1 00:00:12,346 --> 00:00:17,476 初めてILMに来た時の 印象は—— 2 00:00:17,643 --> 00:00:20,979 {\an8}“本当にここなの?〟 3 00:00:18,310 --> 00:00:20,979 デジタルエフェクト アーティスト マシ・オカ 4 00:00:22,105 --> 00:00:25,859 “スター・ウォーズ〟を 作った会社だからね 5 00:00:25,984 --> 00:00:29,404 きらびやかな光と アクションに—— 6 00:00:29,529 --> 00:00:31,823 迎えられると思ってた 7 00:00:32,366 --> 00:00:34,785 でも実際は歯医者みたいだった 8 00:00:33,867 --> 00:00:37,412 {\an8}“カーナー社〟 9 00:00:35,077 --> 00:00:37,412 社屋はカーナー通りにあった 10 00:00:37,538 --> 00:00:40,624 “スター・ウォーズ〟が 大ヒットしたから 11 00:00:40,749 --> 00:00:43,085 {\an8}ここに移ってくる時—— 12 00:00:40,749 --> 00:00:44,545 ILM社長 1994~2005年 ジム・モリス 13 00:00:43,210 --> 00:00:47,005 {\an8}ジョージが目立つのを 嫌がったんだ 14 00:00:49,299 --> 00:00:52,219 ドアには “カーナー〟と書かれてた 15 00:00:52,678 --> 00:00:56,306 誰にも知られないための 隠れみのだね 16 00:00:56,431 --> 00:00:59,726 {\an8}“スター・ウォーズ〟の 雰囲気は みじんもなく 17 00:00:57,516 --> 00:01:04,314 視覚効果監修 デニス・ミューレン 18 00:00:59,851 --> 00:01:04,314 {\an8}人々は ただ通りすぎていったよ 19 00:01:08,777 --> 00:01:12,948 あまりに みすぼらしい 建物だったから—— 20 00:01:12,114 --> 00:01:16,451 {\an8}視覚効果監修 ジョン・ノール 21 00:01:13,073 --> 00:01:19,079 社内を案内する時は こう言いたくなるんだ 22 00:01:19,204 --> 00:01:21,373 “お金は映画にかけてます〟 23 00:01:22,833 --> 00:01:25,586 “ピカピカの ドアノブでなく——〟 24 00:01:28,964 --> 00:01:29,715 “映画にね〟 25 00:02:12,132 --> 00:02:15,010 ライト&マジック 26 00:02:17,346 --> 00:02:21,350 後戻りはできない 27 00:02:21,933 --> 00:02:25,187 “パイレーツ・オブ・ カリビアン〟は—— 28 00:02:25,687 --> 00:02:30,859 “大変なことになりそうだ〟と 最初から思ったよ 29 00:02:31,443 --> 00:02:33,403 脚本はよかった 30 00:02:33,528 --> 00:02:36,740 そうなるとハルの出番だ 31 00:02:37,032 --> 00:02:41,411 ジョンに脚本を渡されて 戸惑ったよ 32 00:02:39,910 --> 00:02:43,330 {\an8}アニメーション監修 ハル・ヒッケル 33 00:02:41,787 --> 00:02:46,041 “テーマパークが 元ネタの映画だって?〟 34 00:02:51,046 --> 00:02:53,048 どう映画にするの? {\an8}CGシークエンス監修 ポリー・イン 35 00:02:53,173 --> 00:02:56,885 降参しろ ゴキブリどもめ 36 00:02:57,177 --> 00:02:59,513 ケツを向けな 37 00:02:59,638 --> 00:03:02,641 頼まれたら やるしかない 38 00:03:04,518 --> 00:03:06,978 突拍子もないアイデアを—— 39 00:03:07,646 --> 00:03:10,565 {\an8}映画にするのが大好きだ 40 00:03:07,646 --> 00:03:11,024 ゴア・ヴァービンスキー 41 00:03:10,691 --> 00:03:14,111 {\an8}銃を撃って 大暴れするんだ 42 00:03:14,236 --> 00:03:18,240 ゴアのビジョンは突飛で 新鮮だった 43 00:03:18,365 --> 00:03:22,619 最初の打ち合わせで “いける〟と感じたよ 44 00:03:25,789 --> 00:03:30,293 西部劇に似てる 海賊は悪党だからね 45 00:03:30,419 --> 00:03:33,547 おきてはあるけど 簡単に破る 46 00:03:33,672 --> 00:03:36,133 だまし合いの世界だ 47 00:03:36,258 --> 00:03:39,678 そういう世界観を 表現したかった 48 00:03:39,803 --> 00:03:44,433 それまでにないジャンルで 楽しみだったよ 49 00:03:44,558 --> 00:03:47,310 {\an8}“海の征服者〟 ヘンリー・キング 1942年 50 00:03:44,683 --> 00:03:45,392 撃て! 51 00:03:46,685 --> 00:03:51,356 1940~50年代の 海洋映画が好きだった 52 00:03:51,481 --> 00:03:56,486 スタジオの水槽で 木製の船の模型を撮ってた 53 00:03:56,611 --> 00:03:59,448 それが自分でも 水槽を用意して—— 54 00:03:59,698 --> 00:04:03,952 巨大な木製の船を 撮ることになった 55 00:04:04,077 --> 00:04:08,874 かつてのパラマウントや 20世紀フォックスのようにね 56 00:04:09,124 --> 00:04:12,502 {\an8}120センチくらいの 高さの頑丈な壁で—— 57 00:04:09,416 --> 00:04:12,127 モデルショップ監修 ローン・ピーターソン 58 00:04:12,627 --> 00:04:17,090 水槽を造って 水で満たしたんだ 59 00:04:18,049 --> 00:04:21,845 そこに10メートル超の 海賊船を浮かべた 60 00:04:23,638 --> 00:04:28,477 巨大なセットに爆破装置や 模型や送風機 61 00:04:28,602 --> 00:04:33,148 船を引っ張る装置などが 持ち込まれた 62 00:04:33,774 --> 00:04:34,858 楽しかったね 63 00:04:36,026 --> 00:04:36,735 爆破! 64 00:04:44,326 --> 00:04:46,077 見せたいものがある 65 00:04:46,703 --> 00:04:47,829 この地形が... 66 00:04:47,954 --> 00:04:50,040 ジョンも私も—— 67 00:04:50,457 --> 00:04:55,629 父親が原子核物理学者で 知り合い同士だったんだ 68 00:04:55,754 --> 00:05:00,467 彼には新たなツールを作るよう 無茶ばかり言ってた 69 00:05:00,592 --> 00:05:03,178 これじゃ物足りないよね 70 00:05:03,303 --> 00:05:07,682 彼のような人が 新たなことに挑戦する時は—— 71 00:05:07,808 --> 00:05:10,143 こっちも活力がもらえる 72 00:05:10,268 --> 00:05:11,478 アクション! 73 00:05:11,603 --> 00:05:14,564 シリーズ第1作で 難しかったのは—— 74 00:05:14,689 --> 00:05:17,192 呪われた海賊の描写だ 75 00:05:17,317 --> 00:05:22,030 月光に照らされると 骸骨の姿になり—— 76 00:05:22,155 --> 00:05:26,618 陰に入ると 衣装を着た俳優の姿になる 77 00:05:26,743 --> 00:05:27,619 アクション! 78 00:05:28,245 --> 00:05:34,209 実写とCGを 行ったり来たりするんだ 79 00:05:34,668 --> 00:05:39,130 まずは俳優で 実写プレートを撮って—— 80 00:05:39,256 --> 00:05:44,553 後から どうにかして CGを加えようと考えた 81 00:05:44,678 --> 00:05:48,515 うちのCGスタッフは 優秀だからね 82 00:05:51,351 --> 00:05:53,061 1枚 かすめたのさ 83 00:05:53,395 --> 00:05:58,525 月光に照らされたバルボッサが 自分の正体を語る場面は—— 84 00:05:58,650 --> 00:06:01,236 見せ方が大事になる 85 00:06:01,361 --> 00:06:04,990 このショットが うまくいけば—— 86 00:06:05,115 --> 00:06:09,160 月光と骸骨の姿の関係が 理解できる 87 00:06:09,870 --> 00:06:14,082 そこでCGの骸骨に 変身した後も—— 88 00:06:14,207 --> 00:06:18,169 0.5秒だけ本物の目を残した 89 00:06:21,631 --> 00:06:25,802 そして まばたきすると フルCGになる 90 00:06:26,761 --> 00:06:31,600 観客は俳優の目を見てるからね そこを少しだけ—— 91 00:06:31,725 --> 00:06:34,185 残してあげたんだ 92 00:06:35,020 --> 00:06:39,816 これで幽霊を信じるだろ? 