1 00:00:10,043 --> 00:00:11,876 1 2 3 4… 2 00:00:16,626 --> 00:00:21,251 1993年頃 ハリウッドの 大手スタジオから私に 3 00:00:21,334 --> 00:00:25,793 会いたいという手紙が 何度も届いた 4 00:00:25,876 --> 00:00:31,293 私のような者に会う理由が 分からず 冗談かと思ってた 5 00:00:33,376 --> 00:00:39,209 アメリカ人で弁護士の友人に このことを話したら 6 00:00:39,709 --> 00:00:43,126 会うだけ会ってみろと 言われた 7 00:00:43,209 --> 00:00:47,001 それでアメリカのワーナー・ ブラザースを訪ねた 8 00:00:47,584 --> 00:00:50,084 そこの重役は2時間も 9 00:00:50,168 --> 00:00:54,251 私に話をさせてくれなかった 10 00:00:54,334 --> 00:00:59,001 インドの映画産業の内実を 一方的に話し続けた 11 00:01:00,209 --> 00:01:04,376 映画の製作方法や 資金繰りの事情 12 00:01:04,459 --> 00:01:09,543 商慣習や物語の特徴 俳優など すべて把握してた 13 00:01:10,501 --> 00:01:15,418 私はショックを受け 友人にこのことを話すと 14 00:01:16,001 --> 00:01:21,959 彼は“早く帰国した方がいい アメリカ人が来る”と言った 15 00:01:23,293 --> 00:01:26,293 NETFLIX ドキュメンタリーシリーズ 16 00:01:54,126 --> 00:01:57,334 パート4 “遺産” 17 00:01:57,418 --> 00:01:59,084 ボリウッドという言葉は? 18 00:02:00,543 --> 00:02:03,751 ずっと好きじゃなかった 19 00:02:03,834 --> 00:02:05,251 どんな印象? 20 00:02:08,251 --> 00:02:09,918 呼び方としてどう? 21 00:02:10,001 --> 00:02:10,918 よくない 22 00:02:11,001 --> 00:02:11,876 嫌いだ 23 00:02:11,959 --> 00:02:13,876 好きじゃないな 24 00:02:14,376 --> 00:02:17,876 Bはムンバイの旧称 ボンベイから来てる 25 00:02:17,959 --> 00:02:20,251 ハリウッドをもじってる 26 00:02:20,334 --> 00:02:26,084 ヒンディー語以外の映画が 含まれてないのが問題だ 27 00:02:26,168 --> 00:02:29,668 ベンガル語にタミル語 テルグ語… 28 00:02:29,751 --> 00:02:33,043 ボリウッドの由来を知れば 29 00:02:33,126 --> 00:02:36,834 ほとんどの映画人が 嫌がるのも分かる 30 00:02:36,918 --> 00:02:40,001 我々はハリウッドの 二流版だと 31 00:02:40,084 --> 00:02:42,668 書かれたことが由来だ 32 00:02:42,751 --> 00:02:44,626 侮辱的かって? 33 00:02:45,626 --> 00:02:49,084 最初は嫌いだったけど 気づいたんだ 34 00:02:49,168 --> 00:02:53,959 初めは侮辱的な意味だった 言葉が定着する例も多い 35 00:02:54,043 --> 00:02:58,084 例えば“印象派”も 初めは蔑称だった 36 00:02:58,168 --> 00:03:01,918 私は気にしないけど 嫌がる業界人は多い 37 00:03:02,001 --> 00:03:05,584 特にバッチャン氏の前では 使わない 38 00:03:06,626 --> 00:03:10,543 僕はいつも ヒンディー映画産業と言う 39 00:03:10,626 --> 00:03:15,084 ボリウッドも頭に浮かぶが 言いたくない 40 00:03:15,168 --> 00:03:20,126 ヒンディー映画と言う方が ロマンチックに感じる 41 00:03:20,209 --> 00:03:22,459 皆 最初は抵抗した 42 00:03:22,543 --> 00:03:26,251 僕らはインド映画界の 一員だからね 43 00:03:26,334 --> 00:03:30,543 でもボリウッドと言えば すぐにインド映画だと 44 00:03:30,626 --> 00:03:32,959 分かってくれて楽だ 45 00:03:34,168 --> 00:03:38,126 インド映画には歌と踊りが つきものという 46 00:03:38,209 --> 00:03:40,293 ステレオタイプがある 47 00:03:40,376 --> 00:03:45,001 ボリウッドと呼ばれ始めた頃 実際にそうだった 48 00:03:45,084 --> 00:03:47,709 “ボリウッドっぽい”が 流行語だ 49 00:03:47,793 --> 00:03:49,959 だが急速に変化してる 50 00:03:50,043 --> 00:03:52,126 歌とダンスは私たちが 51 00:03:52,209 --> 00:03:56,709 独自に育んできた文化だから 大切にしたい 52 00:03:56,793 --> 00:03:59,168 でもそれだけじゃない 53 00:03:59,251 --> 00:04:04,001 新しいインドを 描いてる映画も多いし 54 00:04:04,084 --> 00:04:07,959 それが世界の観客の 心をつかんでる 55 00:04:31,293 --> 00:04:35,834 海外へ行くと よくボリウッドと言われる 56 00:04:37,251 --> 00:04:41,043 国内イベントには 外国メディアも大勢来る 57 00:04:41,126 --> 00:04:43,001 私はインド版 ワーナー・ブラザースの 58 00:04:43,001 --> 00:04:44,376 私はインド版 ワーナー・ブラザースの 元ヤシュ(Y)・ラージ(R)・ フィルムズ(F) CEO 59 00:04:44,376 --> 00:04:44,459 元ヤシュ(Y)・ラージ(R)・ フィルムズ(F) CEO 60 00:04:44,459 --> 00:04:45,418 元ヤシュ(Y)・ラージ(R)・ フィルムズ(F) CEO CEOだと紹介された 61 00:04:45,418 --> 00:04:45,501 CEOだと紹介された 62 00:04:45,501 --> 00:04:46,793 CEOだと紹介された サンジーヴ・コーリー 63 00:04:46,793 --> 00:04:46,876 サンジーヴ・コーリー 64 00:04:46,876 --> 00:04:47,251 サンジーヴ・コーリー YRFはそんな風に 言われるほど発展してた 65 00:04:47,251 --> 00:04:52,084 YRFはそんな風に 言われるほど発展してた 66 00:04:52,168 --> 00:04:57,168 そこに海外メジャーも チャンスを見いだしたんだ 67 00:05:01,751 --> 00:05:03,918 大手が次々進出してきた 68 00:05:04,001 --> 00:05:08,209 ソニー・ピクチャーズが ハリウッドの大手で初めて 69 00:05:08,293 --> 00:05:10,334 ヒンディー映画を作った 70 00:05:10,418 --> 00:05:10,751 「チャンドニー・チョーク・ トゥ・チャイナ」は 71 00:05:10,751 --> 00:05:13,043 「チャンドニー・チョーク・ トゥ・チャイナ」は “ボリウッド・ カンフー” 72 00:05:13,126 --> 00:05:13,834 ワーナーが製作した 73 00:05:13,834 --> 00:05:15,126 ワーナーが製作した 映画ジャーナリスト アヌーパマ・ チョープラ 74 00:05:15,126 --> 00:05:15,209 映画ジャーナリスト アヌーパマ・ チョープラ 75 00:05:15,209 --> 00:05:18,043 映画ジャーナリスト アヌーパマ・ チョープラ ひどい脚本だったけど 本気で参戦してきた 76 00:05:18,043 --> 00:05:19,918 ひどい脚本だったけど 本気で参戦してきた 77 00:05:22,709 --> 00:05:25,209 「スラムドッグ$ ミリオネア」の 78 00:05:25,293 --> 00:05:25,418 プレミアを覚えてる 79 00:05:25,418 --> 00:05:27,293 プレミアを覚えてる 俳優 アニル・カプール 80 00:05:27,293 --> 00:05:27,376 俳優 アニル・カプール 81 00:05:27,376 --> 00:05:29,251 俳優 アニル・カプール カードにこんな言葉が 82 00:05:29,251 --> 00:05:29,334 俳優 アニル・カプール 83 00:05:29,334 --> 00:05:30,084 俳優 アニル・カプール “アニル・カプールと フォックスの招待状” 84 00:05:30,084 --> 00:05:32,918 “アニル・カプールと フォックスの招待状” 85 00:05:33,543 --> 00:05:35,918 大手はどんどん入ってきた 86 00:05:36,418 --> 00:05:38,418 20世紀フォックスの名を 聞いた時は興奮した 87 00:05:38,418 --> 00:05:40,459 20世紀フォックスの名を 聞いた時は興奮した 俳優 サイーフ・アリー・ カーン 88 00:05:40,459 --> 00:05:40,543 俳優 サイーフ・アリー・ カーン 89 00:05:40,543 --> 00:05:41,709 俳優 サイーフ・アリー・ カーン 皆 彼らの旗の下で 映画を作りたがってたが 90 00:05:41,709 --> 00:05:44,918 皆 彼らの旗の下で 映画を作りたがってたが 91 00:05:45,001 --> 00:05:48,126 そのリスクには 気づいてなかった 92 00:05:48,751 --> 00:05:48,834 俳優や作り手 企画に 大金が注がれる代わりに 93 00:05:48,834 --> 00:05:52,709 俳優や作り手 企画に 大金が注がれる代わりに 監督/プロデューサー カラン・ジョーハル 94 00:05:52,709 --> 00:05:53,543 俳優や作り手 企画に 大金が注がれる代わりに 95 00:05:53,626 --> 00:05:59,126 