1 00:00:12,240 --> 00:00:17,600 あの事件があった年は いろんなことがあった 2 00:00:21,880 --> 00:00:25,800 家族や友達は 誰も信じなかったよ 3 00:00:26,000 --> 00:00:29,160 “まさか あのロバートが…” 4 00:00:31,480 --> 00:00:34,400 誰も俺を知らなかったのさ 5 00:00:37,200 --> 00:00:39,480 殺したくはなかった 6 00:00:39,560 --> 00:00:44,160 でも一度そうすると 決めてしまった後は 7 00:00:44,240 --> 00:00:47,280 引っ込みがつかなくなった 8 00:00:49,000 --> 00:00:50,400 あっという間だ 9 00:00:52,800 --> 00:00:58,000 米国では1976年の 死刑再導入後― 10 00:01:00,120 --> 00:01:05,400 8000人以上が 死刑判決を受けた 11 00:01:07,000 --> 00:01:11,760 これは ある死刑囚の物語 12 00:01:14,040 --> 00:01:18,880 具体的に何をするかは 話し合ってなかった 13 00:01:21,920 --> 00:01:27,880 まずい状況や判断が重なって 事態が悪化していった 14 00:01:29,880 --> 00:01:32,520 NETFLIX オリジナルシリーズ 15 00:01:35,040 --> 00:01:36,960 銃を1発 撃ち― 16 00:01:37,040 --> 00:01:39,400 接近して2発目を撃った 17 00:01:40,640 --> 00:01:44,240 弾は女の頬を貫通し あごに到達 18 00:01:45,480 --> 00:01:49,760 机の後ろに追い込み 約25回 刺した 19 00:01:54,640 --> 00:01:59,200 自分が人を殺したなんて 信じられない 20 00:02:02,400 --> 00:02:04,080 後悔はない 21 00:02:10,160 --> 00:02:13,960 ソファの上にいた男を 刺し始めた 22 00:02:23,880 --> 00:02:26,680 つきまとう過去 23 00:02:33,840 --> 00:02:37,160 ミズーリ州ワシントン郡 ポトシ刑務所 24 00:02:45,640 --> 00:02:49,080 1990年 19歳の ロバート・シェイファーが 25 00:02:49,160 --> 00:02:52,840 パーカーとヤング殺害で 逮捕された 26 00:02:54,720 --> 00:03:01,000 殺害の動機については いまだに議論が分かれている 27 00:03:06,440 --> 00:03:08,120 “1 2 3”と言ってみて 28 00:03:08,200 --> 00:03:09,080 1 2 3 29 00:03:10,640 --> 00:03:14,560 1 2 3 4… 30 00:03:20,560 --> 00:03:25,040 1970年にカンザス州 サライナで生まれた 31 00:03:27,080 --> 00:03:32,080 11人きょうだいの9番目で 6男中の第6男だ 32 00:03:33,120 --> 00:03:37,040 家はカトリック教徒で 父は軍人だから 33 00:03:37,120 --> 00:03:40,560 引っ越しが 多かったらしい 34 00:03:41,960 --> 00:03:44,520 1977年に親父が死んで 35 00:03:44,600 --> 00:03:48,360 家族の関係は 変わってしまった 36 00:03:50,400 --> 00:03:54,080 お袋が別の男と 再婚したからだ 37 00:03:56,280 --> 00:03:58,640 親父が死んだ日から 38 00:03:58,960 --> 00:04:03,160 俺は人が変わり 悪い方へ転がり落ちた 39 00:04:06,840 --> 00:04:11,160 12年間 好き放題に生きているうちに 40 00:04:12,800 --> 00:04:15,560 犯罪に手を染めていった 41 00:04:15,640 --> 00:04:20,160 この国ではよくある 盗みや破壊行為だよ 42 00:04:20,240 --> 00:04:23,560 いわゆる非行少年だったのさ 43 00:04:25,360 --> 00:04:28,520 ドラッグや酒は9歳で始めた 44 00:04:30,280 --> 00:04:31,960 学校でもやった 45 00:04:32,040 --> 00:04:36,240 休み時間に友達の輪から 外れて酒を飲んで… バカげてるが 誰にも気付かれなかった 46 00:04:40,600 --> 00:04:42,920 ごろつきには見えないし 47 00:04:43,240 --> 00:04:47,520 父の死を悲しんでると 思ったんだろう 48 00:04:54,880 --> 00:04:57,640 捕まったのは初めてじゃない 49 00:04:57,840 --> 00:05:04,360 幾つか小さい犯罪は この事件の前にも犯していた 50 00:05:05,640 --> 00:05:06,960 深刻じゃない 51 00:05:07,040 --> 00:05:11,600 車を盗んだら 女友達が 俺を通報した 52 