1 00:00:27,527 --> 00:00:29,654 スヴァールバル 2 00:00:30,113 --> 00:00:34,993 北極圏の奥深くに位置する諸島 3 00:00:40,999 --> 00:00:43,418 ここは        ホッキョクグマの楽園 4 00:00:44,669 --> 00:00:50,717 そして野心的なホッキョクグマの 映画が撮影される場所      5 00:00:52,635 --> 00:00:58,308 ディズニーネイチャーは    世界最高の撮影スタッフを集め 6 00:00:58,767 --> 00:01:03,605 この謎に包まれた動物の 撮影に挑みます     7 00:01:09,778 --> 00:01:15,950 撮影チームは3年以上に渡り 何千キロもの距離を移動   8 00:01:17,327 --> 00:01:21,831 マイナス40度以下の  気温に立ち向かいます 9 00:01:21,956 --> 00:01:27,170 現場にいなければ    想像できない過酷さです 10 00:01:27,921 --> 00:01:32,634 まさに忍耐の限界を 試されます     11 00:01:33,927 --> 00:01:37,806 しかも試練は   年々増えるばかり 12 00:01:39,474 --> 00:01:42,977 ここは温暖化が 急速に進む場所 13 00:01:45,980 --> 00:01:48,316 氷が失われゆく世界に 14 00:01:48,399 --> 00:01:54,656 ホッキョクグマもクルーも  どう適応していくのでしょう 15 00:02:19,264 --> 00:02:23,309 大自然が広がる スヴァールバル 16 00:02:25,812 --> 00:02:29,023 野生動物の大事な繁殖地です 17 00:02:33,736 --> 00:02:37,448 10代の頃          スヴァールバルが憧れでした 18 00:02:37,532 --> 00:02:40,577 唯一無二の環境です 19 00:02:43,163 --> 00:02:46,875 他では体験できないことばかり 20 00:02:46,958 --> 00:02:49,252 巨大な氷河もあるし 21 00:02:47,500 --> 00:02:50,962 映像カメラマン ロルフ・シュタインマン 22 00:02:49,335 --> 00:02:52,380 広大な雪と氷の 空間もある 23 00:02:52,463 --> 00:02:54,465 おとぎ話の世界 24 00:02:55,091 --> 00:02:58,678 そしてホッキョクグマの王国 25 00:03:06,060 --> 00:03:08,354 地球の最北端に位置し 26 00:03:08,438 --> 00:03:14,068 ノルウェーと北極点をつなぐ 北極海に浮かぶ諸島     27 00:03:17,113 --> 00:03:23,411 島々を囲む海は冬になると凍り 海氷が幾重にも重なります   28 00:03:26,080 --> 00:03:31,294 300頭いるホッキョクグマの 絶好の狩場        29 00:03:35,006 --> 00:03:37,884 多くの課題があります 30 00:03:38,468 --> 00:03:43,681 広大な環境で彼らを見つけ 安全に撮影する 31 00:03:39,510 --> 00:03:43,139 陸上ロジスティクスリード オスカー・ストロム 32 00:03:44,224 --> 00:03:48,186 まずは安全な厚さの氷を 探します        33 00:03:49,312 --> 00:03:54,275 ホッキョクグマの撮影には 海氷が重要です      34 00:03:58,988 --> 00:04:02,617 ロングイェールビーン 35 00:04:03,034 --> 00:04:10,458 地球最北端の町で2年間 撮影キャンプを計画   36 00:04:10,875 --> 00:04:12,543 そう いいね 37 00:04:12,669 --> 00:04:17,548 このような試みは    過去に例がありませんが 38 00:04:17,882 --> 00:04:22,679 シーズン中の3~4ヵ月は 滞在するつもりです    39 00:04:22,929 --> 00:04:27,016 そのためには        大規模なキャビンが必要です 40 00:04:27,100 --> 00:04:29,686 昨年から計画してきました 41 00:04:30,812 --> 00:04:32,230 すべてを準備します 42 00:04:32,313 --> 00:04:35,400 機材に10人分の宿泊場所 43 00:04:35,608 --> 00:04:37,986 シャワーやトイレも 44 00:04:38,069 --> 00:04:40,863   人員 食料 燃料 水—— 45 00:04:40,947 --> 00:04:45,660 どれも補給の必要がなく 町に戻らずに済む    46 00:04:45,743 --> 00:04:48,621 環境への影響も減ります 47 00:04:48,705 --> 00:04:52,333 シーズン中は極力   外で過ごしたいんです 48 00:04:56,254 --> 00:04:58,464 設計は完璧ですが 49 00:04:58,548 --> 00:05:03,678 ホッキョクグマの生息地に 設置するのは大変です   50 00:05:05,888 --> 00:05:08,891 この重いソリを使います 51 00:05:07,473 --> 00:05:11,853 ジェイソン・ロバーツ ロジスティクス部門長 52 00:05:08,975 --> 00:05:13,021 けん引は ブルドーザーや圧雪車 53 00:05:13,604 --> 00:05:18,609 上には断熱性が高い バラックを置きます 54 00:05:18,693 --> 00:05:23,656 テントだと暖房に    大量の燃料を消費します 55 00:05:23,740 --> 00:05:26,409 断熱性が低いからです 56 00:05:26,784 --> 00:05:29,495 これなら暖かく快適 57 00:05:29,579 --> 00:05:33,499 ホッキョクグマからも身を守れ 安全に過ごせます       58 00:05:33,583 --> 00:05:35,126 そのまま 59 00:05:39,297 --> 00:05:43,301 2月 60 00:05:44,427 --> 00:05:49,766 数年間の計画を経て     いよいよ出発の時を迎えます 61 00:06:08,284 --> 00:06:11,954 道路は全部で    40キロメートルほど 62 00:06:12,455 --> 00:06:14,749 舗装はすぐに途切れます 63 00:06:24,425 --> 00:06:29,680 大自然の中 輸送車は  100キロメートル以上も 64 00:06:29,764 --> 00:06:32,642 困難な地形を走るのです 65 00:06:56,207 --> 00:07:02,255 このルートのきわどい部分に 向かっているようです    66 00:07:03,172 --> 00:07:06,092 水っぽくなってきました 67 00:07:07,552 --> 00:07:09,637 氷河からの大量の水で 68 00:07:09,720 --> 00:07:13,975 この辺りは       他の場所よりも厄介です 69 00:07:15,601 --> 00:07:16,894 様子を見よう 70 00:07:23,401 --> 00:07:27,155 最悪の事態が迫っています 71 00:07:28,573 --> 00:07:31,451 これは大ごとになりました 72 00:07:33,619 --> 00:07:39,125 50トンの機材が水につかって 立ち往生しています     73 00:07:40,293 --> 00:07:43,963 人生最悪の夜と言うほかない 74 00:07:44,046 --> 00:07:46,340 こんな夜は初めてです 75 00:07:47,008 --> 00:07:50,303 ここはマイナス25度 76 00:07:50,553 --> 00:07:53,264 雪泥せつでいにいる時間が長引けば 77 00:07:53,347 --> 00:07:56,392 そのまま凍る可能性も 78 00:07:57,643 --> 00:08:01,063 脱出に          数週間かかるかもしれない 79 00:08:01,147 --> 00:08:06,402 凍らせて チェーンソーで 切りましょう      80 00:08:07,403 --> 00:08:09,155 人生は楽じゃない 81 00:08:10,448 --> 00:08:13,242 特にホッキョクグマの撮影は 82 00:08:14,327 --> 00:08:18,498 凍結が始まりました  時間は刻々と過ぎます 83 00:08:20,708 --> 00:08:24,086 2~3センチ凍りました 84 00:08:25,004 --> 00:08:27,131 けん引車が動けるうちに 85 00:08:27,215 --> 00:08:31,302 ソリに長いロープを 取り付けます    86 00:08:32,386 --> 00:08:35,056 今しかありません 87 00:08:46,150 --> 00:08:47,902 よし いけるぞ 88 00:08:58,120 --> 00:09:01,374 奇跡です     うまくいくなんて 89 00:09:07,171 --> 00:09:09,215 最後のソリです 90 00:09:16,055 --> 00:09:20,977 再び軌道に乗って  極夜を走り続けます 91 00:09:26,649 --> 00:09:29,277 10日間の旅を終え 92 00:09:29,694 --> 00:09:32,238 ついに目的地に到着です 93 00:09:35,074 --> 00:09:36,200 着きました 94 00:09:37,577 --> 00:09:40,329 最高の日です 最高 95 00:09:41,455 --> 00:09:45,585 これから3か月    ここが撮影の拠点です 96 00:09:46,168 --> 00:09:49,505 オスカーは装備を確認します 97 00:09:52,925 --> 00:09:54,260 これはいい 98 00:09:55,761 --> 00:09:57,138 クッキーだ 99 00:09:57,555 --> 00:09:58,598 たくさんある 100 00:10:00,558 --> 00:10:05,813 キャビンはホッキョクグマから クルーを守り         101 00:10:06,480 --> 00:10:09,233 必要なすべてを備えます 102 00:10:09,859 --> 00:10:11,444 “ロルフ〟 103 00:10:10,151 --> 00:10:13,696 さて ここが僕の小さな城です 104 00:10:14,405 --> 00:10:15,448 どうぞ 105 