すべてが彼らのやり方で コントロールされてた 96 00:05:59,209 --> 00:06:01,709 アディティヤは苦悩していた 97 00:06:02,251 --> 00:06:06,834 大手各社はYRFに近づき 提携を持ちかけた 98 00:06:06,918 --> 00:06:11,626 アディは簡単には応じない 乗っ取られるからだ 99 00:06:11,709 --> 00:06:15,043 映画の作り方を 指示されたくない 100 00:06:15,126 --> 00:06:19,709 大事なのは 誰が物語を伝えるかよ 101 00:06:19,793 --> 00:06:24,459 アディが譲れないのは インド人自身が物語を 102 00:06:24,543 --> 00:06:26,543 伝えることだった 103 00:06:30,834 --> 00:06:35,709 経済自由化後は多くの 多国籍企業が入ってきた 104 00:06:35,793 --> 00:06:39,459 多国籍企業はインドで 提携先を探し 105 00:06:39,543 --> 00:06:42,626 次々と契約を結んでいきます 106 00:06:42,709 --> 00:06:46,334 映画業界でも 同じ流れを予想した 107 00:06:46,959 --> 00:06:51,084 スタジオ方式が インドに入ってくるとね 108 00:06:52,418 --> 00:06:58,709 そうなれば YRFも含めて すべての製作会社は結局⸺ 109 00:06:58,793 --> 00:06:58,918 大手スタジオのために 働くことになる 110 00:06:58,918 --> 00:07:01,626 大手スタジオのために 働くことになる ヤシュ・ラージ・ フィルムズ 会長兼社長 111 00:07:01,626 --> 00:07:01,709 大手スタジオのために 働くことになる 112 00:07:01,709 --> 00:07:02,918 大手スタジオのために 働くことになる アディティヤ・ チョープラ 113 00:07:06,626 --> 00:07:12,168 父は古風だから“スタジオを 建てたいのか?”と聞いた 114 00:07:12,251 --> 00:07:17,043 僕は言った “建物だけを 作りたいんじゃない” 115 00:07:18,418 --> 00:07:21,584 配給も自分たち主導で やりたい 116 00:07:21,668 --> 00:07:26,168 海外勢が来る前に 自社をスタジオにしたかった 117 00:07:26,251 --> 00:07:30,834 彼らに買収対象ではなく 対等に見られるようにね 118 00:07:32,376 --> 00:07:36,293 映画製作プロセスの すべてを進化させ 119 00:07:36,376 --> 00:07:39,834 映画産業全体を 発展させたかった 120 00:07:43,626 --> 00:07:47,876 僕らはサーカス団のような 存在ではなく 121 00:07:47,959 --> 00:07:52,918 業界を牽引(けんいん)するリーダーだと 世間に見られたかった 122 00:07:58,959 --> 00:08:00,834 “スタジオを作ろう”と ヤシュが突然 言った 123 00:08:00,834 --> 00:08:03,418 “スタジオを作ろう”と ヤシュが突然 言った 元ヤシュ・ラージ・ フィルムズ 製作総指揮 124 00:08:03,501 --> 00:08:04,334 マヘン・ヴァキル 125 00:08:04,334 --> 00:08:05,084 マヘン・ヴァキル 採算が取れる見込みが 立たないと答えると 126 00:08:05,084 --> 00:08:09,584 採算が取れる見込みが 立たないと答えると 127 00:08:10,376 --> 00:08:15,043 どうしても作って アディに引き継ぎたいと言う 128 00:08:16,584 --> 00:08:20,043 初めてヤシュさんと アディから聞いた時 129 00:08:20,043 --> 00:08:21,168 初めてヤシュさんと アディから聞いた時 俳優 アーミル・カーン 130 00:08:21,168 --> 00:08:21,251 俳優 アーミル・カーン 131 00:08:21,251 --> 00:08:23,209 俳優 アーミル・カーン 耳を疑ったよ 132 00:08:23,293 --> 00:08:27,584 途方もないカネが かかると心配した 133 00:08:28,334 --> 00:08:31,918 採算が取れる 見込みはあるのか 134 00:08:32,001 --> 00:08:35,834 投資を回収する 保証さえなかったと思う 135 00:08:37,001 --> 00:08:41,334 自分のカネじゃないから 気にしなかった 136 00:08:41,418 --> 00:08:45,043 ヤシュに最高のものを 作れと言われてた 137 00:08:46,751 --> 00:08:51,418 僕が迷わなかったのは 例え失敗に終わっても 138 00:08:51,501 --> 00:08:56,793 父の名を冠したスタジオを 残すことはできるからだ 139 00:08:56,876 --> 00:09:01,459 少なくとも父の偉大な功績を 象徴する⸺ 140 00:09:02,251 --> 00:09:04,501 モニュメントを作った 141 00:09:06,543 --> 00:09:11,459 金銭に換算できないから いくら使ってもよかった 142 00:09:13,501 --> 00:09:18,959 まさに「フィールド・オブ・ ドリームス」のような発想だ 143 00:09:19,043 --> 00:09:19,126 作れば夢がかなう 144 00:09:19,126 --> 00:09:21,001 作れば夢がかなう 画家 M・F・フセイン 145 00:09:21,001 --> 00:09:21,459 画家 M・F・フセイン 146 00:09:26,543 --> 00:09:30,959 2005年 YRFスタジオ開業 147 00:09:31,668 --> 00:09:35,376 オープンを迎え 私たちは幸せだった 148 00:09:41,543 --> 00:09:46,334 2005年にスタジオの盛大な オープニングイベントを開き 149 00:09:46,418 --> 00:09:50,251 父の兄 BR・チョープラも 来てくれた 150 00:09:52,918 --> 00:09:57,376 完成したスタジオを 初めて見た人たちは 151 00:09:58,126 --> 00:10:00,793 皆一様に感嘆していた 152 00:10:00,876 --> 00:10:01,959 この施設ができた時の ことはよく覚えてる 153 00:10:01,959 --> 00:10:05,584 この施設ができた時の ことはよく覚えてる ヤシュ・ラージ・ フィルムズ CEO アクシャエ・ウィドハニ 154 00:10:05,668 --> 00:10:10,293 僕はスタジオの支配人で 訪問客の案内を務めた 155 00:10:10,376 --> 00:10:10,459 ようこそ 156 00:10:10,459 --> 00:10:11,334 ようこそ 俳優 ウィル・スミス 157 00:10:11,334 --> 00:10:11,418 俳優 ウィル・スミス 158 00:10:11,418 --> 00:10:12,251 俳優 ウィル・スミス やあ 159 00:10:12,251 --> 00:10:12,334 俳優 ウィル・スミス 160 00:10:12,334 --> 00:10:13,084 俳優 ウィル・スミス ハリウッドからインドを 訪れた有名人たちは 161 00:10:13,084 --> 00:10:17,126 ハリウッドからインドを 訪れた有名人たちは 162 00:10:17,209 --> 00:10:20,209 このスタジオを 見に来たがった 163 00:10:20,293 --> 00:10:21,834 施設を案内して回ると 皆 驚いてた 164 00:10:21,834 --> 00:10:24,168 施設を案内して回ると 皆 驚いてた ミュージシャン エイコン 165 00:10:24,168 --> 00:10:24,251 施設を案内して回ると 皆 驚いてた 166 00:10:24,334 --> 00:10:30,251 多くの人はLAの スタジオよりいいと感じてた 167 00:10:30,334 --> 00:10:34,209 すばらしいよ 見学できてよかった 168 00:10:37,293 --> 00:10:39,959 私はオープンに 運営したかった 169 00:10:40,043 --> 00:10:44,168 映画雑誌に 情報を載せたりしてね 170 00:10:44,251 --> 00:10:46,584 だがアディは反対した 171 00:10:47,543 --> 00:10:50,418 元々 彼のために 作られたものだ 172 00:10:59,251 --> 00:11:02,043 夢みたいに順調な 時期があった 173 00:11:02,043 --> 00:11:02,751 夢みたいに順調な 時期があった 174 00:11:02,043 --> 00:11:02,751 “勢いに乗るYRF” 175 00:11:02,751 --> 00:11:02,834 “勢いに乗るYRF” 176 00:11:02,834 --> 00:11:04,168 “勢いに乗るYRF” 177 00:11:02,834 --> 00:11:04,168 送り出す作品は次々と 178 00:11:04,168 --> 00:11:04,876 送り出す作品は次々と 179 00:11:04,959 --> 00:11:08,418 前作を上回る ヒットを飛ばした 180 00:11:12,876 --> 00:11:17,126 YRFに失敗はないという 雰囲気だった 181 00:11:21,418 --> 00:11:24,168 “お兄さんは 金もうけの名人だ”と 182 00:11:24,251 --> 00:11:24,418 取材中 ある記者に言われた 183 00:11:24,418 --> 00:11:27,084 取材中 ある記者に言われた 俳優/プロデューサー ヤシュ・チョープラの 息子 184 00:11:27,168 --> 00:11:27,584 ウダイ・チョープラ 185 00:11:27,584 --> 00:11:28,168 ウダイ・チョープラ “続くといいけど”と 答えた 186 00:11:28,168 --> 00:11:29,918 “続くといいけど”と 答えた 187 00:11:32,251 --> 00:11:33,834 暗転したのは? 