1
00:00:06,027 --> 00:00:07,945
‎NETFLIX オリジナルシリーズ

2
00:00:49,153 --> 00:00:54,492
‎豊臣秀吉は100年以上の
‎内戦の末 日本を統一した

3
00:00:55,284 --> 00:00:57,620
‎敵は秀吉に忠誠を誓うか
‎破滅の道をたどった

4
00:00:55,284 --> 00:00:57,620
１５９０年 日本

5
00:00:57,620 --> 00:00:59,789
‎敵は秀吉に忠誠を誓うか
‎破滅の道をたどった

6
00:01:00,498 --> 00:01:02,625
‎ようやく平和が訪れたが

7
00:01:02,708 --> 00:01:09,215
‎秀吉はアジア制覇という
‎途方もない夢を抱いた

8
00:01:12,635 --> 00:01:16,097
１５９０年 日本

9
00:01:16,847 --> 00:01:19,433
‎戦国時代が続いた日本では

10
00:01:19,517 --> 00:01:24,313
‎戦乱の世しか知らない世代が
‎ほとんどでした

11
00:01:25,481 --> 00:01:28,025
‎川は血で赤く染まり―

12
00:01:30,319 --> 00:01:33,197
‎大地には血の湖ができました

13
00:01:35,366 --> 00:01:39,120
‎この悪夢を終わらせたのが
‎秀吉です

14
00:01:41,455 --> 00:01:43,332
彼は日本を統一して
内戦を終わらせ

15
00:01:43,332 --> 00:01:45,709
彼は日本を統一して
内戦を終わらせ
マイケル･オースリン
歴史学者 作家

16
00:01:45,709 --> 00:01:45,793
マイケル･オースリン
歴史学者 作家

17
00:01:45,793 --> 00:01:48,504
マイケル･オースリン
歴史学者 作家
政治的均衡を
築きました

18
00:01:49,171 --> 00:01:51,298
‎しかし社会にいるのは

19
00:01:51,382 --> 00:01:54,468
‎戦争しか知らない
‎侍と大名です

20
00:02:04,728 --> 00:02:06,730
‎争いが収まり 秀吉は―

21
00:02:06,814 --> 00:02:10,818
‎莫大な数の侍の扱いに
‎困り果てていました

22
00:02:12,862 --> 00:02:15,906
この問題が
秀吉の自我の暴走を

23
00:02:15,990 --> 00:02:16,490
助長したと思います

24
00:02:16,490 --> 00:02:17,867
助長したと思います
デビッド･スパフォード
歴史学者

25
00:02:17,867 --> 00:02:17,950
デビッド･スパフォード
歴史学者

26
00:02:17,950 --> 00:02:20,578
デビッド･スパフォード
歴史学者
彼は何もないところから

27
00:02:20,661 --> 00:02:24,165
日本の権力の頂点に
のし上がった男です

28
00:02:25,416 --> 00:02:27,668
‎自信を持っていました

29
00:02:32,965 --> 00:02:37,178
‎そして中国征服という計画を
‎思いついたのです

30
00:02:43,559 --> 00:02:48,022
‎中国は日本にとって
‎文明化の基準でした

31
00:02:48,105 --> 00:02:50,649
‎まさに世界の中心でした

32
00:02:50,733 --> 00:02:55,279
‎常に日本を見下してきた
‎中国を征服すれば―

33
00:02:55,362 --> 00:02:57,031
‎英雄になれます

34
00:03:01,827 --> 00:03:05,164
‎中国侵略という試みは
‎多くの点で

35
00:03:05,247 --> 00:03:08,500
‎利己的行為の極みだと
‎言えます

36
00:03:09,168 --> 00:03:13,464
‎ナポレオンや
‎アレクサンドロスのように

37
00:03:13,547 --> 00:03:14,048
歴史に名を
残したかったのです

38
00:03:14,048 --> 00:03:17,551
歴史に名を
残したかったのです
アイザック･メイヤー
歴史学者

39
00:03:19,011 --> 00:03:22,723
‎これは秀吉にとって
‎日本統一にとどまらず

40
00:03:22,806 --> 00:03:26,435
‎戦いの場を海外に広げる
‎チャンスでした

41
00:03:30,898 --> 00:03:31,774
多くが秀吉の
中国侵略に反対しました

42
00:03:31,774 --> 00:03:34,944
多くが秀吉の
中国侵略に反対しました
レスリー･ダウナー
歴史学者 作家

43
00:03:38,572 --> 00:03:40,741
正室の寧々(ねね)も その一人

44
00:03:42,701 --> 00:03:46,830
非常に賢い女性で
見識がありました

45
00:03:47,790 --> 00:03:49,041
‎意志が強く―

46
00:03:49,625 --> 00:03:52,920
‎秀吉の人生に
‎欠かせない人物です

47
00:03:54,546 --> 00:03:57,675
‎秀吉は決め事を
‎妻に相談していました

48
00:04:00,803 --> 00:04:03,681
‎寧々は中国侵略に反対でした

49
00:04:04,306 --> 00:04:07,768
‎失敗すれば
‎今まで築き上げた全てを

50
00:04:07,851 --> 00:04:10,229
‎失う可能性があったのです

51
00:04:12,231 --> 00:04:16,985
‎寧々は この侵略が
‎悲惨な結果になると予見し

52
00:04:17,069 --> 00:04:17,569
必死で秀吉を
止めようとしました

53
00:04:17,569 --> 00:04:21,699
必死で秀吉を
止めようとしました
北川智子
歴史学者 作家

54
00:04:28,539 --> 00:04:33,752
‎しかし秀吉は
‎耳を傾けませんでした

55
00:04:34,837 --> 00:04:38,132
‎誰にも止められませんでした

56
00:04:42,344 --> 00:04:47,099
‎朝鮮を通り抜けなくては
‎中国へ行けません

57
00:04:50,519 --> 00:04:54,356
‎日本にとって
‎非情に困難なルートです

58