00:05:11,680 --> 00:05:13,160 ケンカのあとに 53 00:05:13,240 --> 00:05:15,560 俺が悪かったんだ 54 00:05:15,640 --> 00:05:18,560 彼女はそうするしかなかった 55 00:05:18,640 --> 00:05:21,040 刑務所行き寸前だった 56 00:05:21,120 --> 00:05:24,800 なのに2年後に 別の子と車を盗んだ 57 00:05:24,880 --> 00:05:27,560 学んでなかったんだな 58 00:05:27,640 --> 00:05:31,480 オクラホマの少年院に入り 仮釈放された 59 00:05:34,960 --> 00:05:39,960 その3カ月後に 今回の事件を起こしたんだ 60 00:05:45,120 --> 00:05:47,200 “第一級殺人罪 偽証罪” 61 00:05:47,280 --> 00:05:50,360 共犯のデイヴは 同僚だった 62 00:05:50,440 --> 00:05:55,760 俺たち2人には どこか 気が合うところがあった 63 00:05:55,840 --> 00:05:58,200 年下だけど俺に似てた 64 00:05:58,280 --> 00:06:00,880 いや もっと攻撃的かな 65 00:06:02,120 --> 00:06:07,480 あの年頃だった自分を 見てるようで好きだった 66 00:06:09,760 --> 00:06:15,800 殺人を犯す1カ月前までは さほど親しくなかったが 67 00:06:16,120 --> 00:06:18,040 すぐ仲良くなった 68 00:06:18,400 --> 00:06:24,360 女 パーティー 飲酒 麻薬や覚せい剤で 69 00:06:28,200 --> 00:06:34,560 デイヴは強盗とか 自分の悪事を言いふらしてた 70 00:06:34,640 --> 00:06:39,680 俺もそうだったが 犯罪自体に興味はなかった 71 00:06:40,880 --> 00:06:46,640 これは奴から言い出したんだ 俺は最初は断った 72 00:06:46,840 --> 00:06:49,680 本当にやる気はなかった 73 00:06:53,120 --> 00:06:57,680 でもその日のうちに 徐々に乗り気になって 74 00:06:57,760 --> 00:06:58,960 “やる”と言った 75 00:07:03,320 --> 00:07:06,920 その1時間後には 行動に移した 76 00:07:10,280 --> 00:07:16,600 俺たちの計画は強盗だけで 殺しは入ってなかった 77 00:07:16,680 --> 00:07:19,760 最初はそんな気なかった 78 00:07:20,440 --> 00:07:23,840 本当に突発的にやっちまった 79 00:07:31,000 --> 00:07:33,560 1990年4月29日 ミズーリ川の近くに 80 00:07:33,640 --> 00:07:37,760 ジェリー・パーカーと デニー・ヤングがいた 81 00:07:41,160 --> 00:07:43,960 川沿いで2人を見つけた 82 00:07:44,040 --> 00:07:49,400 この言葉を使うのは ちょっと気がひけるんだが 83 00:07:49,480 --> 00:07:53,040 いい獲物を見つけた 気分だった 84 00:07:53,120 --> 00:07:55,920 2人にそっと忍び寄った 85 00:07:56,560 --> 00:08:00,200 暗くてかなり離れていて 86 00:08:00,280 --> 00:08:02,920 近付くと2人の男だと 分かり― 87 00:08:04,200 --> 00:08:08,120 見ていたら その2人はキスをした 88 00:08:13,640 --> 00:08:19,560 ホモセクシュアルは 襲うにはもってこいの相手だ 89 00:08:19,640 --> 00:08:21,280 強盗するなら― 90 00:08:21,360 --> 00:08:25,360 決して2メートルの巨漢は 狙わない 91 00:08:25,440 --> 00:08:28,360 簡単に倒せる奴がいい 92 00:08:33,799 --> 00:08:36,879 夜中だし不審に思われた 93 00:08:36,960 --> 00:08:39,920 見た目が幼かったからだ 94 00:08:40,000 --> 00:08:42,600 19歳なのに12歳に見えた 95 00:08:43,400 --> 00:08:47,240 質問されて 俺たちはとっさに答えた 96 00:08:47,440 --> 00:08:51,160 “15キロ先の女の家に 行きたい” 97 00:08:51,240 --> 00:08:52,920 “送ってほしい” 98 00:08:54,440 --> 00:08:56,840 それで彼らの車に乗った 99 00:09:01,280 --> 00:09:05,160 男たちは酒を飲んで 酔っぱらっていた 100 00:09:06,880 --> 00:09:11,800 女の家を探して走ったけど 場所など分からない 101 00:09:14,040 --> 00:09:15,360 俺の手には銃が… 102 00:09:17,840 --> 00:09:21,320 弾は込めてない ポケットの中だ 103 00:09:30,840 --> 00:09:33,600 2人はしびれを切らして 104 00:09:33,800 --> 00:09:37,000 停車して“降りろ”と言った 105 00:09:37,200 --> 00:09:40,440 その瞬間に 強盗する手筈だった 106 00:09:43,400 --> 00:09:45,560 もみ合いになった 107 00:09:45,640 --> 00:09:49,960 俺は運転席のヤングさんと 取っ組み合い― 108 00:09:51,320 --> 00:09:55,360 デイヴは助手席の パーカーさんと格闘した 109 00:09:57,960 --> 00:10:00,920 デイヴが押さえこまれたから 110 00:10:01,000 --> 00:10:06,360 パーカーさんに銃を突きつけ “全員 車に乗れ”と言った 111 00:10:09,840 --> 00:10:13,320 それで強盗が誘拐に なっちまった 112 00:10:19,440 --> 00:10:21,160 走れとだけ言った 113 00:10:24,960 --> 00:10:27,680 かなりの緊張状態だ 114 00:10:33,000 --> 00:10:34,760 俺は弾を込めた 115 00:10:42,520 --> 00:10:49,160 シルバーズ通りにたどり着き そこで車を停めさせて― 116 00:10:50,640 --> 00:10:52,840 ドアを開けさせた 117 00:10:52,960 --> 00:10:57,160 パーカーさんが デイヴを外に出した途端― 118 00:10:57,840 --> 00:11:00,120 2人は格闘し始めた 119 00:11:00,200 --> 00:11:03,640 俺もヤングさんと 取っ組み合った 120 00:11:05,160 --> 00:11:08,160 何を言う間もなかったんだ 121 00:11:12,200 --> 00:11:16,800 ヤングさんと格闘してたら パーカーさんが逃げたので 122 00:11:19,280 --> 00:11:20,560 追いかけた 123 00:11:21,200 --> 00:11:24,120 約15メートル先にいたかな 124 00:11:24,760 --> 00:11:29,080 スピードは遅くて まっすぐに走ってなかった 125 00:11:29,160 --> 00:11:32,920 道がデコボコで 彼はつまずいた 126 00:11:33,000 --> 00:11:36,440 その瞬間 俺は1発撃った 127 00:11:41,080 --> 00:11:43,320 弾は外れたらしいが 128 00:11:43,800 --> 00:11:46,240 彼は溝に倒れ込んだ 129 00:11:46,320 --> 00:11:49,040 俺は歩いて近付きながら 130 00:11:50,520 --> 00:11:53,280 もう1発 撃ったんだ 131 00:11:55,040 --> 00:11:57,000 そして更にもう1発 132 00:12:01,040 --> 00:12:04,560 それぞれ目の上と下に 命中した 133 00:12:09,000 --> 00:12:11,400 デイヴは車の後方で― 134 00:12:11,480 --> 00:12:14,920 ヤングさんは 車の前の溝にいた 135 00:12:16,720 --> 00:12:19,560 彼は這い出ようと必死だ 俺は彼に向かって1発撃った 136 00:12:23,720 --> 00:12:27,640 彼は後ろに倒れて 俺は溝に飛び込み― 137 00:12:27,720 --> 00:12:31,800 その瞬間に撃つと 彼の腕に当たった 138 00:12:31,880 --> 00:12:34,240 腕を貫通していた 139 00:12:34,320 --> 00:12:39,440 そして彼が振り向いた時に もう1発撃ったんだ 140 00:12:44,560 --> 00:12:45,600 おしまい 141 00:12:51,400 --> 00:12:52,880 撃ち殺した 142 00:12:52,960 --> 00:12:58,040 全てが起きたのは せいぜい30秒の間だったか 143 00:12:58,120 --> 00:12:59,680 それで終わった 144 00:13:06,760 --> 00:13:08,640 あとは静寂だけ 145 00:13:20,040 --> 00:13:23,880 2人の若者は この殺人の数時間後 146 00:13:23,960 --> 00:13:27,080 自ら警察に出頭した 147 00:13:28,600 --> 00:13:30,560 口裏を合わせた 148 00:13:30,640 --> 00:13:34,320 成り行きを どう話すかについてだ 149 00:13:34,400 --> 00:13:36,640 “互いに1人ずつ殺した” 150 00:13:36,720 --> 00:13:40,720 罪は分け合うのが 仲間ってもんだよ 151 00:13:41,880 --> 00:13:43,600 奴は自首を拒んだ 152 00:13:44,640 --> 00:13:47,800 でも しまいには自首した 153 00:13:47,880 --> 00:13:49,480 なぜか分からない 154 00:13:49,560 --> 00:13:51,720 俺には理由があった 155 00:13:51,800 --> 