1
00:00:07,382 --> 00:00:13,722
あまりに広い地球では
小さな命を見落としがちです

2
00:00:15,891 --> 00:00:20,601
でも目を凝らせば
未知の世界が広がっています

3
00:00:22,731 --> 00:00:25,031
小さなヒーローや––

4
00:00:26,485 --> 00:00:28,065
モンスター

5
00:00:29,071 --> 00:00:31,451
彼らは驚くべき能力で––

6
00:00:34,660 --> 00:00:40,250
いつも巨大な敵に
立ち向かっているのです

7
00:00:43,794 --> 00:00:48,474
小さな世界

8
00:00:52,135 --> 00:00:53,505
カリブ海の島々

9
00:00:54,680 --> 00:00:57,980
ナレ—ション
ポ—ル・ラッド

10
00:00:57,224 --> 00:00:59,024
まるで楽園です

11
00:01:03,397 --> 00:01:07,187
キューバのマメハチドリも
住んでいます

12
00:01:10,737 --> 00:01:13,777
体はハチより
少し大きい程度

13
00:01:14,533 --> 00:01:16,793
世界最小の鳥です

14
00:01:23,750 --> 00:01:28,420
島には様々な生き物が
住み着いています

15
00:01:30,048 --> 00:01:35,598
多くは最小の種で
他の場所では見られません

16
00:01:45,856 --> 00:01:48,896
島は狭く食料も少ないため––

17
00:01:49,526 --> 00:01:52,396
小さい方が生存に有利です

18
00:01:54,740 --> 00:01:57,450
そんな楽園にも暗い影が

19
00:02:04,583 --> 00:02:06,673
ハリケーンの季節––

20
00:02:07,753 --> 00:02:12,263
小動物たちは地球最大の
破壊力に直面します

21
00:02:12,966 --> 00:02:16,506
島

22
00:02:20,891 --> 00:02:26,271
晴れた日の島の暮らしは
可能性にあふれています

23
00:02:29,274 --> 00:02:33,534
マメハチドリのオスが
メスの気を引きます

24
00:02:35,405 --> 00:02:37,315
美しい羽ですが...