00:10:17,325 --> 00:10:21,162 狭く感じるかもしれないけど 十分です          106 00:10:21,245 --> 00:10:22,913 快適なベッド 107 00:10:23,414 --> 00:10:26,125 ここには本のコレクション 108 00:10:26,417 --> 00:10:29,253 あとは生きるのに必要なもの 109 00:10:29,754 --> 00:10:34,675 現場は寒いから      大切なのは暖かいことです 110 00:10:34,759 --> 00:10:36,093 それ以外は贅沢ぜいたく 111 00:10:36,177 --> 00:10:40,139 今あるもので満足しています 112 00:10:43,225 --> 00:10:46,103 こっちはバスルームです 113 00:10:46,187 --> 00:10:51,067 全員が週に一度        短めのシャワーを浴びられます 114 00:10:51,150 --> 00:10:54,987 これは すべてを燃やす 魔法のトイレです   115 00:10:55,071 --> 00:10:57,073 灰しか残りません 116 00:10:57,156 --> 00:11:00,409 極めて環境に優しい設備 117 00:11:00,493 --> 00:11:07,041 必要なのは清潔でいることと 幸せでいることだと思います 118 00:11:08,834 --> 00:11:11,337 キャビンは完璧な拠点です 119 00:11:13,005 --> 00:11:16,676 ホッキョクグマは    何百キロも移動するため 120 00:11:16,759 --> 00:11:19,720 クルーもそれを追います 121 00:11:23,015 --> 00:11:24,141 いい? 122 00:11:29,355 --> 00:11:33,275 ガイドのオスカーは キャリア15年    123 00:11:33,359 --> 00:11:36,612 その経験が     皆の安全を守ります 124 00:11:45,830 --> 00:11:51,001 地球上で最も人里離れた 土地に挑みます     125 00:12:15,443 --> 00:12:19,530 ここから        700メートルほど登ります 126 00:12:20,364 --> 00:12:23,909 テーブルトップマウンテンから 127 00:12:24,452 --> 00:12:27,371 ホッキョクグマを探します 128 00:12:29,039 --> 00:12:32,042 一行は見晴らしの良い高台へ 129 00:12:34,086 --> 00:12:38,591 しかし 登るほどに   雪は深くなっていきます 130 00:12:40,134 --> 00:12:43,471 ついに 先に進めなくなります 131 00:12:49,185 --> 00:12:50,895 1 2 3 132 00:12:59,945 --> 00:13:02,907 オスカーは諦めていません 133 00:13:12,792 --> 00:13:17,463 この雪を切り抜けるのは 無理そうです      134 00:13:17,546 --> 00:13:18,964 迂回うかいしないと 135 00:13:19,381 --> 00:13:21,133 失敗かな 136 00:13:21,217 --> 00:13:23,969 まだまだ    もう一度やろう 137 00:13:37,691 --> 00:13:39,568 勝ったぞ! 138 00:13:42,279 --> 00:13:45,324 オスカーの    プライドが守られ 139 00:13:46,951 --> 00:13:48,911 チームは道に戻ります 140 00:13:54,792 --> 00:14:00,923 しかしクマは発見できず     海氷の外にいる探索チームに連絡 141 00:14:01,549 --> 00:14:02,758 こちらはオスカー 142 00:14:02,967 --> 00:14:05,177 今どこにいる? 143 00:14:06,762 --> 00:14:11,642 ディーパースタインで探索中 姿を発見した        144 00:14:12,017 --> 00:14:14,854 ホッキョクグマは1頭? 145 00:14:14,937 --> 00:14:18,816 少なくとも        ここから見えるのは1頭だ 146 00:14:19,191 --> 00:14:20,276 了解 147 00:14:20,359 --> 00:14:22,152 よし 行こう 148 00:14:48,888 --> 00:14:53,100 ホッキョクグマ探しは独特です 149 00:14:53,183 --> 00:14:55,811 目の前にあるのは 150 00:14:55,895 --> 00:14:58,022 広大な氷の景色 151 00:14:59,064 --> 00:15:01,233 その景色の中から 152 00:15:01,317 --> 00:15:06,113 こんなに小さく      黄色っぽい点を探すんです 153 00:15:06,697 --> 00:15:10,117 ホッキョクグマは 黄色っぽいので  154 00:15:10,200 --> 00:15:13,787 この景色からでも 見つけられます  155 00:15:16,081 --> 00:15:17,958 いませんね 156 00:15:24,298 --> 00:15:27,426 遭遇したときは感無量です 157 00:15:28,469 --> 00:15:31,597 魔法のように感じます 158 00:15:34,058 --> 00:15:38,437 ホッキョクグマとは   深いつながりを感じます 159 00:15:38,520 --> 00:15:42,149 僕はホッキョクグマタイプです 160 00:15:45,319 --> 00:15:46,737 個性的です 161 00:15:46,820 --> 00:15:49,657 氷の荒野で暮らし 162 00:15:49,740 --> 00:15:51,909 生き抜くことができます 163 00:15:56,246 --> 00:15:58,791 海氷にいる彼らを見れば 164 00:15:58,874 --> 00:16:02,544 そこが適切な環境だと 分かります      165 00:16:02,628 --> 00:16:06,423 ホッキョクグマは 海氷での生活にも 166 00:16:03,712 --> 00:16:08,509 スヴァールバル大学 海洋学者 ラグンハイト・スコグセト 167 00:16:06,507 --> 00:16:08,759 狩りにも 適応しています 168 00:16:08,842 --> 00:16:11,720 見ていてすばらしいものです 169 00:16:23,524 --> 00:16:26,777 そのすべてを伝えるため 170 00:16:26,860 --> 00:16:30,906 チームは映画制作を 進めていきました  171 00:16:32,491 --> 00:16:35,744 ホッキョクグマで 撮影が難しいのは 172 00:16:35,828 --> 00:16:37,955 母親といる子熊です 173 00:16:38,038 --> 00:16:39,999 特に その年の子熊 174 00:16:40,332 --> 00:16:44,044 つまり 冬に生まれたばかりの 子熊です          175 00:16:44,128 --> 00:16:48,590 もちろん         とても小さく弱いですから 176 00:16:48,799 --> 00:16:53,637 子熊を連れた母熊に  近づくのは ほぼ不可能 177 00:16:55,889 --> 00:17:00,602 3月 178 00:17:01,770 --> 00:17:03,022 春です 179 00:17:03,105 --> 00:17:09,069 母熊とその年の子熊が    巣穴から初めて姿を現します 180 00:17:10,863 --> 00:17:13,866 親子を撮影するチャンスです 181 00:17:14,908 --> 00:17:17,661 まずは巣穴を探します 182 00:17:20,831 --> 00:17:25,753 山を見上げ        とても小さな穴を探します 183 00:17:25,836 --> 00:17:31,258 穴の入口が開いていたら 周りに足跡が見つかる  184 00:17:31,759 --> 00:17:37,473 母熊は巣穴を開けると  子熊を海氷に降ろす前に 185 00:17:37,556 --> 00:17:41,560 体の動かし方などを 学ばせるからです  186 00:17:41,894 --> 00:17:45,189 適切なチャンスを見つけないと 187 00:17:47,232 --> 00:17:51,278 巣穴探しは          干し草から針を探すようなもの 188 00:17:52,237 --> 00:17:54,573 チームは助けを呼びます 189 00:18:00,162 --> 00:18:04,541 最先端のカメラを搭載した ヘリコプターです     190 00:18:04,917 --> 00:18:08,837 映像カメラマン エリカ・ティレン 191 00:18:10,130 --> 00:18:12,466 しばらくは高さを保って 192 00:18:12,758 --> 00:18:17,262 山に近づいたら     乗り越えるように上昇を 193 00:18:18,889 --> 00:18:20,432 いい眺めだ 194 00:18:23,435 --> 00:18:27,314 我々は海岸線に沿って 巣穴を探す      195 00:18:27,397 --> 00:18:30,818 地上班は       あそこで野営している 196 00:18:31,568 --> 00:18:33,529 あそこにいるよ 197 00:18:33,987 --> 00:18:36,031 素敵ね 快適そう 198 00:18:36,990 --> 00:18:42,204 上空から広大な荒野を 探索します      199 00:18:42,496 --> 00:18:46,208 私は山の尾根に注目して 巣穴を探す       200 00:18:49,378 --> 00:18:51,380 成果は すぐに現れます 201 00:18:54,967 --> 00:18:57,678 巣穴から続く足跡です 202 00:19:01,849 --> 00:19:06,520 母熊が巣穴を開けたばかりだと 黒い穴なので         203 00:19:06,603 --> 00:19:09,022 見つけるのは困難です 204 00:19:09,565 --> 00:19:13,777 でも外に出ると    クモの巣状の跡がつく 205 00:19:16,280 --> 00:19:21,869 巣穴から伸びる足跡は  すでに親子が去った証拠 206 00:19:24,121 --> 00:19:28,250 彼らにとって大事な季節は 春から初夏        207 00:19:28,333 --> 00:19:31,920 