:45:47,331 --> 00:45:50,959 {\an1}頼み続けたが 反応は冷たかった 734 00:45:47,748 --> 00:45:50,959 {\an7}音楽プロデュ︱サ︱ ロス・フレイザ︱ 735 00:45:51,084 --> 00:45:53,295 “ジョニーだって? お断りだ”と 736 00:45:55,506 --> 00:45:59,384 重圧はあったけれど ジョンは初めて― 737 00:45:59,510 --> 00:46:03,096 自らのキャリアを コントロールしてた 738 00:46:03,847 --> 00:46:08,060 選曲にこだわり 有望な曲も却下した 739 00:46:08,727 --> 00:46:12,689 その1つが “シスコはロック・シティ”だ 740 00:46:12,814 --> 00:46:14,274 僕らがつくった 741 00:46:15,859 --> 00:46:20,322 ロックンロールで この街をつくったんだ 742 00:46:20,739 --> 00:46:25,911 デモを聴いたロスと僕は ポップでいいと思った 743 00:46:26,370 --> 00:46:30,457 でもジョンが “気取ってる”と嫌がって 744 00:46:30,582 --> 00:46:32,501 あえなく却下に 745 00:46:36,922 --> 00:46:41,051 音作りとアレンジにも 全力を注いだ 746 00:46:41,176 --> 00:46:44,263 僕は このアルバムに 懸けてたし― 747 00:46:44,388 --> 00:46:47,307 自分の代表作にしたかった 748 00:46:47,432 --> 00:46:51,562 {\an7}見えるものを 疑う理由はないさ 749 00:46:52,187 --> 00:46:56,441 {\an7}目を閉じて 心を解き放て 750 00:46:59,069 --> 00:47:00,988 {\an7}前へ踏み出せ 751 00:47:03,323 --> 00:47:05,284 {\an7}動きを止めるな 752 00:47:07,035 --> 00:47:10,122 {\an7}大海原に こぎ出すんだ 753 00:47:10,247 --> 00:47:13,125 {\an7}この町には もう飽きた 754 00:47:13,250 --> 00:47:17,671 {\an7}3人はデモを 片っ端から聴いてた 755 00:47:17,796 --> 00:47:21,091 {\an7}でも締め切りは 近づいてた 756 00:47:21,466 --> 00:47:23,177 {\an7}君に近づくよ 757 00:47:23,886 --> 00:47:28,182 いい曲が8曲あり あと1曲 必要だった 758 00:47:28,307 --> 00:47:32,227 あの曲をかけた朝のことは 忘れない 759 00:47:32,352 --> 00:47:34,104 “ユー・アー・ザ・ヴォイス”だ 760 00:47:36,440 --> 00:47:40,194 作詞作曲はマンフレッド・ マンズ・アース・バンドの― 761 00:47:40,444 --> 00:47:42,696 すご腕ソングライターだ 762 00:47:42,821 --> 00:47:44,823 核戦争に勝者はない 763 00:47:44,948 --> 00:47:49,328 ソ連は 他の国のようには 話が通じません 764 00:47:49,453 --> 00:47:54,374 {\an7}核戦争に対する危機感は 最高潮に達してた 765 00:47:53,081 --> 00:47:54,374 {\an1}〝人類か核か〟 766 00:47:55,000 --> 00:47:58,962 {\an7}反核平和行進に 参加するつもりが︱ 767 00:47:55,501 --> 00:47:58,962 {\an1}ミュ︱ジシャン/ ソングライタ︱ クリス・トンプソン 768 00:47:59,087 --> 00:48:03,008 {\an7}朝6時からで 不覚にも寝坊した 769 00:48:06,220 --> 00:48:09,556 参加者は15万人くらい いたはずだ 770 00:48:10,599 --> 00:48:13,936 参加しそびれたのが悔しくて 771 00:48:14,061 --> 00:48:16,980 代わりに歌を作ることに 772 00:48:16,188 --> 00:48:19,733 {\an7}〝核兵器に反対 平和に賛成〟 773 00:48:17,105 --> 00:48:21,902 それで声をかけたのが なじみの音楽仲間の― 774 00:48:22,027 --> 00:48:24,571 アンディ・クンタと マギー・ライダーだ 775 00:48:25,656 --> 00:48:29,660 1時間かそこらで メロディが浮かんだ 776 00:48:32,120 --> 00:48:34,998 僕が歌ったら マギーが続いた 777 00:48:38,919 --> 00:48:40,170 さらに僕が・・・ 778 00:48:42,464 --> 00:48:43,757 バッチリだった 779 00:48:44,550 --> 00:48:48,053 翌日 プロコル・ハルムの 作詞家の― 780 00:48:48,303 --> 00:48:54,142 キース・リードと一緒に 4時間くらいで歌詞を書いた 781 00:48:55,853 --> 00:48:59,356 音楽出版社の ドリス・タイラーから 782 00:48:59,565 --> 00:49:03,944 あるデモテープが届いて 車の中で聴いた 783 00:49:04,069 --> 00:49:07,906 驚いて ジョンたちにも すぐ聴かせたよ 784 00:49:09,950 --> 00:49:13,245 皆で聴いて 目を見合わせた 785 00:49:13,370 --> 00:49:14,955 “最高だ”とね 786 00:49:15,163 --> 00:49:19,084 {\an1}レコ︱ディング最終日の 2週間前だったが 787 00:49:19,251 --> 00:49:22,504 {\an1}この曲は絶対に 入れたかった 788 00:49:23,338 --> 00:49:26,091 ヒット間違いなしだった 789 00:49:26,216 --> 00:49:29,052 音楽出版社から電話が入った 790 00:49:29,178 --> 00:49:34,808 ジョンが既に曲を収録し 使用許可を欲しがってると 791 00:49:35,058 --> 00:49:37,352 僕はダメだと言った 792 00:49:37,895 --> 00:49:42,482 彼について知ってたのは “セイディ”だけだった 793 00:49:47,446 --> 00:49:50,866 あの曲が必要だから 強行突破したの 794 00:49:50,991 --> 00:49:56,538 許可なく収録しちゃ ダメなんだが 彼らはやった 795 00:49:56,788 --> 00:50:02,336 銃声に手拍子を合わせた エフェクトを使うことにした 796 00:50:02,461 --> 00:50:05,714 軍隊的 かつ民族的な イメージにと・・・ 797 00:50:05,923 --> 00:50:07,966 よく分からないが― 798 00:50:08,091 --> 00:50:11,595 歌詞には合っていると 思ったよ 799 00:50:13,597 --> 00:50:15,098 {\an7}ソロ部分では︱ 800 00:50:15,224 --> 00:50:17,851 {\an7}パンパイプを 使いたかった 801 00:50:18,393 --> 00:50:21,813 {\an7}アンデス地方の パンパイプをね 802 00:50:21,939 --> 00:50:26,109 {\an7}生楽器のサンプル音源も 試してみた 803 00:50:26,235 --> 00:50:30,948 {\an7}でもジョンは 〝高揚感が足りない〟と 804 00:50:31,740 --> 00:50:33,450 そこでバグパイプだ 805 00:50:37,621 --> 00:50:41,583 思わず“本当に?”と 聞き返したよ 806 00:50:41,750 --> 00:50:43,085 でも彼に任せた 807 00:50:43,669 --> 00:50:47,297 バグパイプの専門家に 相談したら― 808 00:50:47,422 --> 00:50:51,301 “バグパイプのキーは Bフラットだけだ”と 809 00:50:51,426 --> 00:50:52,970 でも曲はFだった 810 00:51:00,143 --> 00:51:04,439 バグパイプのキーに合わせて アレンジを変えたら― 811 00:51:05,107 --> 00:51:10,153 バグパイプを加える前から 既に曲がよくなってた 812 00:51:11,154 --> 00:51:13,657 時に楽器の制約こそが― 813 00:51:13,782 --> 00:51:17,911 曲をすばらしいものに するってことだ 814 00:51:18,495 --> 00:51:22,082 “ユー・アー・ザ・ヴォイス”は アルバムの目玉だから― 815 00:51:22,207 --> 00:51:26,545 レコーディングに 立ち会うことにしたの 816 00:51:27,754 --> 00:51:30,382 張りきってスタジオに入った 817 00:51:30,507 --> 00:51:32,676 ミックス中は 追い出されるしね 818 00:51:32,801 --> 00:51:34,928 ゲイナーとグレンは― 819 00:51:35,053 --> 00:51:38,098 レストランかどこかから 駆けつけた 820 00:51:38,223 --> 00:51:42,561 シャンパンを飲み スタジオへ向かった 821 00:51:42,978 --> 00:51:45,731 いざ曲を聴いてみると― 822 00:51:46,273 --> 00:51:47,691 僕は固まった 823 00:51:48,025 --> 00:51:51,737 グレンと顔を見合わせて “何か違う”と 824 00:51:52,237 --> 00:51:54,865 ジョンは私たちを見て・・・ 825 00:51:54,990 --> 00:51:56,283 “不満か?”