25
00:02:39,952 --> 00:02:41,702
メスは多忙です

26
00:02:45,666 --> 00:02:51,626
コーヒー豆ほどの卵から
2羽のヒナがかえったばかり

27
00:02:53,257 --> 00:02:55,967
巣は小さなカップ程度です

28
00:03:07,020 --> 00:03:13,070
ヒナは昆虫や花の蜜を食べ
4日で倍の大きさになります

29
00:03:24,621 --> 00:03:28,001
母鳥にとって
食料探しは大仕事

30
00:03:29,209 --> 00:03:33,209
エネルギーの消費が
極めて速いため––

31
00:03:34,756 --> 00:03:37,886
1日に数百の花を回ります

32
00:03:41,430 --> 00:03:45,480
小さなハチドリのライバルは
虫たちです

33
00:03:48,812 --> 00:03:52,482
食べ物を探す間
巣を守る者はいません

34
00:03:56,028 --> 00:03:58,698
アリ1匹でさえ脅威です

35
00:04:17,798 --> 00:04:22,218
アリの数が増え
ヒナの命は風前のともしび

36
00:04:35,150 --> 00:04:36,490
母鳥が助けに

37
00:05:00,008 --> 00:05:01,548
間一髪でした

38
00:05:09,601 --> 00:05:12,651
少量の食料で
生きられるよう––

39
00:05:13,230 --> 00:05:17,440
島の生き物は
小さな体に進化しました

40
00:05:22,322 --> 00:05:23,822
ホソメクラヘビです

41
00:05:25,450 --> 00:05:30,710
スパゲティの麺ほどの細さで
長さは麺半分ほど

42
00:05:38,755 --> 00:05:39,875
狩りは––

43
00:05:43,177 --> 00:05:44,337
苦手です

44
00:05:46,138 --> 00:05:49,768
大人のアリは
のみ込めないので––

45
00:05:51,435 --> 00:05:53,685
小さな幼虫を狙います

46
00:06:15,209 --> 00:06:19,129
生き物の多くは
この島の固有種です

47
00:06:21,215 --> 00:06:23,465
アラグアヤモリは––

48
00:06:23,759 --> 00:06:27,759
マッチ棒半分ほどの
世界最小のトカゲ

49
00:06:29,932 --> 00:06:34,692
落ち葉に潜り 極小の虫を
狩るのは得意ですが––

50
00:06:39,942 --> 00:06:45,202
熱帯性の嵐と戦うには
小さすぎるかもしれません

51
00:06:59,002 --> 00:07:01,842
雨粒は まるで爆弾のよう

52
00:07:07,553 --> 00:07:10,973
ハチドリは
全力でヒナを守ります

53
00:07:15,185 --> 00:07:17,895
仲間たちは次々に避難

54
00:07:24,278 --> 00:07:26,528
母鳥も嵐に圧倒され––

55
00:07:28,282 --> 00:07:31,082
巣を離れるしかありません

56
00:07:42,045 --> 00:07:43,295
地表では––

57
00:07:44,047 --> 00:07:46,177
雨水が押し寄せます

58
00:08:01,815 --> 00:08:06,645
でも小さい体こそ
アラグアヤモリの武器

59
00:08:11,408 --> 00:08:16,288
小さくて軽いため
水の上を歩けるのです

60
00:08:25,047 --> 00:08:28,087
こうして
水が引くのを待ちます

61
00:08:37,476 --> 00:08:41,726
毎年 カリブ海地域では
15を超える嵐が発生

62
00:08:42,397 --> 00:08:46,317
楽園は一瞬にして
地獄に変わります

63
00:08:55,035 --> 00:08:59,205
ハチドリのヒナは
流されてしまいました

64
00:09:09,591 --> 00:09:11,841
一からやり直しです

65
00:09:13,095 --> 00:09:15,175
次の嵐が来る前に

66
00:09:27,401 --> 00:09:28,991
嵐が来ると––

67
00:09:30,070 --> 00:09:32,360
草木が海に流されます

68
00:09:33,407 --> 00:09:36,787
島の生き物たちも
共に漂流し––

69
00:09:38,829 --> 00:09:43,039
運がよければ
新しい島にたどり着きます

70
00:09:44,751 --> 00:09:48,341
これが彼らの
移住の仕組みです

71
00:09:51,466 --> 00:09:56,716
たくましいアノールトカゲが
密航に成功しました

72
00:09:59,183 --> 00:10:01,443
でも島には先住者が

73
00:10:06,315 --> 00:10:09,685
フチアやイグアナは
漂着した者を––

74
00:10:10,777 --> 00:10:12,317
エサにします

75
00:10:30,172 --> 00:10:32,012
浜から出なくては

76
00:10:37,429 --> 00:10:42,019
安全な場所まで
あと数メートルです

77
00:11:04,122 --> 00:11:09,752
勇敢な開拓者が何匹かいれば
新たな社会を築けます

78
00:11:14,424 --> 00:11:18,474
嵐は あらゆる生き物に
恩恵をもたらします

79
00:11:20,138 --> 00:11:22,598
フチアからハマトビムシまで

80
00:11:31,275 --> 00:11:33,985
ヤドカリは食料ではなく––

81
00:11:34,945 --> 00:11:38,195
新しい家を探しに来ました

82
00:11:39,366 --> 00:11:42,116
“自宅”がボロボロなのです

83
00:11:48,458 --> 00:11:51,708
嵐のおかげで
多くの貝殻がありますが

84
00:11:54,173 --> 00:11:56,553
ぴったりの家はどこに?