脂肪を蓄える時期だからです 208 00:19:32,296 --> 00:19:36,717 メスは何も食べずに 半年以上を過ごし 209 00:19:32,921 --> 00:19:38,135 ノルウェー極地研究所 ホッキョクグマ研究者 ヨン・アーシ 210 00:19:36,800 --> 00:19:39,386 子熊に乳を与えます 211 00:19:40,679 --> 00:19:47,060 重要なのは 巣穴を去って  すぐ食料を見つけられること 212 00:19:47,144 --> 00:19:52,149 子熊のために         母乳を出す必要があるからです 213 00:19:55,444 --> 00:19:58,322 見つけた巣穴は全部空っぽ 214 00:20:02,242 --> 00:20:06,705 しかし すぐに      移動中の家族を見つけます 215 00:20:09,458 --> 00:20:14,046 母熊は かなり空腹の状態で 子熊と巣穴を出ます    216 00:20:15,881 --> 00:20:20,928 だから すぐに海氷へ行き 食べ物を探すんです   217 00:20:22,638 --> 00:20:25,682 もし山での撮影を逃したら 218 00:20:25,766 --> 00:20:28,769 作戦を変えなくては いけません     219 00:20:29,269 --> 00:20:33,482 僕らも早く    海氷に降り立って 220 00:20:33,565 --> 00:20:36,318 先に行った家族を探さないと 221 00:20:36,443 --> 00:20:39,863 4月 222 00:20:41,657 --> 00:20:48,080 親子の姿を見失っても   ロルフは決して動じません 223 00:20:50,290 --> 00:20:53,252 僕は北極向きの人間です 224 00:20:53,335 --> 00:20:57,839 寒さも 雪や氷の美しさも 大好きです       225 00:20:58,173 --> 00:21:02,219 でも海氷の上で行う仕事に 226 00:21:02,636 --> 00:21:05,097 ミスは許されません 227 00:21:05,180 --> 00:21:08,558 ひとつのミスが命に関わる 228 00:21:08,976 --> 00:21:12,938 誰でもできる仕事では ありません      229 00:21:13,021 --> 00:21:18,443 うまくこなせるタイプでないと いけないんです        230 00:21:21,863 --> 00:21:26,785 オスカーは新しい装備を前に 張り切っています      231 00:21:28,662 --> 00:21:31,331 さあ 準備はできてる? 232 00:21:33,041 --> 00:21:37,504 サイドバイサイドという 特注の撮影車です    233 00:21:39,548 --> 00:21:44,803 特殊なカメラを搭載し 動く被写体でも    234 00:21:44,886 --> 00:21:47,306 ぶれずに撮影できます 235 00:21:47,389 --> 00:21:51,768 長距離の撮影にも 対応しています  236 00:22:04,448 --> 00:22:06,283 アザラシが多くいます 237 00:22:06,366 --> 00:22:09,453 ホッキョクグマ探しには うってつけです     238 00:22:10,662 --> 00:22:13,206 アザラシは最高の食料です 239 00:22:13,290 --> 00:22:16,376 特に外側の脂肪が 240 00:22:17,252 --> 00:22:22,424 晩春から初夏にかけては アザラシ猟のシーズン  241 00:22:22,507 --> 00:22:24,968 その間に脂肪を蓄えます 242 00:22:25,594 --> 00:22:30,849 彼らは食事から体脂肪を 蓄える能力が高いので  243 00:22:30,932 --> 00:22:32,851 アザラシは最適です 244 00:22:34,478 --> 00:22:37,230 理想は週に1頭食べること 245 00:22:38,106 --> 00:22:41,485 アザラシは息継ぎで 氷の上に出ます   246 00:22:41,568 --> 00:22:44,112 氷の穴はそのためです 247 00:22:44,196 --> 00:22:48,241 ホッキョクグマは    その呼吸穴を見つけます 248 00:22:48,867 --> 00:22:54,706 それから穴の近くで    音を立てずに待ち続けます 249 00:22:57,000 --> 00:22:59,878 15時間も立っていられます 250 00:22:59,961 --> 00:23:03,090 手足ひとつ動かさずに 251 00:23:03,965 --> 00:23:08,345 アザラシは物音が聞こえたら 出てきません        252 00:23:09,471 --> 00:23:13,266 じっと待っている方が 効率的です      253 00:23:13,809 --> 00:23:16,478 エネルギーも消費しない 254 00:23:25,278 --> 00:23:30,075 穴に寄りかかって眠り アザラシが現れたら  255 00:23:30,158 --> 00:23:33,662 飛び起きて       捕まえる方法もあります 256 00:23:38,250 --> 00:23:42,712 でも海氷の環境は 変わりやすい   257 00:23:42,796 --> 00:23:46,258 私たちも ここで 過ごしていますが 258 00:23:46,800 --> 00:23:49,719 海氷は日々 変化しています 259 00:23:55,517 --> 00:23:58,937 私たちの         可愛いサイドバイサイドが 260 00:23:59,312 --> 00:24:02,816 雪と水に埋もれて 出られません   261 00:24:07,779 --> 00:24:11,116 海氷独特の現象に はまりました   262 00:24:11,199 --> 00:24:16,705 この下に また厚い氷があって 水が溜まっています     263 00:24:16,788 --> 00:24:20,500 その上に         分厚い雪が積もっています 264 00:24:20,584 --> 00:24:23,253 どうしたら脱出できるか 265 00:24:29,384 --> 00:24:32,971 助けが来たのは  夜中の1時でした 266 00:24:45,317 --> 00:24:51,490 状況の早い変化は    常に作業を困難にします 267 00:24:51,573 --> 00:24:55,911 しかも 変化は       以前より激しくなっています 268 00:25:00,499 --> 00:25:06,671 スヴァールバルの平均気温は 50年前より4度上昇しました 269 00:25:09,633 --> 00:25:11,676 スヴァールバルでは 270 00:25:11,760 --> 00:25:17,307 風のパターンや気象が   以前とは少し変化しました 271 00:25:18,391 --> 00:25:23,730 これが周辺の気団に  大きく影響しています 272 00:25:23,813 --> 00:25:31,571 そのため ここの気温は  短期間で劇的に変わります 273 00:25:31,655 --> 00:25:35,659 たった数日で   30度変わることも 274 00:25:41,748 --> 00:25:44,918 今日は馬鹿みたいな気分です 275 00:25:46,586 --> 00:25:52,425 事務所にカナダグースの服を 送ってもらいました     276 00:25:53,176 --> 00:25:58,306 とても暖かいけれど   今日は気温がすごく高い 277 00:25:58,890 --> 00:26:03,853 先週は         マイナス35度だったのに 278 00:26:03,937 --> 00:26:07,232 今は どれくらいだろう 279 00:26:09,234 --> 00:26:11,361 0度くらいかな 280 00:26:13,697 --> 00:26:17,284 真っ白で      方向が分かりません 281 00:26:17,993 --> 00:26:23,164 吹雪で視界が悪くなり 撮影に支障が出ます  282 00:26:25,834 --> 00:26:29,296 何が撮れるか     まったく分かりません 283 00:26:29,921 --> 00:26:32,132 常にホワイトアウトです 284 00:26:32,882 --> 00:26:35,010 ホッキョクグマもいない 285 00:26:35,594 --> 00:26:40,724 環境は気まぐれで    良い方には変わりません 286 00:26:41,433 --> 00:26:45,395 もっと気温が下がらないと 287 00:26:46,771 --> 00:26:49,441 そうすれば 空が澄む 288 00:26:49,524 --> 00:26:51,860 天候も安定する 289 00:26:53,903 --> 00:27:00,452 ホッキョクグマの仕事は難しく 浮き沈みが激しいもの     290 00:27:01,453 --> 00:27:07,208 でも それに対処できるのは ホッキョクグマの仕事に  291 00:27:07,292 --> 00:27:10,170 魔法がつきものだからです 292 00:27:16,760 --> 00:27:21,640 そう遠くないところで 目撃情報がありました 293 00:27:21,723 --> 00:27:24,934 まさに今 見つけたようです 294 00:27:28,647 --> 00:27:31,900 ホッキョクグマは よく眠ります   295 00:27:34,361 --> 00:27:39,282 だから いつ見ても 面白いわけじゃない 296 00:27:42,285 --> 00:27:44,579 撮影に時間がかかります 297 00:27:46,790 --> 00:27:49,042 態勢を変えたぞ 298 00:27:49,751 --> 00:27:53,004 今の見た?    