00:04:54,440 --> 00:04:58,819
‎まずは朝鮮半島に人員と
‎武器や食料を輸送し

59
00:04:58,902 --> 00:05:05,242
‎軍事拠点を建設せねば
‎中国を倒しに行けません

60
00:05:11,165 --> 00:05:14,793
‎秀吉は朝鮮に
‎通行の許可を求めます

61
00:05:25,262 --> 00:05:29,767
朝鮮

62
00:05:37,566 --> 00:05:42,279
朝鮮との交渉役は
小西行長(ゆきなが)でした

63
00:05:44,907 --> 00:05:45,491
彼が 秀吉の要求を
朝鮮に提示します

64
00:05:45,491 --> 00:05:49,536
彼が 秀吉の要求を
朝鮮に提示します
ネイサン･レドベター
歴史学者

65
00:05:55,209 --> 00:05:58,170
‎朝鮮と日本は
‎険悪な関係でした

66
00:05:58,670 --> 00:06:03,258
‎過去に日本が朝鮮を
‎侵略したからです

67
00:06:14,978 --> 00:06:18,524
日本

68
00:06:31,703 --> 00:06:35,791
‎朝鮮は通過を
‎許可しませんでした

69
00:06:35,874 --> 00:06:40,462
‎朝鮮は中国と
‎密接な関係にあり

70
00:06:40,546 --> 00:06:43,590
‎日本と中国の間の
‎緩衝国でした

71
00:06:52,349 --> 00:06:57,229
‎秀吉は 朝鮮がそのように
‎返答してきたことから

72
00:06:57,312 --> 00:07:00,899
‎先に朝鮮を征服しようと
‎考えました

73
00:07:04,361 --> 00:07:06,655
‎中国侵略はその後です

74
00:07:13,620 --> 00:07:18,000
１５９２年 対馬

75
00:07:21,920 --> 00:07:24,173
‎朝鮮へ侵攻するには

76
00:07:24,256 --> 00:07:29,845
‎当時の技術力では
‎困難な軍事作戦を要しました

77
00:07:33,515 --> 00:07:38,562
‎秀吉は朝鮮に近い
‎西日本の大名を招集します

78
00:07:38,645 --> 00:07:42,774
‎大量の兵を より早く
‎送れるからです

79
00:07:44,568 --> 00:07:48,197
‎西国の大名は
‎常に好戦的でした

80
00:07:48,280 --> 00:07:53,035
‎憎き長年の敵を征服して
‎大陸への影響力を拡大し

81
00:07:53,118 --> 00:07:57,748
‎貿易権を手に入れることが
‎できると言うのです

82
00:07:57,831 --> 00:08:01,668
‎大名たちには
‎魅力的な提案だったでしょう

83
00:08:04,588 --> 00:08:07,299
‎秀吉が1592年に命じたのは

84
00:08:07,382 --> 00:08:13,639
‎当時としては史上最大級の
‎20万人による出兵です

85
00:08:15,015 --> 00:08:19,645
‎これを上回るのは
‎第二次世界大戦くらいです

86
00:08:22,940 --> 00:08:27,486
‎しかし秀吉は この戦いを
‎甘く見ていました

87
00:08:32,199 --> 00:08:34,825
‎1592年４月13日

88
00:08:35,536 --> 00:08:38,329
‎豊臣秀吉の最初の侵略軍が

89
00:08:38,413 --> 00:08:42,543
‎対馬海峡を越えて
‎朝鮮へ向かった

90
00:08:42,626 --> 00:08:44,545
朝鮮

91
00:08:44,628 --> 00:08:47,130
‎日本軍は釜山に上陸し

92
00:08:47,214 --> 00:08:50,676
‎朝鮮の守備隊を数で圧倒した

93
00:08:51,802 --> 00:08:54,429
‎次いで内陸へと進軍

94
00:08:54,513 --> 00:08:57,849
‎ソウルや平壌など
‎主要都市を陥落させ

95
00:08:57,933 --> 00:09:00,561
‎中国との国境へ向かった

96
00:09:03,772 --> 00:09:06,275
１５９２年 朝鮮

97
00:09:20,831 --> 00:09:25,669
‎長年の戦いの時代を経てきた
‎日本軍がしたことは

98
00:09:26,295 --> 00:09:27,838
‎まさに戦争でした

99
00:09:52,988 --> 00:09:57,159
‎秀吉軍は朝鮮半島で
‎暴虐の限りを尽くしました

100
00:09:58,869 --> 00:10:03,415
‎砦を陥落させると
‎降伏した守備隊を虐殺し

101
00:10:03,498 --> 00:10:08,795
‎兵士も民間人も
‎区別なく攻撃したのです

102
00:10:16,970 --> 00:10:19,306
朝鮮侵略は前代未聞の
残酷な出来事でした

103
00:10:19,306 --> 00:10:21,767
朝鮮侵略は前代未聞の
残酷な出来事でした
スティーブン･
ターンブル
歴史学者 作家

104
00:10:23,477 --> 00:10:26,730
‎日本兵はレイプや虐殺―

105
00:10:26,813 --> 00:10:30,609
‎略奪や奴隷狩りなど
‎ひどい行為を行いました

106
00:10:43,163 --> 00:10:46,166
‎このような残虐行為に対し

107
00:10:46,249 --> 00:10:49,127
‎朝鮮各地で反乱が起きました

108
00:10:49,211 --> 00:10:54,675
‎ほとんどの地方で
‎武装蜂起が始まったのです

109
00:10:59,388 --> 00:11:03,558
‎農民や僧侶など
‎庶民も立ち上がり―

110
00:11:03,642 --> 00:11:06,645
‎義兵と呼ばれる組織を
‎結成します

111
00:11:06,728 --> 00:11:09,064
‎小規模のゲリラ軍です

112
00:11:22,703 --> 00:11:27,541
最も有名なリーダーは
郭再祐(かくさいゆう)です

113
00:11:31,920 --> 00:11:36,633
‎日本軍が釜山に上陸すると
‎いち早く挙兵しました

114
00:11:39,553 --> 00:11:43,306
‎裕福だった郭再祐は
‎私財をなげうって

115
00:11:43,390 --> 00:11:46,935
