1 00:00:06,299 --> 00:00:11,220 ‪NETFLIX ドキュメンタリー 2 00:00:34,077 --> 00:00:35,620 ‪空の支配者たち 3 00:00:44,879 --> 00:00:46,422 ‪自由の象徴 4 00:00:50,927 --> 00:00:52,970 ‪無敵のハンターたち 5 00:00:57,767 --> 00:01:01,771 ‪猛禽(もうきん)‪類のイメージは ‪無慈悲な殺し屋だ 6 00:01:06,776 --> 00:01:09,153 ‪しかし 異なる一面もある 7 00:01:12,490 --> 00:01:14,408 ‪意外にも賢く 8 00:01:16,119 --> 00:01:17,870 ‪驚くほど順応性がある 9 00:01:22,041 --> 00:01:26,003 ‪我々の想像以上に ‪愛情深くもある 10 00:01:34,345 --> 00:01:38,474 ‪猛禽類 11 00:01:39,809 --> 00:01:44,147 ‪アメリカ ミシシッピ川上流 12 00:01:48,609 --> 00:01:49,819 ‪今は真冬 13 00:01:53,865 --> 00:01:57,243 ‪雌のハクトウワシが ‪体を震わせている 14 00:02:02,373 --> 00:02:05,084 ‪卵を温め始めて35日目 15 00:02:10,131 --> 00:02:11,632 ‪春に向けて 16 00:02:12,884 --> 00:02:14,552 ‪ふ化の時が来る 17 00:02:21,017 --> 00:02:24,770 ‪ただ この季節は ‪天候が不安定だ 18 00:02:41,704 --> 00:02:45,750 ‪親鳥が離れると ‪卵は凍ってしまうのだ 19 00:02:53,507 --> 00:02:56,219 ‪だが ハクトウワシはタフだ 20 00:03:00,598 --> 00:03:03,976 ‪何が起ころうと ‪卵を守り抜く 21 00:03:12,318 --> 00:03:13,861 ‪母鳥のそばには― 22 00:03:19,450 --> 00:03:21,244 ‪生涯の伴侶がいる 23 00:03:26,123 --> 00:03:31,295 ‪次世代を担う空のハンターを ‪夫婦は懸命に育てている 24 00:03:38,594 --> 00:03:44,100 ‪地球上には ゆうに300種を ‪超える猛禽類がいる 25 00:03:45,101 --> 00:03:48,938 ‪翼を広げると ‪3メートル近くになるもの 26 00:03:50,273 --> 00:03:53,859 ‪最小では チョウチョより ‪小さなものも 27 00:03:55,903 --> 00:03:59,240 ‪どこであろうと ‪空の支配者は鳥だ 28 00:04:00,408 --> 00:04:02,285 ‪ジャングルから― 29 00:04:03,703 --> 00:04:05,621 ‪極寒の北極まで 30 00:04:07,123 --> 00:04:08,499 ‪砂漠から― 31 00:04:10,876 --> 00:04:12,795 ‪そびえる山々まで 32 00:04:14,255 --> 00:04:16,757 ‪猛禽類の多くは肉食 33 00:04:17,717 --> 00:04:19,802 ‪強力な武器を持ち 34 00:04:21,804 --> 00:04:24,432 ‪獲物をしとめるのだ 35 00:04:25,975 --> 00:04:28,686 ‪狩りをする その姿は 36 00:04:29,895 --> 00:04:31,564 ‪空の暗殺者だ 37 00:04:34,608 --> 00:04:38,612 ‪イギリス ディーンの森 38 00:04:41,741 --> 00:04:43,451 ‪うっそうと茂る森 39 00:04:44,994 --> 00:04:46,954 ‪隠れる場所が多く 40 00:04:47,913 --> 00:04:51,167 ‪猛禽類が狩りをするのは ‪難しい 41 00:04:53,252 --> 00:04:56,422 ‪ただし “森の支配者”は別だ 42 00:05:05,890 --> 00:05:07,099 ‪オオタカだ 43 00:05:13,314 --> 00:05:15,858 ‪多彩な商売道具を持っている 44 00:05:19,028 --> 00:05:21,030 ‪鋭い2つの眼球 45 00:05:22,782 --> 00:05:25,493 ‪肉を裂く とがったくちばし 46 00:05:27,036 --> 00:05:31,290 ‪大きな曲がったかぎ爪で ‪獲物を捕らえる 47 00:05:35,378 --> 00:05:37,129 ‪これらが標準装備だ 