1 00:00:06,340 --> 00:00:11,304 ‪NETFLIX ドキュメンタリー 2 00:00:20,188 --> 00:00:23,941 ‪陸を歩く 最強の肉食動物 3 00:00:27,320 --> 00:00:29,864 ‪力強さだけではない 4 00:00:35,119 --> 00:00:36,746 ‪頂点に立つには 5 00:00:38,331 --> 00:00:40,166 ‪優れた知能が要る 6 00:00:41,334 --> 00:00:44,253 ‪機会を生かすことも必要 7 00:00:45,880 --> 00:00:49,926 ‪厳しい環境にある土地を ‪クマは制覇してきた 8 00:00:55,056 --> 00:00:58,684 ‪しかし 赤ちゃんは ‪生き抜く‪術(すべ)‪を知らない 9 00:01:00,853 --> 00:01:02,438 ‪だから教わるのだ 10 00:01:04,857 --> 00:01:09,779 ‪子グマが外の世界へ ‪出ていく準備をさせるため― 11 00:01:09,862 --> 00:01:11,739 ‪母は困難に立ち向かう 12 00:01:18,955 --> 00:01:22,208 ‪クマ科 13 00:01:24,335 --> 00:01:28,422 ‪アメリカ ‪マサチューセッツ州 14 00:01:32,385 --> 00:01:34,804 ‪いてつく冬に閉じ込められ 15 00:01:36,514 --> 00:01:39,892 ‪北の森は静まり返っている 16 00:01:42,186 --> 00:01:43,146 ‪沈黙のみ 17 00:01:44,814 --> 00:01:46,816 ‪何の手がかりもないが 18 00:01:48,192 --> 00:01:53,447 ‪雪の下に ‪大きな動物が眠っている 19 00:02:02,331 --> 00:02:03,791 ‪遅めの呼吸 20 00:02:09,422 --> 00:02:11,924 ‪心拍数は1分間に8回だ 21 00:02:15,261 --> 00:02:17,305 ‪秋から何も食べていない 22 00:02:20,016 --> 00:02:25,646 ‪アメリカクロクマは3か月間 ‪冬眠状態に陥る 23 00:02:29,901 --> 00:02:31,360 ‪驚くことに― 24 00:02:34,572 --> 00:02:40,036 ‪クマは3週間前に ‪1度 目覚めて出産している 25 00:02:40,703 --> 00:02:42,079 ‪赤ちゃんは3匹 26 00:02:48,878 --> 00:02:52,673 ‪1匹の重さは ‪スープ缶1個程度だ 27 00:03:00,932 --> 00:03:04,310 ‪母グマは脂肪を消化して ‪生きるが 28 00:03:05,102 --> 00:03:07,146 ‪子グマにも飢えはない 29 00:03:09,649 --> 00:03:11,234 ‪母乳は栄養豊富 30 00:03:12,401 --> 00:03:14,362 ‪子グマは倍に成長した 31 00:03:19,408 --> 00:03:23,037 ‪同じ光景は ‪北米の各地で見られる 32 00:03:25,539 --> 00:03:28,834 ‪50万頭以上のクロクマが ‪冬眠している 33 00:03:29,669 --> 00:03:30,753 ‪地面の下や 34 00:03:32,964 --> 00:03:35,383 ‪倒木の下に潜っている 35 00:03:38,052 --> 00:03:40,930 ‪時には むき出しで ‪眠るクマも 36 00:03:46,519 --> 00:03:50,773 ‪子グマは母に密着し ‪暖を取っている 37 00:03:56,988 --> 00:04:01,242 ‪こちらの母グマは ‪快適な洞穴を選んだ 38 00:04:08,749 --> 00:04:10,751 ‪ようやく春が訪れると 39 00:04:11,502 --> 00:04:13,379 ‪多忙な毎日が始まる 40 00:04:16,549 --> 00:04:18,092 ‪母グマのしつけで 41 00:04:18,801 --> 00:04:20,886 ‪子グマの一生が決まる 42 00:04:27,601 --> 00:04:30,271 ‪世界に生息するクマは8種類 43 00:04:36,736 --> 00:04:39,196 ‪アジアのジャングルでも 44 00:04:39,947 --> 00:04:42,241 ‪北極の氷床でも見られる 45 00:04:44,493 --> 00:04:48,539 ‪意外にも 犬ほどのサイズの ‪種も存在する 46 00:04:49,248 --> 00:04:52,752 ‪一方 体重1トンにまで ‪及ぶ種も 47 00:04:55,504 --> 00:05:01,135 ‪肉食動物に分類されるが ‪大抵は 何でも食べられる 48 00:05:04,013 --> 00:05:07,600 ‪献身的な母親から ‪教わることで 49 00:05:08,225 --> 00:05:10,728 ‪適宜にエサを発見できる 50 00:05:13,105 --> 00:05:15,858 ‪どの生息地にも困難がある 51 00:05:22,156 --> 00:05:26,160 ‪生き抜くには ‪腕力だけでなく 52 00:05:27,536 --> 00:05:29,413 ‪知力も必要だ 53 00:05:39,256 --> 00:05:40,633 ‪北極の冬 54 00:05:43,969 --> 00:05:44,929 ‪過酷で― 55 00:05:47,181 --> 00:05:48,224 ‪生気がない 56 00:05:50,559 --> 00:05:53,187 ‪そこに暮らす動物もいる 57 00:05:53,729 --> 00:05:58,359 ‪ノルウェー ‪スバールバル諸島 58 00:06:13,165 --> 00:06:17,795 ‪氷点下40度でも ‪ホッキョクグマは体温を保つ 59 00:06:18,712 --> 00:06:20,423 ‪二重の毛皮と 60 00:06:21,006 --> 00:06:23,968 ‪腕ほどの厚みの脂肪の ‪おかげだ 61 00:06:29,765 --> 00:06:32,268 ‪ホッキョクグマは冬眠しない 62 00:06:33,185 --> 00:06:35,855 ‪冬は狩りの季節だ 63 00:06:39,567 --> 00:06:41,694 ‪好物はアザラシで 64 00:06:42,862 --> 00:06:49,493 ‪鋭い嗅覚を使い 数キロ先で ‪獲物の存在を感知する 65 00:06:56,959 --> 00:06:59,170 ‪雄が何か 嗅ぎつけたが 66 00:06:59,962 --> 00:07:01,964 ‪獲物ではない 67 00:07:03,674 --> 00:07:05,468 ‪他のクマだ 68 00:07:10,598 --> 00:07:14,810 ‪雄は よその子グマを ‪殺すことがある 69 00:07:17,521 --> 00:07:22,234 ‪この子グマは 成獣サイズで ‪無防備ではないが 70 00:07:23,652 --> 00:07:26,530 ‪雄からは離れるのが賢明だ 71 00:07:31,911 --> 00:07:36,957 ‪独り立ちする前に ‪狩りの技術を学ぶ必要がある 72 00:07:41,837 --> 00:07:44,048 ‪子グマに狩りを教える― 73 00:07:44,924 --> 00:07:47,760 ‪絶好のチャンスのようだ 74 00:08:05,110 --> 00:08:06,695 ‪風下から近づく 75 00:08:09,114 --> 00:08:10,699 ‪白い体色が役立つ 76 00:08:15,704 --> 00:08:17,581 ‪攻撃圏内へ忍び寄る 77 00:08:58,247 --> 00:09:00,249 ‪母が狩りに成功すれば 78 00:09:00,332 --> 00:09:04,169 ‪子グマは強く 賢く成長する 79 00:09:07,423 --> 00:09:11,218 ‪親元を離れた時 ‪このような学習体験が 80 00:09:11,802 --> 00:09:13,887 ‪生死を分けるのだ 81 00:09:22,771 --> 00:09:26,984 ‪アメリカ ‪マサチューセッツ州 82 00:09:27,943 --> 00:09:31,280 ‪洞穴を出ると ‪子グマの学習が始まる 83 00:09:41,915 --> 00:09:45,044 ‪クロクマの家族にも ‪春が訪れた 84 00:09:46,503 --> 00:09:49,256 ‪外の世界が呼んでいる 85 00:09:55,179 --> 00:09:59,099 ‪母グマは秋以降に ‪45キロ 体重を落とした 86 00:09:59,850 --> 00:10:01,518 ‪全体重の半分だ 87 00:10:02,102 --> 00:10:04,021 ‪早速 出かけていく 88 00:10:06,607 --> 00:10:12,488 ‪母乳で満ち足りている ‪子グマに焦りは見えない 89 00:10:19,036 --> 00:10:21,372 ‪何もかも新しい世界 90 00:10:23,957 --> 00:10:26,043 ‪よじ登るのは得意だが 91 00:10:27,169 --> 00:10:30,547 ‪この道は障害物が多すぎる 92 00:10:48,607 --> 00:10:50,192 ‪最初のハードルから 93 00:10:52,444 --> 00:10:53,862 ‪母が手助けする 94 00:10:57,616 --> 00:11:02,246 ‪母は大黒柱で 教師で ‪保護者でもあるのだ 95 00:11:04,540 --> 00:11:06,375 ‪責任は重大だ 96 00:11:07,042 --> 00:11:10,337 ‪子グマの3分の1は ‪1歳まで生きられない 97 00:11:17,136 --> 00:11:19,513 ‪クマにとって最大の脅威は 98 00:11:20,431 --> 00:11:21,932 ‪他のクマだ 99 00:11:22,433 --> 00:11:26,812 ‪アメリカ アラスカ州 100 00:11:30,607 --> 00:11:33,986 ‪グリズリーと呼ばれる ‪ヒグマは 101 00:11:34,069 --> 00:11:36,905 ‪洞穴から出て山を下りる 102 00:11:39,199 --> 00:11:42,536 ‪スゲ属の草を食べるため ‪牧草地へ 103 00:11:44,455 --> 00:11:48,292 ‪クマは犬やネコのように ‪縄張りを持たないが 104 00:11:49,334 --> 00:11:51,587 ‪ボスは存在を主張する 105 00:11:56,633 --> 00:12:02,556 ‪この老いたボスは何年も ‪牧草地を支配下に置いている 106 00:12:10,522 --> 00:12:12,483 ‪体重を増やし 107 00:12:13,692 --> 00:12:18,655 ‪繁殖期に挑んでくる相手に ‪備える必要がある 108 00:12:28,874 --> 00:12:32,628 ‪筋肉を増強する ‪タンパク質が含まれる草だ 109 00:12:37,674 --> 00:12:40,719 ‪ただし 平均的なクマより ‪賢ければ 110 00:12:40,803 --> 00:12:43,639 ‪より栄養のあるエサに ‪ありつける 111 00:12:50,354 --> 00:12:56,193 ‪この母グマは子グマに ‪エサを独占させる気だ 112 00:13:03,408 --> 00:13:06,870 ‪ぬかるんだ砂浜は ‪何もないように見える 113 00:13:13,085 --> 00:13:16,922 ‪だが 少し掘れば ‪ごちそうが出てくる 114 00:13:23,262 --> 00:13:25,013 ‪貝を見つけたら 115 00:13:25,848 --> 00:13:27,599 ‪まず殻をむく 116 00:13:28,475 --> 00:13:30,769 ‪かなり繊細な作業だ 117 00:13:36,567 --> 00:13:38,944 ‪できるのは一部のクマのみ 118 00:13:40,112 --> 00:13:42,155 ‪母グマも親から教わり 119 00:13:43,198 --> 00:13:45,117 ‪子に伝えている 120 00:13:50,247 --> 00:13:55,127 ‪干潮時に貝掘りの名人は ‪みずみずしいエサにありつく 121 00:14:00,966 --> 00:14:05,512 ‪牧草地のエサより ‪はるかにタンパク質は高い 122 00:14:10,809 --> 00:14:15,022 ‪これで 子グマは ‪生存競争でリードできる 123 00:14:34,416 --> 00:14:35,459 ‪よそ者だ 124 00:14:39,421 --> 00:14:40,714 ‪退却する時だ 125 00:14:43,842 --> 00:14:48,680 ‪対立を避けることも ‪大事な知恵なのだ 126 00:14:51,892 --> 00:14:55,103 ‪怒れるクマは自然界の脅威だ 127 00:15:08,784 --> 00:15:10,494 ‪相手が大きくても 128 00:15:11,119 --> 00:15:13,163 ‪クマを甘く見ないことだ 129 00:15:15,874 --> 00:15:17,834 ‪この爪も強力だ 130 