今 見てるんだから 93 00:06:40,442 --> 00:06:41,902 うまくいった 94 00:06:43,904 --> 00:06:48,867 ハルはストップモーションの アニメーターだった 95 00:06:52,579 --> 00:06:57,626 僕は少年期を コロラドの牧場で過ごした 96 00:06:57,751 --> 00:07:01,338 映画とは縁のない地域だ 97 00:07:03,882 --> 00:07:09,179 ルーク・スカイウォーカーと 同じ境遇だ 98 00:07:09,304 --> 00:07:13,058 世界の中心からは 遠い所にいた 99 00:07:13,308 --> 00:07:15,810 ルークが言ってたようにね 100 00:07:15,935 --> 00:07:20,190 宇宙にも都会があるなら ここはド田舎さ 101 00:07:24,653 --> 00:07:27,864 深夜映画が大好きだった 102 00:07:27,989 --> 00:07:32,410 ホラー SF ファンタジー ミステリーだね 103 00:07:32,911 --> 00:07:37,916 {\an8}レイ・ハリーハウゼンの ホラー映画は よく見た 104 00:07:36,373 --> 00:07:38,750 レイ・ハリーハウゼン 105 00:07:41,878 --> 00:07:45,507 アニメーターになりたいと 思ったきっかけは—— 106 00:07:45,632 --> 00:07:48,885 オリジナルの “キング・コング〟だ 107 00:07:49,761 --> 00:07:53,056 コングの最期には憤慨したよ 108 00:07:53,181 --> 00:07:57,268 母に手伝ってもらって 抗議の手紙を書き—— 109 00:07:57,394 --> 00:07:59,854 テレビ局に送った 110 00:08:02,607 --> 00:08:06,945 {\an8}ウィル・ヴィントンの スタジオで—— 111 00:08:04,150 --> 00:08:07,654 ウィル・ヴィントン 112 00:08:07,070 --> 00:08:11,950 {\an8}ストップモーションの 仕事を始めた 113 00:08:08,279 --> 00:08:11,950 ハル・ヒッケル 114 00:08:12,075 --> 00:08:15,245 カリフォルニアレーズンの CMを作ったよ 115 00:08:18,456 --> 00:08:23,044 ILMで働くのが 最終的な目標だったから 116 00:08:23,169 --> 00:08:26,673 かなった時はうれしかったよ 117 00:08:28,466 --> 00:08:32,220 “アルゴ探検隊の大冒険〟が 大好きだった 118 00:08:32,470 --> 00:08:36,725 でもカメラ位置は ほぼ固定なんだ 119 00:08:38,476 --> 00:08:40,729 自由なカメラ位置で—— 120 00:08:41,938 --> 00:08:45,316 70人の大乱戦を撮りたかった 121 00:08:45,692 --> 00:08:48,695 カメラを持って 移動しながら—— 122 00:08:48,820 --> 00:08:53,700 振り付けもアドリブの感じで 撮りたかった 123 00:08:53,825 --> 00:08:56,745 首が甲板を転がったりね 124 00:08:56,870 --> 00:09:00,248 直感的な撮影に挑んだんだ 125 00:09:01,750 --> 00:09:05,920 俳優たちに立ち回りを 演じてもらい—— 126 00:09:06,046 --> 00:09:08,465 それにCGを被せる 127 00:09:17,474 --> 00:09:21,102 でもエラーが起きやすい作業だ 128 00:09:21,269 --> 00:09:24,522 人間の姿のない 骸骨だけの場面は—— 129 00:09:24,647 --> 00:09:27,776 モーションキャプチャーで 撮影した 130 00:09:27,901 --> 00:09:32,739 あとはアニメーターが CGで描くだけだ 131 00:09:47,087 --> 00:09:48,171 いいね 132 00:09:51,049 --> 00:09:55,178 レイ・ハリーハウゼンは 定期的にILMに来てた 133 00:09:55,303 --> 00:09:59,432 彼に呪われた海賊のショットを 見せると—— 134 00:09:59,557 --> 00:10:03,019 驚いて 大きな笑みを浮かべてた 135 00:10:03,436 --> 00:10:04,813 楽しんでたよ 136 00:10:06,356 --> 00:10:09,901 僕は彼の特撮を見て育ち—— 137 00:10:10,026 --> 00:10:14,656 ストップモーションの仕事で 業界に入ったからね 138 00:10:14,823 --> 00:10:16,616 特別な瞬間だった 139 00:10:22,455 --> 00:10:26,417 「シスの復讐」の頃に なっても—— 140 00:10:26,543 --> 00:10:31,548 ジョージはCG技術の さらなる進化を求めた? 141 00:10:31,673 --> 00:10:37,470 {\an8}「シスの復讐」では デジタルの代役を使った 142 00:10:32,799 --> 00:10:37,470 アニメーション監修 ロブ・コールマン 143 00:10:43,226 --> 00:10:46,104 このオビ=ワンはデジタルだ 144 00:10:46,229 --> 00:10:52,235 飛ばされた時の服の動きは シミュレーションだ 145 00:10:52,694 --> 00:10:56,990 本編でも飛ばされるのは CGのオビ=ワンだ 146 00:10:57,115 --> 00:11:02,120 ジョージは戦闘シーンに CGの進化を求めた 147 00:11:05,832 --> 00:11:10,170 「シスの復讐」は ライトセーバーの出番が—— 148 00:11:10,295 --> 00:11:11,963 他の作品より多い 149 00:11:15,383 --> 00:11:18,344 跳んだり 宙返りをしたり してるのは—— 150 00:11:18,595 --> 00:11:21,556 すべてデジタルの代役だ 151 00:11:23,516 --> 00:11:26,144 頭部の差し替えもあった 152 00:11:26,853 --> 00:11:29,898 パルパティーンと メイス・ウィンドゥの戦いでは 153 00:11:30,440 --> 00:11:35,987 イアン・マクダーミドが ライトセーバーは無理だと 154 00:11:36,154 --> 00:11:40,283 そこでアクションは 代役が演じたのだが 155 00:11:40,408 --> 00:11:43,161 頭をCGで差し替えた 156 00:11:48,082 --> 00:11:50,960 あれは大きな進化だった 157 00:11:54,088 --> 00:11:56,716 スケールが大きくなっていった 158 00:11:56,841 --> 00:12:00,803 {\an8}“スター・ウォーズ/ ファントム・メナス〟 ジョージ・ルーカス 1999年 159 00:11:58,426 --> 00:12:02,347 旧3部作の時のようにね 160 00:12:03,765 --> 00:12:07,227 エピソード1は CGショットが2000弱 161 00:12:10,104 --> 00:12:12,190 エピソード2で少し増えて—— 162 00:12:14,859 --> 00:12:19,906 エピソード3は2500くらいだ 163 00:12:21,699 --> 00:12:25,370 僕はすべてのシークエンスに 携わった 164 00:12:28,206 --> 00:12:31,542 ムスタファーの 簡単なスケッチだ 165 00:12:31,709 --> 00:12:34,671 {\an8}初期のものなんだけど コンセプトデザイン 監修 エリック・ティーメンス 166 00:12:34,796 --> 00:12:38,258 どんどん暗くなっていった 167 00:12:38,591 --> 00:12:42,595 そしてモデルショップが スケッチを基に—— 168 00:12:42,720 --> 00:12:46,808 巨大な模型を作ることになった 169 00:12:56,442 --> 00:13:00,154 ムスタファーの ストーリーボードを見て 170 00:13:00,280 --> 00:13:05,702 これまでも大きな模型を 作ってきたが こう思った 171 00:13:05,827 --> 00:13:08,496 “これはケタ違いだ〟 172 00:13:08,621 --> 00:13:11,499 言葉にできないほどにね 173 00:13:11,874 --> 00:13:13,793 地獄をイメージした 174 00:13:14,711 --> 00:13:18,006 ダース・ベイダーが 誕生する惑星だからね {\an8}ジョージ・ルーカス 175 00:13:19,007 --> 00:13:22,427 CG監修のスタッフが—— 176 00:13:22,552 --> 00:13:26,973 CGで溶岩を描けると 主張していた 177 00:13:27,098 --> 00:13:31,978 僕の経験から 溶岩のような 流動性のあるものは—— 178 00:13:32,103 --> 00:13:37,066 ディテールまでしっかり 描けるとは思えなかった 179 00:13:37,400 --> 00:13:42,405 スコット・ファラーが “コンゴ〟という映画で—— 180 00:13:41,487 --> 00:13:45,908 {\an8}“コンゴ〟 フランク・マーシャル 1995年 181 00:13:42,905 --> 00:13:46,743 セルロースで 溶岩を表現したんだ 182 00:13:46,868 --> 00:13:51,581 いいやり方だと思ったし 出来もよかった 183 00:13:53,041 --> 00:13:56,919 そこで模型を作ることを 提案した 184 00:13:57,128 --> 00:14:02,508 幅12メートル 奥行9メートルのサイズだ 185 00:14:02,633 --> 00:14:07,805 テニスコートより ひと回り小さいくらいだ 186 00:14:10,141 --> 00:14:15,772 巨大な発泡スチロールを 削り出すんだが—— 187 00:14:15,897 --> 00:14:20,109 それを何百とやって 組み合わせていく 188 00:14:20,234 --> 00:14:24,363 溶岩の通り道は 底が透明なアクリル板だ 189 00:14:24,530 --> 00:14:28,785 そこに半透明の セルロースを流し—— 190 00:14:28,910 --> 00:14:32,455 下から照明を当て 溶岩の色を表現した 191 00:14:32,580 --> 00:14:34,707 