48 00:05:40,049 --> 00:05:41,634 ‪オオタカの特徴は 49 00:05:42,593 --> 00:05:45,054 ‪獲物を追う方法である 50 00:05:55,648 --> 00:05:56,982 ‪数回の羽ばたきで 51 00:05:58,567 --> 00:06:00,486 ‪時速50キロに達する 52 00:06:02,988 --> 00:06:05,616 ‪猛禽類で最高の加速度だ 53 00:06:09,662 --> 00:06:13,207 ‪尾羽で制御しつつ ‪急カーブもできる 54 00:06:16,419 --> 00:06:18,045 ‪短い翼で 55 00:06:18,796 --> 00:06:20,673 ‪隙間も通り抜ける 56 00:06:24,093 --> 00:06:26,971 ‪獲物が隠れる前に ‪しとめるのだ 57 00:06:40,860 --> 00:06:43,946 ‪地面すれすれを飛び ‪身を隠す 58 00:06:54,248 --> 00:06:56,500 ‪これで終わりではない 59 00:06:58,461 --> 00:07:00,421 ‪オオタカは機敏であり 60 00:07:04,049 --> 00:07:05,384 ‪辛抱強い 61 00:07:24,987 --> 00:07:27,990 ‪北半球の森に生息する ‪オオタカは 62 00:07:28,073 --> 00:07:31,535 ‪その敏しょう性で ‪繁栄してきたのだ 63 00:07:34,580 --> 00:07:36,707 ‪ただし スピード勝負なら 64 00:07:38,792 --> 00:07:42,379 ‪群を抜く 別の鳥が存在する 65 00:07:48,093 --> 00:07:50,054 ‪地球最速の動物 66 00:07:51,472 --> 00:07:53,057 ‪ハヤブサだ 67 00:08:02,316 --> 00:08:05,486 ‪最高時速 約390キロで 68 00:08:06,779 --> 00:08:07,905 ‪急降下する 69 00:08:13,118 --> 00:08:14,954 ‪ハヤブサの生息地は 70 00:08:15,454 --> 00:08:18,082 ‪世界中 至る所にある 71 00:08:19,625 --> 00:08:23,337 ‪イギリス ワイ渓谷 72 00:08:24,630 --> 00:08:27,049 ‪ハヤブサは崖の上を好む 73 00:08:29,009 --> 00:08:32,221 ‪見通しのいい場所で ‪エサを探すのだ 74 00:08:38,978 --> 00:08:40,771 ‪上昇気流に乗り 75 00:08:42,690 --> 00:08:47,236 ‪ハヤブサは高度を上げ ‪上から獲物に襲いかかる 76 00:09:01,875 --> 00:09:06,130 ‪猛禽類の繁栄は ‪その飛行能力に懸かっている 77 00:09:08,924 --> 00:09:09,717 {\an8}南アフリカ共和国 ハイベルド 78 00:09:09,717 --> 00:09:13,178 {\an8}南アフリカ共和国 ハイベルド ‪しかし 例外も存在する 79 00:09:13,178 --> 00:09:13,846 {\an8}南アフリカ共和国 ハイベルド 80 00:09:20,060 --> 00:09:22,479 ‪これはヘビクイワシ 81 00:09:28,402 --> 00:09:30,529 ‪猛禽類らしくない風貌だ 82 00:09:36,452 --> 00:09:37,786 ‪気取った姿の― 83 00:09:38,746 --> 00:09:40,080 ‪猛禽類だ 84 00:09:43,208 --> 00:09:45,753 ‪人間の7歳児ほどの背丈で 85 00:09:51,383 --> 00:09:56,430 ‪飛ぶこともできるが ‪徒歩で移動する 86 00:09:58,932 --> 00:10:01,560 ‪1日に30キロ歩くことも 87 00:10:12,321 --> 00:10:14,698 ‪脚が長く 背の高い草にも 88 00:10:16,158 --> 00:10:18,160 ‪視界を遮られない 89 00:10:30,172 --> 00:10:32,341 ‪動きは鈍く見えるが 90 00:10:35,719 --> 00:10:37,054 ‪油断ならない 91 00:10:50,818 --> 00:10:52,736 ‪武器は強力なキック 92 00:10:56,448 --> 00:10:59,493 ‪20キロの力が かかる一撃は 93 00:11:00,619 --> 00:11:02,413 ‪瞬きよりも速い 94 00:11:03,831 --> 00:11:05,916 ‪しとめたら 急いで戻る 95 00:11:06,834 --> 00:11:10,713 ‪この生ける恐竜のような鳥は ‪子を養っている 96 00:11:15,634 --> 00:11:18,470 ‪まもなく 成鳥になる ‪ひな鳥は 97 00:11:19,346 --> 00:11:20,973 ‪常に空腹だ 98 00:11:28,772 --> 00:11:32,985 ‪ハクトウワシの子育ては ‪次の段階へ 99 00:11:44,204 --> 00:11:49,376 ‪雪解けと共にその瞬間が ‪訪れようとしている 100 00:11:53,922 --> 00:11:56,592 ‪2羽が卵からかえった 101 00:12:07,895 --> 00:12:09,062 ‪嵐だろうと― 102 00:12:13,358 --> 00:12:14,526 ‪夜中だろうと 103 00:12:17,362 --> 00:12:19,656 ‪母鳥は全力で卵を守る 104 00:12:21,241 --> 00:12:25,412 ‪かぎ爪が鋭いので ‪母鳥は慎重に動く 105 00:12:30,083 --> 00:12:32,544 ‪両親は交代で巣を守り 106 00:12:34,421 --> 00:12:35,839 ‪エサを捕らえる 107 00:12:46,308 --> 00:12:50,437 ‪両親が協力することで ‪ひな鳥は順調に成長する 108 00:13:01,406 --> 00:13:05,244 ‪4日遅れて ‪最後のひなが かえった 109 00:13:08,372 --> 00:13:11,291 ‪最初の2羽の体重は ‪倍増している 110 00:13:12,584 --> 00:13:16,755 ‪ひなの体格に合わせ ‪エサの量を調整しないと 111 00:13:17,798 --> 00:13:21,134 ‪末っ子は命を落としてしまう 112 00:13:24,221 --> 00:13:27,599 ‪猛禽類のひなは ‪非常に繊細なのだ 113 00:13:32,896 --> 00:13:36,817 {\an8}アフリカ大陸南部 カラハリ砂漠 114 00:13:36,817 --> 00:13:37,818 {\an8}アフリカ大陸南部 カラハリ砂漠 焼けつく砂漠では ひなは生きられない 115 00:13:37,818 --> 00:13:40,153 {\an8}焼けつく砂漠では ひなは生きられない 116 00:13:42,447 --> 00:13:44,992 ‪ただし 日陰があればいい 117 00:13:49,496 --> 00:13:53,333 ‪シャカイハタオリは ‪巨大な巣を作る 118 00:13:57,546 --> 00:14:00,340 ‪巣の中は9度も低い温度に 119 00:14:03,886 --> 00:14:06,597 ‪ここで涼む猛禽類は ‪他にもいる 120 00:14:10,350 --> 00:14:14,313 ‪2羽のコビトハヤブサが ‪この巣に間借り中だ 121 00:14:15,731 --> 00:14:20,277 ‪小型の猛禽類同士だが ‪この“招かれざる客”は 122 00:14:20,360 --> 00:14:22,946 ‪シャカイハタオリの巣を ‪利用する 123 00:14:29,912 --> 00:14:30,954 ‪時には 124 00:14:32,122 --> 00:14:33,332 ‪家主を食べる 125 00:14:37,127 --> 00:14:39,379 ‪やっかいな隣人と言えば 126 00:14:41,006 --> 00:14:43,842 ‪さらに頭の痛い存在も 127 00:14:46,428 --> 00:14:50,933 ‪この大きな巣が ‪あらゆる捕食者を引きつける 128 00:15:17,125 --> 00:15:19,544 ‪弱々しい ‪シャカイハタオリには 129 00:15:21,088 --> 00:15:23,256 ‪“治安部隊”がついている 130 00:15:32,891 --> 00:15:35,435 ‪あらゆる攻撃をかわす存在だ 131 00:15:57,457 --> 00:15:59,710 ‪小柄な ‪コビトハヤブサによる― 132 00:16:00,669 --> 00:16:02,921 ‪強烈な一撃だ 133 00:16:19,479 --> 00:16:23,942 ‪どう猛なコビトハヤブサだが ‪シャカイハタオリを襲うのは 134 00:16:25,694 --> 00:16:28,196 ‪1シーズンに数羽程度なのだ 135 00:16:29,823 --> 00:16:33,493 ‪通常は他の獲物で ‪腹を満たせるためだ 136 00:16:38,290 --> 00:16:42,502 ‪“知らぬ神よりなじみの鬼” ‪といったところか 137 