00:15:19,503 --> 00:15:22,881 ‪最長10センチに及ぶ武器だ 131 00:15:25,801 --> 00:15:28,762 ‪爪は便利な道具でもある 132 00:15:30,097 --> 00:15:31,473 ‪木登りでも活躍 133 00:15:33,600 --> 00:15:34,851 ‪シャベルにも 134 00:15:35,560 --> 00:15:36,937 ‪氷を釣る‪鉤(かぎ)‪にも 135 00:15:37,688 --> 00:15:39,356 ‪フォークにもなる 136 00:15:41,900 --> 00:15:44,236 ‪体をかく時も 137 00:15:46,029 --> 00:15:47,447 ‪何より役立つ 138 00:15:49,741 --> 00:15:53,996 ‪最長の爪を持つのは ‪最小のクマだ 139 00:15:56,206 --> 00:15:58,959 ‪ヒグマの10分の1ほどの― 140 00:15:59,042 --> 00:16:03,046 ‪マレーグマは ‪ジャングルで暮らす達人だ 141 00:16:03,964 --> 00:16:08,135 ‪マレーシア ボルネオ島 142 00:16:10,178 --> 00:16:14,016 ‪ジャングルでの食料探しは ‪楽ではない 143 00:16:20,647 --> 00:16:23,900 ‪だが たぐいまれな ‪嗅覚を頼りに 144 00:16:27,237 --> 00:16:29,156 ‪このクマは鼻に従う 145 00:16:51,219 --> 00:16:54,222 ‪甘い香りの発生源を特定した 146 00:16:55,557 --> 00:16:58,310 ‪ただし 問題が1つ 147 00:17:00,020 --> 00:17:02,022 ‪エサは はるか頭上だ 148 00:17:05,609 --> 00:17:07,736 ‪4階建てのビルの高さだ 149 00:17:09,863 --> 00:17:13,325 ‪でもマレーグマは ‪ハチミツに目がない 150 00:17:18,622 --> 00:17:21,333 ‪幸運にも木登りは得意だ 151 00:17:28,465 --> 00:17:32,677 ‪曲がった長い爪で ‪木を捕らえている 152 00:17:33,678 --> 00:17:37,557 ‪犬程度の体格なので ‪身軽にも動ける 153 00:17:40,227 --> 00:17:42,354 ‪無駄な努力だったようだ 154 00:17:46,441 --> 00:17:47,776 ‪さらには― 155 00:17:48,777 --> 00:17:50,529 ‪ライバルが登場 156 00:18:02,207 --> 00:18:03,959 ‪違っただろうか? 157 00:18:08,922 --> 00:18:12,926 ‪腐った木の中の虫も ‪マレーグマの好物だ 158 00:18:26,690 --> 00:18:30,986 ‪他のクマが気を取られた隙に ‪別の木へ移る 159 00:18:47,002 --> 00:18:50,255 ‪針を持たないハチなので ‪心配は無用 160 00:18:53,341 --> 00:18:54,467 ‪ついに― 161 00:18:56,595 --> 00:18:58,221 ‪たどり着いた 162 00:19:03,810 --> 00:19:06,688 ‪爪はスプーンにもなる 163 00:19:13,486 --> 00:19:16,406 ‪25センチの舌も使い ‪なめ取る 164 00:19:23,038 --> 00:19:28,543 ‪ジャングルでのエサ探しを ‪マレーグマは克服した 165 00:19:37,219 --> 00:19:40,680 ‪だが 森が農地へと ‪開拓されれば 166 00:19:42,933 --> 00:19:45,060 ‪マレーグマは家を失う 167 00:19:48,605 --> 00:19:52,776 ‪治療薬の材料として ‪密猟の危険にもさらされる 168 00:19:55,487 --> 00:19:58,031 ‪今や ‪最も希少なクマとなった 169 00:20:02,035 --> 00:20:06,748 ‪最も謎めいたクマより ‪貴重な存在と言える 170 00:20:35,610 --> 00:20:39,906 ‪中国 ‪四川(しせん)‪省 171 00:20:41,700 --> 00:20:47,330 ‪ジャイアントパンダは ‪あるエサに長い時間を費やす 172 