188 00:11:35,543 --> 00:11:42,209 状況が悪くなり始めた時点を 明確に言うことはできない 189 00:11:42,293 --> 00:11:45,293 徐々に下り坂になった 190 00:11:47,001 --> 00:11:51,751 私的な面では 母の健康状態が良くなかった 191 00:11:52,459 --> 00:11:54,418 母ががんと診断され 192 00:11:55,043 --> 00:11:58,293 父は表舞台に出るのを控えた 193 00:12:00,209 --> 00:12:03,251 おとぎ話のように 順調な時期が 194 00:12:03,334 --> 00:12:08,501 終わりに向かう転換点だと 僕たちは気づいてた 195 00:12:11,543 --> 00:12:15,834 その時期 父と僕は 共感し合い 絆を深めた 196 00:12:15,918 --> 00:12:18,334 父は話し相手が必要で 197 00:12:18,418 --> 00:12:21,251 兄は仕事に忙殺されてた 198 00:12:21,793 --> 00:12:25,543 2人で話すと 父は不安を打ち明けた 199 00:12:26,543 --> 00:12:33,001 父と僕が兄弟のような関係で 兄が父親みたいだった 200 00:12:33,084 --> 00:12:35,918 お互いの秘密を告白して 201 00:12:36,001 --> 00:12:39,543 “アディには内緒だ”と 言い合った 202 00:12:39,626 --> 00:12:45,251 その頃は兄が僕たち2人の 父親のような感じだった 203 00:12:50,501 --> 00:12:54,001 2004年は絶好調で その後の2年間も 204 00:12:54,084 --> 00:12:58,043 好調は続き 何をしてもうまくいった 205 00:12:58,543 --> 00:13:01,584 しかし2007年に 不調が始まった 206 00:13:04,043 --> 00:13:07,501 興行的な失敗が いくつか続いた 207 00:13:08,459 --> 00:13:13,376 財務状況もあまり良くない 状態に陥った 208 00:13:13,459 --> 00:13:14,959 僕は落ち込んで 209 00:13:15,043 --> 00:13:19,001 なぜ直感が 働かなくなったのか自問した 210 00:13:19,501 --> 00:13:24,418 そして監督として映画を 撮らなければと思った 211 00:13:26,126 --> 00:13:31,168 いろいろ忙しくて 7年も監督をしていなかった 212 00:13:31,251 --> 00:13:34,751 “こんな雰囲気の中で 撮りたくない” 213 00:13:34,834 --> 00:13:39,459 “もっといい環境の時に やろう”と思ってた 214 00:13:39,543 --> 00:13:44,043 でも会社のために 大ヒット作が必要だし 215 00:13:44,126 --> 00:13:48,876 それは自分の手で やるべきだと気づいた 216 00:13:49,918 --> 00:13:54,584 これは神が   取り持った縁だ 217 00:13:54,668 --> 00:13:59,084 脚本を書くため 2週間 ロンドンへ行った 218 00:13:59,168 --> 00:14:00,001 漠然と温めていた 構想があった 219 00:14:00,001 --> 00:14:03,084 漠然と温めていた 構想があった 監督 アディティヤ・ チョープラ 220 00:14:03,084 --> 00:14:03,626 監督 アディティヤ・ チョープラ 221 00:14:03,626 --> 00:14:04,459 監督 アディティヤ・ チョープラ 若い娘と 見合い結婚をした⸺ 222 00:14:04,459 --> 00:14:07,126 若い娘と 見合い結婚をした⸺ 223 00:14:07,209 --> 00:14:11,709 平凡で面白みのない 男の物語だ 224 00:14:11,793 --> 00:14:15,668 妻はこの結婚に 満足していなかった 225 00:14:16,168 --> 00:14:20,084 男は妻に 好きになってほしいと願う 226 00:14:22,126 --> 00:14:25,876 そのために別人のように 変身する 227 00:14:36,084 --> 00:14:41,293 同じ俳優が演じるのに 妻は同一人物だと気づかない 228 00:14:41,376 --> 00:14:43,751 そこが難しいところだ 229 00:14:48,959 --> 00:14:50,876 どうも ターニよ 230 00:14:50,959 --> 00:14:54,293 僕は君のヒーローだ 231 00:14:54,376 --> 00:14:55,126 えっ? 232 00:14:55,209 --> 00:15:00,543 僕はシャー・ルク・カーンに ロンドンから電話して言った 233 00:15:01,043 --> 00:15:04,876 “脚本が完成し 3ヵ月後に撮影開始だ” 234 00:15:04,959 --> 00:15:06,668 “出演できるか?” 235 00:15:07,168 --> 00:15:12,001 彼は別の出演予定がなくなり ちょうど空いてた 236 00:15:15,334 --> 00:15:18,918 19歳で初めて出演した 映画だった 237 00:15:19,001 --> 00:15:23,418 私が主演することは 口外禁止だと言われた 238 00:15:23,501 --> 00:15:26,501 すべてが秘密裏に 進められた 俳優 アヌシュカ・シャルマ 239 00:15:26,501 --> 00:15:26,584 俳優 アヌシュカ・シャルマ 240 00:15:26,584 --> 00:15:27,876 俳優 アヌシュカ・シャルマ 事務所でも この作品の 話は禁じられてた 241 00:15:27,876 --> 00:15:31,209 事務所でも この作品の 話は禁じられてた 242 00:15:31,293 --> 00:15:36,834 監督に“誰にも言うな 親にもだ”と言われ困惑した 243 00:15:37,584 --> 00:15:41,084 親と住んでるのに 隠すなんて無理よ 244 00:15:47,251 --> 00:15:52,501 その年は私生活でも仕事でも 一番大変な時期だった 245 00:15:53,001 --> 00:15:56,376 大きなプレッシャーを 感じ続けた 246 00:15:57,543 --> 00:16:01,459 だが「Rab Ne Bana Di Jodi」の撮影現場に入ると 247 00:16:02,293 --> 00:16:06,626 エネルギーが湧いてきて 心配事を忘れた 248 00:16:07,334 --> 00:16:09,043 ただ幸せだった 249 00:16:09,126 --> 00:16:15,168 俺はワイルドだぜ    何も気にしない 250 00:16:21,043 --> 00:16:24,293 あれは公開予定日の前の⸺ 251 00:16:27,209 --> 00:16:29,501 11月26日のことだった 252 00:16:32,793 --> 00:16:36,293 2008年11月26日 水曜日の夜 253 00:16:36,376 --> 00:16:37,084 10人の武装グループに 254 00:16:37,084 --> 00:16:38,668 10人の武装グループに 2008年 ムンバイ襲撃事件 255 00:16:38,668 --> 00:16:38,751 2008年 ムンバイ襲撃事件 256 00:16:38,751 --> 00:16:41,334 2008年 ムンバイ襲撃事件 ムンバイが 攻撃されました 257 00:16:41,334 --> 00:16:41,418 2008年 ムンバイ襲撃事件 258 00:16:41,418 --> 00:16:42,043 2008年 ムンバイ襲撃事件 攻撃開始から60時間の間 259 00:16:42,043 --> 00:16:43,668 攻撃開始から60時間の間 260 00:16:43,751 --> 00:16:47,668 事件の一部始終が 世界に中継されました 261 00:16:47,751 --> 00:16:49,168 “犯人9人が死亡” ホテルから逃れた人々と 家族は安堵(あんど)しています 262 00:16:49,168 --> 00:16:52,876 ホテルから逃れた人々と 家族は安堵(あんど)しています 263 00:16:52,959 --> 00:16:53,584 失礼 264 00:16:56,334 --> 00:16:58,876 かがんで 早く 265 00:16:58,959 --> 00:17:00,876 “タージマハル・ ホテルで立てこもり” 266 00:17:00,876 --> 00:17:03,793 “タージマハル・ ホテルで立てこもり” ムンバイでのテロは 終わりましたが 267 00:17:03,876 --> 00:17:09,043 この事件の影響は 長期にわたり続くでしょう 268 00:17:10,543 --> 00:17:13,168 市民生活は停滞した 269 00:17:13,793 --> 00:17:16,293 公開予定日は12月12日 270 00:17:17,126 --> 00:17:19,334 その2週間前だった 271 00:17:21,751 --> 00:17:25,418 社員の多くや 外部の人たちも 272 00:17:25,501 --> 00:17:28,209 予定どおりの 公開を勧めた 273 00:17:33,626 --> 00:17:35,084 僕は映画の持つ⸺ 274 00:17:35,168 --> 00:17:38,418 スピリチュアルな 力を信じてる 275 00:17:39,293 --> 00:17:40,918 成功すると感じた 276 00:17:41,418 --> 00:17:44,168 それより大事なのは人々が 277 00:17:45,668 --> 00:17:51,626 人生の喜びを描く映画を見て 幸せな気持ちになることだ 278 00:17:53,959 --> 00:17:55,501 僕はリスク覚悟で 279 00:17:57,043 --> 00:17:58,876 予定どおり公開した 280 00:17:59,334 --> 00:18:02,584 “YRFに 待望のヒット作” 281 00:18:02,584 --> 00:18:04,251 “YRFに 待望のヒット作” 282 00:18:02,584 --> 00:18:04,251 僕がこの国の人々に対して 抱く信頼感が 283 00:18:04,251 --> 00:18:04,334 僕がこの国の人々に対して 