このオレンジがいい 192 00:14:35,875 --> 00:14:41,631 そしてフレーム外から 焦がしたコルクを流すんだ 193 00:14:42,090 --> 00:14:46,636 1~5センチくらいまで サイズはバラバラだ 194 00:14:46,761 --> 00:14:50,807 それが溶岩の黒い点々に見える 195 00:14:51,516 --> 00:14:55,103 まるでバレエのように—— 196 00:14:55,228 --> 00:14:59,107 すべての要素が うまくかみ合ってた 197 00:15:02,068 --> 00:15:07,448 うまくできたと思ったし ジョージも満足してくれた 198 00:15:07,573 --> 00:15:12,787 モデルショップも いい形で存在感を示せたよ 199 00:15:18,417 --> 00:15:19,877 すばらしい 200 00:15:21,629 --> 00:15:22,797 すごくいいよ 201 00:15:27,969 --> 00:15:30,721 「シスの復讐」を 撮り終えて—— 202 00:15:32,056 --> 00:15:35,017 “スター・ウォーズ〟は ひと段落した 203 00:15:36,269 --> 00:15:37,979 “ILMモデルショップ〟 204 00:15:41,232 --> 00:15:44,235 2006年 僕は解雇された 205 00:15:44,360 --> 00:15:47,321 仕事が 少なくなってたからね 206 00:15:45,069 --> 00:15:47,321 {\an8}モデルショップ アーティスト フォン・デイヴィス 207 00:15:49,282 --> 00:15:52,743 ILMの移転を 考えていたところで—— 208 00:15:53,035 --> 00:15:56,873 プレシディオに移ることにした 209 00:16:00,001 --> 00:16:02,461 美しい場所がよかった 210 00:16:03,296 --> 00:16:08,176 プレシディオ・オブ・ サンフランシスコ ILMキャンパス 211 00:16:07,383 --> 00:16:11,804 {\an8}こんな社屋を建てられる 視覚効果の会社はなかった 212 00:16:12,096 --> 00:16:17,643 ジョージは 後戻りはしないと 大金を費やした 213 00:16:18,769 --> 00:16:23,274 時代が変わったことを 告げるスタジオだ 214 00:16:24,650 --> 00:16:31,574 何が起きてるか分からないまま 実写部門の人間が集められ—— 215 00:16:31,699 --> 00:16:36,078 部門が売却されたことを 知らされた 216 00:16:36,579 --> 00:16:38,080 どう思いました? 217 00:16:38,289 --> 00:16:39,290 傷ついたよ 218 00:16:41,000 --> 00:16:43,669 ILMで仕事に就けて—— 219 00:16:44,337 --> 00:16:47,673 一生 ここにいると思ってた 220 00:16:47,882 --> 00:16:52,929 {\an8}モデルショップ アーティスト/ デジタルアーティスト ジーン・ボルト 221 00:16:48,925 --> 00:16:50,760 売却されたのは... 222 00:17:01,479 --> 00:17:05,107 1つの時代が終わった もう戻れない 223 00:17:10,404 --> 00:17:15,952 “ルーカスの視覚効果を パクるライバルたち〟 224 00:17:14,283 --> 00:17:17,828 {\an8}私がここに来た時 競合はいなかった 225 00:17:16,077 --> 00:17:17,828 視覚効果プロデューサー キム・ブロムリー 226 00:17:17,954 --> 00:17:21,040 “テクノロジーは ルーカスの1人勝ち〟 227 00:17:19,956 --> 00:17:23,793 {\an8}長い間 我々の 1人勝ちだった 228 00:17:21,374 --> 00:17:27,046 ILM社長 1994~2005年 ジム・モリス 229 00:17:23,918 --> 00:17:27,046 {\an8}ILMのジム・モリスだ 230 00:17:27,380 --> 00:17:28,714 彼らを中心に... 231 00:17:29,173 --> 00:17:33,803 ILMには才能のある人々が そろってた 232 00:17:33,928 --> 00:17:39,100 どこに転職しても 必ずILM出身の人がいるんだ 233 00:17:39,225 --> 00:17:43,145 今ある視覚効果の 制作会社も—— 234 00:17:43,271 --> 00:17:47,108 大半はILM出身の人が 占めている 235 00:17:47,817 --> 00:17:50,861 かつて いつかすべての映画で—— 236 00:17:50,987 --> 00:17:55,074 視覚効果が必要になると 言ってたが 237 00:17:55,366 --> 00:17:57,410 いざ実現すると大変だ 238 00:17:58,536 --> 00:18:02,582 “タイタニック〟 1997年 デジタル・ドメイン社 239 00:17:59,579 --> 00:18:02,582 {\an8}競合相手が 次々に生まれた 240 00:18:02,707 --> 00:18:05,376 “VFXはルーカスだけの ものではない〟 241 00:18:03,541 --> 00:18:09,338 我々のリードは まだまだ大きかったものの 242 00:18:09,463 --> 00:18:14,844 {\an8}“ILMが挑戦状を たたきつけられる〟 243 00:18:09,589 --> 00:18:12,341 確実に競争は始まっていた 244 00:18:12,800 --> 00:18:14,844 ILMは頂点であり—— 245 00:18:15,052 --> 00:18:19,140 引きずり下ろすべき チャンピオンでもあった 246 00:18:15,761 --> 00:18:19,140 {\an8}CGアーティスト モエン・レオ 247 00:18:19,265 --> 00:18:22,059 {\an8}“視覚効果戦争が勃発〟 248 00:18:22,184 --> 00:18:26,314 {\an8}“デジタルアニメーターの 需要が激増〟 249 00:18:23,686 --> 00:18:27,356 多くの会社が CGアニメーターに—— 250 00:18:27,481 --> 00:18:30,401 2倍 3倍の給料を提示した 251 00:18:30,526 --> 00:18:34,822 我々にとっては 大変な時期だったよ 252 00:18:34,155 --> 00:18:38,326 {\an8}“テクノロジーの進化が 視覚効果会社を圧迫〟 253 00:18:36,490 --> 00:18:38,326 引き抜きが横行して—— 254 00:18:38,451 --> 00:18:41,412 不満を持つ人も出てきた 255 00:18:41,621 --> 00:18:44,749 引き抜きをかけられたことは? 256 00:18:44,874 --> 00:18:47,627 何人かに声はかけられた 257 00:18:48,127 --> 00:18:52,173 数年にわたり いくつかオファーはあったが 258 00:18:53,049 --> 00:18:57,928 名高いILMより 魅力的な場所はなかった 259 00:18:58,679 --> 00:19:04,769 {\an8}“視覚効果会社の競争が 熾烈しれつを極める〟 260 00:19:00,056 --> 00:19:04,226 誰がILMにとって 一番のライバルでした? 261 00:19:04,894 --> 00:19:08,939 かなり技術の高い会社が いくつかあった 262 00:19:09,065 --> 00:19:13,152 “マトリックス〟 1999年 マネックス・ヴィジュアル・ エフェクツ社 263 00:19:12,568 --> 00:19:15,613 {\an8}特に2000年代初頭にね 264 00:19:13,277 --> 00:19:17,740 “デイ・アフター・ トゥモロー〟 2004年 デジタル・ドメイン社 265 00:19:17,865 --> 00:19:21,452 “シン・シティ〟 2005年 オーファネージ社 CafeFX社 266 00:19:20,660 --> 00:19:23,079 {\an8}すばらしい仕事もあった 267 00:19:21,577 --> 00:19:26,707 “グラディエーター〟 2000年 ザ・ミル社 268 00:19:26,415 --> 00:19:28,334 {\an8}年々 進化してたよ 269 00:19:28,459 --> 00:19:35,424 {\an8}“ロード・オブ・ ザ・リング/二つの塔〟 2002年 WETA FX社 270 00:19:34,757 --> 00:19:37,468 WETAが 最大のライバルね 271 00:19:37,593 --> 00:19:42,139 私たちと似た アプローチの会社だった 272 00:19:38,511 --> 00:19:43,766 {\an8}ILM GM ジャネット・リューイン 273 00:19:42,264 --> 00:19:47,228 ジョー・レッテリが 中心だったこともある 274 00:19:47,353 --> 00:19:50,648 かつてILMの 視覚効果監修だった 275 00:19:50,773 --> 00:19:54,568 {\an8}役職はテクニカル・ ディレクターで—— 276 00:19:51,732 --> 00:19:56,529 ILM視覚効果監修 1991~2001年 ジョー・レッテリ 277 00:19:54,694 --> 00:19:57,113 {\an8}映像全般の責任を 負ってる 278 00:19:57,238 --> 00:20:02,159 {\an8}ゴラムを描きたくて WETAに移った 279 00:19:58,656 --> 00:20:02,159 視覚効果監修 ジョー・レッテリ 280 00:20:02,284 --> 00:20:03,911 おれの... 281 00:20:04,578 --> 00:20:06,664 愛しいしと・・だ! 282 00:20:06,789 --> 00:20:09,375 ゴラムの革新的な点は—— 283 00:20:09,500 --> 00:20:13,671 まず肌の質感がリアルな点だ 284 00:20:13,796 --> 00:20:18,092 ILMで開発が始まってた テクノロジーに—— 285 00:20:18,217 --> 00:20:20,594 サブサーフェス スキャタリングがある 286 00:20:20,720 --> 00:20:23,264 お前に友達なんか 287 00:20:23,389 --> 00:20:25,641 お前は嫌われ者だ! 