00:16:44,004 --> 00:16:47,591 ‪コビトハヤブサにとっても ‪ハタオリの巣は 138 00:16:47,674 --> 00:16:51,553 ‪日陰と食べ物を ‪同時に得られる利点がある 139 00:17:06,318 --> 00:17:10,572 ‪フランス領ギアナ ‪アマゾン川 140 00:17:12,532 --> 00:17:14,910 ‪人里離れた南米の片隅は 141 00:17:17,245 --> 00:17:18,997 ‪命にあふれている 142 00:17:19,706 --> 00:17:22,542 ‪あらゆる生き物が共存する 143 00:17:38,767 --> 00:17:43,730 ‪食物連鎖の頂点に立つのは ‪体重7キロのオウギワシ 144 00:17:46,775 --> 00:17:51,321 ‪この他にも ‪変わった猛禽類が生息する 145 00:17:54,991 --> 00:17:57,369 ‪アカノドカラカラだ 146 00:18:01,081 --> 00:18:03,375 ‪危険を察知すると 147 00:18:04,626 --> 00:18:06,461 ‪周囲に知らせる 148 00:18:11,049 --> 00:18:14,511 ‪すると最大の捕食者も ‪狩りを諦める 149 00:18:26,481 --> 00:18:31,069 ‪カラカラは最も高い社会性と ‪知能を持つ猛禽類だ 150 00:18:33,113 --> 00:18:36,408 ‪オウギワシでさえ ‪手を出さない獲物を 151 00:18:36,491 --> 00:18:38,160 ‪集団で襲うのだ 152 00:18:47,878 --> 00:18:49,087 ‪スズメバチだ 153 00:18:54,050 --> 00:18:56,178 ‪普通は手を出さない 154 00:19:02,642 --> 00:19:04,186 ‪だが カラカラは 155 00:19:05,437 --> 00:19:07,772 ‪ある戦略を練った 156 00:19:13,987 --> 00:19:16,323 ‪まずは巣に接近する 157 00:19:24,372 --> 00:19:26,166 ‪巣を刺激すると 158 00:19:27,751 --> 00:19:30,670 ‪ハチは あちこちを飛び回る 159 00:19:36,051 --> 00:19:38,511 ‪次に 巣へと侵入する 160 00:19:43,350 --> 00:19:45,227 ‪度胸の要る攻撃だ 161 00:19:52,776 --> 00:19:54,486 ‪でも勇気を出して― 162 00:19:55,904 --> 00:19:57,280 ‪成功させた 163 00:20:02,202 --> 00:20:04,579 ‪1羽のカラカラが粘れば 164 00:20:05,413 --> 00:20:08,917 ‪スズメバチは ‪巣を放棄せざるを得ない 165 00:20:17,926 --> 00:20:22,305 ‪厚紙のような巣自体には ‪あまり栄養がない 166 00:20:26,434 --> 00:20:28,103 ‪しかし 巣の奥には 167 00:20:28,812 --> 00:20:31,356 ‪まるまると太った幼虫がいる 168 00:20:37,737 --> 00:20:41,199 ‪仲間たちも ‪おこぼれにあずかる 169 00:20:44,911 --> 00:20:48,873 ‪満腹になると ‪仲間に分け与えるのだ 170 00:20:54,629 --> 00:20:56,214 ‪食事の時間だ 171 00:21:03,888 --> 00:21:06,266 ‪熱帯雨林での生活は過酷だ 172 00:21:10,979 --> 00:21:13,106 ‪カラカラは粘り強さと 173 00:21:14,065 --> 00:21:16,860 ‪チームワークで ‪優位に立っている 174 00:21:23,658 --> 00:21:26,786 ‪協調性のある猛禽類は ‪数少ない 175 00:21:33,626 --> 00:21:37,005 ‪巣の中でも生存競争は激しい 176 00:21:41,426 --> 00:21:45,847 ‪ハクトウワシのひなは ‪1日で1.2倍に成長する 177 00:21:52,645 --> 00:21:55,940 ‪そのため末っ子の成鳥が ‪追いつかないのだ 178 00:22:00,403 --> 00:22:01,780 ‪食事では毎回― 179 00:22:02,822 --> 00:22:04,824 ‪後ろに追いやられる 180 00:22:11,414 --> 00:22:13,291 ‪2か月後には 181 00:22:13,375 --> 00:22:17,837 ‪ひなたちは10倍の大きさに ‪なって飛ぶ準備を始める 182 00:22:20,924 --> 00:22:23,009 ‪だが エサが足りないと 183 00:22:23,093 --> 00:22:26,596 ‪年上のひなが ‪年下を攻撃するのだ 184 00:22:29,557 --> 00:22:32,102 ‪3羽とも生き残るのは珍しい 185 00:22:37,357 --> 00:22:42,612 ‪親鳥は 3羽とも生かそうと ‪必死に努力する 186 00:22:49,786 --> 00:22:50,954 {\an8}南アフリカ共和国 ドラケンスバーグ山脈 187 00:22:50,954 --> 00:22:54,624 {\an8}南アフリカ共和国 ドラケンスバーグ山脈 ‪十分なエサを確保するのは ‪猛禽類にとって難題だ 188 00:22:54,624 --> 00:22:55,625 ‪十分なエサを確保するのは ‪猛禽類にとって難題だ 189 00:22:58,878 --> 00:23:01,464 ‪だが 悩みは無用の鳥もいる 190 00:23:11,891 --> 00:23:13,726 ‪ハゲワシは 191 00:23:15,186 --> 00:23:18,648 ‪熱と上昇気流を利用し ‪高度を上げる 192 00:23:22,026 --> 00:23:25,905 ‪高度が十分なら ‪羽ばたかなくても 193 00:23:25,989 --> 00:23:28,533 ‪160キロ以上も飛べるのだ 194 00:23:33,913 --> 00:23:38,501 ‪遠くまで見渡せる視力で ‪飛びつつエサを探す 195 00:23:48,386 --> 00:23:50,638 ‪ハゲワシは腐肉を好む 196 00:24:00,273 --> 00:24:03,234 ‪死骸に群がる ‪悪い印象があるが 197 00:24:03,318 --> 00:24:07,280 ‪猛禽類の中で唯一 ‪殺しを行わない鳥だ 198 00:24:10,950 --> 00:24:14,662 ‪自然界の清掃員として ‪役立っている 199 00:24:20,502 --> 00:24:23,796 ‪カオスに見えるが ‪序列が存在する 200 00:24:25,423 --> 00:24:29,802 ‪アフリカ大陸南部にいる ‪ハゲワシは9種類 201 00:24:30,512 --> 00:24:32,931 ‪それぞれ ‪食べる部位が異なる 202 00:24:34,349 --> 00:24:36,518 ‪まずはミドル級 203 00:24:37,185 --> 00:24:38,728 ‪コシジロハゲワシだ 204 00:24:46,694 --> 00:24:49,864 ‪大群で動物の死骸をむさぼる 205 00:24:51,241 --> 00:24:53,535 ‪食べるのは臓器と肉だ 206 00:25:02,043 --> 00:25:04,087 ‪次はヘビー級 207 00:25:05,838 --> 00:25:11,427 ‪ミミヒダハゲワシは ‪体重7キロでアフリカ最大だ 208 00:25:13,638 --> 00:25:17,141 ‪他のハゲワシを ‪蹴散らせる存在だ 209 00:25:20,979 --> 00:25:24,399 ‪力強いくちばしで ‪じん帯や皮を裂き 210 00:25:25,650 --> 00:25:30,196 ‪最後のハゲワシが細部まで ‪食べられるようにする 211 00:25:32,323 --> 00:25:33,741 ‪そしてライト級 212 00:25:36,160 --> 00:25:38,746 ‪順番を待ってから 213 00:25:39,414 --> 00:25:43,585 ‪最後にズキンハゲワシが ‪余り物を処理する 214 00:25:47,005 --> 00:25:48,631 ‪小さなくちばしで 215 00:25:49,591 --> 00:25:52,510 ‪骨だけになるまで食べ尽くす 216 00:25:55,763 --> 00:25:59,601 ‪ハゲワシの‪掃除‪で ‪地球は清潔に保たれている 217 00:26:03,855 --> 00:26:10,111 ‪強い酸性の胃液でウイルスや ‪バクテリアを殺しているのだ 218 00:26:11,821 --> 00:26:16,159 ‪胃液のおかげで 病気を ‪媒介する虫も近づかない 219 00:26:23,374 --> 00:26:25,084 ‪ハゲワシは必要だが 220 00:26:26,294 --> 00:26:28,129 ‪今は激減しつつある 221 00:26:29,255 --> 00:26:34,969 ‪この15年でインドハゲワシの ‪97%が死滅した 222 00:26:36,638 --> 00:26:39,766 ‪ジクロフェナクという薬を― 223 