抱く信頼感が 284 00:18:04,334 --> 00:18:07,376 僕がこの国の人々に対して 抱く信頼感が 285 00:18:04,334 --> 00:18:07,376 “シャー・ルクの カリスマ性が輝き⸺” 286 00:18:07,376 --> 00:18:07,876 “シャー・ルクの カリスマ性が輝き⸺” 287 00:18:07,959 --> 00:18:09,126 “「Rab Ne」が 記録を次々と更新” 288 00:18:09,126 --> 00:18:11,043 “「Rab Ne」が 記録を次々と更新” 289 00:18:09,126 --> 00:18:11,043 決断の裏にあった 290 00:18:12,293 --> 00:18:14,459 インド人は攻撃に屈せず 291 00:18:16,001 --> 00:18:17,876 立ち直りが早い 292 00:18:20,751 --> 00:18:25,959 映画は大ヒットし 人々は 悲しみを乗り越えていった 293 00:18:33,751 --> 00:18:39,043 YRFが成し遂げたことに 大きな誇りを感じる 294 00:18:40,334 --> 00:18:43,918 今日は正しい決断ができても 295 00:18:45,418 --> 00:18:49,876 明日は最良のアイデアを 出せるか分からない 296 00:18:49,959 --> 00:18:54,418 いい映画より悪い映画を 多く作るかもしれない 297 00:18:54,501 --> 00:18:57,543 愛してるなんて    絶対言わない 298 00:18:57,626 --> 00:18:57,876 決して口にしない 299 00:18:57,876 --> 00:19:00,709 決して口にしない 監督 アディティヤ・ チョープラ 300 00:19:00,709 --> 00:19:00,793 監督 アディティヤ・ チョープラ 301 00:19:00,793 --> 00:19:02,418 監督 アディティヤ・ チョープラ 「Befikre」は 不振で 302 00:19:02,418 --> 00:19:02,959 「Befikre」は 不振で 303 00:19:04,251 --> 00:19:07,126 僕はかなり がっかりした 304 00:19:07,668 --> 00:19:09,876 しばらく落ち込んだよ 305 00:19:10,876 --> 00:19:14,459 今でも心の片隅で 不満に思ってる 306 00:19:15,001 --> 00:19:16,168 アクション! 307 00:19:17,126 --> 00:19:20,251 作品の構想は ずっと頭にあった 308 00:19:20,334 --> 00:19:26,543 インド映画の三本柱がない ライトな作品を作りたかった 309 00:19:26,626 --> 00:19:31,626 インドではラブコメではなく シリアスな恋愛映画が多い 310 00:19:32,126 --> 00:19:34,334 私たち もう友達ね 311 00:19:34,418 --> 00:19:39,251 でも強い感情表現のない 楽しくて軽い映画が 312 00:19:39,334 --> 00:19:44,001 この国でヒットする 素地はできてると思った 313 00:19:44,084 --> 00:19:48,709 先へ進むことを喜び スマートにさよならしよう 314 00:19:49,209 --> 00:19:52,043 お別れ記念日の お祝いだ 315 00:19:52,584 --> 00:19:57,793 作品を通して自由になった インド人女性を描きたかった 316 00:19:57,876 --> 00:19:59,376 一緒に住みたい? 317 00:19:59,459 --> 00:20:00,334 もちろん 318 00:20:00,418 --> 00:20:05,043 “ハニー”“ベイビー” なんて平凡に呼び合う? 319 00:20:05,126 --> 00:20:05,834 嫌だ 320 00:20:05,918 --> 00:20:08,251 “愛してる”と 言わない理由は? 321 00:20:08,334 --> 00:20:11,209 深刻になると楽しくないから 322 00:20:11,959 --> 00:20:13,043 完璧よ 323 00:20:13,126 --> 00:20:16,043 インドで受けると思った 324 00:20:18,209 --> 00:20:22,501 僕から勧められるのは 嫌だったんだろう 325 00:20:25,376 --> 00:20:28,793 アディティヤは伝統と革新を 326 00:20:28,876 --> 00:20:32,334 いつも軽やかに行き来する 327 00:20:32,418 --> 00:20:33,626 「DDLJ」や 「Rab Ne」も 328 00:20:33,626 --> 00:20:35,834 「DDLJ」や 「Rab Ne」も 映画ジャーナリスト タヌル・タークル 329 00:20:35,834 --> 00:20:35,918 映画ジャーナリスト タヌル・タークル 330 00:20:35,918 --> 00:20:37,418 映画ジャーナリスト タヌル・タークル 他の作品もそうだ 331 00:20:37,418 --> 00:20:37,626 他の作品もそうだ 332 00:20:38,584 --> 00:20:42,459 だが観客には 別のニーズもあった 333 00:20:43,501 --> 00:20:50,043 若年層が増え続けてるのに アディティヤはもう若くない 334 00:20:51,626 --> 00:20:54,709 その頃 YRFの行く末を 335 00:20:56,001 --> 00:20:57,959 真剣に考えていた 336 00:20:59,084 --> 00:21:02,293 プロデューサーを 育てる必要があった 337 00:21:02,376 --> 00:21:07,126 YRFの精神を受け継ぎつつ 独創性を持つ人材だ 338 00:21:07,209 --> 00:21:10,376 僕と感性が似ている 必要はない 339 00:21:13,043 --> 00:21:17,501 僕はYRFの3本の映画で 助監督を務めた 340 00:21:17,584 --> 00:21:17,751 「Fanaa」と 341 00:21:17,751 --> 00:21:18,959 「Fanaa」と 監督/プロデューサー マニーシュ・シャルマ 342 00:21:18,959 --> 00:21:19,043 監督/プロデューサー マニーシュ・シャルマ 343 00:21:19,043 --> 00:21:20,668 監督/プロデューサー マニーシュ・シャルマ 「Aaja Nachle」 344 00:21:20,668 --> 00:21:20,751 監督/プロデューサー マニーシュ・シャルマ 345 00:21:20,751 --> 00:21:21,543 監督/プロデューサー マニーシュ・シャルマ 「Rab Ne」だ 346 00:21:21,543 --> 00:21:22,834 「Rab Ne」だ 347 00:21:22,918 --> 00:21:27,584 そして初監督作品が 「Band Baaja Baaraat」だ 348 00:21:27,668 --> 00:21:30,543 2人が座って 視線を交わす 349 00:21:30,626 --> 00:21:32,543 その製作中のことだ 350 00:21:32,626 --> 00:21:36,001 “ある脚本家が書いてる 物語がある”と 351 00:21:36,084 --> 00:21:37,668 アディティヤさんに 言ってみた 352 00:21:37,668 --> 00:21:38,334 アディティヤさんに 言ってみた 353 00:21:37,668 --> 00:21:38,334 “シャラット・ カタリヤ作” 354 00:21:38,334 --> 00:21:38,418 “シャラット・ カタリヤ作” 355 00:21:38,418 --> 00:21:40,334 “シャラット・ カタリヤ作” 356 00:21:38,418 --> 00:21:40,334 “地味な作品だけど 見ますか?”とね 357 00:21:40,334 --> 00:21:43,168 “地味な作品だけど 見ますか?”とね 358 00:21:43,876 --> 00:21:48,834 読むと とても面白く 映画化したいと思った 359 00:21:48,918 --> 00:21:50,876 翌日 その映画を 360 00:21:50,959 --> 00:21:54,584 プロデュースしないかと 言われた 361 00:21:55,168 --> 00:22:00,293 予想外のことで驚いたが 「Dum Laga Ke Haisha」は 362 00:22:00,376 --> 00:22:00,793 そうして始まった 363 00:22:00,793 --> 00:22:02,084 そうして始まった 監督 シャラット・カタリヤ 364 00:22:02,084 --> 00:22:03,084 監督 シャラット・カタリヤ 365 00:22:03,168 --> 00:22:03,501 製作 マニーシュ・シャルマ 366 00:22:03,501 --> 00:22:05,501 製作 マニーシュ・シャルマ “僕には この世界観を 創造的に⸺” 367 00:22:05,501 --> 00:22:06,876 “僕には この世界観を 創造的に⸺” 368 00:22:06,959 --> 00:22:09,626 “プロデュースするのは 難しい” 369 00:22:09,709 --> 00:22:11,959 “君ならできる”と伝えた 370 00:22:12,043 --> 00:22:14,959 “全責任を君に託す”とね 371 00:22:15,834 --> 00:22:19,668 まず主演俳優を 探す必要があった 372 00:22:20,668 --> 00:22:24,251 毎日 多くの俳優と会ったよ 373 00:22:24,334 --> 00:22:28,209 “女優の方はもういるぞ”と 彼に言った 374 00:22:28,751 --> 00:22:32,084 「Jab We Met」を 先にやりたい? 