85
00:11:57,801 --> 00:12:03,681
今はゴルフボール大ですが
ココナツくらいまで育つので

86
00:12:04,266 --> 00:12:07,476
何度も引っ越しが必要です

87
00:12:13,150 --> 00:12:15,780
家探しは大変なので––

88
00:12:16,278 --> 00:12:19,908
ヤドカリは
解決法を編み出しました

89
00:12:32,294 --> 00:12:38,224
見つけた貝が合わなければ
合図して仲間を呼びます

90
00:12:40,052 --> 00:12:42,512
ぴったりの者が来たら––

91
00:12:44,348 --> 00:12:49,098
大きい者から順に並び
家を交換するのです

92
00:12:52,481 --> 00:12:54,361
先頭から引っ越し––

93
00:12:58,362 --> 00:13:02,822
それぞれが今より大きな家に
入ります

94
00:13:10,123 --> 00:13:11,333
彼女は遅刻

95
00:13:17,965 --> 00:13:20,795
でも必ず残り物は出ます

96
00:13:27,391 --> 00:13:28,681
一番小さい家

97
00:13:30,686 --> 00:13:34,976
自分に合うかどうかは
見れば分かります

98
00:13:51,415 --> 00:13:53,955
ついに立派な家を獲得

99
00:13:55,377 --> 00:13:56,627
ひと安心です

100
00:13:57,296 --> 00:14:01,216
すぐにでも
天候が崩れる時期ですから

101
00:14:04,428 --> 00:14:08,808
内陸では嵐の影響で
川の勢いが増し––

102
00:14:10,184 --> 00:14:12,274
雨水が海に流れます

103
00:14:15,105 --> 00:14:18,105
そんな川をさかのぼる者も

104
00:14:20,777 --> 00:14:26,737
トライトライハゼは
繁殖の場所を求めて上流へ

105
00:14:29,369 --> 00:14:34,829
ライバルを避けるため
大胆な手を使うオスもいます

106
00:14:43,467 --> 00:14:45,297
小さな体ですが––

107
00:14:46,178 --> 00:14:52,518
吸盤状のヒレと口を駆使して
岩を登っていくのです

108
00:15:07,533 --> 00:15:08,953
ところが––

109
00:15:14,373 --> 00:15:16,003
さらなる難関が

110
00:15:25,968 --> 00:15:30,308
ハゼは高さ350メートルもの
滝を上れます

111
00:15:31,890 --> 00:15:34,890
エンパイア・ステート・
ビル級です

112
00:15:38,647 --> 00:15:40,647
何日もかかるはず

113
00:15:53,203 --> 00:15:55,003
大勢が挑みますが...

114
00:16:02,921 --> 00:16:04,551
生存率は1%未満

115
00:16:27,529 --> 00:16:29,319
慎重に進むのみです

116
00:16:51,553 --> 00:16:52,893
成功しました

117
00:16:54,473 --> 00:16:56,063
ここで繁殖して––

118
00:16:59,061 --> 00:17:02,111
新しい世代を送り出します

119
00:17:11,114 --> 00:17:15,294
嵐の季節の湿気は
命を次々に芽吹かせます

120
00:17:20,624 --> 00:17:24,344
角砂糖ほどの
モンテイン・クラブは––

121
00:17:27,589 --> 00:17:33,259
水なしでも生きられますが
産卵の時は水が必要です

122
00:17:37,057 --> 00:17:40,017
雨水のたまった岩があります

123
00:17:43,689 --> 00:17:46,479
でも子育てには危険な環境

124
00:17:50,737 --> 00:17:53,027
母親は秘策を使います

125
00:17:55,659 --> 00:18:01,079
特殊な毛を使い 自分の殻に
水の膜を張るのです

126
00:18:10,591 --> 00:18:12,891
次は水を安全な場所へ

127
00:18:24,646 --> 00:18:27,516
マッチ箱大の
カタツムリの殻です

128
00:18:35,157 --> 00:18:37,197
ここに水をためれば...