00:20:50,166 --> 00:20:51,084 ‪竹だ 173 00:20:55,880 --> 00:21:00,260 ‪1日に12時間 ‪竹を食べ続けるのだ 174 00:21:03,388 --> 00:21:06,641 ‪パンダの食事の99%は竹だ 175 00:21:11,604 --> 00:21:16,526 ‪パンダには他のクマにはない ‪親指の出っ張りが見られる 176 00:21:18,945 --> 00:21:22,324 ‪そこを使い ‪竹を丸めて食べるのだ 177 00:21:23,825 --> 00:21:27,370 ‪竹をエサに選ぶとは奇妙だが 178 00:21:27,454 --> 00:21:29,456 ‪もともとは肉食だった 179 00:21:33,043 --> 00:21:37,088 ‪しかし 竹は豊富で ‪一年中 育つので 180 00:21:37,172 --> 00:21:41,134 ‪数百万年をかけて ‪パンダは食を切り替えた 181 00:21:43,970 --> 00:21:48,725 ‪問題は 内臓がうまく ‪竹を消化できない点だ 182 00:21:51,144 --> 00:21:54,814 ‪生きるためには ‪大量に食べるしかない 183 00:21:56,649 --> 00:21:58,318 ‪他のエサは食べない 184 00:22:08,370 --> 00:22:12,415 ‪人間が広範囲にわたって ‪竹を伐採したため 185 00:22:13,208 --> 00:22:15,502 ‪パンダのエサは枯渇した 186 00:22:16,294 --> 00:22:18,838 ‪今や絶滅の危機にある 187 00:22:21,674 --> 00:22:24,386 ‪特殊なエサを食べるクマは ‪例外だ 188 00:22:26,096 --> 00:22:29,224 ‪大抵のクマは ‪多くのエサに挑戦する 189 00:22:33,603 --> 00:22:37,941 ‪アメリカ ミネソタ州 190 00:22:38,775 --> 00:22:41,069 ‪カナダとの国境の森には 191 00:22:41,694 --> 00:22:44,739 ‪数万頭のクロクマが ‪生息している 192 00:22:46,199 --> 00:22:50,620 ‪夏を迎えて 母グマは ‪子グマとエサ探しの旅に出る 193 00:22:52,163 --> 00:22:55,417 ‪鳴き声で促し ‪道を覚えさせている 194 00:22:59,504 --> 00:23:02,215 ‪生後半年の子グマは ‪好奇心だらけ 195 00:23:07,846 --> 00:23:10,306 ‪ただし 世間知らずだ 196 00:23:19,023 --> 00:23:22,444 ‪母は子の目となり 耳となる 197 00:23:31,911 --> 00:23:35,915 ‪母がうなり声で異変を伝える 198 00:23:45,383 --> 00:23:46,301 ‪雄だ 199 00:23:48,261 --> 00:23:52,182 ‪雄は子グマを殺し ‪雌に発情を促す場合もある 200 00:23:56,311 --> 00:23:59,314 ‪母がうなるのは ‪隠れるべき時だ 201 00:24:18,124 --> 00:24:22,212 ‪母グマの警告を ‪雄は意に介さないようだ 202 00:24:27,550 --> 00:24:29,844 ‪せきは“登れ”の合図 203 00:24:51,950 --> 00:24:56,788 ‪母は きぜんとして ‪1歩も引こうとしない 204 00:25:03,419 --> 00:25:07,423 ‪関わる気はないと ‪雄に分からせるのだ 205 00:25:21,312 --> 00:25:26,150 ‪洞穴を出て以来 母は ‪木登りの練習をさせてきた 206 00:25:29,571 --> 00:25:30,863 ‪努力は報われた 207 00:25:35,201 --> 00:25:39,539 ‪安全が確認できるまで ‪子は木の上で待つ 208 00:25:43,585 --> 00:25:46,087 ‪木登りの練習の機会だ 209 00:25:47,171 --> 00:25:50,049 ‪その間 母は一眠りする 210 00:26:08,818 --> 00:26:10,361 ‪ただし 寝込まない 211 00:26:11,863 --> 00:26:16,242 ‪秋が近づいているので ‪全員で太る必要がある 212 00:26:21,831 --> 00:26:23,666 ‪より過酷な土地では 213 00:26:23,750 --> 00:26:27,545 ‪食料と水の確保に ‪年中 悩まされる場合も 214 00:26:31,341 --> 00:26:35,053 ‪ペルー アンデス山脈 215 00:26:37,180 --> 00:26:39,724 ‪何も住めないような山脈 216 00:26:42,310 --> 00:26:46,397 ‪だが メガネグマには ‪ここが住みかだ 217 00:26:47,815 --> 00:26:51,110 ‪南米に生息する唯一のクマだ 218 00:26:52,820 --> 00:26:54,864 ‪実在の“パディントン”だ 219 00:26:57,450 --> 00:27:00,203 ‪ただし ‪ダッフルコートは なし 220 00:27:01,120 --> 00:27:03,539 ‪最も高い山が雲を遮り 221 00:27:07,960 --> 00:27:10,963 ‪高地の砂漠が出来上がる 222 00:27:17,679 --> 00:27:21,224 ‪8か月 ‪雨が降らないことさえある 223 00:27:32,068 --> 00:27:36,864 ‪数キロ圏内にある ‪唯一の湧き水がここだ 224 00:27:39,409 --> 00:27:42,078 ‪最高のオアシスだ 225 00:27:55,758 --> 00:27:58,136 ‪クマは1日をここで過ごす 226 00:28:03,516 --> 00:28:09,021 ‪1頭が水場を独占する間 ‪他のクマは時間を有効活用 227 00:28:24,495 --> 00:28:28,082 ‪木の幹も生存に役立つことを 228 00:28:28,166 --> 00:28:29,959 ‪母が子に教えている 229 00:28:30,918 --> 00:28:34,255 ‪決して大きくないクマだが 230 00:28:34,338 --> 00:28:37,967 ‪強いアゴで木を裂き ‪水分を摂取する 231 00:28:47,226 --> 00:28:51,898 ‪食料も水も少ないので ‪体力を温存し 232 00:28:52,690 --> 00:28:54,275 ‪頻繁に休む 233 00:28:57,403 --> 00:29:01,908 ‪樹上は涼しいが ‪細い枝では体を預けられない 234 00:29:03,618 --> 00:29:07,246 ‪そこで このクマは ‪他の種と違う行動に 235 00:29:14,796 --> 00:29:16,672 ‪ベッドを作るのだ 236 00:29:25,973 --> 00:29:28,142 ‪工夫を凝らして 237 00:29:28,226 --> 00:29:32,021 ‪ベッドを作り 次の雨を待つ 238 00:29:36,609 --> 00:29:38,361 ‪涼しい風が吹く 239 00:29:40,988 --> 00:29:42,198 ‪快適な寝床だ 240 00:29:44,075 --> 00:29:46,744 ‪昼寝に最適の場所だ 241 00:29:50,164 --> 00:29:52,625 {\an8}アメリカ アラスカ州 242 00:29:52,625 --> 00:29:56,128 {\an8}アメリカ アラスカ州 ‪はるか北の大地は ‪これほど平和ではない 243 00:30:00,967 --> 00:30:02,718 ‪ボスのヒグマだ 244 00:30:03,719 --> 00:30:07,431 ‪春から1日に1キロ弱 ‪体重を増やしている 245 00:30:08,891 --> 00:30:10,560 ‪さらに太る必要も 246 00:30:14,105 --> 00:30:17,191 ‪より大きく 悪くなることで 247 00:30:17,984 --> 00:30:22,154 ‪ボスとなって ‪エサ場と雌を確保してきた 248 00:30:29,829 --> 00:30:31,873 ‪この地位に就いて10年 249 00:30:32,999 --> 00:30:35,334 ‪力を失いつつあるようだ 250 00:30:57,315 --> 00:31:00,610 ‪やっかいな問題が出現する 251 00:31:15,791 --> 00:31:18,628 ‪若い雄がボスの没落に ‪気付いた 252 00:31:32,350 --> 00:31:35,227 ‪自分の価値を雌に証明し 253 00:31:36,103 --> 00:31:39,023 ‪若造にボスが誰かを ‪教えるべきだ 254 00:31:41,984 --> 00:31:43,569 ‪威張って歩く 255 00:31:51,702 --> 00:31:54,246 ‪堂々とした態度を見せる 256 00:31:58,751 --> 00:31:59,961 ‪とはいえ― 257 00:32:01,545 --> 00:32:04,340 ‪相手は若く 巨大だ 258 00:32:13,933 --> 00:32:15,810 ‪雌が見ていては 259 00:32:17,937 --> 00:32:19,605 ‪引き下がれない 260 00:33:13,117 --> 00:33:15,828 ‪老いたボスが倒れた 261 00:33:27,840 --> 00:33:30,384 ‪牧草地の支配者の交代は 262 00:33:31,844 --> 00:33:33,637 ‪すぐ実証される 263 00:33:42,229 --> 00:33:44,607 ‪老いたボスの時代は終わった 264 00:33:51,280 --> 00:33:53,741 ‪雌は賢い選択をして 265 00:33:53,824 --> 00:33:57,745 ‪より強く 健康な雄を ‪子グマの父親とする 266 00:34:00,748 --> 00:34:04,043 ‪勝利の報酬を得て ‪クマの1日は終わる 267 00:34:07,463 --> 00:34:11,008 ‪だが さらに北では ‪夏を乗り切るのが 268 00:34:11,509 --> 00:34:13,135 ‪困難になっている 269 00:34:17,681 --> 00:34:22,520 ‪毎年 北極の気温が上がり ‪海氷の面積が縮小している 270 00:34:36,075 --> 00:34:40,454 ‪ホッキョクグマはエサを ‪捕れずに立往生している 271 00:34:48,295 --> 00:34:51,215 ‪気候変動で氷が早く解けて 272 00:34:52,383 --> 00:34:54,510 ‪飢える期間が延びている 273 00:34:57,138 --> 00:35:01,600 ‪母は家族を生かすため ‪懸命に努力する 274 00:35:06,564 --> 00:35:10,234 ‪たとえ その先に ‪危険が待とうとも 275 00:35:13,237 --> 00:35:18,409 ‪アラスカ北部の海岸には ‪食べ残しのクジラの骨がある 276 00:35:20,744 --> 00:35:25,082 ‪空腹に耐えかねたクマが ‪死肉をあさりに来る 277 00:35:28,878 --> 00:35:31,922 ‪ある程度までは ‪互いを許容する 278 00:35:38,012 --> 00:35:42,141 ‪ただし 子グマは ‪不機嫌な大人には近づけない 279 00:35:48,105 --> 00:35:51,650 ‪それでも 飢えの恐怖は ‪さらに深刻だ 280 00:35:57,948 --> 00:36:02,661 ‪やっかいな状況への対処も ‪子は学ばねばならない 281 00:36:03,204 --> 00:36:06,165 ‪夏はさらに暑く ‪長くなるためだ 282 00:36:12,463 --> 00:36:17,009 ‪今後 数十年で ‪クマは3分の1に減ると― 283 00:36:17,092 --> 00:36:18,802 ‪予想する声もある 284 00:36:26,894 --> 00:36:29,230 ‪他のクマも危機にある 285 00:36:31,190 --> 00:36:36,654 ‪8種類のクマのうち ‪6種類が絶滅にひんしている 286 00:36:38,906 --> 00:36:42,743 ‪最大の脅威は生息地の消失だ 287 00:36:48,958 --> 00:36:51,126 ‪クマは追いやられている 288 00:36:54,505 --> 00:36:56,799 ‪だが 救済の機会はある 289 00:36:58,509 --> 00:37:01,470 ‪クマの繁栄のため ‪自然を守るのだ 290 00:37:04,390 --> 00:37:08,894 ‪絶滅させないよう ‪クマを救出して回復させ 291 00:37:10,062 --> 00:37:11,313 ‪自然に帰す 292 00:37:22,032 --> 00:37:23,909 ‪効果は出ている 293 00:37:25,369 --> 00:37:31,208 ‪繁殖を促し 森を守ることで ‪野生のパンダの数は倍増した 294 00:37:33,752 --> 00:37:35,671 ‪クマの居場所を作り 295 