375 00:22:32,168 --> 00:22:33,376 そうね 376 00:22:33,459 --> 00:22:35,959 ずっと俳優になりたかった 377 00:22:38,376 --> 00:22:43,501 でも自分の胸に秘めて 誰にも言わなかった 378 00:22:44,001 --> 00:22:44,584 当時の仕事は得意で お給料も良かった 379 00:22:44,584 --> 00:22:48,251 当時の仕事は得意で お給料も良かった 俳優 ブーミ・ ペードネーカル 380 00:22:48,251 --> 00:22:48,334 俳優 ブーミ・ ペードネーカル 381 00:22:48,334 --> 00:22:48,834 俳優 ブーミ・ ペードネーカル 映画製作に 不可欠な業務を担ってた 382 00:22:48,834 --> 00:22:51,501 映画製作に 不可欠な業務を担ってた 383 00:22:54,126 --> 00:22:59,209 ブーミは私のアシスタントで 遠慮してたから 384 00:22:59,293 --> 00:23:00,001 オーディションを 私の前では受けなかった 385 00:23:00,001 --> 00:23:02,626 オーディションを 私の前では受けなかった ヤシュ・ラージ・ フィルムズ 配役担当者 386 00:23:02,626 --> 00:23:02,709 オーディションを 私の前では受けなかった 387 00:23:02,709 --> 00:23:03,251 オーディションを 私の前では受けなかった シャヌー・シャルマ 388 00:23:03,251 --> 00:23:03,334 シャヌー・シャルマ 389 00:23:03,334 --> 00:23:04,293 シャヌー・シャルマ 知らずに会場へ行くと みんなに止められた 390 00:23:04,293 --> 00:23:08,001 知らずに会場へ行くと みんなに止められた 391 00:23:08,084 --> 00:23:11,209 誰かと列車で 旅するのは初めて 392 00:23:11,293 --> 00:23:15,459 ドアの隙間からのぞくと 彼女はカメラを持ち 393 00:23:15,543 --> 00:23:17,876 4人に合図を出してた 394 00:23:17,959 --> 00:23:22,709 もう いい加減にして 今日こそは限界よ 395 00:23:22,793 --> 00:23:26,501 “彼女 上手よ”と アディに言うと笑ってた 396 00:23:26,584 --> 00:23:31,626 ぽっちゃり体型で 普段は面白い子だったからね 397 00:23:31,709 --> 00:23:36,876 だから減量するように言って ジムに行かせたの 398 00:23:37,418 --> 00:23:40,501 “ブーミは本当に 演技できる?”と 399 00:23:41,209 --> 00:23:44,668 アディティヤに聞かれて 請け合った 400 00:23:44,751 --> 00:23:49,001 すると“太めの女優が 必要なんだ”と言われて 401 00:23:49,084 --> 00:23:53,043 慌ててブーミに言った “ジムをやめて食べて” 402 00:23:53,126 --> 00:23:55,668 サリーが緩んできた 403 00:23:55,751 --> 00:23:59,709 ピンで留めてと言ったでしょ 持ってて 404 00:23:59,793 --> 00:24:04,334 この作品の舞台は 1995年のハリドワール 405 00:24:04,418 --> 00:24:06,168 息を止めてて 406 00:24:06,668 --> 00:24:11,501 主人公のプレームは 目標も自信もない若者だ 407 00:24:11,584 --> 00:24:15,668 当人同士で 自己紹介をするといい 408 00:24:15,751 --> 00:24:19,834 彼は両親にサンディヤと 結婚させられるが 409 00:24:20,668 --> 00:24:23,084 彼女を好きになれない 410 00:24:23,168 --> 00:24:25,293 あの子は太ってる 411 00:24:25,376 --> 00:24:26,001 何? 412 00:24:26,084 --> 00:24:30,126 お前は映画スターじゃない 高校中退だ 413 00:24:30,209 --> 00:24:33,668 妻が典型的な 美人ではないので 414 00:24:33,751 --> 00:24:35,876 彼は更に自信をなくす 415 00:24:38,918 --> 00:24:40,001 君の花嫁? 416 00:24:42,918 --> 00:24:46,209 デビュー作で演じた 太ったヒロインは 417 00:24:46,293 --> 00:24:50,084 インドの恋愛映画では 前例がなかった 418 00:24:50,168 --> 00:24:52,918 彼に太った牛と言われた 419 00:24:53,001 --> 00:24:55,001 本当のことだろ 420 00:24:55,584 --> 00:24:58,876 自分も同じような 経験をしたと 421 00:24:58,959 --> 00:25:01,959 多くの人から共感を得た 422 00:25:03,876 --> 00:25:08,043 YRFがこんな映画を作って 皆 驚いた 423 00:25:08,126 --> 00:25:08,209 太った妻と 負け犬の夫の物語だ 424 00:25:08,209 --> 00:25:11,959 太った妻と 負け犬の夫の物語だ 俳優 アーユシュマーン・ クラーナー 425 00:25:12,043 --> 00:25:18,043 YRFの他作品と同じなのは ヒロインに自信があること 426 00:25:18,126 --> 00:25:22,959 自分を信じて 正しいと 思うことのために闘う 427 00:25:23,043 --> 00:25:27,751 サンディヤと寝てみろ どんなに大変か分かるさ 428 00:25:34,043 --> 00:25:36,709 赤くなってる 見ろ 429 00:25:36,793 --> 00:25:37,876 こっちも 430 00:25:39,043 --> 00:25:41,334 この映画でマニーシュを 431 00:25:41,418 --> 00:25:46,001 クリエイティブ・ プロデューサーに育成できた 432 00:25:46,084 --> 00:25:52,168 僕以外のプロデューサーを 育てたいとずっと考えていた 433 00:25:52,668 --> 00:25:57,334 僕の創造性だけでスタジオを 引っ張るのではなく 434 00:25:57,418 --> 00:26:03,293 スタジオ全体が創造性を持つ 方法を模索していたんだ 435 00:26:10,459 --> 00:26:13,584 俳優として 100日現場で過ごすなら 436 00:26:13,668 --> 00:26:16,459 誰よりヤシュ監督とがいい 437 00:26:16,543 --> 00:26:16,751 監督との仕事は 僕にとって 438 00:26:16,751 --> 00:26:19,334 監督との仕事は 僕にとって 俳優 シャー・ルク・カーン 439 00:26:19,334 --> 00:26:19,418 俳優 シャー・ルク・カーン 440 00:26:19,418 --> 00:26:20,501 俳優 シャー・ルク・カーン 究極の幸せだからだ 441 00:26:20,501 --> 00:26:21,459 究極の幸せだからだ 442 00:26:21,543 --> 00:26:26,293 監督は現場ではアディよりも エネルギッシュで若い 443 00:26:29,168 --> 00:26:33,043 いつも社交的で 愛情豊かだった 444 00:26:33,584 --> 00:26:38,293 偉大な監督というより 父親みたいな感じで 445 00:26:38,376 --> 00:26:42,376 会えばいろいろと アドバイスもしてくれた 446 00:26:42,459 --> 00:26:44,793 ダジャレや冗談が好きで 笑わせてくれた 447 00:26:44,793 --> 00:26:47,168 ダジャレや冗談が好きで 笑わせてくれた 俳優 カジョール 448 00:26:48,459 --> 00:26:50,418 現場では精力的だ 449 00:26:50,501 --> 00:26:55,793 大声で叫んだりして 一番騒がしいのが監督だった 450 00:26:55,876 --> 00:26:57,793 後ろを片づけろ 451 00:26:57,876 --> 00:27:01,084 自分の希望を 感覚的に伝える 452 00:27:01,168 --> 00:27:01,334 “ワクワクしてる感じで 歩いて”とか 453 00:27:01,334 --> 00:27:04,168 “ワクワクしてる感じで 歩いて”とか 俳優 マードゥリー・ ディークシト 454 00:27:04,168 --> 00:27:04,293 “ワクワクしてる感じで 歩いて”とか 455 00:27:04,376 --> 00:27:06,751 “ロマンチックに” とかね 456 00:27:06,834 --> 00:27:11,918 俳優だけでなく全員が まとまる雰囲気を作った 457 00:27:12,001 --> 00:27:18,293 助手や照明係 カメラマン 皆のやる気を引き出してた 458 00:27:18,376 --> 00:27:19,168 アクション! 459 00:27:19,251 --> 00:27:24,418 モニターを見ず カメラの横か俳優の前にいる 460 00:27:24,501 --> 00:27:25,334 時にはカメラマンが 言ってた 461 00:27:25,334 --> 00:27:27,084 時にはカメラマンが 言ってた 俳優 カトリーナ・カイフ 462 00:27:27,084 --> 00:27:27,168 俳優 カトリーナ・カイフ 463 00:27:27,168 --> 00:27:29,126 俳優 カトリーナ・カイフ “少しよけてください 映ってます”ってね 464 00:27:29,126 --> 00:27:30,709 “少しよけてください 映ってます”ってね 465 00:27:30,793 --> 00:27:32,209 指示が時々 分からなかった 466 00:27:32,209 --> 00:27:33,709 指示が時々 分からなかった 俳優 リティック・ ローシャン 467 00:27:33,793 --> 00:27:35,876 早口の傾向がある 468 00:27:35,959 --> 00:27:38,001 すごく早口で話す 469 00:27:38,084 --> 00:27:40,001 “%&#…をしてくれ” 470 00:27:40,084 --> 00:27:41,793 “ここは… □※△だ” 471 00:27:41,876 --> 00:27:43,543 理解不能よ 472 00:27:43,626 --> 00:27:45,043 “今何て?” 473 00:27:45,126 --> 00:27:48,626 顔を見合わせて 何と言ったか聞いた 474 00:27:48,709 --> 