288 00:20:25,766 --> 00:20:28,018 中に入った光が散乱する 289 00:20:28,352 --> 00:20:32,189 すると生命を感じる肌になる 290 00:20:33,858 --> 00:20:35,484 視覚効果賞です 291 00:20:36,026 --> 00:20:37,820 オスカーを受賞したのは... 292 00:20:37,945 --> 00:20:41,449 ジム・ライジール ジョー・レッテリ... 293 00:20:41,574 --> 00:20:43,826 “ロード・オブ・ザ・リング/ 王の帰還〟です 294 00:20:43,951 --> 00:20:47,747 WETA社のエネルギーに 感謝します 295 00:20:47,872 --> 00:20:51,459 作ってる間は トップシークレットだったが 296 00:20:51,584 --> 00:20:57,339 公開されるや否や 誰もが 我々の仕事を知ることになった 297 00:20:57,465 --> 00:21:01,469 最初は小さな集団で 友情は今も続いてる 298 00:21:01,594 --> 00:21:03,929 みんなで作り上げた会社だ 299 00:21:04,597 --> 00:21:08,225 ゴラムに使われた技術が あったからこそ—— 300 00:21:08,350 --> 00:21:11,687 デイヴィ・ジョーンズも 可能になった 301 00:21:11,812 --> 00:21:14,982 これが デイヴィ・ジョーンズだ 302 00:21:15,107 --> 00:21:19,236 “パイレーツ〟シリーズの 続編の話になった時—— 303 00:21:17,735 --> 00:21:21,155 {\an8}アニメーション監修 ハル・ヒッケル 304 00:21:19,361 --> 00:21:22,156 監督のゴアが デイヴィ・ジョーンズは 305 00:21:22,281 --> 00:21:24,784 重要なキャラクターだと 強調してた 306 00:21:25,451 --> 00:21:27,369 ゴラムと同じだ 307 00:21:27,578 --> 00:21:33,250 フライング・ダッチマン号に 長年 乗っている船員たちは 308 00:21:33,876 --> 00:21:36,670 呪いというか 病気というか—— 309 00:21:36,796 --> 00:21:42,468 海にあるものが 体の一部になってる 310 00:21:42,927 --> 00:21:47,139 いろいろデザインを 考えるのは楽しかった 311 00:21:48,057 --> 00:21:52,520 そして彼らを統率するのが デイヴィ・ジョーンズだ 312 00:21:52,645 --> 00:21:56,023 そこで “クラッシュ〟・マクリーリーに 313 00:21:56,148 --> 00:22:01,570 デイヴィ・ジョーンズの デザインを頼むことにした 314 00:22:04,532 --> 00:22:08,452 ジェフリー・ラッシュが 演じたバルボッサは—— 315 00:22:08,577 --> 00:22:12,498 いくつかCGショットが あっただけだ 316 00:22:14,625 --> 00:22:19,213 デイヴィ・ジョーンズは フルCGキャラクターだ 317 00:22:19,338 --> 00:22:24,176 動きモーションだけでなく感情エモーションを キャプチャーしないといけない 318 00:22:24,301 --> 00:22:27,930 うまく動かないところも あるから... 319 00:22:28,055 --> 00:22:29,849 分かってる 320 00:22:29,974 --> 00:22:32,476 演じたのはビル・ナイだ 321 00:22:32,601 --> 00:22:35,729 彼が演じた デイヴィ・ジョーンズの魂を 322 00:22:35,855 --> 00:22:40,025 1つたりとも こぼしたくなかった 323 00:22:40,150 --> 00:22:43,237 ジョン・ノールが 取り組んだ課題が—— 324 00:22:43,362 --> 00:22:47,074 いかに演技を 視覚効果に取り込むかだ 325 00:22:50,286 --> 00:22:52,288 さあ よく見てろよ 326 00:22:52,413 --> 00:22:54,582 偉大な俳優たちに—— 327 00:22:54,707 --> 00:22:58,669 セットで面と向かって 演じてほしかった 328 00:22:58,794 --> 00:23:01,964 それこそが 映画に必要な演技になる 329 00:23:02,089 --> 00:23:06,844 頑丈で 場所を取らない システムが必要だった {\an8}視覚効果監修 ジョン・ノール 330 00:23:07,428 --> 00:23:09,597 そこでハル・ヒッケルが—— 331 00:23:09,722 --> 00:23:14,268 “CGを被せるなら 着るものは何でもいいよね?〟 332 00:23:14,852 --> 00:23:17,313 “トラッキングマークを つけたスーツで——〟 333 00:23:17,438 --> 00:23:20,858 “正確に動きを 取り込めないかな?〟 334 00:23:20,983 --> 00:23:24,194 そこで導入されたのがiMoCapだ 335 00:23:25,321 --> 00:23:28,282 {\an8}グレーの トラックスーツを着る 336 00:23:25,738 --> 00:23:28,282 ビル・ナイ 337 00:23:29,450 --> 00:23:33,871 よく見るのは球状のものが ついたスーツだが—— 338 00:23:33,996 --> 00:23:38,667 iMoCapのスーツは バンドがついてる 339 00:23:38,792 --> 00:23:42,004 それで動きをトラックするんだ 340 00:23:42,212 --> 00:23:46,550 トラッキングマークが 位置や方向—— 341 00:23:46,675 --> 00:23:51,347 関節の曲がり具合などを 捉えてくれる 342 00:23:51,472 --> 00:23:55,768 その結果 カメラは 自由に動かせるし—— 343 00:23:55,893 --> 00:23:58,354 照明も好きに当てられる 344 00:23:58,479 --> 00:24:01,982 水の中に立つ人も撮れるし—— 345 00:24:02,107 --> 00:24:05,444 甲板に雨を降らせても撮れる 346 00:24:05,736 --> 00:24:10,074 視覚効果による制限なしで 演じられ—— 347 00:24:10,199 --> 00:24:12,409 CG処理は後でできる 348 00:24:13,619 --> 00:24:17,456 ビルはドットのついた スーツを着て—— 349 00:24:17,581 --> 00:24:21,001 顔には水玉模様を つけてくれた 350 00:24:21,126 --> 00:24:24,004 デイヴィ・ジョーンズの絵を 見て—— 351 00:24:24,129 --> 00:24:27,675 見事に役になりきってくれた 352 00:24:29,134 --> 00:24:31,804 非の打ち所がないよ 353 00:24:31,929 --> 00:24:36,308 ビルのあごの使い方がいいんだ 354 00:24:36,642 --> 00:24:40,688 デイヴィ・ジョーンズは あごがなく ひげになってる 355 00:24:42,022 --> 00:24:44,024 箱の中を確かめる! 356 00:24:44,149 --> 00:24:48,821 40本ほどの 触手状のひげには苦労した 357 00:24:49,655 --> 00:24:55,077 あのひげは それ自体が 勝手に動くものだから—— 358 00:24:55,202 --> 00:24:58,789 タコの足みたいに くねくねしてる {\an8}CGシークエンス監修 ポリー・イン 359 00:24:58,914 --> 00:25:01,959 絡み合ったり ぶつかったりして—— 360 00:25:02,084 --> 00:25:06,880 体の動き合わせて揺れ くっつくこともある 361 00:25:07,756 --> 00:25:09,550 うまく光が通ってる 362 00:25:10,092 --> 00:25:10,801 やりすぎ? 363 00:25:10,926 --> 00:25:14,304 少し弱々しく見えないか? 364 00:25:14,555 --> 00:25:16,974 感情表現とも結びついてる 365 00:25:17,099 --> 00:25:22,896 動揺してる時とか 考えてる時は丸くなるとかね 366 00:25:25,399 --> 00:25:27,943 手作業でやってたら—— 367 00:25:28,068 --> 00:25:30,988 永遠に終わらないよ 368 00:25:31,905 --> 00:25:36,118 自動で動く仕組みを 作り上げれば—— 369 00:25:36,243 --> 00:25:39,872 ひげは勝手に動いてくれる 370 00:25:39,997 --> 00:25:44,334 アニメーターも他の作業に 時間を使える 371 00:25:44,668 --> 00:25:47,421 だいぶよくなったよ 372 00:25:47,629 --> 00:25:49,548 ソフトになるかな? 373 00:25:49,673 --> 00:25:55,554 ひげを動かす シミュレーションができるまで 374 00:25:55,679 --> 00:25:59,975 プランBはなかったから 眠れない夜が続いた 375 00:26:00,601 --> 00:26:04,605 完成すると 魔法のように完璧に動いた 376 00:26:07,399 --> 00:26:11,779 “パイレーツ・オブ・カリビアン/ デッドマンズ・チェスト〟 ゴア・ヴァービンスキー 2006年 377 00:26:13,238 --> 00:26:17,534 そこにはCGが 全く感じられなかった 378 00:26:17,659 --> 00:26:22,081 ビルが演じる キャラクターがいるだけだ 379 00:26:22,206 --> 00:26:24,666 チクショウ! 