頭の位置を変えた 299 00:27:53,088 --> 00:27:55,715 あっちからこっちに 300 00:27:57,717 --> 00:27:59,594 ロルフは飽きません 301 00:28:03,765 --> 00:28:06,518 これは興奮してる姿です 302 00:28:15,694 --> 00:28:19,072 ついに忍耐が実を結びます 303 00:28:32,502 --> 00:28:39,426 空撮担当のフロリアンは    ドローンで違う視点から撮影を 304 00:28:41,052 --> 00:28:43,221 光がすばらしい 305 00:28:44,889 --> 00:28:48,977 今は白夜で      一晩中 真っ赤なんです 306 00:28:49,060 --> 00:28:50,937 見事ですよ 307 00:28:51,563 --> 00:28:53,565 北極の魅力です 308 00:28:55,066 --> 00:28:59,654 これから夏が終わるまで 太陽は沈みません    309 00:29:00,280 --> 00:29:05,076 日の光があるので   いつでも撮影できます 310 00:29:05,702 --> 00:29:08,747 それぞれのクマに個性が 311 00:29:08,830 --> 00:29:10,999 予測がつきません 312 00:29:11,249 --> 00:29:14,794 2頭いたら興奮も倍増します 313 00:29:21,968 --> 00:29:23,011 見て 314 00:29:26,848 --> 00:29:28,892 2頭は愛し合っています 315 00:29:34,898 --> 00:29:39,819 最高の水たまりを見つけて 滑っています       316 00:29:53,208 --> 00:29:54,793 楽しんでいます 317 00:29:56,961 --> 00:30:00,131 氷に穴を開けているのか 318 00:30:00,215 --> 00:30:01,841 見事です 319 00:30:05,595 --> 00:30:08,056 1頭が氷の下を泳ぎ 320 00:30:08,139 --> 00:30:12,852 もう1頭が追って     氷を突き破ろうとしている 321 00:30:14,187 --> 00:30:15,980 他愛ない遊びです 322 00:30:16,356 --> 00:30:20,485 これを見られるなんて 最高の幸運ですよ   323 00:30:26,241 --> 00:30:28,868 本当に幸せそうです 324 00:30:41,589 --> 00:30:42,882 さあ 来た 325 00:30:43,716 --> 00:30:48,513 後ろ足で立ち上がり 取っ組み合いを   326 00:30:48,596 --> 00:30:53,268 でも後ろ足がからまって 倒れてしまいます    327 00:31:02,819 --> 00:31:08,575 とても美しいけれど     危険な肉食動物でもあります 328 00:31:10,994 --> 00:31:14,998 撮影では         安全の確保が欠かせません 329 00:31:19,294 --> 00:31:24,173 極力 近づきたいけれど ふと気づくんです   330 00:31:24,257 --> 00:31:30,221 私たちが 獲物として 見られていることに 331 00:31:31,598 --> 00:31:34,976 ロルフ 後ろに下がって 332 00:31:42,317 --> 00:31:44,277 僕らよりも速い 333 00:31:51,242 --> 00:31:53,745 安全に撮影するために 334 00:31:53,828 --> 00:31:58,458 近づいてきたら        逃げられるようにしておきます 335 00:32:02,879 --> 00:32:05,924 幸い        逃げずに済みました 336 00:32:06,007 --> 00:32:10,094 クルーより         お互いに興味があるようです 337 00:32:16,851 --> 00:32:21,773 2週間 2人は       メスのホッキョクグマを観察 338 00:32:26,235 --> 00:32:30,949 メスはすぐに         年上の大きなオスと親しい仲に 339 00:32:35,370 --> 00:32:39,707 ホッキョクグマは ロマンチックです 340 00:32:39,791 --> 00:32:45,713 時間をかけて ゆっくりと お互いを理解します   341 00:32:46,422 --> 00:32:49,550 観察していて   美しさを感じます 342 00:33:14,951 --> 00:33:20,707 私たちがたった今 観察したものは  343 00:33:20,790 --> 00:33:25,837 ホッキョクグマの       新たな世代の誕生を意味します 344 00:33:26,379 --> 00:33:29,507 美しいニュースだと思います 345 00:33:34,220 --> 00:33:37,390 すばらしい映像を捉えました 346 00:33:40,184 --> 00:33:43,354 海氷に戻った親子を 見つけるのに    347 00:33:43,438 --> 00:33:47,567 新たな努力をするときが やってきます      348 00:34:18,806 --> 00:34:20,683 順調です 349 00:34:21,267 --> 00:34:25,396 海氷まで1キロで     親子は氷河の手前にいます 350 00:34:25,480 --> 00:34:26,981 良い状況です 351 00:34:27,065 --> 00:34:29,984 ただ車が故障しました 352 00:34:30,860 --> 00:34:36,199 部品がなければ       現代の技術も役に立ちません 353 00:34:38,618 --> 00:34:42,622 幸い オスカーは    予備を準備していました 354 00:34:44,957 --> 00:34:49,045 バンドヴァグンという 80年代の軍用車で   355 00:34:49,128 --> 00:34:50,296 別名BV 356 00:34:53,716 --> 00:34:55,384 毎日 問題だらけ 357 00:34:55,718 --> 00:34:57,095 問題以外ない 358 00:35:01,516 --> 00:35:06,437 故障車を拠点までけん引した バンドヴァグンが戻り    359 00:35:06,521 --> 00:35:10,024 新たな撮影車両に昇格しました 360 00:35:18,866 --> 00:35:20,493 正念場です 361 00:35:21,160 --> 00:35:23,830 やってみましょう 362 00:35:24,831 --> 00:35:26,124 うまくいった 363 00:35:26,999 --> 00:35:29,168 撮影再開です 364 00:35:29,252 --> 00:35:33,798 しかし機材が載ったBVは 5トンを超えます     365 00:35:35,550 --> 00:35:36,759 運試しね 366 00:35:37,343 --> 00:35:40,138 重い車で氷上を運転する 367 00:35:40,221 --> 00:35:42,056 リスクは常にある 368 00:35:42,140 --> 00:35:43,516 リラックスして 369 00:35:43,599 --> 00:35:45,184 突き進みましょう 370 00:35:45,351 --> 00:35:47,603 これならあるから 371 00:35:48,563 --> 00:35:51,566 氷上のバンドヴァグンか 372 00:35:52,859 --> 00:35:54,569 ストレスボールだ 373 00:35:54,652 --> 00:35:55,820 ありがとう 374 00:36:05,454 --> 00:36:07,915 足元が狭いんです 375 00:36:08,916 --> 00:36:11,878 まるで格安航空会社みたい 376 00:36:12,378 --> 00:36:15,882 コーヒーは まずいし 足元は窮屈     377 00:36:16,591 --> 00:36:19,844 無事に         目的地に着けるかも不明 378 00:36:22,930 --> 00:36:27,185 気温の上昇で       海氷が解け始めているため 379 00:36:27,268 --> 00:36:30,730 氷の厚さを慎重に確認します 380 00:36:30,813 --> 00:36:33,232 以前より薄くなってる 381 00:36:33,316 --> 00:36:37,486 でも厚さは60センチから 70センチくらい     382 00:36:37,570 --> 00:36:39,238 まだ安全だと思う 383 00:36:40,489 --> 00:36:43,492 それでもクルーは不安です 384 00:36:45,703 --> 00:36:49,457 氷と水が重なり合う層に 進むと         385 00:36:49,874 --> 00:36:53,169 前方が沈む動きになります 386 00:36:53,502 --> 00:36:54,545 これ好き? 387 00:36:54,629 --> 00:36:56,714 全然好きじゃない 388 00:37:09,894 --> 00:37:13,773 リスクが報われ  家族を見つけます 389 00:37:25,117 --> 00:37:29,497 ここで止まって    僕らに慣れてもらおう 390 00:37:30,831 --> 00:37:35,419 家族のようですね   母熊と2頭の子熊です 391 00:37:37,546 --> 00:37:41,008 体格から見て     昨年生まれた子熊です 392 00:37:41,259 --> 00:37:43,469 16か月くらいでしょう 393 00:37:48,015 --> 00:37:52,270 僕らを観察することに したようです     394 00:37:57,775 --> 00:38:02,613 今年生まれた子熊と比べると 自信があります       395 00:38:07,410 --> 00:38:09,996 でも まだ母熊が頼り 396 00:38:10,079 --> 00:38:13,874 生き抜くために   多くを学んでいます 397 00:38:25,052 --> 00:38:28,472 違う方向に     行かないか心配です 398 00:38:29,307 --> 00:38:34,937 この車で行けるのは    氷が丈夫な場所に限られる 399 00:38:35,021 --> 00:38:40,651 氷や雪が          良い状態でないと進めません 400 00:38:48,576 --> 00:38:52,330 それやめてよ 不安になる 401 00:38:53,039 --> 00:38:58,127 自分が不安だから      リラックスなんて言ったのね 402 00:38:58,210 --> 00:39:01,339 そっちこそ落ち着いてよ 403 00:39:06,177 --> 00:39:08,137 水っぽくなっています 404 00:39:08,220 --> 00:39:10,806 これ以上は進めません 405 00:39:10,890 --> 00:39:14,185 今日は終わりにしましょう 406 00:39:17,646 --> 00:39:22,777 外で長い時間過ごすので 氷の変化も目にします  407 00:39:24,070 --> 00:39:28,240 ここから大きな氷の塊の動きが 見えます           408 00:39:28,324 --> 00:39:30,534 流れる先は外洋です 409 