と 826 00:51:56,408 --> 00:52:00,245 ジョンに言ったわ “デモと違う”と 827 00:52:00,621 --> 00:52:05,501 正直に デモのほうが 歌い方がよかったと伝えた 828 00:52:05,667 --> 00:52:06,877 ジョンは激怒 829 00:52:07,002 --> 00:52:11,048 彼はカンカンに怒って ロスに言った 830 00:52:11,173 --> 00:52:13,091 “もう一度 歌う” 831 00:52:13,342 --> 00:52:15,719 “明かりを消せ 音量を上げろ”と 832 00:52:16,345 --> 00:52:19,556 見学者の前で 歌うのは嫌いだ 833 00:52:19,681 --> 00:52:22,226 笑われてるように感じる 834 00:52:22,518 --> 00:52:25,479 君は声だ それを理解して 835 00:52:25,604 --> 00:52:28,148 声を上げて示すんだ 836 00:52:30,067 --> 00:52:34,071 彼の熱唱ぶりに 度肝を抜かれたよ 837 00:52:34,321 --> 00:52:38,450 腕やうなじの毛が逆立ったわ 838 00:52:38,575 --> 00:52:40,536 バッチリだった 839 00:52:40,661 --> 00:52:42,371 文句なしよ 840 00:52:44,456 --> 00:52:46,041 それを採用した 841 00:52:47,835 --> 00:52:50,504 あの時が初めてだった 842 00:52:50,629 --> 00:52:55,968 110%の力を込めて 全身全霊で歌ったのはね 843 00:52:56,093 --> 00:52:59,805 名アルバムになると 確信する一方で― 844 00:52:59,930 --> 00:53:02,975 ジョンが 沈んでいるのも感じた 845 00:53:03,225 --> 00:53:07,354 世間に評価されるかは 分からなかったの 846 00:53:08,480 --> 00:53:11,275 レコーディング後は 気分が沈んだよ 847 00:53:11,400 --> 00:53:14,945 あのアルバムは 何より重要だったからね 848 00:53:15,821 --> 00:53:20,492 関係者向けにアルバムの 完成イベントをやった 849 00:53:20,617 --> 00:53:22,744 マスコミ抜きでね 850 00:53:23,495 --> 00:53:27,249 ジョンの姿はなく 来る様子もなかった 851 00:53:27,374 --> 00:53:29,626 パーティが苦手とはいえ― 852 00:53:29,751 --> 00:53:32,588 彼自身のおめでたい席よ 853 00:53:32,838 --> 00:53:37,217 グレンはジョンを 連れてくるようにと― 854 00:53:37,342 --> 00:53:38,844 ジルを説得した 855 00:53:39,386 --> 00:53:40,721 ジルが言うに― 856 00:53:40,846 --> 00:53:45,726 彼はひどい状態で 引きずっていくしかないと 857 00:53:45,851 --> 00:53:48,979 {\an7}結局 私が 車で送っていった 858 00:53:47,269 --> 00:53:51,565 {\an1}ジル・ファ︱ナム 859 00:53:49,104 --> 00:53:54,484 {\an7}助手席で丸まって 泣いてる彼に言ったわ 860 00:53:54,610 --> 00:53:58,155 “車を降りて 会場に入らない限り―” 861 00:53:58,530 --> 00:54:00,073 “何も起きない”と 862 00:54:00,908 --> 00:54:05,078 当時は 鬱について よく知らなかったが 863 00:54:05,245 --> 00:54:08,957 たぶん ジョンは その状態にあった 864 00:54:09,082 --> 00:54:11,668 アルバム完成後は特にね 865 00:54:13,003 --> 00:54:17,758 いいアルバムで ジョンの歌も最高だったが 866 00:54:17,883 --> 00:54:20,135 ヒットするかは別問題だ 867 00:54:20,260 --> 00:54:22,971 グレンもソワソワしてた 868 00:54:24,473 --> 00:54:28,143 グレンはラジオ局に 宣伝して回ったが― 869 00:54:28,268 --> 00:54:31,438 どこも曲を 流そうとしなかった 870 00:54:31,980 --> 00:54:33,440 たぶん聴いてもない 871 00:54:33,565 --> 00:54:35,901 大手からは相手にされず― 872 00:54:37,319 --> 00:54:40,697 最後は自力で売り出すことに 873 00:54:40,822 --> 00:54:43,825 自分のレーベルを 立ち上げたんだ 874 00:54:44,201 --> 00:54:45,160 {\an7}ウィ︱トリ︱・ レコ︱ズをね 875 00:54:47,746 --> 00:54:52,125 {\an7}プロモ盤を持って トリプルMへ行ったら 876 00:54:52,251 --> 00:54:57,047 {\an7}〝ジョニ︱・ファ︱ナムは うちの局ではかけない〟と 877 00:54:57,506 --> 00:55:00,467 {\an1}グレンから 電話があったわ 878 00:55:00,592 --> 00:55:03,846 {\an1}〝ジョンの新作を 聴かせたい〟とね 879 00:55:03,971 --> 00:55:09,184 {\an1}いくつかのラジオ局に 断られたのは知ってた 880 00:55:05,138 --> 00:55:09,184 {\an7}音楽エグゼクティブ シェリ︱・ロマロ 881 00:55:09,309 --> 00:55:13,772 また“セイディ”みたいな 曲かと心配したわ 882 00:55:14,898 --> 00:55:18,652 グレンは意気揚々と うちの局へ来て― 883 00:55:18,777 --> 00:55:22,865 “さあ このシングルを 聴いてくれ”と 884 00:55:22,990 --> 00:55:25,492 印象的なイントロが流れて・・・ 885 00:55:28,620 --> 00:55:32,833 そこから徐々に 盛り上がっていった 886 00:55:37,045 --> 00:55:38,922 楽器が加わった 887 00:55:48,557 --> 00:55:49,892 ジョンの声も 888 00:55:50,225 --> 00:55:51,852 僕らには― 889 00:55:52,853 --> 00:55:56,940 ページをめくる チャンスがある 890 00:55:57,191 --> 00:56:00,736 驚いたわ “これは すばらしい”って 891 00:56:00,861 --> 00:56:01,778 傑作だった 892 00:56:01,904 --> 00:56:06,325 感動した私は 曲の最後まで待ちきれず 893 00:56:06,575 --> 00:56:10,412 廊下を抜けて オンエアスタジオへ 894 00:56:10,537 --> 00:56:13,165 “これを流して”と頼んだ 895 00:56:13,290 --> 00:56:16,627 ジョン・ファーナムだと言うと 渋られたけど― 896 00:56:16,752 --> 00:56:18,086 “いいから”と 897 00:56:18,921 --> 00:56:21,590 君は声だ それを理解して 898 00:56:21,715 --> 00:56:24,218 声を上げて示すんだ 899 00:56:28,680 --> 00:56:32,226 “ジョンはどこ?”