1 00:00:02,000 --> 00:00:07,000 Downloaded from YTS.MX 2 00:00:08,000 --> 00:00:13,000 Official YIFY movies site: YTS.MX 3 00:00:38,997 --> 00:00:40,415 故郷 4 00:00:45,587 --> 00:00:49,883 そこは子供時代の 思い出あふれる場所 5 00:01:02,479 --> 00:01:05,607 その故郷が変貌しています 6 00:01:11,613 --> 00:01:14,824 消滅の危機にある大切な氷 7 00:01:24,834 --> 00:01:28,671 娘と私は 未知の世界にいるのです 8 00:02:12,882 --> 00:02:17,804 私は山頂付近の 氷の巣穴で生まれました 9 00:02:35,363 --> 00:02:40,535 でも凍てついた氷の海こそ 私の故郷です 10 00:02:50,211 --> 00:02:53,006 これは私の一番古い記憶 11 00:02:53,965 --> 00:02:58,303 遊び相手は 親友でもある双子の弟 12 00:03:15,570 --> 00:03:18,531 そばに常にいてくれるのは—— 13 00:03:20,617 --> 00:03:24,913 私たちを守ってくれる 母親です 14 00:03:50,188 --> 00:03:54,025 私は弟より力が強く 好奇心旺盛 15 00:03:56,277 --> 00:03:59,280 でも弟は自立心があり 16 00:04:00,156 --> 00:04:02,492 私は母にべったりでした 17 00:04:08,206 --> 00:04:12,252 母は世界のあちこちを 見せてくれました 18 00:04:42,782 --> 00:04:45,576 学ぶことは無限でした 19 00:04:50,832 --> 00:04:52,959 母こそが唯一の先生 20 00:04:56,921 --> 00:04:59,507 何でもマネしました 21 00:05:41,090 --> 00:05:44,552 今思えば あれは狩りでした 22 00:05:46,179 --> 00:05:47,513 獲物は? 23 00:05:58,983 --> 00:06:00,693 “何かにおう〟 24 00:06:02,445 --> 00:06:06,157 “氷の下に獲物がいるようね〟 25 00:06:24,050 --> 00:06:27,387 “何か いいにおいだ〟 26 00:06:37,814 --> 00:06:40,566 弟も攻撃開始 27 00:06:43,820 --> 00:06:45,363 相手は私 28 00:06:53,204 --> 00:06:56,416 母は氷を割り続けています 29 00:06:57,333 --> 00:06:59,293 手伝いたいけど—— 30 00:07:00,128 --> 00:07:01,712 遊びに夢中 31 00:07:10,972 --> 00:07:15,435 突然 獲物の正体が分かりました 32 00:07:19,522 --> 00:07:22,150 アザラシ猟をしていたのです 33 00:07:25,111 --> 00:07:27,780 狩りは母だけですが 34 00:07:46,924 --> 00:07:49,010 私たちは母に憧れ—— 35 00:07:49,886 --> 00:07:52,722 どこにでも ついて行きました 36 00:07:58,769 --> 00:08:00,688 母が必要でした 37 00:08:18,956 --> 00:08:24,754 ひどく飢えたオスが 冬の間 歩き回っていました 38 00:08:32,553 --> 00:08:35,515 弟と私は格好の獲物になります 39 00:08:38,809 --> 00:08:43,689 母に導かれて 海が広がる海氷の縁に来ました 40 00:08:49,153 --> 00:08:51,989 でも私たちは泳げません 41 00:08:53,908 --> 00:08:56,827 水中に入るのも初めてです 42 00:09:06,462 --> 00:09:08,297 凍えそうでした 43 00:09:09,799 --> 00:09:14,053 目に見える身近な陸地は 母だけでした 44 00:09:30,319 --> 00:09:33,573 泳ぐ気が無いのが ばれました 45 00:09:44,917 --> 00:09:47,545 これでは泳ぐしかありません 46 00:10:01,684 --> 00:10:04,312 “やっと陸地で休める〟 47 00:10:06,230 --> 00:10:07,898 そう思いましたが—— 48 00:10:09,609 --> 00:10:11,736 間違いでした 49 00:10:23,539 --> 00:10:27,418 私と弟が 限界が達したところで 50 00:10:27,793 --> 00:10:29,795 やっと陸地に 51 00:10:32,715 --> 00:10:37,428 