00:26:39,849 --> 00:26:42,852 ‪投与された家畜の肉を ‪食べたためだ 224 00:26:45,521 --> 00:26:48,608 ‪野良犬が動物の死骸を ‪食べ始め 225 00:26:48,691 --> 00:26:53,237 ‪恐水病や結核 炭そ病などの ‪感染症が増加 226 00:26:55,907 --> 00:26:58,576 ‪猛禽類も似た道をたどった 227 00:27:01,037 --> 00:27:02,372 ‪1950年代に ‪殺虫剤のDDTが流通し 228 00:27:02,372 --> 00:27:04,290 ‪1950年代に ‪殺虫剤のDDTが流通し 〝殺虫剤噴霧機〞 229 00:27:04,290 --> 00:27:05,291 ‪1950年代に ‪殺虫剤のDDTが流通し 230 00:27:06,292 --> 00:27:09,879 ‪ハクトウワシの卵に ‪大損害をもたらした 231 00:27:10,588 --> 00:27:14,008 ‪そのため ハクトウワシは ‪絶滅の危機に 232 00:27:15,885 --> 00:27:16,594 {\an8}〝DDT6%含有 フェニトロチオン〞 233 00:27:16,594 --> 00:27:18,179 {\an8}〝DDT6%含有 フェニトロチオン〞 ‪有害性の認知されたDDTは 234 00:27:18,179 --> 00:27:19,222 ‪有害性の認知されたDDTは 235 00:27:19,305 --> 00:27:20,306 ‪使用禁止となった 236 00:27:20,306 --> 00:27:21,015 ‪使用禁止となった 〝DDT10%含有 殺虫剤〞 237 00:27:21,015 --> 00:27:22,225 {\an8}〝DDT10%含有 殺虫剤〞 238 00:27:22,308 --> 00:27:27,188 ‪その50年後 ハクトウワシの ‪個体数は7倍に増加した 239 00:27:32,402 --> 00:27:35,279 ‪多くの猛禽類は ‪苦しんでいるのだ 240 00:27:39,283 --> 00:27:42,161 ‪狩猟や家畜の脅威と見なされ 241 00:27:42,245 --> 00:27:43,830 ‪迫害されている 242 00:27:45,540 --> 00:27:47,583 ‪生息地が破壊されれば 243 00:27:49,293 --> 00:27:51,045 ‪エサと住まいを失う 244 00:27:54,507 --> 00:27:57,677 ‪だが 中には ‪近代化に適応する種も 245 00:28:02,432 --> 00:28:06,477 ‪イギリス ロンドン 246 00:28:09,981 --> 00:28:13,234 ‪猛禽類の繁殖地とは ‪思えない場所だ 247 00:28:18,156 --> 00:28:20,074 ‪だが 適応力があれば 248 00:28:21,033 --> 00:28:23,327 ‪無限のチャンスが広がる 249 00:28:28,708 --> 00:28:30,209 ‪都会の中心部に 250 00:28:30,793 --> 00:28:36,799 ‪バタシー発電所を象徴する ‪高さ90メートルの煙突がある 251 00:28:39,469 --> 00:28:42,722 ‪2羽のハヤブサが ‪ここに住んでいる 252 00:28:46,392 --> 00:28:49,353 ‪コンクリートの壁を ‪利用したのだ 253 00:28:55,610 --> 00:28:57,779 ‪都会に住む利点もある 254 00:29:03,576 --> 00:29:08,080 ‪照明が多いので ‪夜でも狩りをできるのだ 255 00:29:17,965 --> 00:29:21,427 ‪二手に分かれ ‪捜索範囲を広げている 256 00:29:29,143 --> 00:29:34,440 ‪この雌は体格がよく ‪経験も豊富な夜行性ハンター 257 00:29:45,201 --> 00:29:47,995 ‪視力は人間の2倍以上になる 258 00:29:49,205 --> 00:29:51,332 ‪眼球が非常に大きく 259 00:29:51,916 --> 00:29:53,876 ‪頭蓋骨に当たるほどだ 260 00:29:56,420 --> 00:29:59,590 ‪頭を揺らし ‪標的の位置を計測する 261 00:30:01,801 --> 00:30:05,304 ‪しかし 都会でハトを ‪狩るのは危険だ 262 00:30:09,183 --> 00:30:11,894 ‪ビルに飛び込むのは危ない 263 00:30:16,607 --> 00:30:20,528 ‪都会での狩りは ‪ハヤブサには至難の業だ 264 00:30:31,873 --> 