00:27:52,501 シャー・ルクは “とりあえずうなずけ”って 475 00:27:55,209 --> 00:28:01,293 父と兄の映画製作の スタイルは かなり違ってた 476 00:28:01,793 --> 00:28:07,209 父の製作哲学や手法は まったく組織的ではなかった 477 00:28:07,293 --> 00:28:12,918 父の時代は何事も電話連絡で 数日中に決まってた 478 00:28:13,001 --> 00:28:17,876 会社組織は存在せず 資金調達法も違ってた 479 00:28:17,959 --> 00:28:23,084 友人に出資を頼むか 自分のカネで映画を作った 480 00:28:23,168 --> 00:28:27,251 衣装は自分の妻や 俳優の奥さんなんかに 481 00:28:27,334 --> 00:28:29,543 作ってもらってた 482 00:28:29,626 --> 00:28:32,209 家族経営のショーだった 483 00:28:33,376 --> 00:28:38,251 ヤシュは製作手法の現代化を 歓迎してなかった 484 00:28:38,334 --> 00:28:42,501 全員が家族みたいな 一体感を持つ⸺ 485 00:28:42,584 --> 00:28:45,584 古風なやり方を好んでた 486 00:28:45,668 --> 00:28:45,834 だから変化を嘆いてた 487 00:28:45,834 --> 00:28:47,876 だから変化を嘆いてた ヤシュ・ チョープラの妻 パメラ・チョープラ 488 00:28:47,876 --> 00:28:48,376 ヤシュ・ チョープラの妻 パメラ・チョープラ 489 00:28:48,376 --> 00:28:49,626 ヤシュ・ チョープラの妻 パメラ・チョープラ “細かく役割分担したら 監督は何をする?”とね 490 00:28:49,626 --> 00:28:53,834 “細かく役割分担したら 監督は何をする?”とね 491 00:28:54,334 --> 00:29:00,334 衣装を考えようとしたら 助手が“用意します”と言う 492 00:29:00,418 --> 00:29:00,584 読み合わせも 担当者がいる 493 00:29:00,584 --> 00:29:03,668 読み合わせも 担当者がいる 脚本家 ジャイディープ・ サーニー 494 00:29:03,668 --> 00:29:03,751 脚本家 ジャイディープ・ サーニー 495 00:29:03,751 --> 00:29:04,376 脚本家 ジャイディープ・ サーニー “誰の映画だ?”と 監督は言ってた 496 00:29:04,376 --> 00:29:06,834 “誰の映画だ?”と 監督は言ってた 497 00:29:10,001 --> 00:29:13,168 監督は急に冗舌になってきた 498 00:29:13,251 --> 00:29:17,168 “これは私の 最後の映画だ”と言うんだ 499 00:29:17,376 --> 00:29:19,084 監督 ヤシュ・チョープラ 500 00:29:19,084 --> 00:29:19,418 監督 ヤシュ・チョープラ 爆弾処理の最多記録を 持つ アナンド少佐? 501 00:29:19,418 --> 00:29:19,501 爆弾処理の最多記録を 持つ アナンド少佐? 502 00:29:19,501 --> 00:29:21,668 爆弾処理の最多記録を 持つ アナンド少佐? 製作 アディティヤ・ チョープラ 503 00:29:21,668 --> 00:29:23,376 爆弾処理の最多記録を 持つ アナンド少佐? 504 00:29:23,459 --> 00:29:25,876 ああ 97個も処理した 505 00:29:25,959 --> 00:29:30,209 別の依頼を断って 「命ある限り」に出演した 506 00:29:30,293 --> 00:29:32,751 ヤシュ監督の映画だからだ 507 00:29:32,834 --> 00:29:34,543 市場を開けろ 508 00:29:34,626 --> 00:29:35,584 了解 509 00:29:36,459 --> 00:29:40,876 監督は新人のような情熱で この作品を撮った 510 00:29:40,959 --> 00:29:46,459 現場で映画を作る喜びに あふれた姿が印象的だった 511 00:29:46,543 --> 00:29:49,834 毎日スタッフと一緒に 食事をして 512 00:29:49,918 --> 00:29:52,501 最初に来て最後に帰った 513 00:29:54,793 --> 00:29:54,876 ヤシュ監督に出演を 頼まれたら断れない 514 00:29:54,876 --> 00:29:58,459 ヤシュ監督に出演を 頼まれたら断れない 俳優 ニートゥ・カプール 515 00:29:58,459 --> 00:29:58,543 ヤシュ監督に出演を 頼まれたら断れない 516 00:30:02,251 --> 00:30:07,084 また監督と仕事ができるのは 感無量だった 517 00:30:12,418 --> 00:30:16,418 私はロケ地へ行って 撮影に参加した 518 00:30:16,501 --> 00:30:17,418 撮影が完了した時 519 00:30:17,418 --> 00:30:18,584 撮影が完了した時 俳優 リシ・カプール 520 00:30:18,584 --> 00:30:19,126 俳優 リシ・カプール 521 00:30:19,126 --> 00:30:21,626 俳優 リシ・カプール 監督と目が合った 522 00:30:21,626 --> 00:30:22,084 監督と目が合った 523 00:30:22,168 --> 00:30:26,334 その時 お互いの目には 涙がにじんでた 524 00:30:26,834 --> 00:30:33,001 それまでの様々な思い出が 脳裏によみがえってきた 525 00:30:37,834 --> 00:30:41,251 ラダックでは 過酷な環境だったが 526 00:30:41,334 --> 00:30:43,876 監督は一番 平気だった 527 00:30:44,584 --> 00:30:49,084 20歳前後の助手は 体調を崩してたのに 528 00:30:49,626 --> 00:30:53,251 80歳の父は かなり元気だった 529 00:30:53,751 --> 00:30:57,709 険しい山道を歩くのを 手伝おうとしても 530 00:30:57,793 --> 00:31:02,126 “大丈夫だ 死んだら 運んでくれ”と言ってた 531 00:31:02,209 --> 00:31:04,251 いつもそうだった 532 00:31:09,043 --> 00:31:12,959 カシミールで撮影してた時 監督が来て 533 00:31:14,209 --> 00:31:18,376 “これで最後だ 撮影は終わった”と言った 534 00:31:18,876 --> 00:31:22,251 監督は感極まって泣き出し 535 00:31:22,334 --> 00:31:24,959 “最後のショットだ”と 言った 536 00:31:25,834 --> 00:31:30,334 僕は“次の映画が あるでしょう”と言ったが… 537 00:31:34,001 --> 00:31:36,418 “最後だ”と監督は返した 538 00:31:38,043 --> 00:31:42,084 ヤシュは 心に決めてたんだと思う 539 00:31:42,876 --> 00:31:45,043 最後のロケだとね 540 00:31:46,126 --> 00:31:50,876 でも皆が反対すると 思ったから隠してた 541 00:31:50,959 --> 00:31:54,084 いつ次の映画を作りますか? 542 00:31:54,168 --> 00:31:57,793 次に僕を呼んでくれるのは いつですか? 543 00:31:57,876 --> 00:32:01,918 日程やヒロインは誰か 教えてください 544 00:32:02,001 --> 00:32:04,418 今回も すばらしい経験でした 545 00:32:04,501 --> 00:32:05,251 2012年 また ご一緒したいです 546 00:32:05,251 --> 00:32:05,334 また ご一緒したいです 547 00:32:05,334 --> 00:32:07,126 また ご一緒したいです ヤシュ・チョープラ 最後のインタビュー 548 00:32:07,126 --> 00:32:08,168 ヤシュ・チョープラ 最後のインタビュー 549 00:32:11,001 --> 00:32:16,168 シャー・ルク 私の人生に 計算で動いたことはなかった 550 00:32:17,584 --> 00:32:18,959 神に導かれ⸺ 551 00:32:19,043 --> 00:32:23,168 風や海のように 流れにまかせてきた 552 00:32:24,543 --> 00:32:26,876 常に自分の心に従った 553 00:32:28,584 --> 00:32:32,043 周囲の人の声は 気にしなかった 554 00:32:33,251 --> 00:32:35,626 心がもう十分だと言ってる 555 00:32:36,584 --> 00:32:40,209 「命ある限り」をもって 監督を引退する 556 00:32:41,084 --> 00:32:42,543 知らなかった 557 00:32:42,626 --> 00:32:47,043 インタビューを見ていた私は 大声で叫んだ 558 00:32:47,126 --> 00:32:48,168 “今何て?” 559 00:32:50,084 --> 00:32:53,001 ヤシュは私を見て ほほえんだ 560 00:32:57,668 --> 00:33:03,209 監督と過ごした中で一番 思い出深いのは最後の10年だ 561 00:33:03,293 --> 00:33:03,876 ムンバイにいる時は毎日 一緒に朝食を食べた 562 00:33:03,876 --> 00:33:07,876 ムンバイにいる時は毎日 一緒に朝食を食べた 俳優 アヌパム・カー 563 00:33:07,876 --> 00:33:07,959 ムンバイにいる時は毎日 一緒に朝食を食べた 564 00:33:08,543 --> 00:33:10,876 監督は私に心を開いて 565 00:33:10,959 --> 00:33:15,168 大切にしているものを 見せてくれた 566 00:33:15,251 --> 00:33:16,543 喜びや幸せ 567 00:33:16,626 --> 00:33:19,834 アディティヤを 誇りに思う気持ち 568 00:33:19,918 --> 00:33:23,459 ウダイやパメラさんへの 愛情をね 569 00:33:24,043 --> 00:33:27,626 ある年齢を過ぎると 孤独が忍び寄る 570 00:33:28,126 --> 00:33:32,501 それは世間の自分への 評価とは関係ない 571 00:33:38,209 --> 00:33:42,626 幸福で穏やかな 長寿の人生を願って 572 00:33:42,709 --> 00:33:45,334 誕生日おめでとう バッチャン 573 00:33:48,793 --> 00:33:50,918 バッチャン氏の誕生日だった 574 00:33:51,001 --> 00:33:51,751 70歳だ 575 00:33:51,834 --> 00:33:56,043 ヤシュ監督とハグすると 熱があって震えてた 576 00:33:56,126 --> 00:33:58,418 “今来たのか”と聞かれて 577 00:33:58,501 --> 00:34:02,126 撮影現場から 直接来たと答えた 578 00:34:02,626 --> 00:34:07,334 監督が入院したのは その翌日だったと思う 579 00:34:10,876 --> 00:34:13,251 父が入院した時 僕はシカゴで 580 00:34:13,334 --> 00:34:15,876 「チェイス!」