首根っこをつかまれて 喜んだのは初めてでした 52 00:10:51,984 --> 00:10:53,653 もう安全です 53 00:10:55,738 --> 00:10:57,573 やっと休めます 54 00:11:07,583 --> 00:11:12,004 毎年 春になると 太陽が空高く昇り—— 55 00:11:12,171 --> 00:11:15,549 昼が長くなって暖かくなります 56 00:11:35,569 --> 00:11:39,865 分厚い氷の世界が 崩れ始めます 57 00:11:44,370 --> 00:11:48,124 これが自然の摂理だと 学びました 58 00:11:53,129 --> 00:11:58,843 でも 割れて動く地面に 慣れるのは大変でした 59 00:12:03,848 --> 00:12:06,684 母に ついていけません 60 00:12:20,531 --> 00:12:25,411 母の一歩は 私たちにとっては大ジャンプ 61 00:12:36,756 --> 00:12:39,675 ここで生まれて初めて—— 62 00:12:39,759 --> 00:12:43,596 母は私と弟のそばを 離れます 63 00:12:50,436 --> 00:12:52,229 任務があったのです 64 00:12:58,944 --> 00:13:01,947 母は静かに気配を消し—— 65 00:13:03,032 --> 00:13:05,701 流氷に成りすましました 66 00:13:07,411 --> 00:13:09,705 獲物に忍び寄ります 67 00:13:19,340 --> 00:13:23,886 氷上にいるアザラシしか 捕獲できないことを 68 00:13:24,220 --> 00:13:26,847 母は分かっていました 69 00:13:29,600 --> 00:13:33,771 水中に潜られたら 捕まえられません 70 00:16:35,661 --> 00:16:37,830 私たちの出番は無し 71 00:16:38,914 --> 00:16:42,376 母の帰りを待つだけでした 72 00:16:56,223 --> 00:17:01,103 でも母は戻らず 狩りを続けていました 73 00:18:33,112 --> 00:18:36,448 最初の夏 アザラシが多く捕れ—— 74 00:18:37,032 --> 00:18:40,661 十分な食事に満足していました 75 00:19:03,308 --> 00:19:09,356 その頃は故郷の海氷にいれば 安心して生活できました 76 00:19:26,874 --> 00:19:32,296 でも今は 故郷である海氷が 失われつつあります 77 00:19:46,727 --> 00:19:49,479 アザラシには海氷が必要 78 00:19:59,990 --> 00:20:02,201 私たちにはアザラシが 79 00:20:13,170 --> 00:20:15,339 氷は私たちの命綱 80 00:20:21,261 --> 00:20:24,181 氷なしで生きられるでしょうか 81 00:20:41,031 --> 00:20:45,369 最初の長い冬 安全な所で 母が温めてくれました 82 00:20:48,622 --> 00:20:53,669 1年の半分は 空に光が舞う以外—— 83 00:20:53,752 --> 00:20:55,545 暗闇の世界でした 84 00:21:05,097 --> 00:21:07,724 太陽を失ったと思ったので—— 85 00:21:09,393 --> 00:21:12,479 再び目にした日は忘れません 86 00:21:52,060 --> 00:21:55,439 弟と私は日の光が大好きでした 87 00:21:59,568 --> 00:22:01,862 また探険できるのです 88 00:22:08,368 --> 00:22:11,705 でも体力を 無駄にはできません 89 00:22:12,289 --> 00:22:15,208 春は予定が ぎっしりでした 90 00:22:23,592 --> 00:22:28,889 春に1年分の栄養を取るのに 大切なのは—— 91 00:22:29,639 --> 00:22:31,016 素速さです 92 00:22:32,100 --> 00:22:37,647 すぐに多くの海氷が消え アザラシも姿を消します 93 00:22:52,329 --> 00:22:55,332 今年は 私たちも狩りに参加 94 00:22:56,750 --> 00:23:00,879 アザラシ猟を 覚えなくてはなりません 95 00:23:04,383 --> 00:23:08,553 レスリングをしてる場合では ありません 96 00:23:37,999 --> 00:23:42,254 もっと慎重にやるべきだと 学びました 97 00:24:01,231 --> 00:24:04,109 オスには警戒していました 98 00:24:07,154 --> 00:24:11,032 でもこの時は 不意を突かれました 99 00:24:22,210 --> 00:24:26,590 飢えたオスは