00:39:30,868 --> 00:39:34,622 僕らが氷上で   作業できる範囲は 410 00:39:34,705 --> 00:39:39,210 すでに6~7割も減りました 411 00:39:39,627 --> 00:39:44,590 ホッキョクグマの撮影となると さらに狭まります       412 00:39:45,091 --> 00:39:51,680 スヴァールバルにおける   海氷の周期が変化しています 413 00:39:51,764 --> 00:39:56,310 冬には海氷が出来る時期が 遅くなり         414 00:39:56,394 --> 00:40:00,064 春には消えるのが 早まっています  415 00:40:01,190 --> 00:40:04,860 つまり 海氷のない 夏の季節が延び  416 00:40:04,944 --> 00:40:09,657 海氷の季節が       短くなったということです 417 00:40:12,451 --> 00:40:16,664 ホッキョクグマは   厳しい局面にあります 418 00:40:16,747 --> 00:40:20,751 年を追うごとに   厳しくなるでしょう 419 00:40:20,835 --> 00:40:26,340 極地をとりまく状況は    刻々と変化しているからです 420 00:40:29,885 --> 00:40:32,430 最新の天気予報によると 421 00:40:32,763 --> 00:40:37,351 風速20メートルの風が 発生しそうだ     422 00:40:38,978 --> 00:40:41,105 かなり ひどくなる 423 00:40:52,741 --> 00:40:56,996 目を覚ますと     強風で視界はほぼゼロ 424 00:41:00,875 --> 00:41:03,669 とても もどかしいですね 425 00:41:03,752 --> 00:41:08,340 僕らは氷に降り立って 撮影を続けたいのに  426 00:41:08,424 --> 00:41:12,052 暴風雨で仕事になりません 427 00:41:12,136 --> 00:41:16,807 母熊と子熊の映像が    僕らの物語には重要なので 428 00:41:16,891 --> 00:41:21,937 山から海氷まで     探さなければいけません 429 00:41:22,021 --> 00:41:25,900 この天気は      最悪のタイミングです 430 00:41:29,111 --> 00:41:35,075 出入口や通路を塞がないように 必死で作業します       431 00:41:35,451 --> 00:41:40,498 いつまでも終わりません 雪また雪です      432 00:41:43,501 --> 00:41:47,796 しかも野営用に      雪を集める必要があります 433 00:41:48,797 --> 00:41:51,509 1日でソリ40台分 434 00:41:58,516 --> 00:42:00,976 ここで雪を解かします 435 00:42:01,060 --> 00:42:06,440 フィルターを通って    真水タンクに流れるんです 436 00:42:06,524 --> 00:42:12,321 シンク 食洗器 シャワーなど すべてに使います      437 00:42:13,948 --> 00:42:18,244 仮設内は快適ですが 手持ち無沙汰です  438 00:42:20,829 --> 00:42:26,293 たまにはプレッシャーから 解放されないと      439 00:42:26,877 --> 00:42:29,547 方法はいろいろあります 440 00:42:30,506 --> 00:42:31,549 対決だ 441 00:42:33,551 --> 00:42:35,219 手は使っていい? 442 00:42:35,302 --> 00:42:36,262 ダメだ 443 00:42:41,225 --> 00:42:43,894 世界記録更新! 444 00:42:48,399 --> 00:42:49,733 待ちくたびれ… 445 00:42:52,653 --> 00:42:55,281 ホッキョクグマ探しへ 446 00:42:59,743 --> 00:43:03,289 しかし        まだ視界は晴れません 447 00:43:05,374 --> 00:43:08,085 移動すら困難です 448 00:43:18,387 --> 00:43:24,226 クルーが高台に着くと    最も恐れていたことが現実に 449 00:43:32,776 --> 00:43:38,532 海岸を見渡すと        悲惨な光景が広がっていました 450 00:43:38,616 --> 00:43:43,829 1週間の嵐で         氷が完全に割れてしまいました 451 00:43:44,705 --> 00:43:49,877 これ以上 氷の上で      どうしたらいいか分かりません 452 00:43:52,379 --> 00:43:55,716 気温の上昇で    薄く弱まった海氷に 453 00:43:55,799 --> 00:44:00,679 嵐による風と波が   追い打ちをかけました 454 00:44:02,890 --> 00:44:07,811 50年前 100年前に     猟師がここにいた頃と比べ 455 00:44:07,895 --> 00:44:10,522 氷の状態は    まったく違います 456 00:44:11,732 --> 00:44:15,903 同じフィヨルドに     2メートルほどの氷があり 457 00:44:16,403 --> 00:44:20,574 こうした嵐でも     大丈夫だったんでしょう 458 00:44:22,117 --> 00:44:28,624 私たちは環境の劇的な変化を 目の当たりにしているんです 459 00:44:32,836 --> 00:44:34,672 まだ4月です 460 00:44:35,214 --> 00:44:36,924 でも海氷は消え 461 00:44:37,007 --> 00:44:41,720 予定より6週間早く   冬のキャンプを去ります 462 00:44:45,724 --> 00:44:49,728 正直に言えば       ここを離れたくありません 463 00:44:50,646 --> 00:44:55,484 でも目当ての子熊を   見つけられなかったので 464 00:44:55,567 --> 00:44:59,154 他の場所で探さなくては 465 00:44:59,238 --> 00:45:00,531 次に進みます 466 00:45:01,573 --> 00:45:02,741 行こう 467 00:45:04,284 --> 00:45:06,662 チームは西へ向かいます 468 00:45:06,745 --> 00:45:09,998 生まれたばかりの 子熊を求めて   469 00:45:38,193 --> 00:45:42,656 スヴァールバルを横断する 10時間の旅        470 00:45:48,036 --> 00:45:51,206 安全なキャンプから 遠く離れ      471 00:45:51,290 --> 00:45:54,668 まずやることは  滞在場所探しです 472 00:45:54,752 --> 00:45:57,337 ピラミーデン 473 00:46:00,007 --> 00:46:04,511 元炭鉱のピラミーデンは かつてソ連が所有し   474 00:46:04,803 --> 00:46:08,015 1000人以上が   暮らしていました 475 00:46:09,850 --> 00:46:14,772 しかし90年代に閉山し 人々は去りました   476 00:46:17,816 --> 00:46:22,237 新たな拠点には    厄介な隣人がいました 477 00:46:22,321 --> 00:46:24,031 ミツユビカモメです 478 00:46:25,866 --> 00:46:27,826 鳥ならたくさんいる 479 00:46:28,911 --> 00:46:30,329 カモメは好きだ 480 00:46:30,412 --> 00:46:33,749 寝ても5時間で目が覚める 481 00:46:34,792 --> 00:46:37,336 鳴き声で起こしてくる 482 00:46:39,213 --> 00:46:41,006 起こしてくるね 483 00:46:41,089 --> 00:46:42,508 起きて 起きて 484 00:46:46,887 --> 00:46:48,555 目撃情報があります 485 00:46:48,639 --> 00:46:53,727 東の方のフィヨルドに 家族がいたらしい   486 00:46:54,061 --> 00:46:58,023 僕ら自身で     探す時間もあります 487 00:46:58,106 --> 00:47:02,361 そこへ行ってみる  価値はあるでしょう 488 00:47:02,611 --> 00:47:08,700 船でしか行けないため  準備を整えて出航します 489 00:47:09,743 --> 00:47:13,914 5月 490 00:47:19,711 --> 00:47:21,421 ホッキョクグマだ 491 00:47:21,505 --> 00:47:23,257 あそこにいる 492 00:47:23,632 --> 00:47:24,925 どこに? 493 00:47:29,263 --> 00:47:31,765 見えた いるね 494 00:47:31,849 --> 00:47:33,684 右にいるのが子熊? 