と グレンに聞いたら― 900 00:56:32,351 --> 00:56:35,604 “今頃 会議室で ヒザを抱えてる”と 901 00:56:35,729 --> 00:56:38,273 ジョンが来ると 2人はハグした 902 00:56:38,398 --> 00:56:43,570 私は感謝されたけど 当然のことをしただけ 903 00:56:44,029 --> 00:56:48,116 あの時 味わった感動は 特別なもので― 904 00:56:48,242 --> 00:56:49,868 一生の思い出よ 905 00:56:51,828 --> 00:56:54,623 僕らは強くなれる 906 00:56:55,332 --> 00:56:57,334 車を運転してたら― 907 00:56:57,459 --> 00:57:01,213 {\an7}あの曲が流れてきて ぶったまげたよ 908 00:56:58,252 --> 00:57:02,506 {\an1}トミ︱・エマニュエル 909 00:57:01,338 --> 00:57:05,133 {\an7}その後 同業者の 友人の家へ行くと︱ 910 00:57:05,425 --> 00:57:09,012 彼は目に涙を浮かべて 出てきた 911 00:57:09,137 --> 00:57:12,391 “今 ジョンの新曲を 聴いた”とね 912 00:57:12,516 --> 00:57:15,727 その友人も 僕と同じように― 913 00:57:15,853 --> 00:57:19,815 必ずヒットすると 確信してたんだ 914 00:57:19,940 --> 00:57:21,275 感動したよ 915 00:57:21,400 --> 00:57:25,112 “彼はついに 自分の声を見つけた”と 916 00:57:25,237 --> 00:57:28,156 曲を聴いて すばらしいと思った 917 00:57:28,282 --> 00:57:32,160 歌はうまいし バグパイプも効いてた 918 00:57:32,286 --> 00:57:34,872 “一体 誰だ?”と思ったよ 919 00:57:35,414 --> 00:57:40,043 {\an7}セリ︱ヌ・ディオン 920 00:57:35,414 --> 00:57:40,043 {\an1}パワフルな曲で 声もすばらしかった 921 00:57:40,169 --> 00:57:44,923 {\an7}宗教ではないのに 宗教的な感じがよかった 922 00:57:42,963 --> 00:57:47,301 {\an1}ロビ︱・ウィリアムス 923 00:57:45,048 --> 00:57:49,219 {\an7}神を信じてなくても 神秘性を感じるよ 924 00:57:49,344 --> 00:57:53,557 曲もすばらしいけど ジョンのボーカルが― 925 00:57:53,682 --> 00:57:56,435 あの曲の決め手だと思う 926 00:57:56,768 --> 00:58:00,147 すごくエモーショナルで 私は好きよ 927 00:58:00,272 --> 00:58:02,608 本人も気に入ってた 928 00:58:02,733 --> 00:58:05,611 結局 僕は歌手でしかない 929 00:58:05,736 --> 00:58:08,906 誰かの心に響くのを 祈るだけだ 930 00:58:09,031 --> 00:58:13,035 {\an7}曲自体も 彼の解釈も すばらしいわ 931 00:58:10,824 --> 00:58:15,078 {\an1}オリビア・ ニュ︱トン・ジョン 932 00:58:13,577 --> 00:58:15,954 {\an7}私たちには声がある 933 00:58:16,079 --> 00:58:20,626 信念のために 声を上げることができるの 934 00:58:21,835 --> 00:58:26,715 僕が歌手として いろいろ活動してる理由は 935 00:58:26,840 --> 00:58:29,259 生で歌を届けたいから 936 00:58:29,384 --> 00:58:30,385 それだけだ 937 00:58:36,934 --> 00:58:41,855 アルバムが完成し 次の目標はツアーだった 938 00:58:42,189 --> 00:58:44,191 ジョンと話し合い― 939 00:58:44,316 --> 00:58:48,153 類いまれな才能を持つ 若手を探した 940 00:58:48,278 --> 00:58:52,074 32小節の ギター速弾きなら― 941 00:58:52,199 --> 00:58:53,951 僕のオハコだった 942 00:58:56,328 --> 00:58:58,080 荒々しく パワフルだ 943 00:59:01,041 --> 00:59:02,835 当時 面白半分で― 944 00:59:03,252 --> 00:59:06,672 レコード会社なんかに デモを送ってた 945 00:59:07,464 --> 00:59:12,135 {\an7}ギタリスト ブレット・ガ︱スド 946 00:59:10,551 --> 00:59:12,678 {\an1}グレンの会社にもね 947 00:59:13,011 --> 00:59:17,599 ビクトリア州から ブレットのデモが届いた 948 00:59:17,724 --> 00:59:19,685 これが返事だよ 949 00:59:20,102 --> 00:59:22,980 “テープが届きました 電話をください” 950 00:59:23,105 --> 00:59:25,440 ブレットがバンドに加わった 951 00:59:26,066 --> 00:59:28,610 ステキな手紙で うれしかった 952 00:59:29,069 --> 00:59:30,821 デモが決め手だ 953 00:59:31,405 --> 00:59:34,533 彼は驚異的なギタリストだ 954 00:59:34,658 --> 00:59:38,704 ジョンの希望通り 洗練された技術と― 955 00:59:38,829 --> 00:59:40,581 パワーがあった 956 00:59:40,789 --> 00:59:44,960 成功に向け 最後に乗り越えるべきは・・・ 957 00:59:45,669 --> 00:59:46,962 プレッシャー 958 00:59:49,214 --> 00:59:52,467 4~5曲のテープを渡されて 959 00:59:52,718 --> 00:59:55,637 {\an7}1週間じっくり練習した 960 00:59:53,051 --> 00:59:56,054 {\an1}ドラマ︱ アンガス・バ︱チャル 961 00:59:55,762 --> 00:59:57,764 {\an7}ベテランも選べたが︱ 962 00:59:58,140 --> 01:00:00,350 アンガスには 若いエネルギーが 963 01:00:00,475 --> 01:00:01,351 20歳頃だ 964 01:00:01,727 --> 01:00:07,024 笑顔がよく 愛嬌あいきょうがあるが 演奏では激しくもなれる 965 01:00:07,524 --> 01:00:09,318 ジョンのドラム版だ 966 01:00:09,860 --> 01:00:12,988 夜 電話があり “明日からどう?”と 967 01:00:15,157 --> 01:00:16,491 若手は2人 968 01:00:16,909 --> 01:00:20,579 ギターのブレットと ドラムのアンガスだ 969 01:00:22,497 --> 01:00:25,542 デビュー当時の僕を 知らないのもよかった 970 01:00:30,214 --> 01:00:33,467 早くツアーをやりたいよ 971 01:00:33,592 --> 01:00:38,263 ジョンはライブで 思う存分 歌いたがってた 972 01:00:40,974 --> 01:00:43,644 でも会場の手配に苦労を 973 01:00:46,396 --> 01:00:50,734 僕は本格的な歌手と 見なされてなかった 974 01:00:50,984 --> 01:00:53,779 感じるんだ 嵐のように激しく 975 01:00:53,904 --> 01:00:56,240 “セイディ”の印象が 強すぎた 976 01:00:56,365 --> 01:00:59,201 19年も前のことなのにね 977 01:00:59,868 --> 01:01:02,037 プレッシャーを抑えろ 978 01:01:02,162 --> 01:01:06,542 付き合いで 多少のライブは確保できた 979 01:01:06,667 --> 01:01:08,168 でも その会場は・・・ 980 01:01:09,545 --> 01:01:12,297 ショボいパブだった 981 01:01:13,382 --> 01:01:15,634 人生を前に進めろ 982 01:01:15,759 --> 01:01:18,428 {\an1}ジョンは嫌がってたよ 983 01:01:17,427 --> 01:01:21,515 {\an7}音楽プロデュ︱サ︱ ロス・フレイザ︱ 984 01:01:18,804 --> 01:01:21,515 {\an1}〝パブには 戻りたくない〟と 985 01:01:25,060 --> 01:01:29,147 皆でベンディゴ バララット アデレードを回った 986 01:01:29,273 --> 01:01:30,774 バンに乗ってね 987 01:01:31,441 --> 01:01:32,693 連夜 ライブを 988 01:01:32,818 --> 01:01:35,946 いろいろ変わったね 989 01:01:36,071 --> 01:01:37,030 あれ以来・・・ 990 01:01:37,155 --> 01:01:41,827 シケたパブでのライブは 結構 楽しかった 991 01:01:42,536 --> 01:01:48,041 いろんな層から成る観客が すぐ目の前にいた 992 01:01:48,166 --> 01:01:50,335 同じじゃないんだ 993 01:01:50,460 --> 01:01:54,756 彼らのエネルギーを 肌で感じられたよ 994 01:01:56,175 --> 01:01:59,803 分かってないのか? 