‎義兵のために
‎武器を購入しました

116
00:11:53,358 --> 00:11:56,945
‎郭は朝鮮で
‎伝説的な存在となりました

117
00:11:57,028 --> 00:12:02,075
‎彼の着ていた赤い軍服は
‎奇跡のような防護力を持つ―

118
00:12:02,159 --> 00:12:06,121
‎処女の経血で染められていた
‎という伝説もあります

119
00:12:11,084 --> 00:12:15,756
‎郭が主に標的としたのは
‎日本軍の補給線でした

120
00:12:17,966 --> 00:12:21,845
‎それが日本軍の
‎弱点だったからです

121
00:12:21,928 --> 00:12:24,264
‎日本からの補給物資は

122
00:12:24,347 --> 00:12:27,893
‎朝鮮国内の長い距離を
‎輸送されました

123
00:12:27,976 --> 00:12:31,980
‎そのためゲリラ攻撃に
‎弱かったのです

124
00:12:38,403 --> 00:12:43,658
‎初めて襲撃を受けたのは
‎南江(ナムガン)‎付近でのことでした

125
00:12:45,160 --> 00:12:47,329
‎スパイが気づいたのです

126
00:12:47,412 --> 00:12:51,082
‎川に設置された木の杭は
‎日本軍が―

127
00:12:51,166 --> 00:12:54,252
‎安全に渡れる場所を
‎示していると

128
00:12:55,420 --> 00:12:55,962
１５９２年
朝鮮 南江

129
00:12:55,962 --> 00:12:58,882
１５９２年
朝鮮 南江
奇襲攻撃をするには
絶好の場所でした

130
00:12:58,882 --> 00:12:59,841
奇襲攻撃をするには
絶好の場所でした

131
00:13:10,602 --> 00:13:15,941
‎川を渡る日本兵には
‎重い甲冑が負担になりました

132
00:13:20,278 --> 00:13:23,448
‎通常ならば朝鮮側が不利です

133
00:13:23,532 --> 00:13:28,495
‎日本軍は経験豊富で
‎戦いの装備も整っていました

134
00:13:28,578 --> 00:13:31,540
‎でも川で戦うなら話は別です

135
00:13:38,296 --> 00:13:41,967
‎義兵は 川を渡る日本兵に
‎奇襲をかけました

136
00:13:51,101 --> 00:13:56,106
‎朝鮮の義兵は日本軍に対し
‎銃と矢で一斉に攻撃します

137
00:13:58,066 --> 00:14:00,485
‎日本軍は惨敗です

138
00:14:16,918 --> 00:14:19,337
‎まさに皆殺しです

139
00:14:24,718 --> 00:14:28,013
‎死んだ日本兵は
‎下流へと流されました

140
00:14:38,648 --> 00:14:43,945
‎一連の戦いにおける
‎朝鮮側の初めての勝利でした

141
00:14:52,287 --> 00:14:54,748
‎義兵の圧倒的な勝利は

142
00:14:54,831 --> 00:14:59,169
‎日本軍の侵略が失敗する
‎可能性を示唆していました

143
00:15:02,130 --> 00:15:04,507
‎南江での勝利は義兵たちに

144
00:15:04,591 --> 00:15:08,845
‎侵略者を追い返せるという
‎自信を与えました

145
00:15:13,475 --> 00:15:15,852
‎義兵たちの活躍に触発され

146
00:15:15,936 --> 00:15:20,482
‎さらに多くの民衆が
‎立ち上がりました

147
00:15:20,565 --> 00:15:22,943
‎本格的なゲリラ戦です

148
00:15:23,026 --> 00:15:26,571
‎夜間の奇襲攻撃や
‎駐屯地への放火など

149
00:15:26,655 --> 00:15:31,368
‎彼らにできる軍事行動を
‎手当たり次第に行いました

150
00:15:37,540 --> 00:15:42,295
‎襲撃したらすぐに撤退
‎彼らは これを繰り返します

151
00:15:42,379 --> 00:15:46,508
‎こうして日本軍の侵攻と
‎占拠した土地の維持を

152
00:15:46,591 --> 00:15:48,134
‎阻止しました

153
00:15:51,513 --> 00:15:56,393
‎日本軍の補給線や川船は
‎絶え間なく攻撃を受け

154
00:15:56,476 --> 00:16:00,981
‎部隊間の連絡や
‎物資の輸送が妨げられます

155
00:16:01,064 --> 00:16:04,067
‎義兵による執拗な攻撃は

156
00:16:04,150 --> 00:16:09,906
‎侵略軍の士気を低下させ
‎侵攻を難しくさせました

157
00:16:12,283 --> 00:16:16,871
‎西国の大名は
‎朝鮮で多くの兵を失いました

158
00:16:16,955 --> 00:16:18,415
‎残る兵は５万

159
00:16:18,498 --> 00:16:21,209
‎つまり３分の２を
‎失ったのです

160
00:16:21,292 --> 00:16:25,588
中国　朝鮮

161
00:16:25,672 --> 00:16:29,050
戦闘が進むと
中国の明(みん)王朝は

162
00:16:29,175 --> 00:16:31,136
平壌
戦況に応じ 朝鮮に
５万人の兵を送った

163
00:16:31,136 --> 00:16:31,219
戦況に応じ 朝鮮に
５万人の兵を送った

164
00:16:31,219 --> 00:16:33,263
戦況に応じ 朝鮮に
５万人の兵を送った
ソウル

165
00:16:34,014 --> 00:16:39,978
‎数々の激しい戦いを経ても
‎勝敗はつかなかった

166
00:16:41,187 --> 00:16:42,230
‎日本では

167
00:16:42,313 --> 00:16:46,317
‎中国へ兵を進めるよう
‎秀吉が命令を出す

168
00:16:46,401 --> 00:16:48,903
‎不可能な状況だったが

169
00:16:49,863 --> 00:16:52,323
‎秀吉には逆らえない

170
00:17:02,876 --> 00:17:05,128
朝鮮にいた日本の武将は

171
00:17:05,211 --> 00:17:10,425
戦況は順調だと