495 00:47:33,976 --> 00:47:35,018 そうだ 496 00:47:35,435 --> 00:47:37,145 2頭いる 497 00:47:38,146 --> 00:47:43,902 ついに 探し求めていた  生まれたばかりの子熊です 498 00:47:43,986 --> 00:47:45,028 見えた 499 00:47:45,112 --> 00:47:46,196 あそこだ 500 00:47:48,282 --> 00:47:49,366 あれが? 501 00:47:51,076 --> 00:47:52,286 子熊もいる 502 00:47:52,369 --> 00:47:53,912 ああ いるね 503 00:47:53,996 --> 00:47:55,539 幸せそうだ 504 00:47:56,540 --> 00:48:01,962 彼らの幅の広い足なら     薄くてもろい氷の上を歩けます 505 00:48:03,630 --> 00:48:06,675 しかし一行が乗るには危険です 506 00:48:07,509 --> 00:48:11,138 フロリアンの     ドローンが活躍します 507 00:48:17,060 --> 00:48:17,769 2頭だ 508 00:48:17,936 --> 00:48:19,313 両方撮れたよ 509 00:48:21,148 --> 00:48:23,275 わくわくするね 510 00:48:24,693 --> 00:48:26,486 浮氷の上にいる 511 00:48:27,779 --> 00:48:29,281 これはすごいな 512 00:48:30,908 --> 00:48:34,244 母熊の姿が水面に映ってる 513 00:48:44,046 --> 00:48:47,716 彼らの泳ぎは     我々の想像以上でした 514 00:48:48,258 --> 00:48:51,803 研究では         ホッキョクグマが休みなく 515 00:48:51,887 --> 00:48:55,349 数百キロを      泳ぐデータもあります 516 00:48:55,432 --> 00:49:00,812 歩くより長距離を泳ぐ方が エネルギーを消費します  517 00:49:03,023 --> 00:49:05,901 泳ぐ時は      前足しか使いません 518 00:49:05,984 --> 00:49:08,987 後ろ足は伸ばしています 519 00:49:10,030 --> 00:49:13,200 子熊は体力がありません 520 00:49:13,283 --> 00:49:17,996 大人のように     遠くまで泳げないので 521 00:49:18,080 --> 00:49:22,292 母熊の後ろ足に乗って ついていきます    522 00:49:24,378 --> 00:49:28,882 水中は冷えるので   長時間はいられません 523 00:49:28,966 --> 00:49:34,096 氷が減れば        浮氷同士の距離が長くなり 524 00:49:34,179 --> 00:49:37,099 水中にいる時間も増えます 525 00:49:40,018 --> 00:49:43,855 母熊は狩りが得意なようです 526 00:49:43,939 --> 00:49:46,274 丸々として子熊も活発です 527 00:49:46,358 --> 00:49:47,985 見事ですね 528 00:49:48,276 --> 00:49:54,616 調子の良い状態で      観察にぴったりだと思います 529 00:49:59,579 --> 00:50:02,457 すばらしい出会いの瞬間です 530 00:50:02,541 --> 00:50:06,795 しかし地上での撮影は 容易ではありません  531 00:50:06,878 --> 00:50:10,507 問題は         親子にどう近づくかです 532 00:50:10,590 --> 00:50:13,844 氷が崩れてしまっている 533 00:50:14,344 --> 00:50:16,096 新たな課題です 534 00:50:20,726 --> 00:50:23,562 もっと厚い氷を探します 535 00:50:29,901 --> 00:50:35,323 ロルフとオスカーは    早速 スキーで周囲の探索へ 536 00:51:00,557 --> 00:51:04,978 しかし親子は    ピラミーデンに戻り 537 00:51:05,062 --> 00:51:07,773 その姿を      ドローンが捉えます 538 00:51:17,282 --> 00:51:21,286 子熊たちは       自信と好奇心でいっぱい 539 00:51:24,372 --> 00:51:30,504 あらゆる食料を探る動物に 備わった資質です     540 00:51:38,804 --> 00:51:40,722 目的の食料です 541 00:51:42,432 --> 00:51:44,518 アザラシの死骸 542 00:51:47,270 --> 00:51:49,481 もはや残骸だけ 543 00:51:51,441 --> 00:51:56,238 それでも30キロ先から   においをたどって来ました 544 00:52:16,216 --> 00:52:21,096 親密な瞬間を       撮影することができました 545 00:52:23,098 --> 00:52:28,562 子熊を逃した2人にとっては 残念な知らせです      546 00:52:30,605 --> 00:52:33,859 もう一度     探すのは困難です 547 00:52:35,277 --> 00:52:39,447 あの親子はフィヨルドから 移動しました       548 00:52:39,531 --> 00:52:45,036 スノーモービルやスキーでは 追えない場所です      549 00:52:45,120 --> 00:52:48,081 どこに向かっているのか 550 00:52:49,416 --> 00:52:52,794 スノーモービルによる 春の撮影は      551 00:52:52,878 --> 00:52:56,840 これで終わりです 552 00:52:59,050 --> 00:53:03,221 6月 553 00:53:02,304 --> 00:53:08,018 氷上で撮影可能なエリアは 大きな船でしか行けません 554 00:53:09,352 --> 00:53:12,355 氷の海用に強化された船です 555 00:53:12,439 --> 00:53:15,066 チームはより大規模に 556 00:53:19,613 --> 00:53:23,158 船長は海氷が専門です 557 00:53:32,709 --> 00:53:35,086 まずは見つけないと 558 00:53:35,170 --> 00:53:37,923 360度見渡せる 見張り台は  559 00:53:38,006 --> 00:53:42,636 ホッキョクグマ探しに 最適な場所です    560 00:53:43,762 --> 00:53:47,599 海の真ん中で       他には何も無い流氷の上に 561 00:53:47,682 --> 00:53:54,231 ホッキョクグマがいるとは 信じがたい話です     562 00:53:54,522 --> 00:53:58,777 方法は分からないけれど 生き抜いています    563 00:54:19,798 --> 00:54:22,801 確かに探索には最適ですが 564 00:54:23,093 --> 00:54:26,763 誰も上らないのには 理由があります   565 00:54:30,225 --> 00:54:34,854 船酔いする人向きの 仕事じゃないですね 566 00:54:36,523 --> 00:54:37,691 気持ち悪い 567 00:54:37,774 --> 00:54:41,653 見張り台に行くまで 大丈夫だったのに  568 00:54:42,570 --> 00:54:45,198 今は かなり気分が悪いです 569 00:54:47,951 --> 00:54:51,746 これはきついな 本当にきつい  570 00:54:53,707 --> 00:54:57,836 夏です         新たな問題が加わります 571 00:54:59,087 --> 00:55:01,673 霧はいつものこと 572 00:55:01,089 --> 00:55:05,468 映画監督 ジェフ・ウィルソン 573 00:55:01,756 --> 00:55:05,719 見えるのは 50メートルほど先まで 574 00:55:06,553 --> 00:55:09,180 でも良いこともあって 575 00:55:09,264 --> 00:55:11,099 24時間で4頭見ました 576 00:55:11,182 --> 00:55:14,978 だから この2日は 良い状況です   577 00:55:15,061 --> 00:55:16,646 霧以外は 578 00:55:19,858 --> 00:55:21,901 不安定な天気だ 579 00:55:20,567 --> 00:55:25,280 船長 ビョルネ・クバーンモ 580 00:55:23,069 --> 00:55:24,487 いつ晴れる? 581 00:55:24,571 --> 00:55:27,574 さあね 寝る時かな 582 00:55:33,079 --> 00:55:38,001 冷たい空気と高い水温は 霧を生み出します    583 00:55:38,084 --> 00:55:44,132 気温の上昇で      事態はさらに悪化します 584 00:55:45,925 --> 00:55:51,014 スヴァールバル史上 最高の気温が出ました 585 00:55:49,054 --> 00:55:53,350 陸上ロジスティクスリード トム・フォーマン 586 00:55:51,097 --> 00:55:53,600 2日前に27・1度 587 00:55:54,100 --> 00:55:58,605 10年前と比べると 夏は霧のせいで  588 00:55:58,688 --> 00:56:01,441 撮影可能な日が減っています 589 00:56:01,524 --> 00:56:06,654 気温が上がっているせいで 霧の日ばかり       590 00:56:06,738 --> 00:56:10,784 ここ数年は      以前と比べて特に多い 591 00:56:14,162 --> 00:56:18,375 視界が悪く        ホッキョクグマ探しは困難 592 00:56:19,084 --> 00:56:21,920 移動も危険になります 593 00:56:30,678 --> 00:56:34,140 見ろ氷山だ すごいな 594 00:56:35,725 --> 00:56:39,938 時速17キロで目指すのは あれじゃないけど    595 00:56:41,940 --> 00:56:46,820 チームで欠かせない人物は 船長です         596 00:56:46,903 --> 00:56:50,865 濃霧のなか        海氷の間を航海する技術は 597 00:56:50,949 --> 00:56:53,368 我々にはありません 598 00:56:54,369 --> 00:56:57,997 経験がないと     安全に航海できません 599 00:56:58,081 --> 00:57:04,379 一年氷いちねんごおりは薄いので    押しのけるのも簡単です 600 00:57:04,462 --> 00:57:09,342 でも数年目の      どっしりした分厚い氷は 601 00:57:09,426 --> 00:57:12,512 船を突然      止めてしまうことも 602 00:57:15,849 --> 00:57:18,977 水温が低い北へ向かいます 603 00:57:20,812 --> 00:57:26,192 そして3週間後     ついに霧を抜け出します 604 00:57:34,951 --> 00:57:38,997 この時期の氷を    知っているオスカーは 605 00:57:39,539 --> 00:57:41,499 衝撃を受けています 606 00:57:43,334 --> 00:57:48,214 スピッツベルゲン島の    東海岸にあるフィヨルドです 607 00:57:48,548 --> 00:57:52,719 ここは良い状態の氷が 長く残ります     608 00:57:52,802 --> 00:57:56,973 でも6月初めで   すっかり はちの巣状 609 00:57:57,932 --> 00:58:04,189 20年以上 来ていたのは    大抵 氷の状態が良いからです 610 00:58:04,272 --> 00:58:09,944 6月初めに この状態とは 恐ろしいことです    