995 01:01:59,970 --> 01:02:02,306 これが どういうことか 996 01:02:00,470 --> 01:02:04,308 {\an1}〝ジョン・ファ︱ナム・ ライブツア︱〟 997 01:02:02,431 --> 01:02:05,350 {\an7}いい手応えはあった 998 01:02:05,559 --> 01:02:06,852 さあ 行こう 999 01:02:07,186 --> 01:02:08,645 モタつくな 1000 01:02:08,770 --> 01:02:12,566 アルバムがあちこちで ブレークし始め― 1001 01:02:12,691 --> 01:02:16,862 その後を追うように 各地を回った 1002 01:02:17,237 --> 01:02:18,488 機を逃すな 1003 01:02:18,614 --> 01:02:20,991 ステージを重ねるごとに― 1004 01:02:21,116 --> 01:02:25,954 完成度が上がり ジョンも高みを目指した 1005 01:02:26,079 --> 01:02:27,915 君の世界を回す 1006 01:02:28,040 --> 01:02:31,084 ドミノのように 評判が広まった 1007 01:02:31,210 --> 01:02:33,378 “これは すごい”って 1008 01:02:35,214 --> 01:02:36,757 見ものだったわ 1009 01:02:37,382 --> 01:02:41,053 ある朝 母が叫んでたので 駆けつけたら― 1010 01:02:41,178 --> 01:02:45,516 各番組で僕らの ビデオクリップが流れてた 1011 01:02:45,807 --> 01:02:49,186 僕のタンクトップが やたら映ってて・・・ 1012 01:02:50,646 --> 01:02:51,605 参ったよ 1013 01:02:52,731 --> 01:02:57,945 ジョンがついに 世間に認められようとしてた 1014 01:02:58,111 --> 01:03:02,658 {\an7}君は ただの名前 掲げられた旗 1015 01:03:02,783 --> 01:03:05,619 {\an7}評判が広まり アルバムは大反響 1016 01:03:05,744 --> 01:03:08,747 君はいつだって― 1017 01:03:09,665 --> 01:03:12,084 彼らの言いなり 1018 01:03:13,377 --> 01:03:15,587 追加公演も決まった 1019 01:03:16,922 --> 01:03:21,093 巨大な会場でも 手狭になったわ 1020 01:03:24,137 --> 01:03:26,515 毎回 ショーの前には― 1021 01:03:26,640 --> 01:03:29,518 {\an1}全員で円陣を組んでた 1022 01:03:27,015 --> 01:03:29,518 {\an7}コンサ︱トプロモ︱タ︱ ポ︱ル・デインティ 1023 01:03:30,018 --> 01:03:32,813 家族の大事な ひと時みたいにね 1024 01:03:33,021 --> 01:03:36,233 そしてグイッと飲んで ステージへ 1025 01:03:36,358 --> 01:03:39,152 ジョンは皆に慕われてた 1026 01:03:39,278 --> 01:03:40,612 さあ 行こう! 1027 01:03:42,155 --> 01:03:46,034 {\an7}〝ウィスパリング・ ジャック〟 1028 01:03:47,703 --> 01:03:50,372 {\an7}アルバムが 1位に浮上した日︱ 1029 01:03:50,497 --> 01:03:52,666 ある催しに向かってた 1030 01:03:53,041 --> 01:03:54,877 僕はジョンに言った 1031 01:03:55,002 --> 01:03:59,423 “国内1位を取ったぞ 信じられるか?”と 1032 01:04:02,301 --> 01:04:04,219 ジョンは大喜びした 1033 01:04:05,596 --> 01:04:09,474 そして彼の目から 涙があふれた 1034 01:04:12,060 --> 01:04:16,690 特別なアルバムだったが 26週も1位を取るとは― 1035 01:04:17,566 --> 01:04:19,484 予想してなかった 1036 01:04:20,402 --> 01:04:23,864 苦労したから 喜びも ひとしおだった 1037 01:04:24,114 --> 01:04:29,745 僕はそれまで歌手として 全然 認められてなかった 1038 01:04:30,704 --> 01:04:35,125 ジョンがくれたカセットに こう書いてあった 1039 01:04:35,250 --> 01:04:38,295 “チャンスをくれて ありがとう”と 1040 01:04:38,420 --> 01:04:43,258 グレンは あのカセットを 一生の宝物にした 1041 01:04:44,301 --> 01:04:47,221 ジョンのそれまでの イメージは― 1042 01:04:47,346 --> 01:04:52,643 “中年の危機を迎えて ロック転向を目指す男” 1043 01:04:52,768 --> 01:04:57,564 でも世間に認められ そのイメージを吹き飛ばした 1044 01:04:57,689 --> 01:04:58,941 見事にね 1045 01:05:00,108 --> 01:05:04,238 長い年月を経て 幅広い世代の人々が― 1046 01:05:04,363 --> 01:05:09,243 この“新しい”歌手と 彼の才能を発見した 1047 01:05:09,368 --> 01:05:12,371 {\an7}彼はずっと 見逃されてたんだ 1048 01:05:10,160 --> 01:05:12,371 {\an1}トミ︱・エマニュエル 1049 01:05:12,496 --> 01:05:15,040 観客が多いほど彼は燃えた 1050 01:05:15,165 --> 01:05:18,836 ジョン・ファーナムの 記録的なツアーは― 1051 01:05:18,961 --> 01:05:21,880 シドニーで5公演を予定 1052 01:05:22,005 --> 01:05:26,301 国内アーティストによる 史上最大のツアーです 1053 01:05:26,426 --> 01:05:31,056 来てくれた約25万人に お礼の手紙を書きたい 1054 01:05:31,181 --> 01:05:35,352 西ドイツとスウェーデンで 1位を記録したほか― 1055 01:05:35,477 --> 01:05:38,689 フランス イタリア イギリスで健闘中 1056 01:05:38,814 --> 01:05:43,777 アメリカでも期待されてる おめでとう ジョン 1057 01:05:43,902 --> 01:05:48,490 スウェーデン ノルウェー デンマークでも1位よ 1058 01:05:51,910 --> 01:05:55,330 {\an7}ドイツのファンは 特別だったわ 1059 01:05:51,910 --> 01:05:56,081 {\an1}1987年6月 西ドイツ ミュンヘン 1060 01:05:59,334 --> 01:06:03,463 {\an7}ザ・ヴォイス 1061 01:06:07,926 --> 01:06:11,680 当時 まだベルリンの壁が 立ってて― 1062 01:06:11,889 --> 01:06:13,974 彼らはウンザリしてた 1063 01:06:14,099 --> 01:06:17,561 だから あの曲が ヒットしたのかも 1064 01:06:18,103 --> 01:06:19,813 皆 変化を求めてた 1065 01:06:19,980 --> 01:06:21,398 僕らには― 1066 01:06:22,566 --> 01:06:27,487 ページをめくる チャンスがある 1067 01:06:29,907 --> 01:06:32,576 書きたいことも書ける 1068 01:06:32,701 --> 01:06:34,661 年を取る前に― 1069 01:06:34,786 --> 01:06:38,665 帳尻を合わせなきゃならない 1070 01:06:39,833 --> 01:06:42,085 観客は10万人以上 1071 01:06:42,336 --> 01:06:44,880 会場は大いに沸いてた 1072 01:06:45,255 --> 01:06:47,382 僕らは皆 誰かの娘 1073 01:06:48,050 --> 01:06:50,844 誰かの息子だ 1074 01:06:51,637 --> 01:06:56,975 いつまで にらみ合えばいい? 