380 00:26:24,792 --> 00:26:27,836 ジャック・スパロウめ! 381 00:26:27,961 --> 00:26:29,588 オスカーを受賞したのは... 382 00:26:31,048 --> 00:26:34,593 ジョン・ノール ハル・ヒッケル チャールズ・ギブソン... 383 00:26:34,718 --> 00:26:37,012 “パイレーツ・オブ・カリビアン/ デッドマンズ・チェスト〟 384 00:26:37,304 --> 00:26:40,099 “デッドマンズ・チェスト〟が 公開されたのは—— 385 00:26:40,224 --> 00:26:43,769 視覚効果にとって 難しい時期だった 386 00:26:43,894 --> 00:26:48,774 観客にとってCGが 珍しいものではなくなり—— 387 00:26:49,191 --> 00:26:50,859 倦怠けんたい期と言えた 388 00:26:53,320 --> 00:26:58,700 視覚効果の可能性が 急速に拡大したことから 389 00:26:58,826 --> 00:27:03,163 観客はCGに 驚かなくなっていた 390 00:27:03,288 --> 00:27:07,376 “どうやったんだ?〟という 驚嘆はなくなり—— 391 00:27:07,501 --> 00:27:09,670 “CGなら何でもできる〟 392 00:27:11,421 --> 00:27:13,715 {\an8}“デッドマンズ・ チェスト〟は—— 393 00:27:13,841 --> 00:27:16,593 {\an8}再び観客を 驚嘆させたんだ 394 00:27:16,718 --> 00:27:19,388 観客も分かってなかった 395 00:27:19,513 --> 00:27:22,766 CGなのか メーキャップなのかね 396 00:27:22,891 --> 00:27:25,686 そういう感覚がよみがえった 397 00:27:25,811 --> 00:27:26,728 ありがとう 398 00:27:26,854 --> 00:27:28,689 視覚効果はまだまだ—— 399 00:27:28,814 --> 00:27:33,819 観客の心を奪えると 気持ちを新たにしたよ 400 00:27:36,864 --> 00:27:38,907 3作目の頃には—— 401 00:27:39,032 --> 00:27:42,202 前作を超えられるかの 重圧があった 402 00:27:42,327 --> 00:27:44,997 振り返ってクローズアップだ 403 00:27:45,789 --> 00:27:46,623 そうだな 404 00:27:47,749 --> 00:27:52,337 3部作の 有終の美を飾りたかった 405 00:27:52,462 --> 00:27:57,426 空を映してから 最初の雷が海に落ちると—— 406 00:27:57,551 --> 00:28:00,804 2隻の船が 渦巻きに巻き込まれる 407 00:28:00,929 --> 00:28:04,516 “これ以上はない〟と 言えるようにね 408 00:28:04,641 --> 00:28:07,603 実現すれば すばらしい 409 00:28:07,895 --> 00:28:09,396 彼らは跳び下りる 410 00:28:09,521 --> 00:28:10,898 こっちのほうに? 411 00:28:12,608 --> 00:28:16,361 前2作はロケ撮影が メインだったが—— 412 00:28:16,486 --> 00:28:22,326 いくら前作を超えたくても 海で撮るわけにはいかない 413 00:28:24,578 --> 00:28:28,707 これほど巨大な ブルースクリーンは—— 414 00:28:29,207 --> 00:28:32,669 これまでにも なかったんじゃないか 415 00:28:32,878 --> 00:28:34,171 CGで埋めないと 416 00:28:34,379 --> 00:28:36,924 CGの水は好きじゃない 417 00:28:37,591 --> 00:28:41,637 海のスケールで 水を動かすとなると—— 418 00:28:41,762 --> 00:28:46,516 3~4つの粒子パーティクルの シミュレーションが必要だ 419 00:28:46,642 --> 00:28:50,020 シミュレーションなら 大量の水を扱える 420 00:28:50,145 --> 00:28:53,315 しかし波がぶつかれば 泡になり—— 421 00:28:53,440 --> 00:28:55,776 泡は水しぶきになる 422 00:28:56,276 --> 00:28:59,196 すると隙間が生じるんだ 423 00:29:00,489 --> 00:29:02,824 本物の水に見えない 424 00:29:02,950 --> 00:29:06,328 そこでジョンに頼んだんだ 425 00:29:06,870 --> 00:29:10,624 大量の水がぶつかって 泡になり—— 426 00:29:10,749 --> 00:29:13,669 その泡は水しぶきになる 427 00:29:13,961 --> 00:29:18,131 それをシミュレーションで 一度にできないかとね 428 00:29:18,382 --> 00:29:20,509 思ったより難しかった 429 00:29:20,634 --> 00:29:25,847 {\an8}“パーフェクト ストーム〟 ウォルフガング・ ペーターゼン 2000年 430 00:29:22,719 --> 00:29:25,263 “パーフェクト ストーム〟で 431 00:29:25,389 --> 00:29:29,810 水のシミュレーションは 道筋がついていた 432 00:29:29,935 --> 00:29:34,398 海を広く映したければ そのシミュレーションを—— 433 00:29:34,523 --> 00:29:37,734 つなげていけばいいと考えた 434 00:29:37,859 --> 00:29:41,905 そのまま水は 渦巻きへと消えていき—— 435 00:29:42,030 --> 00:29:45,283 あとは雨や雷を 加えればいいとね 436 00:29:46,827 --> 00:29:51,498 でも最初のレンダリングを 見ると ひどい出来だった 437 00:29:52,541 --> 00:29:55,210 プランBは渦巻き自体を—— 438 00:29:55,335 --> 00:29:59,006 巨大なシミュレーションに することだ 439 00:29:59,381 --> 00:30:04,344 その前景に ディテールを加えていけばいい 440 00:30:04,761 --> 00:30:05,721 {\an8}ILM電話会議 441 00:30:05,929 --> 00:30:07,139 ゴアは嫌がった 442 00:30:07,264 --> 00:30:11,059 水洗トイレみたいで 船はいかにも模型 443 00:30:11,184 --> 00:30:13,145 がっかりしたよ 444 00:30:14,104 --> 00:30:17,441 リアルさのかけらもなかった 445 00:30:24,364 --> 00:30:26,366 次はプランCだ 446 00:30:26,825 --> 00:30:29,161 内側の船は速くなる 447 00:30:29,286 --> 00:30:32,497 時間がどんどん なくなっていき—— 448 00:30:32,622 --> 00:30:36,084 編集期間も短く 大量のショットがある 449 00:30:36,209 --> 00:30:38,128 中途半端だ 450 00:30:38,253 --> 00:30:39,463 ジョンには? 451 00:30:40,297 --> 00:30:43,383 きつく当たったが 彼も喜んでた 452 00:30:43,925 --> 00:30:46,386 挑戦と受け取ったのさ 453 00:30:49,306 --> 00:30:53,769 問題は水の表面だけなんだと 気づいた 454 00:30:54,603 --> 00:30:59,816 そこで渦巻きを潰した ホットケーキみたいにした 455 00:31:01,777 --> 00:31:06,740 それをシミュレーションの時に 渦巻きの形に戻した 456 00:31:06,865 --> 00:31:10,744 そうすることで ディテールを描き込め—— 457 00:31:10,869 --> 00:31:14,206 ゴアの望むスケールの大きさも 実現できた 458 00:31:14,331 --> 00:31:15,832 撃て! 459 00:31:19,127 --> 00:31:20,837 それが最終映像だ 460 00:31:28,637 --> 00:31:30,472 プランCの成功は—— 461 00:31:30,722 --> 00:31:34,518 迫りくる納期と 眠れない夜との戦いだった 462 00:31:34,643 --> 00:31:38,480 あとは水しぶきを 仕上げるだけだ 463 00:31:38,647 --> 00:31:40,107 最高だよ ジョン 464 00:31:40,649 --> 00:31:44,277 未踏の地へと向かう 冒険の中で—— 465 00:31:44,402 --> 00:31:46,863 友情が築かれた 466 00:32:02,462 --> 00:32:05,006 見せ物的なCGでは—— 467 00:32:03,922 --> 00:32:09,261 {\an8}スティーヴン・ スピルバーグ 468 00:32:05,132 --> 00:32:09,678 観客は映像体験に のめり込めない 469 00:32:09,803 --> 00:32:14,891 観客と映画の間に 距離ができてしまう 470 00:32:15,058 --> 00:32:17,018 あまりに壮大なCGは—— 471 00:32:17,144 --> 00:32:21,273 観客にとって 消化しきれなくなる 472 00:32:21,398 --> 00:32:27,070 感情を動かす要素を 見つけられなくなるんだ 473 00:32:27,195 --> 00:32:30,323 だから私がCGを使う時は—— 474 00:32:30,448 --> 00:32:34,369 感情を刺激することを 目的としてる 475 00:32:34,744 --> 00:32:38,248 {\an8}スピルバーグから “宇宙戦争〟の話が来た 視覚効果監修 デニス・ミューレン 476 00:32:38,373 --> 00:32:40,167 “宇宙戦争〟 バイロン・ハスキン 1953年 477 00:32:41,209 --> 00:32:43,712 オリジナルは公開時に見た 478 00:32:43,837 --> 00:32:47,048 6歳か8歳の時で面白かったよ 479 00:32:47,174 --> 00:32:48,300 楽しみだったね 480 00:32:48,675 --> 00:32:51,136 何より難しかったのは スピルバーグが—— 481 00:32:49,134 --> 00:32:51,136 {\an8}クリエイティブ・ ディレクター ダグ・チャン 482 00:32:51,303 --> 00:32:54,556 8ヵ月で撮りたいと 言い出したことだ 483 00:32:54,681 --> 00:32:58,977 これだけの大作なら 1年半くらいが普通だが—— 484 00:32:59,102 --> 00:33:01,271 彼は“8ヵ月で〟と 485 00:33:01,396 --> 00:33:05,066 “急がないと間に合わない〟と 思ったね 486 00:33:05,233 --> 00:33:08,612 12月に撮影開始で 6月か7月には公開だ 487 00:33:09,196 --> 00:33:12,699 夜中の気温マイナス15度の ハドソン川で—— 488 00:33:12,824 --> 00:33:16,620 フェリーが沈むシーンを 撮影した 489 00:33:16,995 --> 00:33:20,832 昼間の撮影は 日が沈む午後4時までに—— 490 00:33:20,957 --> 00:33:24,169 素早く撮らなきゃならない 491 00:33:24,294 --> 00:33:26,504 厳しい条件だったよ 492 00:33:26,630 --> 00:33:30,175 しかし後のない状況が 逆にスタッフに—— 493 00:33:30,300 --> 00:33:32,427 創意工夫をさせた 494 00:33:37,140 --> 00:33:40,435 “宇宙戦争〟の優れた点は—— 495 00:33:40,560 --> 00:33:44,731 カメラがずっと トム・クルーズを追うところよ 496 00:33:44,856 --> 00:33:49,319 だから観客は 当事者のような感覚を得て—— 497 00:33:49,486 --> 00:33:53,990 すべてが自分の目の前で 起きることになる 498 00:33:54,115 --> 00:33:57,327 主役の視点でない映像はない 499 00:33:57,535 --> 00:34:00,872 そんな離れ業が 可能になったのは—— 500 00:34:00,997 --> 00:34:05,710 2人の映画作りの達人が 手を組んだからよ 501 00:34:07,087 --> 00:34:08,338 前に乗るんだ 502 00:34:08,672 --> 00:34:09,923 これ 誰の車? 503 00:34:10,048 --> 00:34:10,757 いいから 504 00:34:10,882 --> 00:34:15,220 トムが宇宙からの 殺戮さつりくマシーンの手を逃れ—— 505 00:34:15,345 --> 00:34:19,891 大きな橋を背景に 車で逃げるシーンがある 506 00:34:20,183 --> 00:34:23,019 本物の住宅街で撮影したんだ 507 00:34:23,645 --> 00:34:26,398 スピルバーグが求めたのは—— 508 00:34:26,523 --> 00:34:32,153 橋が爆発でサソリの尾のように 跳ね上がる映像だ 509 00:34:32,279 --> 00:34:37,158 面白いアイデアだから 挑戦することにした 510 00:34:37,284 --> 00:34:42,247 橋は塊が連なってできていて 支柱の間には—— 511 00:34:42,372 --> 00:34:45,792 梁があって塊をつなげてる 512 00:34:45,917 --> 00:34:50,964 その梁を軸に塊を順番に 跳ね上げていけばいい 513 00:34:51,214 --> 00:34:56,136 橋はCGで 潰される家は模型だ 514 00:34:56,261 --> 00:34:59,889 それらを実写の背景と 重ね合わせる 515 00:35:00,015 --> 00:35:02,892 背景の本物の家は 模型で隠れる形だ 516 00:35:03,268 --> 00:35:09,357 落ちてくるタンクローリーは 1.5メートルほどの模型で—— 517 00:35:09,482 --> 00:35:15,363 ブルースクリーンの前で 落下させて爆発するのを撮った 518 00:35:15,655 --> 00:35:18,992 いろんな要素を 組み合わせて—— 519 00:35:19,117 --> 00:35:24,497 ひと続きのショットを 作り上げた 520 00:35:24,623 --> 00:35:28,293 いろんなことが 同時に起きてるんだ 521 00:35:33,548 --> 00:35:35,091 次のショット! 522 00:35:35,216 --> 00:35:36,760 よかったよ 523 00:35:37,218 --> 00:35:42,307 デニスはショットの構成を 明確に見通せる 524 00:35:42,432 --> 00:35:47,687 ド派手なショットも 緻密に計算されている 525 00:35:50,774 --> 00:35:52,984 トムの運転する車を—— 526 00:35:53,109 --> 00:35:56,446 カメラが 円を描いて追うシーンがある 527 00:35:57,197 --> 00:36:00,784 撮影はセットで 背景はブルースクリーン 528 00:36:00,909 --> 00:36:04,954 シーンは4~5個の セクションに分けた 529 00:36:05,080 --> 00:36:11,336 車のパーツを外して 別のセクションを撮り—— 530 00:36:11,461 --> 00:36:13,922 どんどん撮り進めた 531 00:36:14,047 --> 00:36:17,884 切り替えには 巧妙なワイプを使うんだ 532 00:36:18,009 --> 00:36:21,763 車のピラーが 車内の画を横切った時に—— 533 00:36:21,888 --> 00:36:25,475 切り替えが行われている 534 00:36:25,600 --> 00:36:30,063 背景には動けない車が 連なっているが—— 535 00:36:30,188 --> 00:36:35,068 それは実際の道路を封鎖して ロケで撮影した 536 00:36:35,193 --> 00:36:39,739 6台か8台のカメラを 屋根に積んだ車で—— 537 00:36:39,948 --> 00:36:44,369 パブロ・ヘルマンが 360度ぐるっと撮影した 538 00:36:44,661 --> 00:36:50,125 その映像をつなぎ合わせると 切り替えがシームレスになる 539 00:36:50,250 --> 00:36:52,877 2分半の会話のシーンを—— 540 00:36:53,002 --> 00:36:56,798 車の周囲を回ってるように 楽しめる 541 00:36:56,923 --> 00:36:57,924 攻撃は誰が? 542 00:36:58,049 --> 00:37:01,928 レイチェル わめくな 落ち着くんだ 543 00:37:02,053 --> 00:37:03,096 レイチェル 544 00:37:03,221 --> 00:37:04,431 どなるな 545 00:37:04,556 --> 00:37:06,850 じゃ お前がなだめろ! 546 00:37:06,975 --> 00:37:12,105 “宇宙戦争〟はILMの技術の 1つの頂点を示したけど—— 547 00:37:12,230 --> 00:37:15,942 映画自体は あまり注目されなかった 548 00:37:16,901 --> 00:37:21,239 でもあの映画を見ると 少ない予算で—— 549 00:37:21,364 --> 00:37:25,452 いかに多くのことができるか 感心するわ 550 00:37:25,618 --> 00:37:27,036 お気に入りの作品だ 551 00:37:29,330 --> 00:37:34,043 壮大なCG 長いテイク 不可能なこと 552 00:37:34,335 --> 00:37:36,004 どれも大好物だ 553 00:37:36,546 --> 00:37:42,051 ニューアークで地面から 敵が現れるシーンは—— 554 00:37:43,303 --> 00:37:44,679 最高だった 555 00:37:44,804 --> 00:37:49,934 トムが走り レーザーで 撃たれた人が灰になる 556 00:37:50,894 --> 00:37:54,189 衣服だけが舞い上がると—— 557 00:37:55,565 --> 00:37:58,193 人体が消えたのが伝わる 558 00:38:00,820 --> 00:38:03,782 すばらしいショットばかりだ 559 00:38:04,866 --> 00:38:08,119 “これ以上のことは できない〟と思い—— 560 00:38:08,244 --> 00:38:11,164 事実上の最後の作品になった 561 00:38:14,459 --> 00:38:18,713 これまでに後ろ向きな 決断もしてきた 562 00:38:16,211 --> 00:38:21,466 {\an8}ILM GM ジャネット・リューイン 563 00:38:18,880 --> 00:38:23,676 例えば“アバター〟への 参加からは撤退した 564 00:38:23,802 --> 00:38:27,138 入札は 数ヵ月にわたり—— 565 00:38:27,263 --> 00:38:30,683 テスト映像は オーケーが出た 566 00:38:30,058 --> 00:38:35,563 {\an8}ILMプロトタイプ 567 00:38:31,142 --> 00:38:32,477 恐れない 568 00:38:34,479 --> 00:38:35,563 心が強いもの 569 00:38:35,688 --> 00:38:37,524 当時の責任者たちが—— 570 00:38:37,649 --> 00:38:40,902 リスクを 取りたがらなかった 571 00:38:43,071 --> 00:38:48,493 あまりに大きな作品で 無理だと感じたのね 572 00:38:51,120 --> 00:38:54,916 “アバター〟 ジェームズ・キャメロン 2009年 WETA FX社 573 00:39:01,714 --> 00:39:05,468 でもゴア・ヴァービンスキーが 574 00:39:05,718 --> 00:39:09,722 面白いアイデアを 持ち込んでくれたの 575 00:39:09,848 --> 00:39:11,057 “ランゴ〟よ 576 00:39:18,898 --> 00:39:21,651 “ランゴ〟は ILMにとって—— 577 00:39:21,776 --> 00:39:25,363 初めての 全編デジタルの映画だった 578 00:39:25,530 --> 00:39:27,407 本当に怖かったわ 579 00:39:32,036 --> 00:39:35,164 アニメーション映画は 経験がない 580 00:39:35,290 --> 00:39:40,795 フルCGのキャラクターを作り 2000のショットを組み込み—— 581 00:39:40,920 --> 00:39:43,923 映画を作ったことは あったけどね 582 00:39:51,431 --> 00:39:55,894 デイヴィ・ジョーンズで ILMとは共に多くを学んだ 583 00:39:56,185 --> 00:39:58,688 アニメーターの マイアやケヴィン 584 00:39:58,938 --> 00:40:04,277 そしてハルのチームとは 信頼関係もあった 585 00:40:04,402 --> 00:40:07,155 赤字になる可能性もあった 586 00:40:07,322 --> 00:40:11,993 ジョン・ノールと ハル・ヒッケル 587 00:40:12,118 --> 00:40:15,288 私とジャッキー・ロペスが 588 00:40:15,872 --> 00:40:21,461 “すばらしい作品になる〟と プロジェクトを推し進めたの 589 00:40:22,170 --> 00:40:27,050 “ランゴ〟はCGのみの アニメーション映画だから—— 590 00:40:27,175 --> 00:40:30,553 絶対に楽しくなると思った 591 00:40:30,678 --> 00:40:35,808 作っていくうちに 形になるというものではない 592 00:40:36,100 --> 00:40:40,355 そこで私の自宅に集まり プレヴィズ的なものを作った 593 00:40:40,480 --> 00:40:44,651 今 どうなってる? 調整は進んでる? 594 00:40:44,776 --> 00:40:45,860 ええ 595 00:40:46,277 --> 00:40:50,073 7人のアーティストが 18ヵ月かけた 596 00:40:50,198 --> 00:40:53,493 セリフも収録し すべてのフレームを描き 597 00:40:53,618 --> 00:40:58,206 かなり手の込んだ 作業になった 598 00:40:54,327 --> 00:40:58,456 {\an8}アニマティクス 599 00:40:58,873 --> 00:41:02,251 単にCGショットを 作るのでなく—— 600 00:41:02,377 --> 00:41:05,797 ILMは物語を 作ろうとしていた 601 00:41:06,047 --> 00:41:09,592 それまでは 物語を知らないまま—— 602 00:41:09,926 --> 00:41:12,929 言われたショットを 作っていた 603 00:41:13,054 --> 00:41:14,806 でも“ランゴ〟では—— 604 00:41:14,931 --> 00:41:20,311 どういうシーンか考えようと 彼らに伝えた 605 00:41:20,436 --> 00:41:24,607 ゴアは家族的な雰囲気で 制作したいと考えた 606 00:41:25,108 --> 00:41:29,654 アーティストを 家族の一員として迎え入れ 607 00:41:29,779 --> 00:41:34,242 “一緒に映画を作ろう〟と 声をかけた 608 00:41:34,450 --> 00:41:37,245 徹底的に話し合ったよ 609 00:41:37,662 --> 00:41:42,291 キャラクターの背景や 物語についてね 610 00:41:42,417 --> 00:41:46,754 すべてのキャラクターに 物語がある 611 00:41:46,879 --> 00:41:50,675 そういったことを アニメーターと話し合って—— 612 00:41:50,800 --> 00:41:53,094 1つの家族になったんだ 613 00:41:53,219 --> 00:41:56,180 私にとって 彼らは俳優だよ 614 00:41:56,764 --> 00:41:59,600 {\an8}宇宙人が 父さんを帰すまで—— 615 00:41:57,056 --> 00:42:02,645 アニメーター ジャコブ・ピステッキー マイア・キイゼル 616 00:41:59,726 --> 00:42:02,020 {\an8}牧場は売らない 617 00:42:02,770 --> 00:42:03,479 何? 618 00:42:03,604 --> 00:42:04,313 何だ? 619 00:42:04,439 --> 00:42:05,440 そっちこそ 620 00:42:05,565 --> 00:42:09,360 彼らも初めての挑戦を 楽しんでいた 621 00:42:09,610 --> 00:42:13,698 自分たちが物語を 伝えているという感覚を—— 622 00:42:14,365 --> 00:42:16,242 初めて手にしたんだ 623 00:42:18,244 --> 00:42:23,207 僕らは長年 リアルに 描くことに注力してきた 624 00:42:23,332 --> 00:42:27,003 それがこの作品と うまくマッチした 625 00:42:27,128 --> 00:42:31,215 キャラクターは アニメーションだが—— 626 00:42:31,340 --> 00:42:35,678 例えば木は 本物の木のように描いた 627 00:42:35,845 --> 00:42:41,309 さび・・もアニメーション的でなく リアルに描いた 628 00:42:42,101 --> 00:42:46,439 私の仕事は ダートタウンの外観を—— 629 00:42:46,564 --> 00:42:48,941 監修することだった 630 00:42:49,192 --> 00:42:52,904 そこにはいろんな生き物が 住んでるの 631 00:42:49,942 --> 00:42:54,030 “ランゴ〟 ゴア・ヴァービンスキー 2011年 632 00:42:53,029 --> 00:42:56,949 参考となる資料を 用意してくれたのが—— 633 00:42:57,075 --> 00:43:00,036 ティム・アレクサンダーだった 634 00:43:00,161 --> 00:43:02,705 彼が言うには一番の資料は—— 635 00:43:02,872 --> 00:43:06,000 “ゼア・ウィル・ビー・ ブラッド〟だと 636 00:43:06,250 --> 00:43:08,753 真昼の灼熱しゃくねつの太陽が—— 637 00:43:06,250 --> 00:43:13,049 {\an8}“ゼア・ウィル・ビー・ ブラッド〟 ポール・トーマス・ アンダーソン 2007年 638 00:43:08,878 --> 00:43:13,549 キャラクターたちを じりじりと焦がす 639 00:43:13,674 --> 00:43:16,969 自然も建物もすべてね 640 00:43:17,095 --> 00:43:20,056 ゴアのビジョンを 映像化するべく—— 641 00:43:20,181 --> 00:43:23,643 ディテールまでこだわったわ 642 00:43:23,768 --> 00:43:28,606 でも こだわりすぎて 手に負えなくなり—— 643 00:43:28,731 --> 00:43:33,444 アニメーターたちも 限界が来てしまった 644 00:43:33,653 --> 00:43:36,781 そこで一旦 作業をストップして—— 645 00:43:36,906 --> 00:43:40,326 建物の作りを そろえることにした 646 00:43:40,451 --> 00:43:45,665 それで各建物のディテールの 付け替えが楽になり—— 647 00:43:45,790 --> 00:43:51,754 形やテクスチャにかける作業も 効率化した 648 00:43:52,213 --> 00:43:56,843 セリフの収録も ゴアの考えが反映された 649 00:43:57,176 --> 00:44:01,556 1人1人 個別に収録するのではなく—— 650 00:44:01,681 --> 00:44:05,434 俳優たちがやり取りする形で 収録した 651 00:44:05,810 --> 00:44:09,689 カメラや小道具まで用意したよ 652 00:44:10,773 --> 00:44:14,360 すると生きたやり取りが 生まれる 653 00:44:14,485 --> 00:44:15,736 よかったわよ 654 00:44:15,862 --> 00:44:17,572 のどが詰まってた 655 00:44:17,697 --> 00:44:19,323 まさか本当に... 656 00:44:19,448 --> 00:44:21,200 小道具の弾丸を? 657 00:44:21,325 --> 00:44:22,994 のみ込んだ 658 00:44:23,119 --> 00:44:27,248 ゴアには なじみのある 映画の撮影現場と同じだ 659 00:44:27,373 --> 00:44:29,041 そうやって収録するのを—— 660 00:44:29,167 --> 00:44:34,297 エモーション・・・・・・キャプチャーと 冗談半分で呼んだ 661 00:44:34,422 --> 00:44:39,468 衣装を着て バカげたノリで 収録したんだ 662 00:44:39,594 --> 00:44:44,182 マダム・エマニエルの ダンスと芝居の旅一座! 