秀吉に伝えていました

172
00:17:22,936 --> 00:17:26,523
堀越祐一
歴史学者

173
00:17:44,000 --> 00:17:50,131
‎秀吉は悪い知らせや
‎退陣願いを受け入れません

174
00:17:50,215 --> 00:17:52,300
現地の状況を把握せず

175
00:17:52,300 --> 00:17:53,468
現地の状況を把握せず
マイケル･オースリン
歴史学者

176
00:17:53,468 --> 00:17:53,551
マイケル･オースリン
歴史学者

177
00:17:53,551 --> 00:17:55,845
マイケル･オースリン
歴史学者
事態の深刻さに
気付いていませんでした

178
00:17:55,845 --> 00:17:57,305
事態の深刻さに
気付いていませんでした

179
00:17:58,890 --> 00:18:03,394
‎勝利を信じたという記録も
‎残されています

180
00:18:05,188 --> 00:18:08,733
‎その頃 秀吉は
‎朝鮮での戦いの他に

181
00:18:08,817 --> 00:18:13,488
‎別の問題について
‎強迫観念を抱いていました

182
00:18:16,449 --> 00:18:20,203
‎跡継ぎとなる子供が
‎いないことです

183
00:18:21,538 --> 00:18:26,459
‎秀吉は日本に
‎豊臣の家系が代々続く―

184
00:18:26,543 --> 00:18:31,339
‎新たな王朝を興すという
‎大きな夢を持っていました

185
00:18:32,882 --> 00:18:36,636
‎過去の見栄えを
‎よくすることはできても

186
00:18:36,719 --> 00:18:42,142
‎後継者がいないという問題を
‎解決することはできません

187
00:18:43,476 --> 00:18:47,397
‎後継者がいなければ
‎秀吉の偉業は

188
00:18:47,480 --> 00:18:50,733
‎なかったものになって
‎しまいます

189
00:18:55,822 --> 00:18:59,534
‎寧々は子供を産める年齢を
‎超えていました

190
00:19:00,160 --> 00:19:02,162
しかし秀吉は大阪に
多くの側室がいました

191
00:19:02,162 --> 00:19:04,497
しかし秀吉は大阪に
多くの側室がいました
北川智子
歴史学者 作家

192
00:19:04,497 --> 00:19:04,998
北川智子
歴史学者 作家

193
00:19:04,998 --> 00:19:06,124
北川智子
歴史学者 作家
その中の誰かが
子供を産み―

194
00:19:06,124 --> 00:19:07,917
その中の誰かが
子供を産み―

195
00:19:08,001 --> 00:19:12,338
‎男子であれば
‎秀吉の後継者になれます

196
00:19:23,600 --> 00:19:26,853
‎側室は多くの場合
‎名家の出身でした

197
00:19:27,395 --> 00:19:30,690
‎血筋のいい大名家の娘です

198
00:19:31,566 --> 00:19:32,025
側室と正室には
大きな違いがあります

199
00:19:32,025 --> 00:19:35,737
側室と正室には
大きな違いがあります
レスリー･ダウナー
歴史学者 作家

200
00:19:35,737 --> 00:19:35,820
レスリー･ダウナー
歴史学者 作家

201
00:19:35,820 --> 00:19:35,945
レスリー･ダウナー
歴史学者 作家
側室はある程度
自分で選べますが

202
00:19:35,945 --> 00:19:39,157
側室はある程度
自分で選べますが

203
00:19:39,240 --> 00:19:42,202
‎正室は親が決めるのです

204
00:19:45,872 --> 00:19:49,459
淀殿(よどどの)（茶々）
茶々は秀吉の
お気に入りの側室でした

205
00:19:49,459 --> 00:19:50,627
淀殿(よどどの)（茶々）

206
00:19:50,752 --> 00:19:53,588
織田信長の姪(めい)です

207
00:19:54,589 --> 00:19:56,799
‎茶々は美人で―

208
00:19:56,883 --> 00:20:03,014
‎気が強くてわがままな
‎お姫様気質だったそうです

209
00:20:03,097 --> 00:20:08,186
‎堅実で良識のある寧々とは
‎対照的な性格です

210
00:20:14,651 --> 00:20:18,196
‎何年も子供が
‎できなかったため

211
00:20:18,863 --> 00:20:23,618
‎茶々が息子の‎鶴松(つるまつ)‎を産んだ時
‎秀吉は大喜びでした

212
00:20:25,745 --> 00:20:30,041
‎血筋を維持するため
‎息子が欲しかったのです

213
00:21:01,781 --> 00:21:04,284
‎しかし鶴松は亡くなり

214
00:21:06,035 --> 00:21:07,745
‎秀吉は絶望します

215
00:21:13,876 --> 00:21:17,714
‎豊臣家の未来は
‎再び危うくなりました

216
00:21:19,674 --> 00:21:24,053
‎鶴松の死で秀吉は
‎精神が不安定になります

217
00:21:25,471 --> 00:21:29,934
‎同時期に養女と母も
‎亡くしているからです

218
00:21:32,478 --> 00:21:34,981
‎これにより秀吉は

219
00:21:35,481 --> 00:21:38,860
‎危機感を
‎抱くようになりました

220
00:21:38,943 --> 00:21:42,447
‎尽力してきたことが
‎この大事な時に

221
00:21:42,572 --> 00:21:45,366
‎失敗に終わったと
‎感じたのです

222
00:21:45,450 --> 00:21:47,702
‎一連の出来事で

223
00:21:47,785 --> 00:21:52,457
‎秀吉の判断力は低下したと
‎言われています

224
00:21:59,630 --> 00:22:01,632
‎毎日 少しずつ―

225
00:22:02,425 --> 00:22:06,846
‎秀吉の不穏な行動が
‎目立ち始めました

226
00:22:08,514 --> 00:22:11,017
‎周りも気付くほどに

227