1075 01:06:59,353 --> 01:07:01,605 銃身越しに 1076 01:07:02,689 --> 01:07:03,774 歌って! 1077 01:07:04,233 --> 01:07:06,944 君は声だ それを理解して 1078 01:07:07,069 --> 01:07:09,446 声を上げて示すんだ 1079 01:07:15,661 --> 01:07:20,791 僕らは黙ってないし おびえて暮らす気もない 1080 01:07:26,839 --> 01:07:29,132 バグパイプ奏者が いなくて― 1081 01:07:29,258 --> 01:07:34,263 スコットランド人のクルーに 楽器を持たせた 1082 01:07:36,890 --> 01:07:40,519 終了後に顔を見たら 真っ青だった 1083 01:07:40,644 --> 01:07:43,313 僕らは皆 誰かの娘 1084 01:07:43,939 --> 01:07:46,817 誰かの息子だ 1085 01:07:47,484 --> 01:07:53,574 いつまで にらみ合えばいい? 1086 01:07:55,784 --> 01:08:00,122 銃身越しに 1087 01:08:02,916 --> 01:08:05,627 君は声だ それを理解して 1088 01:08:05,752 --> 01:08:08,297 声を上げて示すんだ 1089 01:08:14,303 --> 01:08:19,390 僕らは黙ってないし おびえて暮らす気もない 1090 01:08:25,354 --> 01:08:28,108 君は声だ それを理解して 1091 01:08:30,152 --> 01:08:32,904 ゆっくりでいいよ 時間はある 1092 01:08:35,115 --> 01:08:37,576 ファンは もちろんだけど― 1093 01:08:37,701 --> 01:08:41,412 業界から認められたのは 大きかった 1094 01:08:41,537 --> 01:08:42,956 受賞者は・・・ 1095 01:08:43,081 --> 01:08:46,960 {\an1}〝ARIAアワ︱ド〟 1096 01:08:43,540 --> 01:08:46,960 {\an7}これで豪邸が買える ジョン・ファ︱ナム! 1097 01:08:48,086 --> 01:08:53,050 {\an7}マネジャ︱であり親友の グレンに感謝します 1098 01:08:54,718 --> 01:08:58,971 {\an7}彼は身銭を切って 僕を助けてくれた 1099 01:08:59,096 --> 01:09:00,098 {\an7}ありがとう 1100 01:09:00,224 --> 01:09:03,894 {\an7}あの夜 私たちは 多くの賞を受賞し︱ 1101 01:09:04,019 --> 01:09:08,023 「ウィスパリング・ジャック」は 年間最も売れたアルバムに 1102 01:09:08,148 --> 01:09:10,817 今でも 国内アーティストによる― 1103 01:09:10,943 --> 01:09:13,569 最も売れたアルバムよ 1104 01:09:15,072 --> 01:09:18,200 おびえて暮らす気もない 1105 01:09:32,256 --> 01:09:33,631 ダンケシェーン! 1106 01:09:33,881 --> 01:09:36,385 いい夜を! みんな ありがとう 1107 01:09:37,970 --> 01:09:43,559 ジョンが最高のアルバムで カムバックを遂げたことは 1108 01:09:43,684 --> 01:09:46,019 皆にとって刺激になる 1109 01:09:51,567 --> 01:09:54,278 {\an1}〝ユ︱・ア︱・ザ・ ヴォイス〟を聴いて 1110 01:09:53,359 --> 01:09:57,698 {\an7}ダリル・ブレイスウェイト 1111 01:09:54,403 --> 01:09:56,655 {\an1}大いに刺激されたよ 1112 01:09:56,822 --> 01:09:59,950 {\an1}その頃 僕は 道路作業員をしながら 1113 01:10:00,075 --> 01:10:02,744 アルバム用の曲を集めてた 1114 01:10:02,870 --> 01:10:07,082 人生への愛は 強くなるばかり 1115 01:10:07,207 --> 01:10:10,669 時が経つにつれて 1116 01:10:12,171 --> 01:10:14,715 ジョンの成功というより― 1117 01:10:14,840 --> 01:10:19,720 すばらしい音楽を やってることに感動した 1118 01:10:20,179 --> 01:10:22,681 彼の曲を聴いて― 1119 01:10:22,806 --> 01:10:26,852 感化されずには いられなかった 1120 01:10:27,561 --> 01:10:29,980 うまくいかないこともある 1121 01:10:30,731 --> 01:10:32,983 昔のようには・・・ 1122 01:10:33,775 --> 01:10:36,820 僕のキャリアを 後押ししてくれた 1123 01:10:39,072 --> 01:10:41,617 僕は早速 行動に移し― 1124 01:10:41,742 --> 01:10:46,205 ジョンにアルバムに 参加してもらった 1125 01:10:46,330 --> 01:10:49,208 時が経つにつれて 1126 01:10:49,333 --> 01:10:51,835 君に少し近づいていく 1127 01:10:52,127 --> 01:10:53,462 僕にとっては― 1128 01:10:53,587 --> 01:10:57,966 ジョンが復帰への 大きな支えになった 1129 01:11:02,054 --> 01:11:04,056 感謝するよ ジョン 1130 01:11:04,306 --> 01:11:08,143 僕は君のもとへ戻るよ 1131 01:11:18,070 --> 01:11:22,658 僕は まだ十分に 認められてないと感じてた 1132 01:11:23,700 --> 01:11:25,994 “セイディ”のヒットは― 1133 01:11:26,119 --> 01:11:29,456 配管の仕事を 辞めてすぐだった 1134 01:11:29,581 --> 01:11:34,586 僕らは生まれた日から レールの上を歩いてる 1135 01:11:34,711 --> 01:11:37,673 苦労もなく 手にした成功だった 1136 01:11:37,965 --> 01:11:40,676 時に それはいいものだ 1137 01:11:40,801 --> 01:11:43,804 必死に努力してる 今のほうがいい 1138 01:11:45,722 --> 01:11:48,475 後ろを振り返ると― 1139 01:11:49,226 --> 01:11:51,478 波が押し寄せてる 1140 01:11:53,981 --> 01:11:55,941 それが僕らを― 1141 01:11:56,567 --> 01:11:59,361 新しい時代へ運ぶ 1142 01:12:02,114 --> 01:12:05,909 周りの世界は どうなってる? 1143 01:12:09,246 --> 01:12:13,041 以前は曲探しに 奔走してたけど― 1144 01:12:13,166 --> 01:12:15,878 「ウィスパリング・ ジャック」以降は一変 1145 01:12:19,756 --> 01:12:23,051 最高の曲が舞い込んできた 1146 01:12:23,177 --> 01:12:25,470 でも選ぶのはジョン 1147 01:12:25,971 --> 01:12:28,974 君はどう思う? 1148 01:12:29,641 --> 01:12:31,977 理性の時代を 1149 01:12:32,102 --> 01:12:34,813 キーボードは D・ハーシュフェルダー! 