しつこく後を追ってきました 100 00:24:42,939 --> 00:24:46,401 安全な距離など ありませんが—— 101 00:24:48,195 --> 00:24:51,072 安全な氷はあります 102 00:24:51,823 --> 00:24:54,826 母は それを知っていました 103 00:24:57,913 --> 00:25:02,542 割れ目をたどり 海氷の縁に来ました 104 00:25:07,047 --> 00:25:11,343 ここは氷が薄く 大きなオスは乗れません 105 00:25:19,059 --> 00:25:22,270 私と弟にとって 何より大事なのは 106 00:25:23,563 --> 00:25:25,398 遊ぶことでした 107 00:25:37,160 --> 00:25:41,665 海氷で過ごす時間は すべてが学びでした 108 00:25:45,710 --> 00:25:48,088 氷には種類があること 109 00:25:51,216 --> 00:25:53,051 厚さが違うこと 110 00:25:54,636 --> 00:25:58,598 完ぺきな 腹打ち飛び込みアタック 111 00:26:29,379 --> 00:26:32,966 午後の癒やしのひととき 112 00:26:36,636 --> 00:26:40,890 弟はアザラシ猟の 復習をしています 113 00:27:04,205 --> 00:27:07,083 雪上で転がり 毛を乾かすと—— 114 00:27:10,420 --> 00:27:12,422 旅を続けました 115 00:27:27,354 --> 00:27:30,357 あの春に 大きな自信を得ました 116 00:27:38,031 --> 00:27:41,785 でも母が まだ世界の中心でした 117 00:28:36,214 --> 00:28:39,884 現在は 遊んでいる暇などありません 118 00:28:47,934 --> 00:28:51,354 食料探しで精いっぱいです 119 00:29:04,284 --> 00:29:08,455 アザラシの居場所を 娘に教えたくても—— 120 00:29:09,497 --> 00:29:14,878 かつての狩り場を 見つけられなくなっています 121 00:29:40,945 --> 00:29:46,201 二度目の夏 昨年とは氷が違うようでした 122 00:29:51,831 --> 00:29:56,044 去年より暑くなり 早く解け始めました 123 00:30:06,221 --> 00:30:10,809 でも割れた海氷から 新たな獲物が現れました 124 00:30:11,726 --> 00:30:14,771 アザラシではありません 125 00:30:21,069 --> 00:30:23,029 シロイルカです 126 00:30:29,661 --> 00:30:32,539 私は初めて見ましたが—— 127 00:30:40,171 --> 00:30:41,840 母は違います 128 00:30:44,843 --> 00:30:48,179 夕食にするため狙っていました 129 00:31:03,570 --> 00:31:07,073 水中の動物を狩るのは 至難の業です 130 00:31:14,497 --> 00:31:16,875 でも母はくじけません 131 00:31:17,500 --> 00:31:19,919 食料が必要でした 132 00:32:04,005 --> 00:32:08,134 ついに1頭が 母に近づいてきました 133 00:32:27,695 --> 00:32:29,072 逃しました 134 00:32:30,782 --> 00:32:36,162 でも獲物がいる限り 挑むべきだと教わりました 135 00:32:48,841 --> 00:32:52,804 夏の半年間 太陽は沈みません 136 00:33:00,103 --> 00:33:04,774 絶え間ない日の光は 新たな命の恵みです 137 00:33:36,264 --> 00:33:39,684 動物は夏に子供を育てます 138 00:34:07,128 --> 00:34:12,216 けれど私たちにとって 夏は試練の季節です 139 00:34:14,135 --> 00:34:17,346 どんな獲物も逃せません 140 00:34:24,979 --> 00:34:28,191 おいしそうな ゼニガタアザラシです 141 00:34:31,778 --> 00:34:35,573 でも流氷がなく 隠れて近づけません 142 00:34:37,408 --> 00:34:39,452 何とかするしかありません 143 00:34:49,337 --> 00:34:51,631 母の動きを覚えています 144 00:34:51,714 --> 00:34:55,635 アザラシに そっと忍び寄る姿 145 00:35:10,358 --> 00:35:12,777 でも正体がバレると—— 146 00:35:13,027 --> 00:35:18,866 獲物を捕まえることは 不可能です 147 00:35:32,713 --> 00:35:35,424 