00:22:11,100 --> 00:22:14,562
‎秀吉の精神は
‎衰弱していました

228
00:22:15,271 --> 00:22:19,901
‎１人の側室から
‎梅毒をもらったという

229
00:22:19,984 --> 00:22:21,652
‎うわさもあります

230
00:22:21,736 --> 00:22:25,281
‎それにより
‎更に理性を崩し―

231
00:22:26,824 --> 00:22:29,369
‎秀吉は正気を失います

232
00:22:50,014 --> 00:22:52,767
‎秀吉は次第に孤独感を強め

233
00:22:53,518 --> 00:22:59,399
‎自分の死と 一族の消滅を
‎恐れるようになります

234
00:23:03,277 --> 00:23:07,490
‎息子が亡くなり
‎後継者は いなくなりました

235
00:23:09,283 --> 00:23:11,869
‎朝鮮での戦いが続く中―

236
00:23:13,037 --> 00:23:15,289
‎秀吉は決断します

237
00:23:17,542 --> 00:23:22,213
‎甥(おい)‎の‎秀次(ひでつぐ)‎を
‎後継者に指名したのです

238
00:23:23,256 --> 00:23:25,883
豊臣秀次

239
00:23:25,883 --> 00:23:27,510
豊臣秀次
秀次は非常に評判が悪く

240
00:23:27,510 --> 00:23:28,386
秀次は非常に評判が悪く

241
00:23:28,469 --> 00:23:32,723
残忍で暴力的だったと
言われています

242
00:23:34,183 --> 00:23:36,477
‎農民を撃つことも

243
00:23:37,145 --> 00:23:39,480
‎後継者には不適任ですが

244
00:23:40,523 --> 00:23:42,400
‎選択肢はありません

245
00:23:43,443 --> 00:23:47,488
‎秀次が唯一の
‎正当な跡継ぎだったのです

246
00:23:53,870 --> 00:23:56,622
‎しかし幸運が舞い込みます

247
00:23:58,124 --> 00:24:00,042
１５９３年

248
00:24:00,042 --> 00:24:01,919
１５９３年
それから ほどなく―

249
00:24:02,003 --> 00:24:08,801
‎側室の茶々が息子 ‎秀頼(ひでより)‎を
‎出産したのです

250
00:24:11,262 --> 00:24:14,432
‎秀吉は問題を
‎抱えることになります

251
00:24:14,515 --> 00:24:18,060
‎不出来な秀次を
‎指名してしまいましたが

252
00:24:18,144 --> 00:24:22,398
‎本当に跡を継がせたいのは
‎息子の秀頼です

253
00:24:25,985 --> 00:24:28,488
‎この状況は非常に危険でした

254
00:24:28,571 --> 00:24:32,617
‎秀吉は秀次を
‎排除することに決め

255
00:24:32,700 --> 00:24:34,952
‎高野山へ追いやりました

256
00:24:35,912 --> 00:24:41,751
‎これで解決かと思いきや
‎秀次が復帰を計画し

257
00:24:41,834 --> 00:24:46,130
‎謀反を企てているという
‎うわさが広まります

258
00:24:46,214 --> 00:24:48,090
‎これは見過ごせません

259
00:24:51,469 --> 00:24:57,808
‎秀吉が息子の権利を守るには
‎秀次を殺すしかありません

260
00:25:35,304 --> 00:25:38,182
‎秀吉は秀次の家族も
‎捕らえます

261
00:25:38,266 --> 00:25:38,849
女性や子供を含む
30人以上を

262
00:25:38,849 --> 00:25:42,186
女性や子供を含む
30人以上を
オレグ･ベネシュ
歴史学者

263
00:25:42,270 --> 00:25:46,899
京の町で引き回し
処刑しました

264
00:25:54,574 --> 00:25:57,660
‎この常軌を逸した行為は

265
00:25:57,743 --> 00:26:01,831
‎秀吉が正気を
‎失っていたことを示します

266
00:26:05,918 --> 00:26:09,797
‎謀反を企てたとされた
‎秀次ですが

267
00:26:09,880 --> 00:26:14,260
‎協力者として疑われたのが
‎伊達政宗でした

268
00:26:14,927 --> 00:26:16,554
伊達政宗

269
00:26:16,554 --> 00:26:17,805
伊達政宗
政宗と秀次は
よく一緒に

270
00:26:17,805 --> 00:26:19,724
政宗と秀次は
よく一緒に

271
00:26:19,807 --> 00:26:22,727
狩りに出かける
仲でした

272
00:26:22,810 --> 00:26:27,356
‎そのため政宗は 秀次の
‎友人とみなされたのです

273
00:26:29,025 --> 00:26:31,569
‎秀吉は激怒しました

274
00:26:37,575 --> 00:26:39,577
‎政宗は野心家です

275
00:26:39,660 --> 00:26:44,165
‎秀吉を欺こうとしていても
‎不思議はありません

276
00:26:52,882 --> 00:26:55,760
‎秀吉に呼び出された政宗は

277
00:26:55,843 --> 00:26:59,597
‎秀次との関係を
‎問いただされます

278
00:27:27,500 --> 00:27:30,294
‎政宗の命を救ったのは―

279
00:27:30,378 --> 00:27:34,131
‎秀吉が唯一
‎耳を傾けた人物でした

280
00:27:34,799 --> 00:27:35,800
徳川家康

281
00:27:35,800 --> 00:27:38,302
徳川家康
家康は
政宗を弁護しました

282
00:27:38,302 --> 00:27:38,386
徳川家康

283
00:27:38,386 --> 00:27:38,928
徳川家康
〝政宗の忠誠を
疑う理由はなく〞

284
00:27:38,928 --> 00:27:43,015
〝政宗の忠誠を
疑う理由はなく〞

285
00:27:43,099 --> 00:27:45,768
‎“処罰は無用である”