1150 01:12:35,397 --> 01:12:41,153 今の僕にとって幸運なのは 最高のチームがいることだ 1151 01:12:47,159 --> 01:12:51,205 {\an7}新作﹁エイジ・オヴ・ リ︱ズン﹂も名盤で︱ 1152 01:12:51,330 --> 01:12:54,208 {\an7}国内で 初登場1位を記録 1153 01:12:54,958 --> 01:12:59,379 2枚連続のヒットで 一発屋ではないと証明した 1154 01:13:09,723 --> 01:13:11,767 初期の頃 ジョンは― 1155 01:13:11,892 --> 01:13:15,896 プロデューサーが選び オケりした曲を― 1156 01:13:16,021 --> 01:13:17,773 歌うだけだった 1157 01:13:18,106 --> 01:13:21,193 だから やってることが 全然違う 1158 01:13:21,318 --> 01:13:23,612 3枚目では曲も書いた 1159 01:13:23,737 --> 01:13:27,991 今夜 僕は トラブルを起こした 1160 01:13:28,700 --> 01:13:31,954 たぶん気がめいってたんだ 1161 01:13:34,206 --> 01:13:36,416 “バーン・フォー・ユー”を 聴いて― 1162 01:13:36,542 --> 01:13:39,002 “腕を上げたな”と驚いた 1163 01:13:39,253 --> 01:13:42,005 彼は自ら進化していく 1164 01:13:45,259 --> 01:13:48,178 “バーン・フォー・ユー”は すごくいい曲ね 1165 01:13:48,637 --> 01:13:51,265 曲のバックストーリーも 知ってる 1166 01:13:52,724 --> 01:13:56,228 実際に ある夜 トラブルが起きた 1167 01:13:56,353 --> 01:13:59,565 深刻なトラブルでは ないけどね 1168 01:13:59,690 --> 01:14:03,026 これは どん底から 抜け出す曲よ 1169 01:14:03,151 --> 01:14:06,488 いつも君は孤独みたいだ 1170 01:14:06,613 --> 01:14:11,076 僕が依存症だと ジョンに打ち明けた時― 1171 01:14:11,201 --> 01:14:16,331 {\an7}彼はなぜ黙ってたのかと ショックを受けた 1172 01:14:13,078 --> 01:14:17,332 {\an1}トミ︱・エマニュエル 1173 01:14:16,707 --> 01:14:20,836 {\an7}それでも優しく 手を差し伸べてくれた 1174 01:14:20,961 --> 01:14:24,381 “この問題を 何とかしよう”とね 1175 01:14:24,506 --> 01:14:28,802 君が欲しくてたまらない 1176 01:14:29,720 --> 01:14:33,765 僕はどうすればいい? 1177 01:14:36,018 --> 01:14:37,102 胸が苦しいよ 1178 01:14:37,227 --> 01:14:42,649 この頃には ジョンは 自信を持って曲を書き― 1179 01:14:42,774 --> 01:14:46,320 それを自ら 歌うようになってた 1180 01:14:47,112 --> 01:14:50,824 {\an7}ア︱ティストが 自分で曲を書き︱ 1181 01:14:48,405 --> 01:14:52,492 {\an1}オリビア・ ニュ︱トン・ジョン 1182 01:14:50,949 --> 01:14:55,954 {\an7}歌えるようになったのは 重要な変化だった 1183 01:14:56,079 --> 01:15:00,834 欲しくてたまらないんだ 1184 01:15:04,087 --> 01:15:06,757 君が・・・ 1185 01:15:14,515 --> 01:15:17,100 彼は“セイディ”の リクエストを― 1186 01:15:17,309 --> 01:15:18,602 {\an7}長年 拒んでた 1187 01:15:17,726 --> 01:15:18,602 {\an1}デヴィッド・ ハ︱シュフェルダ︱ 1188 01:15:18,727 --> 01:15:19,603 やめろ! 1189 01:15:20,562 --> 01:15:21,480 イヤだ! 1190 01:15:21,939 --> 01:15:24,858 でも時が経ち 歌えるように 1191 01:15:24,983 --> 01:15:28,320 分かった 歌うよ 誰にも言うな 1192 01:15:28,445 --> 01:15:32,616 僕がアレンジした オーケストラの伴奏で― 1193 01:15:32,741 --> 01:15:34,743 “セイディ”をやらせた 1194 01:15:34,952 --> 01:15:38,830 セイディ 掃除係のレディ 1195 01:15:38,956 --> 01:15:40,541 僕らはウクレレ隊だ 1196 01:15:40,749 --> 01:15:43,335 ブラシとバケツが 彼女の頼り 1197 01:15:43,460 --> 01:15:45,212 信じられない 1198 01:15:45,420 --> 01:15:51,093 あくせく働くよ 自分の生活のために 1199 01:15:51,218 --> 01:15:55,097 自信と温かみを感じる 歌い方だった 1200 01:15:55,264 --> 01:15:56,265 歌って! 1201 01:15:56,431 --> 01:15:58,183 セイディ 1202 01:15:59,101 --> 01:16:02,396 あの時 僕が目にしたジョンは― 1203 01:16:02,771 --> 01:16:05,023 完全に吹っ切れてた 1204 01:16:08,360 --> 01:16:11,905 僕は自分を どう見せるつもりもない 1205 01:16:12,322 --> 01:16:16,326 人がどう評価しようと 僕は僕なんだ 1206 01:16:19,496 --> 01:16:22,958 この時期は すばらしかったわ 1207 01:16:24,585 --> 01:16:28,046 ジョンは あらゆるレベルで輝いてた 1208 01:16:30,716 --> 01:16:34,678 グレンとジョンの絆は 伝説的だ 1209 01:16:34,803 --> 01:16:38,098 あんな友情は他にはないよ 1210 01:16:38,223 --> 01:16:44,146 本当に善良で誠実で 思いやりのある人たちは 1211 01:16:44,688 --> 01:16:50,068 {\an7}この業界に それほど 多くいるわけじゃない 1212 01:16:45,814 --> 01:16:50,068 {\an1}リチャ︱ド・マ︱クス 1213 01:16:50,527 --> 01:16:53,697 だから いい人は 際立って見える 1214 01:16:54,364 --> 01:16:57,242 2人で1人のようだった 1215 01:16:57,492 --> 01:17:01,955 ライブの時もグレンは ステージの脇にいた 1216 01:17:02,456 --> 01:17:05,167 僕らは兄弟同然の仲だ 1217 01:17:05,292 --> 01:17:07,920 家族ぐるみの付き合いだ 1218 01:17:08,045 --> 01:17:11,924 契約も交わしてない 必要がなくてね 1219 01:17:12,049 --> 01:17:14,968 グレンはジョンを助け 助けられもした 1220 01:17:15,219 --> 01:17:17,346 何度となくね 1221 01:17:19,181 --> 01:17:22,893 多くの苦楽を共にしてきた 1222 01:17:23,018 --> 01:17:27,064 スポーツマネジメントに 携わったり― 1223 01:17:27,356 --> 01:17:30,651 ウィートリー社が 株式上場したりした 1224 01:17:30,776 --> 01:17:33,237 チョーク係を頼めるか? 1225 01:17:33,820 --> 01:17:35,948 ああ チョークは使える 1226 01:17:36,073 --> 01:17:38,075 でも何を書けば? 1227 01:17:38,242 --> 01:17:39,451 株式市場へは? 1228 01:17:39,576 --> 01:17:40,118 一度も 1229 01:17:40,244 --> 01:17:43,330 ロックのコンサートより 物騒な所だ 1230 01:17:44,414 --> 01:17:48,168 国内初の民間FM局も 立ち上げた 1231 01:17:48,293 --> 01:17:53,632 それで思い上がってしまった “自分は無敵だ”とね 1232 01:17:56,176 --> 01:17:58,470 {\an1}グレンが 脱税に関わった 1233 01:17:57,511 --> 01:18:01,515 {\an7}ブレット・ガ︱スド 1234 01:17:58,595 --> 01:18:01,515 {\an1}彼の額を上回る 容疑者もいた 1235 01:18:01,640 --> 01:18:05,310 国の脱税摘発作戦で 初の有罪判決です 1236 01:18:05,435 --> 01:18:09,565 税務当局は グレンを見せしめにした 1237 01:18:09,690 --> 01:18:12,359 刑期は最短で15か月 1238 01:18:12,526 --> 01:18:14,903 32万ドルの税金逃れです 1239 01:18:15,237 --> 01:18:20,367 結局 10か月服役し 5か月は自宅拘束処分に 1240 01:18:20,826 --> 01:18:22,786 税金は すべて払った 1241 01:18:22,911 --> 01:18:25,038 夫は仕事に復帰し― 1242 01:18:25,163 --> 01:18:28,876 時間をかけて 信頼を取り戻します 1243 01:18:29,001 --> 01:18:31,670 私も その手伝いをします 1244 01:18:31,837 --> 01:18:37,551 グレンの収監で多くの友人が 戸惑っていたけど― 1245 01:18:37,676 --> 01:18:39,720 ジョンはブレなかった 