00:30:33,124 ‪互角の勝負だ 265 00:30:35,960 --> 00:30:39,630 ‪捕食者と獲物が ‪接戦を繰り広げている 266 00:30:47,013 --> 00:30:48,806 ‪急降下は無理でも 267 00:30:50,433 --> 00:30:51,934 ‪夜であっても… 268 00:30:56,731 --> 00:31:00,151 ‪自然界の“トップガン”は ‪負かされない 269 00:31:08,492 --> 00:31:12,371 ‪ニューヨークから ‪シドニーに至るまで 270 00:31:13,247 --> 00:31:15,374 ‪ハヤブサの生息地は拡大 271 00:31:17,293 --> 00:31:21,130 ‪繁殖期を迎えるたびに ‪その数は増えている 272 00:31:31,265 --> 00:31:33,225 ‪ハクトウワシの巣では 273 00:31:34,310 --> 00:31:36,228 ‪ひなが育っている 274 00:31:37,563 --> 00:31:39,106 ‪3羽とも元気に 275 00:31:40,191 --> 00:31:42,068 ‪たくましく成長した 276 00:31:44,445 --> 00:31:47,949 ‪翼にも ついに ‪羽根が生えそろった 277 00:31:50,159 --> 00:31:54,163 ‪3羽が成長できたのは ‪親鳥のおかげだ 278 00:31:56,165 --> 00:31:59,085 ‪半年間 絶えず守ってきた 279 00:32:03,130 --> 00:32:05,383 ‪ただし今はエサを控え中 280 00:32:07,551 --> 00:32:11,514 ‪巣から飛び立つように ‪促している 281 00:32:15,977 --> 00:32:18,396 ‪飛ぶには練習が必要だ 282 00:32:27,822 --> 00:32:29,407 ‪まず体調を整える 283 00:32:34,245 --> 00:32:38,040 ‪空が晴れると ‪幼鳥は意を決した 284 00:32:49,635 --> 00:32:52,638 ‪しかし 外の世界に ‪戸惑ったようだ 285 00:33:02,815 --> 00:33:05,651 ‪他の鳥は捕食者を敵視する 286 00:33:08,779 --> 00:33:11,240 ‪家族から離れるのは恐怖だ 287 00:33:14,452 --> 00:33:15,703 ‪独り立ちも― 288 00:33:17,496 --> 00:33:18,664 ‪ままならない 289 00:33:22,668 --> 00:33:27,006 ‪大人になる長い旅への ‪第1歩にすぎないのだ 290 00:33:34,847 --> 00:33:38,768 ‪当面は親鳥がひなを ‪見守ることとなる 291 00:33:44,315 --> 00:33:48,069 ‪猛禽類は生まれつきの ‪殺し屋ではないのだ 292 00:33:50,821 --> 00:33:53,532 ‪時間をかけて腕を磨く 293 00:33:57,661 --> 00:34:00,748 ‪ヘビクイワシのひなは 294 00:34:00,831 --> 00:34:04,168 ‪3か月間 ‪両親に世話されてきた 295 00:34:07,004 --> 00:34:10,424 ‪今後は ‪独立しなければならない 296 00:34:15,429 --> 00:34:17,765 ‪1羽が先陣を切った 297 00:34:22,019 --> 00:34:23,604 ‪兄弟があとを追い 298 00:34:25,314 --> 00:34:26,524 ‪狩りを始める 299 00:34:30,528 --> 00:34:32,655 ‪目を凝らして獲物を探し 300 00:34:33,405 --> 00:34:35,032 ‪長距離を歩く 301 00:34:40,996 --> 00:34:43,624 ‪狩りは容易ではないのだ 302 00:35:07,773 --> 00:35:09,441 ‪やっと成功だ 303 00:35:11,777 --> 00:35:14,864 ‪だが小さなトカゲでは ‪とても足りない 304 00:35:18,117 --> 00:35:20,411 ‪幸い 母鳥が手助けを 305 00:35:30,129 --> 00:35:33,215 ‪あと2か月は ‪母鳥がエサを与える 306 00:35:35,718 --> 00:35:37,344 ‪不器用なひなを― 307 00:35:38,679 --> 00:35:40,639 ‪狩りに慣れさせるのだ 308 00:35:42,391 --> 00:35:43,642 ‪母鳥のように 309 00:35:48,230 --> 00:35:51,233 ‪他の鳥類は子育てに ‪熱心でないが 310 00:35:56,906 --> 00:36:00,826 ‪猛禽類は生涯の大部分を ‪子育てに費やす 311 00:36:03,829 --> 00:36:05,873 ‪ひなたちを守り 312 00:36:06,916 --> 00:36:08,417 ‪エサを与える 313 00:36:09,919 --> 00:36:11,462 ‪ひなたちが将来― 314 00:36:12,296 --> 00:36:16,592 ‪独力で生きていけるように ‪育て上げるのだ 315 00:36:22,681 --> 00:36:27,061 ‪アメリカ ミシシッピ川上流 316 00:36:27,144 --> 00:36:28,229 ‪晩秋だ 317 00:36:32,691 --> 00:36:36,403 ‪数百羽のハクトウワシが ‪集まってきた 318 00:36:38,822 --> 00:36:41,575 ‪渡り鳥を狩るためだ 319 00:36:46,413 --> 00:36:49,291 ‪若いワシが腕を磨いている 320 00:36:55,422 --> 00:36:58,342 ‪両親からの施しは ‪必要としない 321 00:37:01,512 --> 00:37:04,223 ‪親鳥をマネて学ぶのだ 322 00:37:08,936 --> 00:37:13,941 ‪風に乗り ‪襲撃のタイミングを計る 323 00:37:16,026 --> 00:37:18,362 ‪オオバンは逃げ足が速いが 324 00:37:21,699 --> 00:37:23,826 ‪長くは潜れない 325 00:37:34,253 --> 00:37:35,796 ‪狩りは困難だが 326 00:37:37,256 --> 00:37:39,675 ‪獲物の保持は より難しい 327 00:37:48,183 --> 00:37:50,936 ‪争いを避けて獲物を手放した 328 00:37:57,109 --> 00:37:59,862 ‪学びを実践に生かす時だ 329 00:38:19,840 --> 00:38:23,218 ‪狩りのコツは隙を狙うこと 330 00:38:26,722 --> 00:38:28,223 ‪“言うは‪易(やす)‪し”だ 331 00:38:40,194 --> 00:38:42,488 ‪失敗するたびに 332 00:38:44,490 --> 00:38:46,742 ‪水中へ逃げられるたびに 333 00:38:48,702 --> 00:38:53,415 ‪タイミングと角度の ‪正確さを極めていく 334 00:39:11,642 --> 00:39:13,185 ‪ついに成功した 335 00:39:16,355 --> 00:39:18,482 ‪しかし 飛ぶのに必死で 336 00:39:19,650 --> 00:39:21,193 ‪落としてしまった 337 00:39:23,362 --> 00:39:24,405 ‪そして― 338 00:39:26,156 --> 00:39:27,908 ‪ライバルが登場 339 00:39:34,206 --> 00:39:37,751 ‪若いワシは ‪獲物を取り返そうとする 340 00:39:46,093 --> 00:39:48,512 ‪今日は運がなかったようだ 341 00:39:51,056 --> 00:39:53,267 ‪だが 時間の猶予もない 342 00:39:57,813 --> 00:40:02,401 ‪気温が下がると 体力維持の ‪エネルギーが必要になる 343 00:40:06,280 --> 00:40:08,532 ‪しかし 収穫はなし 344 00:40:11,702 --> 00:40:15,414 ‪初めての冬を越せる ‪若いワシは半数以下だ 345 00:40:19,626 --> 00:40:22,045 ‪これが最後のチャンス 346 00:40:47,571 --> 00:40:48,697 ‪今回は― 347 00:40:51,116 --> 00:40:52,701 ‪絶対に離さない 348 00:41:01,627 --> 00:41:07,132 ‪数か月前 このワシは ‪無力なひなにすぎなかった 349 00:41:08,717 --> 00:41:13,096 ‪捕食者としての本能と ‪両親の愛情のおかげで 350 00:41:14,056 --> 00:41:17,726 ‪この猛禽類は ‪立派に巣立てたのだ 351 00:41:22,773 --> 00:41:26,360 ‪頭の羽根は5歳頃に ‪白くなる 352 00:41:29,112 --> 00:41:32,741 ‪その頃には ‪自身の家族を持ち 353 00:41:37,412 --> 00:41:39,289 ‪次の世代へと― 354 00:41:41,917 --> 00:41:43,585 ‪技を継がせるのだ