286
00:27:45,851 --> 00:27:48,104
‎“信用するべきだ”

287
00:27:48,187 --> 00:27:50,856
‎これにより政宗は家康に

288
00:27:50,940 --> 00:27:53,901
‎深い恩を
‎感じるようになります

289
00:27:55,778 --> 00:27:58,823
‎家康は政宗に
‎貸しを作ったのです

290
00:28:02,535 --> 00:28:07,581
‎秀吉は懐疑的でしたが
‎条件付きで政宗を許します

291
00:28:07,665 --> 00:28:13,337
‎政宗が軍を率いて
‎朝鮮で戦うという条件です

292
00:28:18,384 --> 00:28:21,929
‎政宗は朝鮮出兵に
‎疑念を抱きながらも

293
00:28:22,012 --> 00:28:27,518
‎他の大名と同様
‎秀吉の命令には逆らえない

294
00:28:27,601 --> 00:28:30,563
‎逆らうことは恥とされ
‎死に値する

295
00:28:30,646 --> 00:28:32,982
‎援軍が送られたが

296
00:28:33,065 --> 00:28:36,777
‎日本軍は勝てない戦いに
‎行き詰まった

297
00:28:36,861 --> 00:28:40,740
‎食料や物資が不足し
‎病に倒れる兵もいた

298
00:28:42,199 --> 00:28:45,453
‎戦況を把握していない秀吉は

299
00:28:45,536 --> 00:28:49,457
‎軍を前進させるよう
‎命令し続けた

300
00:29:02,052 --> 00:29:04,054
‎悲惨な戦争でした

301
00:29:05,181 --> 00:29:08,476
‎日本軍は何万人もの兵を失い

302
00:29:08,559 --> 00:29:12,271
‎朝鮮側の死者は何十万にも
‎上っていました

303
00:29:21,280 --> 00:29:23,532
‎悲劇が続く中―

304
00:29:23,616 --> 00:29:27,828
‎日本からは
‎無謀な命令が届きます

305
00:29:28,496 --> 00:29:31,749
‎秀吉は一層
‎情緒が不安定になり

306
00:29:31,832 --> 00:29:34,877
‎もはや正確な判断は
‎できません

307
00:29:34,960 --> 00:29:37,463
‎勝っていると
‎信じていました

308
00:29:40,841 --> 00:29:45,095
‎現地の軍は方向性が見えず
‎機能不全に陥ります

309
00:29:45,930 --> 00:29:49,767
‎多くの指揮官が
‎秀吉の精神状態を疑い

310
00:29:49,850 --> 00:29:51,936
‎不安を抱いていました

311
00:29:56,190 --> 00:29:58,108
‎絶望的な状況だと

312
00:29:58,192 --> 00:30:01,946
‎現地の指揮官たちは
‎分かっていました

313
00:30:02,029 --> 00:30:04,782
‎ですから事態の解決に向けて

314
00:30:04,865 --> 00:30:09,495
‎中国との交渉が必要だと
‎判断しました

315
00:30:16,293 --> 00:30:20,464
‎長期にわたる交渉の間
‎秀吉は知りませんでした

316
00:30:20,548 --> 00:30:23,259
‎中国側が出した条件は

317
00:30:23,342 --> 00:30:26,512
‎秀吉の期待とは
‎違っていたのです

318
00:30:29,557 --> 00:30:35,813
‎精神を病んだ秀吉は
‎偽りの報告を受けていたので

319
00:30:35,896 --> 00:30:40,526
‎朝鮮での戦いに勝ったと
‎思い込んでいました

320
00:30:40,609 --> 00:30:46,156
‎秀吉は非常に高いレベルでの
‎承認を求めました

321
00:30:46,240 --> 00:30:49,869
‎当時の中国
‎明の皇帝の承認です

322
00:30:51,912 --> 00:30:55,541
‎秀吉の要求は最低でも
‎朝鮮の領土です

323
00:30:55,624 --> 00:30:59,670
‎朝鮮を２つの勢力圏に分けて

324
00:30:59,753 --> 00:31:05,301
‎南半分を日本が支配し
‎北半分を中国が支配する

325
00:31:05,384 --> 00:31:07,720
‎これが最低条件です

326
00:31:08,304 --> 00:31:11,056
‎秀吉が求めた
‎さらなる条件は

327
00:31:11,181 --> 00:31:15,227
‎皇帝の娘を１人 側室として
‎日本に送ることでした

328
00:31:25,487 --> 00:31:29,700
‎小西行長は
‎不可能だと分かっていました

329
00:31:29,783 --> 00:31:32,328
‎秀吉が望んだ条件を

330
00:31:32,411 --> 00:31:36,290
‎明の皇帝が
‎受け入れるはずがありません

331
00:31:40,961 --> 00:31:46,383
‎秀吉の要求は
‎中国に対する侮辱でした

332
00:31:46,467 --> 00:31:49,595
‎中国は断固として
‎拒否しました

333
00:31:52,556 --> 00:31:55,476
‎そもそも秀吉は朝鮮の戦いに

334
00:31:55,559 --> 00:31:57,436
‎勝っていません

335
00:32:02,107 --> 00:32:05,319
‎中国側は小西行長に
‎別の条件を示し

336
00:32:05,402 --> 00:32:07,988
‎行長はそれを受け入れました

337
00:32:08,989 --> 00:32:14,119
豊臣秀吉の間
１５９６年

338
00:32:21,168 --> 00:32:24,088
‎中国の使節団が来日した際―

339
00:32:24,171 --> 00:32:29,551
‎小西行長や朝鮮の交渉人も
‎同席しました

340
00:32:29,635 --> 00:32:33,681
‎彼らは秀吉に
‎中国の礼服を贈りました

341
00:32:35,391 --> 00:32:38,352
‎秀吉はこれを
‎とても喜びました

342
00:32:38,435 --> 00:32:44,191
‎中国側の秀吉に対する
‎服従の印だと思ったのです

343
00:32:53,033 --> 00:32:56,370
‎しかし すぐに事態は
‎混乱に陥ります

344
00:32:58,706 --> 00:33:05,254
‎中国の使節たちは 秀吉に
‎頭を下げなかったのです

345
00:33:05,337 --> 00:33:10,551
‎秀吉こそ頭を下げるべきだと
‎思っていますから

346
00:33:10,634 --> 00:33:13,095
‎両者がにらみ合います

347
00:33:22,312 --> 00:33:27,317
‎皇帝からの手紙には
‎こう書かれていました

348
00:33:27,401 --> 00:33:32,573
‎“我が家臣 秀吉を
‎日本の国王と認める”