1246 01:18:40,262 --> 01:18:44,391 {\an1}大勢が離れていっても おかしくなかった 1247 01:18:42,306 --> 01:18:46,602 {\an7}ポ︱ル・デインティ 1248 01:18:44,516 --> 01:18:47,060 {\an1}この業界では特にね 1249 01:18:47,186 --> 01:18:48,437 でもジョンは違う 1250 01:18:50,564 --> 01:18:52,024 彼は忠実だ 1251 01:18:52,149 --> 01:18:56,528 もちろんグレンを 見捨てる気はなかった 1252 01:18:56,653 --> 01:18:59,865 逆の立場なら 助けてくれただろう 1253 01:19:00,073 --> 01:19:02,576 彼は友人で 家族同然だ 1254 01:19:04,369 --> 01:19:07,289 ジョンは “恩返しだ”と言った 1255 01:19:09,333 --> 01:19:13,879 “僕が困ってた時 金を工面し 助けてくれた” 1256 01:19:14,379 --> 01:19:16,048 “アルバムも出せた” 1257 01:19:17,090 --> 01:19:19,510 “その恩を返すだけだ”と 1258 01:19:21,762 --> 01:19:26,517 “与えたものは返ってくる” 僕はそう信じてる 1259 01:19:30,562 --> 01:19:34,274 戦いが終わったら― 1260 01:19:35,150 --> 01:19:37,653 あの町を離れよう 1261 01:19:40,239 --> 01:19:43,450 グレンが戻り 僕らは再スタートした 1262 01:19:43,575 --> 01:19:49,206 いつも互いの肩を借り 支え合ってた僕たち 1263 01:19:49,498 --> 01:19:51,667 まだ若いのに― 1264 01:19:51,792 --> 01:19:55,629 なぜだか ずっと大人びてた 1265 01:19:56,505 --> 01:19:59,299 あの町に戻ったら― 1266 01:19:59,424 --> 01:20:02,177 僕は打ちのめされるだろう 1267 01:20:09,101 --> 01:20:12,688 この気持ちは 誰にも― 1268 01:20:12,813 --> 01:20:16,775 盗めやしない 1269 01:20:18,527 --> 01:20:20,612 僕はジョンのファンだ 1270 01:20:20,737 --> 01:20:23,824 一緒に歌えないかと 聞いたら― 1271 01:20:23,949 --> 01:20:25,951 快諾してくれたよ 1272 01:20:27,578 --> 01:20:31,456 才能ある人たちと コラボできたのは幸いだ 1273 01:20:33,584 --> 01:20:36,753 戦いが終わったら― 1274 01:20:38,046 --> 01:20:40,674 また やり直そう 1275 01:20:40,924 --> 01:20:44,428 長い間 ずっと ライブをやってきた 1276 01:20:45,762 --> 01:20:46,889 ひどいライブも― 1277 01:20:49,141 --> 01:20:52,144 最高のライブも 全部 経験した 1278 01:20:58,066 --> 01:21:03,739 お互いの物語を書いて 贈り合った僕たち 1279 01:21:04,114 --> 01:21:06,742 1ページの思い出 1280 01:21:06,867 --> 01:21:09,870 その輝きの中で 迷子になる 1281 01:21:10,162 --> 01:21:12,831 あの町に戻ったら― 1282 01:21:12,956 --> 01:21:16,877 僕は打ちのめされるだろう 1283 01:21:17,127 --> 01:21:21,173 彼には強い魂がある 決して屈しない 1284 01:21:21,381 --> 01:21:23,926 観客に最高の時を届け― 1285 01:21:24,259 --> 01:21:26,428 あとは進み続ける 1286 01:21:26,762 --> 01:21:29,264 絶対に! 1287 01:21:31,225 --> 01:21:35,395 ステージに立ち 人々を沸かせる喜びは 1288 01:21:35,562 --> 01:21:37,731 語り尽くせない 1289 01:21:38,232 --> 01:21:42,194 彼は今でも 誰も来ないことを恐れてる 1290 01:21:43,070 --> 01:21:47,366 観客が家族や 友人だけだった時代を― 1291 01:21:47,491 --> 01:21:49,576 覚えてるからよ 1292 01:21:50,077 --> 01:21:53,497 グレンは いつも彼に こう言ってた 1293 01:21:53,622 --> 01:21:55,374 “必ず満席にする” 1294 01:21:55,916 --> 01:22:00,754 どの公演も完売するよう 情熱を傾けてたわ 1295 01:22:03,090 --> 01:22:07,845 パンデミック前にやってた 野外ライブでは― 1296 01:22:07,970 --> 01:22:10,514 若者も とりこにした 1297 01:22:11,765 --> 01:22:15,936 会場を大いに沸かせ 美声を響かせてたよ 1298 01:22:29,908 --> 01:22:31,577 ギターはブレット 1299 01:22:38,458 --> 01:22:40,419 愛する人に― 1300 01:22:41,670 --> 01:22:45,382 何かが起きた時・・・ 1301 01:22:47,301 --> 01:22:51,305 オリビアとジョンは お互いを慕ってた 1302 01:22:52,347 --> 01:22:55,517 2人が一緒に戯れる姿は― 1303 01:22:55,934 --> 01:23:00,022 見ていて楽しかったし 愛らしかったわ 1304 01:23:00,147 --> 01:23:03,483 僕らは多くを 乗り越えてきた 1305 01:23:03,859 --> 01:23:04,860 一緒に・・・ 1306 01:23:04,985 --> 01:23:10,282 多くの歌手と仕事をしたけど 一番好きな歌手よ 1307 01:23:10,407 --> 01:23:13,452 2人で1人だった 1308 01:23:13,577 --> 01:23:15,412 彼の声は最強でしょ? 1309 01:23:16,747 --> 01:23:19,374 あれが2人の 最後のステージに 1310 01:23:19,875 --> 01:23:22,377 思い出すと切なくなるよ 1311 01:23:22,503 --> 01:23:28,467 彼女の音楽を聴いて育った オーストラリアの皆さん 1312 01:23:28,592 --> 01:23:31,595 今夜 オリビア・ ニュートン・ジョンの死を― 1313 01:23:31,720 --> 01:23:33,972 世界中が悼んでいます 1314 01:23:34,097 --> 01:23:38,602 70~80年代を代表する 国民的歌手であり 1315 01:23:38,727 --> 01:23:43,023 長年ガンと闘い 啓発活動に努めていました 1316 01:23:43,148 --> 01:23:47,736 ジルが言うには ジョンは泣きじゃくった 1317 01:23:47,861 --> 01:23:49,947 気持ちは分かるわ 1318 01:23:50,072 --> 01:23:53,116 相当 ショックだったと思う 1319 01:23:53,742 --> 01:23:55,786 彼女を慕ってたから 1320 01:23:57,079 --> 01:23:58,914 予期はしてた 1321 01:23:59,206 --> 01:24:03,043 亡くなる前に 彼女に連絡したの 1322 01:24:04,044 --> 01:24:06,255 彼女は明るい人で― 1323 01:24:06,964 --> 01:24:12,261 気丈なことを言って こちらを励ましてくれた 1324 01:24:12,386 --> 01:24:15,472 でも その1週間後に 逝ってしまった 1325 01:24:16,056 --> 01:24:22,145 本当に心の温かい ステキな女性だったわ 1326 01:24:27,484 --> 01:24:32,072 グレンがコロナ感染で 集中治療室にいた時 1327 01:24:32,197 --> 01:24:35,909 看護師さんが 私に説明し始めたの 1328 01:24:36,034 --> 01:24:41,164 退院後の後遺症や 体へのダメージについてね 1329 01:24:41,415 --> 01:24:45,669 その時 私はこう思ってた “なぜこんな話を?” 