泳ぎでアザラシに勝てません 148 00:36:06,414 --> 00:36:09,792 それでも母は どうにかして—— 149 00:36:09,876 --> 00:36:13,754 食べ物を 見つけてきたものでした 150 00:36:19,218 --> 00:36:21,470 海藻が夕食です 151 00:36:22,680 --> 00:36:25,725 私たちは海藻が嫌いでした 152 00:36:28,060 --> 00:36:29,979 特に弟は 153 00:36:31,355 --> 00:36:37,111 海藻を食べるくらいなら 夕食抜きを選ぶほど 154 00:36:46,412 --> 00:36:50,917 夏が長引くと ますます食料が減りました 155 00:36:51,709 --> 00:36:55,963 獲物はいるものの 近づくのが厄介 156 00:36:59,467 --> 00:37:03,221 毎年 夏に 鳥が来てひなを育てます 157 00:37:06,515 --> 00:37:11,187 巣を作るのは 捕食者の手が届かない場所 158 00:37:23,032 --> 00:37:25,785 わずかな場所も貴重です 159 00:37:38,673 --> 00:37:42,593 食料のためなら どこでも登ります 160 00:37:42,760 --> 00:37:45,388 母がお手本を示します 161 00:37:48,683 --> 00:37:51,936 でも他にも 空腹のクマがいました 162 00:37:54,772 --> 00:37:58,609 オスのクマに 先を越されたのです 163 00:38:11,539 --> 00:38:13,958 登るだけでも危険です 164 00:38:14,041 --> 00:38:17,211 オスがいては近づけません 165 00:38:34,520 --> 00:38:37,481 次々と崩れる足元の岩 166 00:38:51,037 --> 00:38:56,334 危険な岩壁にいる鳥を 捕まえようとするのは 167 00:38:56,417 --> 00:38:58,169 無謀すぎます 168 00:39:09,889 --> 00:39:12,850 オスは卵や ひなで 我慢しました 169 00:39:37,249 --> 00:39:42,421 そのはるか下で弟が もっといい食料を捕りました 170 00:39:45,132 --> 00:39:47,426 ささやかな勝利です 171 00:39:59,939 --> 00:40:02,108 夏は いつもこうでした 172 00:40:02,733 --> 00:40:06,529 ホッキョクグマを 悩ませ続ける飢え 173 00:40:11,283 --> 00:40:13,244 食料はごくわずか 174 00:40:27,216 --> 00:40:30,594 そのわずかな食料を 得るために 175 00:40:31,137 --> 00:40:34,265 大きな危険を 冒すことになります 176 00:40:40,688 --> 00:40:43,232 陸に食料は あるのですが 177 00:40:43,315 --> 00:40:47,236 私たちは 手に入れられないのです 178 00:41:06,297 --> 00:41:10,301 近年 夏が長くなっています 179 00:41:25,357 --> 00:41:29,236 わずかな食料を得るすべを 学んだことで 180 00:41:29,320 --> 00:41:31,030 生き延びています 181 00:41:47,505 --> 00:41:51,217 でも若いクマに 必要なのは—— 182 00:41:53,844 --> 00:41:55,596 成長です 183 00:42:20,162 --> 00:42:23,290 あれは2度目の秋でした 184 00:42:23,999 --> 00:42:27,461 すごいものを見つけました 185 00:42:37,429 --> 00:42:41,308 浅瀬に打ち上げられた クジラの死骸です 186 00:42:49,275 --> 00:42:52,861 これで当分 食料に困りません 187 00:43:02,663 --> 00:43:06,875 でも簡単には 食べられませんでした 188 00:43:09,169 --> 00:43:11,589 皮が厚くて破れない 189 00:43:20,139 --> 00:43:25,311 下のほうから おいしそうな 脂肪のにおいがするのに 190 00:43:29,148 --> 00:43:32,067 でも問題は解決します 191 00:43:40,951 --> 00:43:46,206 苦労していると オスがやってきました 192 00:43:46,332 --> 00:43:49,835 またしても ごちそうが台なしです 193 00:43:54,131 --> 00:43:56,216 離れるのが一番 194 00:44:12,107 --> 00:44:16,153 幸いオスの目当ては クジラでした 195 00:44:51,897 --> 00:44:57,820 