349
00:33:41,248 --> 00:33:43,417
‎秀吉は理解しました

350
00:33:43,500 --> 00:33:46,754
‎礼服は贈り物ではなく

351
00:33:46,837 --> 00:33:51,050
‎明の皇帝が家臣に与える
‎“服従の印”だったのです

352
00:33:58,307 --> 00:34:04,772
‎秀吉は烈火のごとく怒り
‎２度目の朝鮮出兵を命じます

353
00:34:05,773 --> 00:34:08,441
‎しかし今度の目的は―

354
00:34:09,818 --> 00:34:12,863
‎非常に単純な報復行為です

355
00:34:12,946 --> 00:34:14,531
朝鮮

356
00:34:14,531 --> 00:34:15,574
朝鮮

357
00:34:14,531 --> 00:34:15,574
‎秀吉は
‎10万人以上の侍を動員し

358
00:34:15,574 --> 00:34:18,285
‎秀吉は
‎10万人以上の侍を動員し

359
00:34:18,368 --> 00:34:22,289
‎再び朝鮮に侵攻し
‎猛攻撃を仕掛ける

360
00:34:23,414 --> 00:34:28,921
‎しかし数ヵ月のうちに
‎中国と朝鮮の兵士に阻まれ

361
00:34:29,004 --> 00:34:32,381
‎日本軍は沿岸まで
‎押し戻された

362
00:34:36,010 --> 00:34:39,348
‎何の成果もないまま
‎大量の兵を失い

363
00:34:39,430 --> 00:34:43,519
‎多くの大名が
‎憤りを感じていました

364
00:34:44,937 --> 00:34:46,313
‎戦国時代には

365
00:34:46,396 --> 00:34:52,693
‎君主は家臣への褒美として
‎土地や財産を与えていました

366
00:34:52,778 --> 00:34:53,112
しかし今回 朝鮮には

367
00:34:53,112 --> 00:34:55,656
しかし今回 朝鮮には
オレグ･ベネシュ
歴史学者

368
00:34:55,656 --> 00:34:55,738
オレグ･ベネシュ
歴史学者

369
00:34:55,738 --> 00:34:57,282
オレグ･ベネシュ
歴史学者
与えられる土地も
財産もありません

370
00:34:57,282 --> 00:35:00,369
与えられる土地も
財産もありません

371
00:35:00,452 --> 00:35:05,833
‎朝鮮に出兵した大名たちは
‎不満を募らせていました

372
00:35:10,712 --> 00:35:11,213
やがて
有力大名たちの間では

373
00:35:11,213 --> 00:35:14,049
やがて
有力大名たちの間では
ダレン･アッシュモア
山梨学院大学 歴史家

374
00:35:14,133 --> 00:35:19,221
‎何をどうするべきか
‎密談が交わされ始めました

375
00:35:20,264 --> 00:35:22,057
‎どんな段取りで―

376
00:35:23,016 --> 00:35:24,852
‎彼を消すべきか

377
00:35:26,937 --> 00:35:30,482
‎謀反の相談が
‎はばからずになされました

378
00:35:33,152 --> 00:35:36,864
‎秀吉の立場は
‎危うくなっていきます

379
00:35:37,948 --> 00:35:41,034
‎体調面でも
‎病状が次第に悪化し

380
00:35:41,118 --> 00:35:44,746
‎伏見城を出ることも
‎困難な状態でした

381
00:35:45,581 --> 00:35:49,001
１５９８年 ７月

382
00:35:51,295 --> 00:35:54,047
‎秀吉は死期を悟ります

383
00:35:58,051 --> 00:36:01,430
‎秀頼が追放されたり
‎殺されないよう

384
00:36:01,513 --> 00:36:04,057
‎手を打つ必要があります

385
00:36:16,737 --> 00:36:19,573
‎秀吉は重要な決定をします

386
00:36:29,666 --> 00:36:32,586
‎秀吉は５人の大老を
‎任命しました

387
00:36:32,669 --> 00:36:36,632
‎秀吉の地位を
‎引き継げる年齢になるまで―

388
00:36:36,715 --> 00:36:41,970
‎秀頼を守り 補佐することを
‎誓わせたのです

389
00:36:45,641 --> 00:36:51,063
‎日本で大きな力を持つ
‎５人の大名が選ばれました

390
00:36:54,233 --> 00:36:58,820
‎付き合いが長く
‎信頼を置いていた者たちです

391
00:36:58,904 --> 00:37:02,074
‎信頼はしていなくても

392
00:37:02,157 --> 00:37:05,369
‎影響力だけで
‎選ばれた者もいます

393
00:37:06,036 --> 00:37:08,997
‎賭けのような選択です

394
00:37:11,291 --> 00:37:15,254
‎五大老のうち重要人物が
‎２人いました

395
00:37:15,337 --> 00:37:17,506
徳川家康と

396
00:37:18,507 --> 00:37:20,217
前田利家です

397
00:37:26,431 --> 00:37:32,437
‎利家に任されたのは
‎大阪城で幼い秀頼を保護し

398
00:37:32,521 --> 00:37:38,318