663 00:44:44,348 --> 00:44:45,057 何だって? 664 00:44:45,183 --> 00:44:46,309 エマニエル! 665 00:44:46,434 --> 00:44:47,185 エマニエル? 666 00:44:47,685 --> 00:44:49,729 革新を目指したのでなく—— 667 00:44:49,896 --> 00:44:53,566 ゴアにとっては 慣れたやり方だったんだ 668 00:44:53,691 --> 00:44:58,821 CGと実写の ハイブリッドのようなやり方だ 669 00:44:59,071 --> 00:45:01,532 “ランゴ〟は楽しかった 670 00:45:02,033 --> 00:45:06,454 型どおりの アニメーション映画じゃない 671 00:45:06,579 --> 00:45:12,376 写実的な描写と スタイリッシュなビジュアルが 672 00:45:12,501 --> 00:45:16,547 奇妙に混ざり合った映画だった 673 00:45:16,672 --> 00:45:21,844 ピクサーともディズニーとも イルミネーションとも違う 674 00:45:22,094 --> 00:45:24,972 独特の姿の動物たちだった 675 00:45:25,264 --> 00:45:29,393 アニメーターたちが その才能を発揮してくれた 676 00:45:30,102 --> 00:45:33,648 ILMの魔法というのは—— 677 00:45:34,106 --> 00:45:35,983 物語を語ることだ 678 00:45:48,871 --> 00:45:52,625 {\an8}ここには かつてILMがあって 679 00:45:50,915 --> 00:45:54,502 “オプティカル・ リサーチ・ラボ〟 680 00:45:55,211 --> 00:45:56,921 魔法を生んでいた 681 00:46:02,843 --> 00:46:05,513 {\an8}製作 ローズ・ドゥイニャン 682 00:46:03,261 --> 00:46:05,513 プレシディオに 移った時も—— 683 00:46:06,055 --> 00:46:08,391 モデルショップはここに残った 684 00:46:09,517 --> 00:46:13,104 ILMからの依頼も 引き受け—— 685 00:46:13,813 --> 00:46:15,731 “パイレーツ・オブ・ カリビアン〟や—— 686 00:46:15,898 --> 00:46:17,984 “トランスフォーマー〟の 仕事をした 687 00:46:17,483 --> 00:46:19,235 {\an8}“トランスフォーマー〟 マイケル・ベイ 2007年 688 00:46:19,902 --> 00:46:23,906 でも売り上げは減っていった 2000万 1000万 500万... 689 00:46:24,031 --> 00:46:29,078 そしてこう言ったの “残念だけど閉めるしかない〟 690 00:46:29,328 --> 00:46:33,708 2013年 ILMが プレシディオに移って17年後 691 00:46:33,833 --> 00:46:38,838 カーナーに残された モデルショップは閉鎖した 692 00:46:43,134 --> 00:46:45,219 たくさんの思い出がある 693 00:46:45,886 --> 00:46:48,764 ここでいろんなものを撮った 694 00:46:49,515 --> 00:46:53,686 そしてついに お別れパーティーよ 695 00:47:03,195 --> 00:47:04,030 元気かい? 696 00:47:06,532 --> 00:47:09,618 ジョージに言ったんだ 697 00:47:18,419 --> 00:47:23,716 {\an8}「帝国の逆襲」の撮影が 終わった1978年に 698 00:47:20,338 --> 00:47:24,675 映画監督 ジョー・ジョンストン 699 00:47:23,841 --> 00:47:27,803 {\an8}ここに木箱が届いたんだ 700 00:47:27,928 --> 00:47:31,640 中身はボバ・フェットの 真っ白なスーツだった 701 00:47:31,766 --> 00:47:34,643 ラルフと私で デザインしてたんだ 702 00:47:34,977 --> 00:47:39,106 ジェーン・ベイの所に行って 塗装したいと言うと—— 703 00:47:39,231 --> 00:47:41,192 鍵を渡された 704 00:47:41,317 --> 00:47:46,864 ジョージが借りた カーナー通りの建物なら—— 705 00:47:47,073 --> 00:47:49,700 まだ空からだから好きに使えると 706 00:47:50,159 --> 00:47:54,121 そして“ライト&マジック〟 シーズン2の—— 707 00:47:54,246 --> 00:48:00,336 最後のインタビューを つい先日 ここで撮り終えた 708 00:48:01,003 --> 00:48:04,924 別れを告げるには いいタイミングだ 709 00:48:05,299 --> 00:48:10,679 君たちやその前にここで 働いた人々の作った作品は—— 710 00:48:11,263 --> 00:48:13,307 永遠に残るだろう 711 00:48:13,432 --> 00:48:18,562 映画館のスクリーンや テレビの画面にね 712 00:48:18,813 --> 00:48:22,650 ここはまさに我々の聖地だ 713 00:48:22,775 --> 00:48:24,527 感謝してるよ 714 00:48:25,778 --> 00:48:29,407 “ILMカーナー〟 君と知り合えてよかった 715 00:48:29,573 --> 00:48:30,741 ありがとう 716 00:48:38,165 --> 00:48:43,045 ILMの精神は 私たちの中で生きている 717 00:48:44,130 --> 00:48:48,008 よりよいものを作る努力を 惜しまず—— 718 00:48:48,134 --> 00:48:52,847 仕事をする時には 常に変化と進化を求めた 719 00:48:54,056 --> 00:48:55,850 どう取り組むのか? 720 00:48:57,560 --> 00:49:00,354 どう才能を生かすのかとね 721 00:49:00,813 --> 00:49:03,858 そして限界を押し広げた 722 00:49:05,151 --> 00:49:07,403 ジョージはこう言ってた 723 00:49:08,028 --> 00:49:12,283 “ILMは不可能なことに 取り組む会社だ〟 724 00:49:12,533 --> 00:49:16,704 そして僕らは 不可能に挑戦してきた 725 00:49:17,079 --> 00:49:19,373 ILMに誇りを持っている 726 00:49:19,790 --> 00:49:23,669 ここには確かな文化が 根づいていたし—— 727 00:49:23,961 --> 00:49:27,214 それは永遠に残るものよ 728 00:49:27,840 --> 00:49:30,968 ジョージといえば “スター・ウォーズ〟だ 729 00:49:32,678 --> 00:49:35,014 彼は“スター・ウォーズ〟と—— 730 00:49:35,181 --> 00:49:37,725 “インディ・ジョーンズ〟の 生みの親だ 731 00:49:37,850 --> 00:49:41,520 同時に彼は 革新的な技術を開発してきた 732 00:49:41,770 --> 00:49:46,442 THXサウンドは 映画に革新をもたらした 733 00:49:47,943 --> 00:49:50,321 ノンリニア編集機も... 734 00:49:50,446 --> 00:49:51,906 横向きに 735 00:49:52,156 --> 00:49:55,034 ジョージ・ルーカスが開発した 736 00:49:55,159 --> 00:49:57,995 ピクサーはILMから生まれた 737 00:49:58,120 --> 00:50:01,123 無限のかなたへ! 738 00:50:01,290 --> 00:50:06,128 今のトレンドは AIとリアルタイムね 739 00:50:06,795 --> 00:50:10,424 それらの技術が どんな変化をもたらすのか—— 740 00:50:10,549 --> 00:50:12,968 興味深く見守ってる 741 00:50:14,136 --> 00:50:18,807 AIが大きな役割を果たすのは 間違いない 742 00:50:18,933 --> 00:50:24,355 これまでとは全く違った アプローチになるだろう 743 00:50:24,480 --> 00:50:28,108 でも劇的な変化を もたらすのは—— 744 00:50:28,234 --> 00:50:34,240 テクノロジーや ブレイクスルーではないの 745 00:50:35,115 --> 00:50:38,369 ILMの持つ宝は人材よ 746 00:50:39,370 --> 00:50:42,581 37年前 僕がここに 足を踏み入れると—— 747 00:50:42,706 --> 00:50:45,501 誰もが歓迎してくれた 748 00:50:48,045 --> 00:50:51,924 すばらしい才能を持った人々が そこにはいた 749 00:50:52,883 --> 00:50:56,845 彼らの仕事ぶりを 注意深く観察し—— 750 00:50:56,971 --> 00:51:02,476 正しい質問をぶつけたから ここが僕の居場所になった 751 00:51:02,726 --> 00:51:06,313 ILMに貢献してくれた人々 752 00:51:07,356 --> 00:51:13,112 すばらしい仕事を してくれた人々に感謝したい 753 00:51:13,237 --> 00:51:16,198 僕を迎え入れてくれて ありがとう 754 00:51:21,704 --> 00:51:27,835 これほど多くのことを 学べる学校はなかった 755 00:51:30,963 --> 00:51:36,427 僕にできる恩返しは すばらしいものを作り続け—— 756 00:51:36,760 --> 00:51:41,890 次の世代が僕を超えることを 願うことだ 757 00:53:33,127 --> 00:53:35,129 日本語字幕 森澤 海郎