力強いあごで皮をかむ様子を うらめしく見ていました 196 00:45:04,243 --> 00:45:09,998 諦めるには もったいないと 母は判断しました 197 00:45:12,167 --> 00:45:14,878 “果報は寝て待て〟です 198 00:45:30,018 --> 00:45:34,022 日が経つにつれ クマが増えてきました 199 00:45:34,106 --> 00:45:37,526 においに つられて来たのです 200 00:45:44,908 --> 00:45:50,289 全員が満腹になるまで 近づきませんでした 201 00:45:55,335 --> 00:45:59,798 あっという間に みんなで皮を食いちぎり 202 00:45:59,882 --> 00:46:03,302 ジューシーな脂肪を むさぼります 203 00:46:14,396 --> 00:46:17,399 その中に入りたかった 204 00:46:32,539 --> 00:46:38,128 満腹になると 泳いで食べかすを流します 205 00:46:46,929 --> 00:46:52,226 ホッキョクグマが集まるのを 見たのは初めてでした 206 00:46:57,105 --> 00:47:01,318 この時は 食料が十分にあったので 207 00:47:01,401 --> 00:47:03,612 争いも起きません 208 00:47:04,446 --> 00:47:07,866 同じ仲間として 楽しんでいました 209 00:47:14,873 --> 00:47:20,128 ようやく大きなクマたちが 満腹になり—— 210 00:47:20,420 --> 00:47:22,297 私の番が来ました 211 00:47:25,717 --> 00:47:28,011 海藻よりずっとおいしい 212 00:47:37,354 --> 00:47:39,606 大変な日々でしたが—— 213 00:47:42,943 --> 00:47:46,238 空腹と苦難を乗り越えました 214 00:47:48,407 --> 00:47:54,329 親子で無邪気に遊んだことを 今でも覚えています 215 00:48:01,712 --> 00:48:05,007 生涯で最高の1日でした 216 00:49:05,025 --> 00:49:09,029 2度目の冬は 去年よりも過酷でした 217 00:49:17,204 --> 00:49:19,998 あれほど すさまじい吹雪は 218 00:49:21,166 --> 00:49:23,418 初めての体験でした 219 00:49:49,861 --> 00:49:55,075 春を迎えると 2頭になっていました 220 00:50:03,917 --> 00:50:06,336 弟は生き残れなかった 221 00:50:40,996 --> 00:50:45,333 母と私だけの暮らしが 始まりました 222 00:51:19,618 --> 00:51:23,038 熱と氷は 相いれないものです 223 00:51:23,455 --> 00:51:26,374 現在は熱が勝っています 224 00:51:34,966 --> 00:51:38,637 氷が解けて 地面もドロドロ 225 00:51:49,189 --> 00:51:53,819 故郷へ続く古い道は 通れなくなりそうです 226 00:52:01,993 --> 00:52:04,579 私の知る夏とは違います 227 00:52:05,831 --> 00:52:09,584 もはや まったく別の季節です 228 00:52:36,778 --> 00:52:41,116 子供時代の3度目の夏が 最も暑かった 229 00:52:48,248 --> 00:52:50,625 海氷は早々と解けてしまい 230 00:52:50,876 --> 00:52:53,879 アザラシを探せませんでした 231 00:53:02,304 --> 00:53:07,642 そこで母は 特別な猟場に向かいました 232 00:53:13,273 --> 00:53:19,237 ある島の端に 見たことのない獲物がいました 233 00:53:22,073 --> 00:53:23,491 セイウチです 234 00:53:32,959 --> 00:53:38,048 奇妙な牙を持つ変わった生物に 興味を覚えました 235 00:53:46,806 --> 00:53:50,060 興味ではなく恐怖だったかも 236 00:54:02,364 --> 00:54:04,950 母が私を連れてきたのは—— 237 00:54:06,201 --> 00:54:10,330 自分の手で 狩りをさせるためでした 238 00:54:16,002 --> 00:54:20,298 最も簡単に狩れそうな 相手を探します 239 00:54:27,180 --> 00:54:30,308 どれも難しそうでした 240 00:54:34,646 --> 00:54:38,942 母はセイウチが集まる砂浜を 観察していました 241 00:54:42,946 --> 00:54:46,616 大人のセイウチが 密集しています 242 