‎将来 国を導いていけるよう
‎教育をする役目でした

399
00:37:40,279 --> 00:37:43,031
‎徳川家康はこの時点で

400
00:37:43,115 --> 00:37:46,827
‎秀吉に次ぎ
‎日本で最も有力な大名でした

401
00:37:46,910 --> 00:37:52,416
‎そのため家康は
‎政務の処理を任されました

402
00:37:57,087 --> 00:38:00,841
‎通常 このような場合に
‎選ばれるのは

403
00:38:00,924 --> 00:38:05,220
‎共に協力し
‎政権運営のできる者たちです

404
00:38:05,304 --> 00:38:10,892
‎しかし この五大老の場合
‎秀吉の意図は違いました

405
00:38:14,062 --> 00:38:17,024
‎秀吉が意図的に選んだのは

406
00:38:17,107 --> 00:38:21,028
‎互いの利益がぶつかり合う
‎大名たちでした

407
00:38:21,528 --> 00:38:23,697
‎そうすることで―

408
00:38:23,780 --> 00:38:28,744
‎誰かが軽率な行動をしないか
‎確認することができます

409
00:38:28,827 --> 00:38:31,580
‎お互いを見張り合うわけです

410
00:38:33,832 --> 00:38:37,127
‎誰か１人が
‎力を大きくしないよう

411
00:38:37,210 --> 00:38:39,671
‎抜け駆けを阻止したのです

412
00:38:57,856 --> 00:38:59,816
‎1598年９月

413
00:38:59,900 --> 00:39:01,902
‎戦に生涯を注いだ―

414
00:39:01,985 --> 00:39:05,489
‎天下人 豊臣秀吉が
‎亡くなります

415
00:39:09,326 --> 00:39:13,330
‎“歴史の流れを変えた”と
‎言われる人物は

416
00:39:13,413 --> 00:39:15,791
‎そう多くありません

417
00:39:17,000 --> 00:39:21,171
‎秀吉はまさしく
‎そう評価できる人物です

418
00:39:26,510 --> 00:39:32,182
‎恐らく 日本で最も多くの
‎功績を残した指導者です

419
00:39:34,309 --> 00:39:41,108
‎彼は 前例のないことを
‎行動に移せる人物でした

420
00:39:41,900 --> 00:39:44,486
‎信長には
‎できなかった方法で

421
00:39:44,569 --> 00:39:46,571
‎平和をもたらしました

422
00:39:49,449 --> 00:39:52,619
‎内戦を終わらせて国を統一し

423
00:39:52,702 --> 00:39:58,291
‎有力大名たちの間に
‎政治的均衡を作り出しました

424
00:39:58,375 --> 00:40:03,588
‎しかも秀吉は
‎身分の低い生まれでした

425
00:40:03,713 --> 00:40:08,260
‎農民や足軽から
‎驚くべき出世を遂げ

426
00:40:08,343 --> 00:40:11,555
‎日本の指導者にまで
‎上り詰めました

427
00:40:14,933 --> 00:40:16,351
‎秀吉の死後―

428
00:40:16,435 --> 00:40:22,732
‎五大老は しばらくの間
‎秀吉の死を秘密にしました

429
00:40:23,316 --> 00:40:27,737
‎そして 秀吉の名のもと
‎日本軍に停戦命令を出し

430
00:40:27,821 --> 00:40:30,240
‎朝鮮から撤退させました

431
00:40:34,119 --> 00:40:40,834
‎秀吉が他界し 諸大名は
‎安心したかもしれません

432
00:40:44,588 --> 00:40:48,008
‎朝鮮での戦いは
‎それほど悲惨でした

433
00:40:50,093 --> 00:40:51,595
‎とはいえ

434
00:40:51,678 --> 00:40:56,933
‎秀吉の死をきっかけに
‎大きな不安が生じました

435
00:40:57,017 --> 00:41:02,272
‎秀吉には大人の後継者が
‎いなかったからです

436
00:41:05,317 --> 00:41:10,572
‎五大老は 幼い秀頼を
‎統治者として宣言しますが

437
00:41:10,655 --> 00:41:13,783
‎秀頼に実質的な権力は
‎ありません

438
00:41:14,367 --> 00:41:18,788
‎実際 権力は五大老の間で
‎慎重に共有されていて

439
00:41:19,289 --> 00:41:22,334
‎危険な状況を
‎生み出していました

440
00:41:36,389 --> 00:41:39,851
‎５人のバランスが
‎変わることもあり得ます

441
00:41:39,935 --> 00:41:42,521
‎そうなれば全てが崩壊し

442
00:41:42,604 --> 00:41:46,942
‎権力者の地位が空席になる
‎可能性があったのです

443
00:41:50,362 --> 00:41:55,200
‎秀吉の死後 諸大名は
‎戦の準備を始めました

444
00:42:04,751 --> 00:42:09,381
‎長年 傍観していた家康が
‎ついに動き出します

445
00:42:16,805 --> 00:42:20,350
‎激動の権力争いの始まりです

446
00:42:49,921 --> 00:42:53,174
‎日本語字幕
‎エンゲルマン里恵