611 00:58:16,784 --> 00:58:23,082 北極圏の他の地域の倍以上の 速さで氷が消えています   612 00:58:24,542 --> 00:58:30,340 30~40年前と比べると   氷のある月が減っています 613 00:58:36,554 --> 00:58:39,807 40年前は       ほぼ1年中氷があった 614 00:58:39,891 --> 00:58:42,852 今では年に6か月以下 615 00:58:45,480 --> 00:58:48,900 理解が追いつかない規模です 616 00:58:55,740 --> 00:59:00,662 後退する氷を追って  さらに北に向かいます 617 00:59:06,334 --> 00:59:09,837 しっかりとした氷を探すため 618 00:59:09,921 --> 00:59:13,508 40年前より    300キロ北上します 619 00:59:13,925 --> 00:59:17,929 ここまで30時間くらい かかりましたが    620 00:59:18,429 --> 00:59:24,936 北のフィヨルドにある     小さな定着氷に辿り着きました 621 00:59:25,019 --> 00:59:27,772 もっと良い氷もありますが 622 00:59:27,855 --> 00:59:33,653 クマの家族を見つけないと 意味がありません     623 00:59:36,322 --> 00:59:38,741 スノーモービルの出番 624 00:59:39,951 --> 00:59:42,495 氷の厚さを確認します 625 00:59:44,581 --> 00:59:49,460 水の層を突き抜けたとしても 大丈夫だろう        626 00:59:50,086 --> 00:59:54,132 夏の氷には       いろいろ頭を悩ませます 627 00:59:54,215 --> 00:59:56,509 まず一定ではない 628 00:59:56,593 --> 01:00:00,930 厚さ60センチの 箇所もあれば  629 01:00:01,014 --> 01:00:02,807 10センチの箇所も 630 01:00:03,141 --> 01:00:05,393 しかも気温は0度以上 631 01:00:05,476 --> 01:00:09,105 温風を         当てているのも同然です 632 01:00:09,522 --> 01:00:12,525 夏の氷は変化が速いんです 633 01:00:13,109 --> 01:00:17,530 僕らに何か起きても   船からは何もできません 634 01:00:17,614 --> 01:00:20,617 船で助けには来られない 635 01:00:20,700 --> 01:00:24,037 自力で船まで    戻るしかありません 636 01:00:32,503 --> 01:00:33,796 危険ですが 637 01:00:33,921 --> 01:00:39,719 スノーモービルを使える 最後の海氷です     638 01:00:54,275 --> 01:00:58,738 いつも氷河の手前を見て 家族を探します     639 01:00:59,489 --> 01:01:03,201 地図では        ここに氷河がありますが 640 01:01:03,785 --> 01:01:06,496 今では1~2キロ先 641 01:01:06,579 --> 01:01:12,919 氷河がすさまじい速さで    後退しているのは一目瞭然です 642 01:01:19,092 --> 01:01:20,927 ロルフ あそこを見て 643 01:01:21,010 --> 01:01:22,512 黄色いのが2つ 644 01:01:23,388 --> 01:01:24,764 大小いる 645 01:01:30,645 --> 01:01:34,273 生まれたばかりの  子熊がいる家族です 646 01:01:36,150 --> 01:01:37,443 見つけました 647 01:01:38,444 --> 01:01:42,490 この冬に生まれた子熊が モレーンに       648 01:01:42,573 --> 01:01:48,871 あの家族を撮影する    チャンスに興奮しています 649 01:01:49,247 --> 01:01:55,795 でも家族は警戒心が強いので しばらくは辛抱します    650 01:02:00,174 --> 01:02:04,804 子熊といる母熊を撮影するのは 至難の業です         651 01:02:06,723 --> 01:02:11,018 氷上では母熊の目から 隠れる場所が無い   652 01:02:13,438 --> 01:02:18,693 でも適切な時間に  適切な場所にいれば 653 01:02:18,776 --> 01:02:21,738 言葉にできない体験が 654 01:02:33,750 --> 01:02:38,004 苦労の甲斐あって  撮影を始めましたが 655 01:02:38,087 --> 01:02:40,089 すべてが変わります 656 01:02:42,300 --> 01:02:44,385 霧の気配がします 657 01:02:45,720 --> 01:02:47,180 動きが速い 658 01:02:48,806 --> 01:02:54,145 居場所が分かっているのに もどかしいです      659 01:02:55,438 --> 01:02:57,273 霧が出るなんて 660 01:03:00,067 --> 01:03:03,863 霧が出ると       氷の穴が見えず危険です 661 01:03:07,909 --> 01:03:14,624 濃霧で移動が困難になる前に 船に戻るしかありません   662 01:03:28,179 --> 01:03:31,265 天気はさらに悪くなります 663 01:03:34,894 --> 01:03:40,149 降り出した雨が   かなり激しくなって 664 01:03:40,233 --> 01:03:42,860 氷の状態が変わりました 665 01:03:43,027 --> 01:03:46,405 水深30センチの氷上を 走ります       666 01:03:47,240 --> 01:03:49,617 ここまで変化が速いなんて 667 01:03:53,037 --> 01:03:56,499 この水で氷が崩れています 668 01:03:57,041 --> 01:04:00,753 氷上は安全ではないと 判断しました     669 01:04:02,839 --> 01:04:06,717 いつもの北極の雨じゃない 恐ろしい         670 01:04:11,472 --> 01:04:17,520 スノーモービルは使えず    海氷はばらばらになっています 671 01:04:19,480 --> 01:04:23,192 7月 672 01:04:26,112 --> 01:04:28,531 計画の練り直しです 673 01:04:29,782 --> 01:04:31,993 どうやら3頭います 674 01:04:32,910 --> 01:04:37,498 今日は霧が出ないと ありがたいんですが 675 01:04:39,542 --> 01:04:40,585 よし 676 01:04:41,294 --> 01:04:47,466 海氷の間を進むのに最適な テンダーボートを出します 677 01:04:48,134 --> 01:04:49,260 わくわくする 678 01:04:49,343 --> 01:04:54,432 これなら目線が低くなるし クマに近づけます     679 01:04:54,891 --> 01:04:56,434 出発です 680 01:05:01,647 --> 01:05:05,234 カメラは       ゆれに強い機能を搭載 681 01:05:06,569 --> 01:05:10,781 映像カメラマン ジェイミー・マクファーソン 682 01:05:16,913 --> 01:05:19,248 アザラシが多いので 683 01:05:19,332 --> 01:05:24,045 ホッキョクグマが   来るのが期待できます 684 01:05:29,175 --> 01:05:33,179 ホッキョクグマと違い 撮影チームは     685 01:05:33,262 --> 01:05:37,683 氷の間を簡単には移動できず 置いていかれます      686 01:05:40,394 --> 01:05:42,772 氷が厚くなるので 687 01:05:42,855 --> 01:05:47,443 ホッキョクグマの追跡が 難しくなります     688 01:05:50,237 --> 01:05:55,242 トム 近づきすぎないで 氷の塊にぶつかる    689 01:05:59,956 --> 01:06:01,082 まずい 690 01:06:02,124 --> 01:06:03,876 止まると厄介だ 691 01:06:04,669 --> 01:06:07,254 ついにジェイミーが働きます 692 01:06:12,259 --> 01:06:14,261 完全に止まっています 693 01:06:15,554 --> 01:06:17,139 押し続けて 694 01:06:17,223 --> 01:06:20,726 進んでる いい感じよ 695 01:06:27,900 --> 01:06:34,031 脱出に成功したチームは    再びホッキョクグマを追います 696 01:06:34,323 --> 01:06:37,368 ホッキョクグマがいたぞ 697 01:06:39,078 --> 01:06:41,080 聞こえますか 698 01:06:41,747 --> 01:06:42,915 どうぞ 699 01:06:43,249 --> 01:06:45,793 今そちらのホッキョクグマは? 