129
00:18:40,287 --> 00:18:42,957
新しい家族も安全です

130
00:18:49,087 --> 00:18:53,507
砂粒より小さな
20匹の子ガニが誕生

131
00:18:58,722 --> 00:19:03,522
母親は3カ月間
カタツムリの殻の家で––

132
00:19:03,769 --> 00:19:05,809
子を守り育てます

133
00:19:14,238 --> 00:19:18,578
嵐の季節が進み
空気中の水分が増します

134
00:19:19,201 --> 00:19:22,701
コキーコヤスガエルは
水なしで産卵

135
00:19:26,083 --> 00:19:29,293
1つの細胞から
命が始まります

136
00:19:50,524 --> 00:19:52,944
卵の見張りは父親の役割

137
00:19:54,903 --> 00:19:56,783
イチゴほどの体で––

138
00:19:56,947 --> 00:19:59,987
あらゆる脅威から
子供を守ります

139
00:20:06,748 --> 00:20:10,628
彼の倍もある
空腹なカタツムリが出現

140
00:20:26,018 --> 00:20:27,768
卵は動かせません

141
00:20:30,355 --> 00:20:31,855
絶体絶命です

142
00:20:56,340 --> 00:20:57,470
父親は反撃

143
00:20:59,426 --> 00:21:01,346
敵も引きません

144
00:21:28,830 --> 00:21:32,500
父親は あと2週間は
警備を続けます

145
00:21:32,835 --> 00:21:35,085
卵がかえる日まで

146
00:21:46,223 --> 00:21:49,273
ハチドリは
また伴侶を探します

147
00:21:50,769 --> 00:21:53,859
小さすぎて
見つかるでしょうか

148
00:21:58,151 --> 00:22:00,151
オスから現れました

149
00:22:10,122 --> 00:22:12,292
メスの気を引くには?

150
00:22:24,052 --> 00:22:25,602
ダンスします

151
00:22:40,110 --> 00:22:42,910
ついにオスの粘り勝ちです

152
00:22:53,790 --> 00:22:58,590
再び母親になるメスは
新しい巣を作ります

153
00:23:06,553 --> 00:23:10,313
クモの巣は
材料をまとめる接着剤

154
00:23:30,202 --> 00:23:32,912
まずは土台を作ります

155
00:23:36,792 --> 00:23:42,092
数日で 卵のゆりかごとなる
巣が完成するでしょう

156
00:23:53,016 --> 00:23:54,556
でも海上では––

157
00:23:55,978 --> 00:23:57,688
大変なことが

158
00:24:05,821 --> 00:24:08,661
海水温度の上昇により––

159
00:24:09,575 --> 00:24:12,825
熱帯性の嵐は
力を増しています

160
00:24:23,422 --> 00:24:28,592
アノールトカゲは
異常気象に耐性があります

161
00:24:36,602 --> 00:24:39,482
特大の足指で木につかまり

162
00:24:39,938 --> 00:24:43,068
時速200キロの風にも
耐えます

163
00:24:46,111 --> 00:24:48,031
でも嵐の勢いは増し...

164
00:24:53,952 --> 00:24:56,662
ハリケーン・ドリアンです

165
00:24:58,665 --> 00:25:00,495
面積はカンザスと同じ

166
00:25:07,633 --> 00:25:10,763
世界最強の気象現象が––

167
00:25:14,389 --> 00:25:16,889
小さな生き物を翻弄ほんろうします

168
00:25:34,701 --> 00:25:37,751
風は時速300キロにまで到達

169
00:25:44,378 --> 00:25:47,418
直撃すれば
甚大な被害が出ます

170
00:26:11,029 --> 00:26:14,659
毎年 この地域は
ハリケーンに襲われます

171
00:26:18,620 --> 00:26:20,620
いくつかの島は––

172
00:26:21,748 --> 00:26:24,248
他よりも過酷な状況に

173
00:26:29,214 --> 00:26:31,634
生死を決めるのは
運と––

174
00:26:34,303 --> 00:26:35,513
サイズです

175
00:26:39,057 --> 00:26:43,767
小さな生き物は
嵐から身を守ることができ

176
00:26:44,855 --> 00:26:46,515
回復も早いのです

177
00:26:54,239 --> 00:27:00,369
嵐の季節が盛りを迎えると
ヤドカリは浜辺に戻ります

178
00:27:16,178 --> 00:27:19,008
新月の日から始まる大移動

179
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3日3晩かけて
数千匹が集まります

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どれもメスで
卵を抱えています

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水に触れた瞬間––

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卵がかえり...

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数百万匹の幼生が
海に流されます

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幼生は潮流に乗り––

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いずれ新たな地に上陸して
住み着くことでしょう

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最も小さい生き物こそが––

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00:28:30,377 --> 00:28:33,587
チャンスを
最大限に生かすのです

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コキーコヤスガエルは
体が完成

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孵化ふかを待つだけです

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父親のおかげで––

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子供たちは広い世界で
道を切り開くことができます

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00:29:17,257 --> 00:29:21,927
たくましい母鳥は
無事に再出発しました

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新しい世代の小さな奇跡たち

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00:29:37,653 --> 00:29:43,123
この島々だけに息づく
かけがえのない宝物です

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日本語字幕 永井 歌子