00:54:49,160 --> 00:54:51,830 多い上に大きすぎます 243 00:55:07,429 --> 00:55:10,932 母が様子を見に 戻ってきました 244 00:55:11,016 --> 00:55:13,601 作戦を思いつきます 245 00:55:19,232 --> 00:55:23,486 セイウチが赤ちゃんを ヒレで抱えていました 246 00:55:26,406 --> 00:55:29,492 獲物にぴったりの大きさです 247 00:55:34,372 --> 00:55:38,668 泳いで近づき 水中で母親から奪うのは 248 00:55:38,752 --> 00:55:40,545 とても無理 249 00:55:45,425 --> 00:55:50,638 でも砂浜の群れに隠れた 赤ちゃんがいるはず 250 00:56:09,491 --> 00:56:13,703 やはり群れの隅に 押し込まれていました 251 00:56:19,084 --> 00:56:20,919 位置につきました 252 00:56:23,004 --> 00:56:25,215 見向きも されません 253 00:56:27,467 --> 00:56:31,221 でも母が近づくと パニックに 254 00:56:31,304 --> 00:56:33,807 水中に逃げ始めました 255 00:56:54,452 --> 00:56:55,787 作戦成功 256 00:56:56,121 --> 00:56:59,624 取り残された子がいます 257 00:57:23,898 --> 00:57:27,277 久しぶりの ごちそうでした 258 00:57:28,903 --> 00:57:32,240 私はやっと 狩りで役に立てました 259 00:57:48,882 --> 00:57:52,218 3度目の冬が やってきた頃 260 00:57:52,594 --> 00:57:54,804 大きな変化がありました 261 00:58:05,231 --> 00:58:09,402 独り立ちをする時が来たのです 262 00:58:14,657 --> 00:58:20,288 すべての知恵を託した後 母は私と別れました 263 00:58:38,848 --> 00:58:43,186 学んだ知恵を元に 独りで生きていかなくては 264 00:59:02,539 --> 00:59:04,082 怖かった 265 00:59:05,124 --> 00:59:08,586 世界の広さと 孤独を感じました 266 00:59:36,906 --> 00:59:40,451 母なしで 生きられるでしょうか 267 01:00:10,690 --> 01:00:14,360 それからの3年間は ずっと独りでした 268 01:00:18,948 --> 01:00:23,077 他のクマに 一度も会いませんでした 269 01:01:02,659 --> 01:01:04,994 でも寂しくありません 270 01:01:08,373 --> 01:01:10,166 母が ついていました 271 01:01:17,006 --> 01:01:20,593 何をするにも母と一緒でした 272 01:01:21,803 --> 01:01:23,471 どんな決断も 273 01:01:26,724 --> 01:01:28,393 どんな道のりも 274 01:01:33,731 --> 01:01:37,193 母の教えを胸に成長しました 275 01:01:42,824 --> 01:01:45,368 母から学んだ知恵のおかげで 276 01:01:45,451 --> 01:01:48,538 厳しい冬を 3度乗り越えました 277 01:02:23,823 --> 01:02:29,495 そしてあの春 驚くべきことが起こりました 278 01:02:38,296 --> 01:02:40,381 他のクマに会ったのです 279 01:02:46,095 --> 01:02:50,808 過去の経験から オスに警戒しましたが 280 01:02:51,434 --> 01:02:54,437 すぐに恐れは消えました 281 01:02:56,481 --> 01:02:58,232 彼は友好的でした 282 01:03:04,489 --> 01:03:09,243 私と同じ年で 同じように ずっと独りぼっち 283 01:03:09,994 --> 01:03:14,165 子供のように1日中 無邪気に遊びました 284 01:03:23,174 --> 01:03:25,551 そこで大好きな場所へ 285 01:03:29,013 --> 01:03:33,100 よく弟と遊んでいた 海氷の縁です 286 01:05:18,831 --> 01:05:25,212 その日 すべてのオスが 怖いわけではないと知りました 287 01:06:01,624 --> 01:06:05,670 会った時のように 突然 彼は去りました 288 01:06:08,881 --> 01:06:10,925 ある日 若いクマが2頭—— 289 01:06:11,008 --> 01:06:15,221 氷上で出会ったに すぎませんでした 290 01:06:30,069 --> 01:06:35,491 この体験が生かされたのは 春の終わりのこと 291 01:06:46,168 --> 01:06:51,048 私の倍の大きさの 立派なオスが現れたのです 292 01:07:05,813 --> 01:07:11,902 そのオスは 私のにおいと 足跡をたどってきました 293 01:07:51,317 --> 01:07:54,278 何日も 追ってきました 294 01:08:12,880 --> 01:08:16,425 それまでずっと オスから逃げてきました 295 01:08:18,803 --> 01:08:22,556 でも今回は 何かが違っていました 296 01:08:25,101 --> 01:08:27,061 勇気を感じ—— 297 01:08:33,526 --> 01:08:35,653 怖くありませんでした 298 01:09:13,732 --> 01:09:18,612 程なくして求愛されていると 気づきました 299 01:09:52,646 --> 01:09:55,733 長い間 そばにいましたが 300 01:09:56,358 --> 01:10:00,070 その時が来たと感じました 301 01:10:05,826 --> 01:10:09,788 邪魔が入るのを 避けたかったので 302 01:10:09,872 --> 01:10:15,336 海氷から遠く離れた 山の方に案内しました 303 01:10:26,555 --> 01:10:29,642 長い道のりに疲れ果て 304 01:10:29,725 --> 01:10:33,771 頂上に着く前に 休まねばなりませんでした 305 01:10:44,657 --> 01:10:46,909 一緒に寝ました 306 01:10:51,747 --> 01:10:55,125 心を許すことができました 307 01:11:12,309 --> 01:11:17,398 雲より上の 私が生まれた巣穴の近く 308 01:11:18,232 --> 01:11:22,361 家族と別れてから 切望していたものを 309 01:11:22,444 --> 01:11:24,655 授けられました 310 01:11:25,739 --> 01:11:28,659 私自身の家族です 311 01:11:47,428 --> 01:11:49,513 彼も去っていきました 312 01:11:53,267 --> 01:11:56,770 でも翌春 私の願いが現実に 313 01:11:58,439 --> 01:12:00,649 待望の赤ちゃんです 314 01:12:14,163 --> 01:12:18,459 ひとりっ子なので より一層いとしい 315 01:12:49,073 --> 01:12:51,909 弟のことを思い出します 316 01:13:39,915 --> 01:13:44,711 子供を育てていると 自分の子供時代を思い出します 317 01:13:45,295 --> 01:13:49,258 親から子へ 繰り返し受け継がれていく 318 01:13:49,466 --> 01:13:55,597 だから どんな試練も 乗り越えられた 319 01:13:57,224 --> 01:14:00,144 母も そうだったのです 320 01:14:39,725 --> 01:14:43,604 私たちは 力強く生き抜いています 321 01:15:03,999 --> 01:15:08,003 環境の変化も 克服してきました 322 01:15:21,517 --> 01:15:26,855 知恵を受け継ぐことで 困難をくぐり抜けてきた 323 01:15:37,032 --> 01:15:38,700 氷の見つけ方 324 01:15:44,665 --> 01:15:46,750 食料の探し方 325 01:15:54,716 --> 01:15:58,554 変化する地形への適応方法 326 01:16:18,031 --> 01:16:22,160 でも最近は 限界も感じています 327 01:16:31,295 --> 01:16:36,466 さらなる変化を 乗り越えられるか不安です 328 01:17:00,282 --> 01:17:06,121 娘は立派なホッキョクグマに 成長するでしょう 329 01:17:21,178 --> 01:17:23,847 きっと耐えられるはず 330 01:17:37,861 --> 01:17:41,823 でも娘の故郷は どうなるのでしょうか 331 01:18:29,996 --> 01:18:35,168 2040年までに夏の北極で 氷が消える可能性がある 332 01:18:37,713 --> 01:18:43,135 でも私たちの行動で 未来は変えられます 333 01:18:45,637 --> 01:18:51,059 ホッキョクグマの故郷を守る 保護活動が行われているのです 334 01:18:53,562 --> 01:18:57,482 詳細と 未来を変える方法については 335 01:18:57,566 --> 01:19:00,736 URLを ご覧ください 336 01:22:53,426 --> 01:22:55,428 日本版字幕 土居 恵理