1330 01:24:45,794 --> 01:24:49,173 “グレンは コロナに負けたりしない” 1331 01:24:49,298 --> 01:24:51,383 “元気になる”って 1332 01:24:51,508 --> 01:24:55,345 今 思えば 心の準備をさせてたのね 1333 01:24:55,470 --> 01:24:58,640 私は聞く耳を持たなかった 1334 01:24:58,765 --> 01:25:02,769 音楽界がG・ウィートリー氏の 死を悼んでいます 1335 01:25:02,895 --> 01:25:06,732 昨日 コロナ感染による 合併症により 1336 01:25:06,857 --> 01:25:09,151 74歳で亡くなりました 1337 01:25:09,526 --> 01:25:13,614 ウィートリー氏の急逝を受け “ザ・ヴォイス”こと― 1338 01:25:13,739 --> 01:25:18,827 ジョン・ファーナム氏が 友人らに訃報を伝えています 1339 01:25:18,952 --> 01:25:23,290 {\an1}父はしばらく現実を 受け止められなかった 1340 01:25:19,494 --> 01:25:22,414 {\an7}息子 音響エンジニア ジェ︱ムズ・ファ︱ナム 1341 01:25:23,415 --> 01:25:26,752 親友を失ったんだから当然だ 1342 01:25:28,545 --> 01:25:30,547 今でも心が苦しい 1343 01:25:30,923 --> 01:25:34,426 グレンとは 本当に親しかったから 1344 01:25:35,260 --> 01:25:38,680 こんなことになって残念だ 1345 01:25:44,603 --> 01:25:49,107 グレンはジョンを とてもよく支えたわ 1346 01:25:49,441 --> 01:25:51,860 兄弟みたいだった 1347 01:25:52,653 --> 01:25:53,612 ごめん 1348 01:25:55,531 --> 01:25:57,533 傷は癒えないだろう 1349 01:25:57,824 --> 01:26:00,702 悲しいけど それが本当の愛だ 1350 01:26:00,827 --> 01:26:05,040 グレンが亡くなる前 ジョンに電話して― 1351 01:26:05,165 --> 01:26:08,418 携帯をグレンの耳に当てた 1352 01:26:08,961 --> 01:26:12,965 彼が最期に ジョンの声を聞けて― 1353 01:26:13,674 --> 01:26:17,594 本当によかったと 思ってるわ 1354 01:26:18,929 --> 01:26:22,266 今なら言える 彼はレジェンドだ 1355 01:26:22,766 --> 01:26:27,396 本人は嫌がるだろうが 実際にそうだ 1356 01:26:30,983 --> 01:26:35,404 ジョンの歌手人生は 山あり谷ありだ 1357 01:26:35,529 --> 01:26:40,826 困難をくぐり抜けて 再び成功を手に入れた 1358 01:26:40,993 --> 01:26:43,370 だから人々に愛される 1359 01:26:44,788 --> 01:26:46,206 武勇伝だよ 1360 01:26:50,335 --> 01:26:55,465 フラミンゴが歩き 穏やかに体を揺らす 1361 01:26:57,050 --> 01:27:00,345 それを見てると 悩みを忘れる 1362 01:27:00,470 --> 01:27:05,184 父のようなキャリアを持つ アーティストは少ない 1363 01:27:05,475 --> 01:27:07,853 ピンクの傷を残して・・・ 1364 01:27:07,978 --> 01:27:12,316 私は幸運よ グレンとジョンの物語や― 1365 01:27:12,441 --> 01:27:17,446 ジョンの歌を最前列の席で 見てきたんだもの 1366 01:27:17,571 --> 01:27:22,409 僕はただ 君の瞳をのぞき込む 1367 01:27:23,327 --> 01:27:28,832 ジョンはバンドもクルーも ファンもみんな招き入れ 1368 01:27:28,957 --> 01:27:33,045 {\an1}全員に最前列の席を 用意してくれた 1369 01:27:30,709 --> 01:27:33,045 {\an7}マネジャ︱ ゲイナ︱・ウィ︱トリ︱ 1370 01:27:33,170 --> 01:27:34,838 パラダイス 1371 01:27:36,590 --> 01:27:42,179 あの特別な パラダイスを求めて 1372 01:27:42,846 --> 01:27:46,475 君は僕の手を取り キスをする 1373 01:27:46,600 --> 01:27:48,894 音楽は偉大なものよ 1374 01:27:49,019 --> 01:27:51,480 僕は すぐに理解する 1375 01:27:51,605 --> 01:27:54,107 {\an7}誰かの心に直接 響くの 1376 01:27:52,147 --> 01:27:54,441 {\an1}オリビア・ ニュ︱トン・ジョン 1377 01:27:55,317 --> 01:27:56,318 歌声がね 1378 01:27:56,443 --> 01:27:59,112 この大地に広がる愛 1379 01:27:59,238 --> 01:28:01,698 人を癒やし 助け― 1380 01:28:02,783 --> 01:28:04,660 多くの人に届く 1381 01:28:04,785 --> 01:28:07,120 砂の上を歩く 1382 01:28:07,246 --> 01:28:10,040 ジョンと歌えたことは光栄よ 1383 01:28:13,085 --> 01:28:16,755 73歳のレジェンド歌手が 2週間前― 1384 01:28:16,880 --> 01:28:19,174 ガンと診断され・・・ 1385 01:28:18,298 --> 01:28:21,718 {\an7}〝手術と治療のため入院〟 1386 01:28:19,299 --> 01:28:23,679 “ザ・ヴォイス”が 口腔ガンだなんて皮肉だ 1387 01:28:23,887 --> 01:28:25,973 残酷すぎるよ 1388 01:28:26,098 --> 01:28:28,267 アルバニージー首相も自ら― 1389 01:28:28,392 --> 01:28:34,022 国はファーナムさん一家と 共にあるとコメントしました 1390 01:28:34,231 --> 01:28:37,985 幸い ジョンは 自分の“声”を見つけた 1391 01:28:38,110 --> 01:28:41,071 彼が歌っても歌わなくても― 1392 01:28:41,196 --> 01:28:45,450 彼の音楽は永遠に 私たちと共にあるの 1393 01:28:45,576 --> 01:28:48,662 僕らは見つめ合う 1394 01:28:49,288 --> 01:28:52,249 父は望みを全部かなえたよ 1395 01:28:52,958 --> 01:28:56,879 山の頂上まで登って 旗を立てた 1396 01:28:58,213 --> 01:29:01,550 感動に震え 歩き去る 1397 01:29:01,800 --> 01:29:07,055 彼の歌声は人々の記憶に残り 聴き継がれていく 1398 01:29:07,181 --> 01:29:09,725 “グレン・ ウィートリーの部屋” 1399 01:29:09,850 --> 01:29:13,729 音楽は人々の人生に 影響を与える 1400 01:29:11,059 --> 01:29:18,275 {\an7}〝チャンスをくれて ありがとう ジョン〟 1401 01:29:14,646 --> 01:29:18,275 僕自身の人生にも 影響を与えた 1402 01:29:18,650 --> 01:29:22,779 皆も影響を 受けてくれたなら光栄だ 1403 01:29:22,905 --> 01:29:27,117 僕はただ 君の瞳をのぞき込む 1404 01:29:28,493 --> 01:29:33,040 {\an7}あの特別な パラダイスを求めて 1405 01:29:31,830 --> 01:29:35,501 {\an1}〝ウィスパリング・ ジャック〟 1406 01:29:33,165 --> 01:29:35,501 {\an7}いとしい人よ 1407 01:29:35,626 --> 01:29:37,836 {\an1}〝国内でトップ!〟 1408 01:29:41,673 --> 01:29:46,094 それは特別なパラダイス 1409 01:29:46,220 --> 01:29:48,180 見せてよ 1410 01:29:48,305 --> 01:29:53,060 僕らだけのパラダイス 1411 01:29:54,853 --> 01:29:59,525 それは特別なパラダイス 1412 01:30:01,443 --> 01:30:06,114 僕らだけのパラダイス 1413 01:30:18,210 --> 01:30:22,214 どうか僕に見せて! 1414 01:30:36,895 --> 01:30:42,317 グレン・ウィートリーをしのんで (1948年~2022年) 1415 01:30:39,898 --> 01:30:41,358 {\an7}ありがとう 1416 01:30:42,442 --> 01:30:44,111 いい曲だね 1417 01:34:27,960 --> 01:34:30,963 日本語字幕 西田 有里