700 01:06:45,876 --> 01:06:48,129 目の前の浮氷にいる 701 01:06:48,879 --> 01:06:53,718 少し離れて       ほどよい距離を保ちます 702 01:06:53,801 --> 01:06:55,845 狩りをするまでは 703 01:06:57,179 --> 01:06:59,515 何か嗅ぎつけたかな 704 01:07:05,730 --> 01:07:07,732 氷がばらばらになり 705 01:07:07,815 --> 01:07:11,694 もう穴の前で     待つことはできません 706 01:07:12,319 --> 01:07:15,281 別の技術が必要です 707 01:07:24,040 --> 01:07:27,710 ホッキョクグマは 浮氷の間を泳ぎ  708 01:07:27,793 --> 01:07:32,131 海から飛び出して   アザラシを捕まえます 709 01:07:32,214 --> 01:07:34,467 難しい技術です 710 01:07:37,845 --> 01:07:44,226 環境が変わり 海氷が少なく 開けた場所が増えています 711 01:07:44,310 --> 01:07:48,564 だから水中から  こっそり忍び寄る 712 01:07:57,782 --> 01:08:02,411 見つかれば 泳ぎでは   アザラシに追いつけません 713 01:08:05,456 --> 01:08:06,791 行ってしまった 714 01:08:07,541 --> 01:08:09,126 残念 715 01:08:10,086 --> 01:08:14,465 この技術は       察知されないことが肝心 716 01:08:16,133 --> 01:08:18,677 ゆっくり行け いいぞ 717 01:08:35,319 --> 01:08:37,905 どこに現れるかが難しい 718 01:08:53,879 --> 01:08:58,551 一部のホッキョクグマだけが 使う方法ですが       719 01:08:58,634 --> 01:09:03,597 生き残りに必須の     技術になるかもしれません 720 01:09:19,947 --> 01:09:23,367 海氷の行く末は   思わしくありません 721 01:09:24,034 --> 01:09:26,537 消滅すると思います 722 01:09:28,539 --> 01:09:33,836 西側のフィヨルドでは 多くの海氷が消滅   723 01:09:34,086 --> 01:09:37,506 このまま気温の上昇が続けば 724 01:09:37,590 --> 01:09:40,384 氷は一層減るでしょう 725 01:09:40,467 --> 01:09:44,138 海氷が       完全になくなるかも 726 01:09:46,098 --> 01:09:50,895 今後10年で       スヴァールバルの海氷は 727 01:09:50,978 --> 01:09:54,315 過去のものとなる可能性が 728 01:09:57,026 --> 01:10:01,113 このまま      海氷が消えていけば 729 01:10:01,197 --> 01:10:05,659 ホッキョクグマも     かなり減るかもしれません 730 01:10:14,668 --> 01:10:18,214 8月 731 01:10:19,048 --> 01:10:23,302 ホッキョクグマは      陸に向かうようになりました 732 01:10:24,887 --> 01:10:30,643 陸地で 他の食料源を   探す術を学んでいるのです 733 01:10:31,977 --> 01:10:35,648 ホッキョクグマは   迅速に行動を変えます 734 01:10:36,232 --> 01:10:41,612 好奇心旺盛なので       状況次第で他の食料を探します 735 01:10:42,112 --> 01:10:45,532 陸で長い時間を 過ごしています 736 01:10:46,951 --> 01:10:49,453 鳥の巣を襲撃したり 737 01:10:50,996 --> 01:10:56,293 トナカイ狩りをする姿も よく見られます     738 01:10:57,878 --> 01:11:01,799 その生存能力を尊敬します 739 01:11:01,882 --> 01:11:05,302 見事な適応ぶりですよ 740 01:11:07,346 --> 01:11:11,517 この適応能力こそ  気候変動に対する—— 741 01:11:11,600 --> 01:11:14,728 最大の強みでしょう 742 01:11:16,063 --> 01:11:20,067 チームは       食べ放題の脂肪を発見 743 01:11:20,609 --> 01:11:23,362 撮影の準備開始です 744 01:11:26,824 --> 01:11:30,327 ごちそう目当てに ホッキョクグマが 745 01:11:30,661 --> 01:11:32,913 やって来るからです 746 01:11:44,425 --> 01:11:50,472 1億キロカロリー以上あるので 十分行き渡ります       747 01:11:51,765 --> 01:11:56,145 巨大なマッコウクジラの 死骸があります     748 01:11:56,854 --> 01:11:59,773 多いと5頭が一気に乗って 749 01:11:59,857 --> 01:12:05,529 ただひたすら腐りかけの   クジラの肉を食べていました 750 01:12:06,739 --> 01:12:10,826 風下にさえ行かなければ 最高です        751 01:12:14,872 --> 01:12:18,542 ホッキョクグマは クジラの死骸で  752 01:12:19,293 --> 01:12:24,882 栄養を十分とれるので    食料を探す必要がありません 753 01:12:24,965 --> 01:12:29,970 だから他のホッキョクグマと 友好的に関われます     754 01:12:30,387 --> 01:12:34,558 成熟したオスは眠り 干渉しませんが   755 01:12:34,641 --> 01:12:39,146 若いクマは       互いに触れ合い学び合う 756 01:12:39,646 --> 01:12:42,649 作品にも良い影響が望めます 757 01:12:45,444 --> 01:12:48,864 食べ終えた      若い3頭が喧嘩したり 758 01:12:48,947 --> 01:12:53,786 追っかけたり         お互いを見定めたりしています 759 01:12:53,869 --> 01:12:55,913 敵意はありません 760 01:12:56,538 --> 01:12:59,625 そうして       大人になるんでしょう 761 01:13:05,547 --> 01:13:11,970 ずっとこの島にいる 子熊たちが主役です 762 01:13:12,388 --> 01:13:16,725 遊んだり 水中や陸上で 喧嘩したりします   763 01:13:16,809 --> 01:13:20,938 母熊が           うまく鍛えているんでしょう 764 01:13:21,021 --> 01:13:24,733 戦うホッキョクグマに なれるように     765 01:13:24,817 --> 01:13:27,611 能力を引き出しています 766 01:13:29,238 --> 01:13:34,076 20年間 野生動物の映像を 撮影してきましたが   767 01:13:34,159 --> 01:13:37,454 他のどの動物より 遊んでいますね  768 01:13:59,101 --> 01:14:02,646 他のホッキョクグマも やってきます     769 01:14:03,605 --> 01:14:06,859 2頭がまっすぐ近づきます 770 01:14:08,652 --> 01:14:10,320 敵意は感じません 771 01:14:10,946 --> 01:14:14,366 みんなで遊び始めるかも 772 01:14:14,825 --> 01:14:16,326 ほら 773 01:14:24,251 --> 01:14:29,381 信じられないことに    他の子熊とも遊ぶようです 774 01:14:34,636 --> 01:14:38,390 こんなに間近で見たのは 初めてです       775 01:14:38,474 --> 01:14:41,435 僕らがいても   くつろいでいます 776 01:14:47,149 --> 01:14:49,401 これは珍しい光景です 777 01:14:58,827 --> 01:15:02,623 特別な瞬間に      クルーは盛り上がります 778 01:15:02,706 --> 01:15:06,126 しかし 目的は    生まれたばかりの子熊 779 01:15:06,210 --> 01:15:09,046 チャンスを狙います 780 01:15:10,589 --> 01:15:12,883 太陽とアザラシが揃っても 781 01:15:12,966 --> 01:15:17,513 親子が来る様子は まだありません  782 01:15:19,223 --> 01:15:23,810 ついに すべての努力が 実を結びます     783 01:15:25,312 --> 01:15:29,316 母親と今年生まれたばかりの 子熊です          784 01:15:31,985 --> 01:15:36,698 すぐボートに乗り  その瞬間を狙います 785 01:15:42,162 --> 01:15:45,374 親子は正面?     それとも船の右手側? 786 01:15:47,042 --> 01:15:48,544 右手側にいる 787 01:15:48,627 --> 01:15:49,920 ありがとう 788 01:16:03,308 --> 01:16:06,395 生まれたばかりの 子熊を求めて   789 01:16:06,645 --> 01:16:13,193 スノーモービルで      24時間探し回ったりしました 790 01:16:13,277 --> 01:16:16,321 悪天候にも見舞われました 791 01:16:16,738 --> 01:16:20,576 そして今日     ついに子熊の家族を 792 01:16:21,034 --> 01:16:26,623 美しい光と氷の中      2時間ほど共に過ごしました 793 01:16:26,707 --> 01:16:29,793 これが野生動物の撮影です 794 01:16:30,168 --> 01:16:34,631 困難があっても      ある日 突然うまくいきます 795 01:16:35,382 --> 01:16:39,636 チームにとっては 完璧な結末です  796 01:16:45,058 --> 01:16:50,564 ホッキョクグマを撮影して 私の人生は変わりました  797 01:16:50,856 --> 01:16:54,234 それは良い方にです 798 01:16:55,569 --> 01:17:00,741 誰も見たことがないものを 撮影する機会が      799 01:17:00,824 --> 01:17:04,411 この年齢であるなんて 夢みたいです     800 01:17:20,677 --> 01:17:24,931 しかし スヴァールバルの 変化に直面して     801 01:17:25,015 --> 01:17:30,145 若い家族を待つ未来に   思いを馳せざるをえません 802 01:17:31,313 --> 01:17:36,777 北極の生物に関しての懸念は 将来スヴァールバルで    803 01:17:36,860 --> 01:17:43,659 急激な気候変動に 生物が  適応しきれなくなることです 804 01:17:48,830 --> 01:17:51,625 自分自身に問いかけます 805 01:17:51,708 --> 01:17:58,465 “言葉にならないこの美しさを   失ってしまっていいのか?〟と 806 01:18:04,930 --> 01:18:11,019 ホッキョクグマが北極を  歩き回れないときが来たら 807 01:18:11,103 --> 01:18:13,772 人間が失うものも大きい 808 01:18:18,318 --> 01:18:22,823 今必要なのは 責任を持ち それを果たすこと    809 01:18:24,449 --> 01:18:28,036 今がその時なんです