の 撮影中だった 581 00:34:17,459 --> 00:34:22,376 兄に何度も電話したが 心配ないと言われた 582 00:34:22,459 --> 00:34:27,876 心配をかけまいとしてたんだ 容体は分からなかった 583 00:34:27,959 --> 00:34:32,001 兄は念のための 入院だと言ってた 584 00:34:32,626 --> 00:34:37,959 ある晩 父が このスタジオにいる夢を見た 585 00:34:38,543 --> 00:34:41,001 黒いスーツを着てた 586 00:34:41,501 --> 00:34:43,293 僕が隣にいるのに 587 00:34:43,376 --> 00:34:45,959 “なぜお前はいない?”と 聞く 588 00:34:46,918 --> 00:34:52,084 目が覚めて 深刻なことが 起きてると思った 589 00:34:52,168 --> 00:34:55,751 ヤシュ・チョープラ氏が デング熱と診断され 590 00:34:55,834 --> 00:34:59,334 土曜日から 入院しています 591 00:34:59,418 --> 00:35:02,501 10月11日に 体調の異変がありました 592 00:35:03,709 --> 00:35:06,959 入院を聞いて連絡したが アディティヤに 593 00:35:07,043 --> 00:35:11,168 “大ごとになるから 今は来るな”と言われた 594 00:35:11,251 --> 00:35:14,293 10月21日 僕は事務所に1人でいて 595 00:35:14,376 --> 00:35:15,626 また電話した 596 00:35:15,709 --> 00:35:20,501 パメラおばさんが出たので 監督の容体を聞くと 597 00:35:21,001 --> 00:35:24,668 おばさんは かすれた声で言った 598 00:35:24,751 --> 00:35:28,168 “良くないのよ 今から来て” 599 00:35:32,293 --> 00:35:33,168 その数日後だった 600 00:35:33,168 --> 00:35:34,501 その数日後だった 俳優 ジュヒ・チャウラ 601 00:35:34,501 --> 00:35:35,918 俳優 ジュヒ・チャウラ 602 00:35:39,251 --> 00:35:41,918 俳優 プーナム・ディロン 603 00:35:42,001 --> 00:35:43,709 あの時は… 604 00:35:43,793 --> 00:35:46,959 思い出すのがつらいわ 605 00:36:14,209 --> 00:36:19,668 訃報を聞いた業界の人々は 遺体が安置された⸺ 606 00:36:19,751 --> 00:36:23,584 スタジオのアトリウムに 続々と集まった 607 00:36:24,084 --> 00:36:26,334 あの日は大泣きした 608 00:36:27,001 --> 00:36:32,043 火葬場でシャー・ルクに “父を亡くした”と言うと 609 00:36:32,126 --> 00:36:35,751 “あなただけじゃない 僕もだ”と返ってきた 610 00:36:36,459 --> 00:36:39,918 彼にとってもヤシュは 父のようだった 611 00:36:43,168 --> 00:36:46,501 家族やスタジオの要を 失い⸺ 612 00:36:47,251 --> 00:36:49,543 YRFはどうなる? 613 00:36:49,793 --> 00:36:50,876 俳優/アディティヤ・ チョープラの妻 ラーニー・ムケルジー 614 00:36:50,876 --> 00:36:52,584 俳優/アディティヤ・ チョープラの妻 ラーニー・ムケルジー 突然で ショックが大きかった 615 00:36:52,584 --> 00:36:53,668 突然で ショックが大きかった 616 00:36:57,668 --> 00:37:01,084 編集段階の映画も まだ見てなかった 617 00:37:01,168 --> 00:37:01,918 いいか 618 00:37:03,293 --> 00:37:07,168 何も祈らずに 僕を愛してくれ 619 00:37:08,543 --> 00:37:13,209 神ですら君の元へ戻るのを 止められなかった 620 00:37:15,334 --> 00:37:16,084 そうね 621 00:37:16,168 --> 00:37:18,459 正直に話すわ 622 00:37:18,959 --> 00:37:22,126 絶対に泣かないと決めてたの 623 00:37:24,043 --> 00:37:28,043 でも映画を見たとき 最後の15分間で⸺ 624 00:37:29,001 --> 00:37:31,001 号泣していた 625 00:37:32,668 --> 00:37:36,959 アディティヤがヤシュの 口癖を教えてくれた 626 00:37:37,459 --> 00:37:41,959 “ブーツを履いたまま 死にたい”だったとね 627 00:37:42,668 --> 00:37:45,959 “ブーツを履いて 死ぬのが理想だ”と 628 00:37:46,043 --> 00:37:49,043 父は毎日のように言ってた 629 00:37:57,834 --> 00:38:02,043 僕にとって救いだったのは 父には⸺ 630 00:38:02,793 --> 00:38:05,584 老年期がなかったことだ 631 00:38:06,834 --> 00:38:11,209 父がいない喪失感を 日々感じているが 632 00:38:12,126 --> 00:38:15,543 父は精いっぱい 人生を全うした 633 00:38:15,626 --> 00:38:19,543 人がなしうる 最大限のことを達成した 634 00:38:20,168 --> 00:38:25,084 生きててほしいと思うのは 僕たちのわがままだ 635 00:38:26,043 --> 00:38:27,876 僕たちを育て上げ 636 00:38:27,959 --> 00:38:31,459 多大な功績を 遺産として残した 637 00:38:31,543 --> 00:38:33,709 逝かせてあげるべきだ 638 00:38:35,543 --> 00:38:39,043 アディティヤは僕たち同様 寂しがってる 639 00:38:39,126 --> 00:38:42,543 でもウダイの悲しみは 言い表せない 640 00:38:44,459 --> 00:38:48,668 父の夢をよく見る いつも同じような夢だ 641 00:38:49,668 --> 00:38:55,376 父と僕が何か話しながら 楽しい時間を過ごしてる 642 00:38:55,459 --> 00:38:58,918 食事をしてるか 冗談を言い合ってる時 643 00:38:59,001 --> 00:39:02,876 突然 父はもういないと 気づくんだ 644 00:39:03,918 --> 00:39:08,001 父が亡くなる直前まで とてもいい関係だった 645 00:39:08,084 --> 00:39:11,376 僕の人間関係の中で 一番だった 646 00:39:11,459 --> 00:39:17,001 だから本当に寂しいし 父のことを よく考える 647 00:39:21,376 --> 00:39:22,459 2012年 648 00:39:22,543 --> 00:39:26,501 「命ある限り」 プレミア上映 649 00:39:26,668 --> 00:39:31,834 仕事を50年も続け 実力を維持するのは難しい 650 00:39:31,918 --> 00:39:37,501 父の最初の映画は成功し 遺作も大ヒットだった 651 00:39:38,376 --> 00:39:42,459 初監督作品は1959年で 最後は2012年だ 652 00:39:42,918 --> 00:39:45,459 「命ある限り」 653 00:39:47,043 --> 00:39:48,876 言いたいことは? 654 00:39:48,959 --> 00:39:51,001 独自の物語を伝えてきた 655 00:39:52,251 --> 00:39:56,168 いくつもの幸せな夢や 悲しい夢 656 00:39:57,626 --> 00:40:03,293 美しい旋律やそうでないもの 良い役柄や悪い役柄 657 00:40:04,334 --> 00:40:07,584 すべてに私が宿ってる 658 00:40:08,126 --> 00:40:11,876 作品たちや私を 忘れないでほしい 659 00:40:12,376 --> 00:40:15,459 皆さんの命がある限りは 660 00:40:20,126 --> 00:40:21,126 皆様 661 00:40:22,626 --> 00:40:24,668 本日は光栄でした 662 00:40:24,751 --> 00:40:28,043 チョープラ氏に感謝します 663 00:40:38,376 --> 00:40:40,751 父が亡くなった後⸺ 664 00:40:40,834 --> 00:40:45,876 多くの人の心にぽっかりと 穴が開いたと感じた 665 00:40:47,459 --> 00:40:52,918 その喪失感を僕が埋めるのを 期待されてるとも思った 666 00:40:54,834 --> 00:40:58,751 僕は元々 父とは かなり性格が違う 667 00:40:58,834 --> 00:41:03,251 社交的ではないし そうなる努力もしなかった 668 00:41:03,334 --> 00:41:07,459 人脈も豊富ではなく 開拓スキルも乏しい 669 00:41:09,334 --> 00:41:12,834 父みたいになるのは不可能だ 670 00:41:13,376 --> 00:41:18,793 でも父の代わりになれるよう 努力する必要はある 671 00:41:19,334 --> 00:41:25,043 少なくとも相談したい時に 近づきやすい存在でいたい 672 00:41:25,876 --> 00:41:28,876 最も相続が難しい 遺産ですか? 