00:37:36,255 --> 00:37:39,008 ‪あとは自然に任せればいい 296 00:37:41,385 --> 00:37:45,222 ‪手本がそばにいるかぎり ‪うまくいく 297 00:37:57,818 --> 00:38:00,529 ‪北米に紅葉の秋が訪れると 298 00:38:02,614 --> 00:38:07,119 ‪母グマは子グマたちの ‪冬眠への備えに拍車を掛ける 299 00:38:09,038 --> 00:38:11,749 ‪高カロリーのエサを狙うのだ 300 00:38:14,335 --> 00:38:18,756 ‪ドングリからは ‪炭水化物と脂肪を取れる 301 00:38:24,053 --> 00:38:28,974 ‪自然界でエサを得られないと ‪クマは よそへ出かける 302 00:38:31,769 --> 00:38:37,066 ‪人里に下りて 人間の ‪ゴミから食料を手に入れる 303 00:38:41,153 --> 00:38:44,573 ‪森の外にある ‪都会のジャングルでは 304 00:38:44,656 --> 00:38:49,161 ‪クマは機転をきかせ ‪食料を確保して肥えている 305 00:38:53,374 --> 00:38:57,252 ‪大きいクマほど ‪豪華な食料を得られる 306 00:38:58,212 --> 00:39:02,758 ‪ロシア カムチャッカ半島 307 00:39:04,051 --> 00:39:08,347 ‪ヒグマの生息地は ‪最も範囲が広く 308 00:39:08,430 --> 00:39:11,892 ‪北米からヨーロッパ ‪アジアにも及ぶ 309 00:39:19,024 --> 00:39:22,236 ‪食料が豊富な地域に ‪最多数が住む 310 00:39:23,362 --> 00:39:27,449 ‪この火山群の半島には ‪約1万頭が生息する 311 00:39:30,202 --> 00:39:35,124 ‪ただし まもなく ‪ここは半年間 雪に埋もれる 312 00:39:36,750 --> 00:39:41,171 ‪長い冬眠に耐えるには ‪体重を倍にする必要がある 313 00:39:43,632 --> 00:39:45,968 ‪やることは1つだけ 314 00:39:46,969 --> 00:39:48,303 ‪魚捕りだ 315 00:40:02,025 --> 00:40:07,114 ‪毎年 産卵のために来る ‪無数のサケがクマのエサに 316 00:40:15,456 --> 00:40:21,628 ‪大きな雄は1日に ‪10万キロカロリー分を食べる 317 00:40:22,171 --> 00:40:24,965 ‪チーズバーガー300個分だ 318 00:40:26,717 --> 00:40:28,510 ‪過食とも言えるほど 319 00:40:29,094 --> 00:40:31,722 ‪食べに食べ尽くす 320 00:40:32,306 --> 00:40:35,809 ‪決して満腹になることはない 321 00:40:39,438 --> 00:40:44,735 ‪ごちそうで蓄えた脂肪が ‪冬を越す燃料になる 322 00:40:54,369 --> 00:40:57,206 ‪クマの生活は ‪それぞれ異なる 323 00:41:00,167 --> 00:41:02,794 ‪ただし 共通点がある 324 00:41:06,173 --> 00:41:10,594 ‪母グマは次世代に ‪技術を伝える努力をする 325 00:41:16,183 --> 00:41:19,478 ‪季節を乗り越える方法を ‪教えることで 326 00:41:21,188 --> 00:41:23,982 ‪クマは繁栄していく 327 00:41:26,527 --> 00:41:29,238 ‪過酷な砂漠に生きるクマも 328 00:41:30,906 --> 00:41:34,743 ‪いてつく北極で ‪冬を迎えるクマもいる 329 00:41:48,215 --> 00:41:51,843 ‪クロクマの子は ‪無事に1年を越せた 330 00:41:55,430 --> 00:41:56,557 ‪洞穴に戻り 331 00:41:57,849 --> 00:41:59,643 ‪燃料を蓄えて 332 00:42:03,063 --> 00:42:05,065 ‪待機期間へと入る 333 00:42:11,738 --> 00:42:16,326 ‪安全な暖かい場所で ‪春が戻るまで眠るのだ 334 00:42:19,121 --> 00:42:21,540 ‪母グマに寄り添いながら…