673 00:41:30,959 --> 00:41:31,834 そうだね 674 00:41:32,334 --> 00:41:36,418 父なりの僕への メッセージかもしれない 675 00:41:36,501 --> 00:41:38,459 “お前が積極的に⸺” 676 00:41:38,543 --> 00:41:41,668 “出て行くのを 見守ってるぞ”とね 677 00:41:42,293 --> 00:41:46,293 なかなか難しいけど 努力はしてる 678 00:41:46,376 --> 00:41:52,126 父が僕に望むことだから “頑張るよ”と伝えたい 679 00:41:56,084 --> 00:41:59,876 僕はずっと 父や兄ほどの情熱を 680 00:41:59,959 --> 00:42:02,459 注げるものがなかった 681 00:42:02,543 --> 00:42:06,251 情熱はかなり後になって 芽生えた 682 00:42:07,043 --> 00:42:12,418 父が亡くなる頃 僕は切実に 自分を変えたいと思ってた 683 00:42:12,959 --> 00:42:14,293 精神面だけでなく 684 00:42:14,293 --> 00:42:14,959 精神面だけでなく 「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」 685 00:42:14,959 --> 00:42:15,043 「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」 686 00:42:15,043 --> 00:42:18,459 「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」 仕事の面でも 変化を求めてた 687 00:42:18,459 --> 00:42:19,209 「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」 688 00:42:19,209 --> 00:42:20,543 「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」 すばらしい瞬間が続く 689 00:42:20,543 --> 00:42:20,626 すばらしい瞬間が続く 690 00:42:20,626 --> 00:42:21,668 すばらしい瞬間が続く “監督 オリヴィエ・ダアン” 691 00:42:21,668 --> 00:42:21,751 “監督 オリヴィエ・ダアン” 692 00:42:21,751 --> 00:42:25,334 “監督 オリヴィエ・ダアン” 67回カンヌ映画祭の レッドカーペットです 693 00:42:25,334 --> 00:42:25,418 “監督 オリヴィエ・ダアン” 694 00:42:25,418 --> 00:42:26,501 “監督 オリヴィエ・ダアン” LAで製作会社を始めた 695 00:42:26,501 --> 00:42:27,751 LAで製作会社を始めた 696 00:42:27,834 --> 00:42:30,709 YRF エンターテインメントだ 697 00:42:30,793 --> 00:42:33,293 “YRFがハリウッドを 拠点に製作会社を設立” 698 00:42:33,293 --> 00:42:36,459 “YRFがハリウッドを 拠点に製作会社を設立” 弟は考え方が グローバルで 699 00:42:36,543 --> 00:42:41,626 ハリウッドやアメリカの テレビ業界にも詳しかった 700 00:42:41,709 --> 00:42:44,084 交流が得意なんだ 701 00:42:44,168 --> 00:42:49,626 LAに作る製作会社を 任せると言うと喜んでた 702 00:42:49,709 --> 00:42:52,751 この映画の監督は フランス人で 703 00:42:52,834 --> 00:42:57,376 ウダイ・チョープラは 共同製作者を務めました 704 00:42:57,459 --> 00:43:00,168 いつも父と兄の 陰にいたから 705 00:43:00,251 --> 00:43:02,376 外に出るのは 大変だと思ってた 706 00:43:02,376 --> 00:43:03,626 外に出るのは 大変だと思ってた “ウダイ・チョープラが ハリウッドで製作者に” 707 00:43:03,626 --> 00:43:03,709 “ウダイ・チョープラが ハリウッドで製作者に” 708 00:43:03,709 --> 00:43:08,876 “ウダイ・チョープラが ハリウッドで製作者に” 709 00:43:03,709 --> 00:43:08,876 だから新しい製作会社で 何らかの成果を上げれば 710 00:43:08,959 --> 00:43:12,793 自信と独自性を 養えると思った 711 00:43:33,959 --> 00:43:35,834 目標の達成度は? 712 00:43:35,918 --> 00:43:37,126 50パーセント 713 00:43:38,543 --> 00:43:40,043 半分は達成できた 714 00:43:40,126 --> 00:43:43,709 思い描いてた夢は たくさんある 715 00:43:45,543 --> 00:43:50,251 YRFの国際的な 存在感を高めたいし 716 00:43:51,043 --> 00:43:54,043 インドにブロードウェイを 作りたい 717 00:43:55,084 --> 00:43:59,418 テーマパークを作るのも 大きな夢なんだ 718 00:43:59,501 --> 00:44:04,834 もう完成してる予定だったが 手を付けてもいない 719 00:44:04,918 --> 00:44:09,751 でもYRFならできると思う 720 00:44:20,501 --> 00:44:22,959 ヤシュ監督は言ってた 721 00:44:23,668 --> 00:44:27,459 全財産を スタジオ建設に費やしたと 722 00:44:29,084 --> 00:44:33,001 そうする必要が あったわけではない 723 00:44:35,209 --> 00:44:38,876 自分のスタジオが 欲しかったそうだ 724 00:44:39,376 --> 00:44:41,584 映画界を志す若者が集い 725 00:44:41,668 --> 00:44:45,376 自分の映画を 作れるような場所だ 726 00:44:45,459 --> 00:44:49,376 ショービジネスの荒波から 守られながらね 727 00:44:50,626 --> 00:44:52,959 そんな監督の夢を 728 00:44:53,043 --> 00:44:56,834 アディティヤが形にして 運営してる 729 00:44:58,543 --> 00:45:03,084 だからオアシスのような 特別な場所なんだ 730 00:45:04,501 --> 00:45:08,126 温かい共同体の精神を 持ちながら 731 00:45:08,209 --> 00:45:11,168 非常にプロ意識の高い会社だ 732 00:45:11,876 --> 00:45:14,918 アディティヤは 父の遺志を継ぎ 733 00:45:15,584 --> 00:45:20,043 自分たちらしい 映画作りを追求している 734 00:45:21,168 --> 00:45:25,334 監督は働きながら 逝きたいと望み 実践した 735 00:45:27,543 --> 00:45:29,751 アディティヤも同じだろう 736 00:45:35,834 --> 00:45:39,543 ポケットには星が詰まってる 737 00:45:40,459 --> 00:45:44,459 何もない空が ただ広がる 738 00:45:44,959 --> 00:45:48,793 太陽の光が僕の手を温める 739 00:45:49,668 --> 00:45:53,209 世界は震えてるのに 740 00:45:53,293 --> 00:45:57,668 僕の魂は喜びをかみしめる 741 00:45:57,751 --> 00:46:02,251 心が祝福しようと告げる 742 00:46:02,334 --> 00:46:06,918 まるでキスのように 743 00:46:07,001 --> 00:46:11,626 すてきな この仕事を 744 00:46:14,126 --> 00:46:17,501 ポケットには星が詰まってる 745 00:46:18,126 --> 00:46:21,543 何もない空が ただ広がる 746 00:46:22,334 --> 00:46:25,959 太陽の光が僕の手を温める 747 00:46:26,043 --> 00:46:29,126 世界は震えてるのに 748 00:46:29,209 --> 00:46:33,543 僕の魂は喜びをかみしめる 749 00:46:33,626 --> 00:46:36,918 心が祝福しようと告げる 750 00:46:37,418 --> 00:46:41,334 まるでキスのように 751 00:46:41,418 --> 00:46:45,876 すてきな この仕事を 752 00:46:45,959 --> 00:46:50,126 ポケットには星が詰まってる 753 00:46:50,209 --> 00:46:54,126 何もない空が ただ広がる 754 00:46:54,209 --> 00:46:58,084 太陽の光が僕の手を温める 755 00:46:58,168 --> 00:47:02,084 世界は震えてるのに 756 00:47:34,251 --> 00:47:38,001 ポケットには   星が詰まってる 757 00:47:42,084 --> 00:47:45,834 ポケットには   星が詰まってる 758 00:47:50,293 --> 00:47:53,084 キスのように     すてきな 759 00:47:53,168 --> 00:47:56,334 この仕事を祝福しよう 760 00:48:00,334 --> 00:48:03,334 日本語字幕 森藤 真代