00:13:55,560 自分をよく見せるためだ 逃亡はまずい 156 00:13:55,920 --> 00:14:00,280 自首してこう話した “それぞれ1人殺した” 157 00:14:00,440 --> 00:14:05,280 そして2人から性的挑発を 受けたことにした 158 00:14:05,360 --> 00:14:07,360 “供述調書” 159 00:14:08,920 --> 00:14:11,160 “デイヴがホモと叫んだ” 160 00:14:11,240 --> 00:14:16,240 “デイヴがパーカーを 2~3回撃ったのを見た” 161 00:14:16,320 --> 00:14:21,720 〝ロバートはヤングを 2~3回撃ったと供述〞 162 00:14:21,800 --> 00:14:24,920 〝デイヴはロバートに こう言った〞 163 00:14:25,000 --> 00:14:29,360 “パーカーに 性的挑発を受けた” 164 00:14:38,840 --> 00:14:42,800 この時はロバートと デイヴの両者が 165 00:14:42,880 --> 00:14:46,160 殺人罪で起訴され― 166 00:14:47,680 --> 00:14:52,960 それぞれ 終身刑を求刑された 167 00:15:25,520 --> 00:15:27,440 ジェリーおじさんは― 168 00:15:29,960 --> 00:15:32,960 誰にでも親切な人だった 169 00:15:34,040 --> 00:15:37,200 何でも面白がり深刻にならず 170 00:15:37,680 --> 00:15:39,520 いつも陽気だった 171 00:15:43,520 --> 00:15:45,440 よく一緒に遊んだよ 172 00:15:45,720 --> 00:15:46,120 何でも与えてくれた 173 00:15:46,120 --> 00:15:48,880 何でも与えてくれた ジェリー・パーカーの甥 リチャード・キール 174 00:15:48,880 --> 00:15:48,960 ジェリー・パーカーの甥 リチャード・キール 175 00:15:48,960 --> 00:15:52,640 ジェリー・パーカーの甥 リチャード・キール とにかく人を 助けるのが好きだった 176 00:15:54,640 --> 00:15:56,560 デニーと付き合ってた 177 00:15:56,840 --> 00:15:59,240 彼について知ってることは 178 00:15:59,320 --> 00:16:02,480 女に傷つけられたゲイで― 179 00:16:02,560 --> 00:16:05,440 二度と女を信じないってこと 180 00:16:11,040 --> 00:16:15,640 おじさんの死を聞いて 信じられない思いだった 181 00:16:15,720 --> 00:16:17,680 誰も信じなかったよ 182 00:16:18,640 --> 00:16:21,840 自分から騒ぎを 起こす人じゃない 183 00:16:21,920 --> 00:16:25,240 ましてや殺されるなんて あり得ない 184 00:16:25,320 --> 00:16:29,880 40代でヒザが悪くて歩けず 心臓も悪かった 185 00:16:29,960 --> 00:16:32,600 19歳なら十分倒せる 186 00:16:32,680 --> 00:16:36,960 大して苦労せず 彼から逃げ切れたはずだ 187 00:16:40,080 --> 00:16:42,000 家族は傷ついた 188 00:16:43,000 --> 00:16:46,560 母が泣く姿は2度しか 見たことがない 189 00:16:47,440 --> 00:16:48,760 1回はあの時だ 190 00:16:50,520 --> 00:16:55,520 “セントチャールズ郡 郡旗” 191 00:16:56,200 --> 00:17:01,640 シェイファーの裁判には 祖母と妹だけが行った 192 00:17:01,720 --> 00:17:02,120 〝裁判所〞 193 00:17:02,120 --> 00:17:04,280 〝裁判所〞 話は少し聞いたよ 194 00:17:05,280 --> 00:17:10,560 シェイファーはハンサムだが 口を開くと最低で 195 00:17:11,240 --> 00:17:13,200 クソ野郎だとね 196 00:17:13,880 --> 00:17:18,360 口を開くと嫌悪感がわいたと 妹は言っていた 197 00:17:33,160 --> 00:17:39,720 私はセントチャールズ郡の 主席審査長で検事補です 198 00:17:40,960 --> 00:17:44,760 通常扱う殺人件数は 年2~3件で 199 00:17:45,760 --> 00:17:47,920 少ないですが 発生します 200 00:17:48,000 --> 00:17:52,840 私の仕事はその容疑者を 起訴することです 201 00:17:57,520 --> 00:18:03,760 2人が自首してきた時 最初に受けた印象ですが 202 00:18:03,840 --> 00:18:08,160 シェイファーの話は 真実味がなく― 203 00:18:08,240 --> 00:18:10,520 不器用な言い訳でした 204 00:18:10,600 --> 00:18:15,680 “ヒッチハイクしたら 車の2人はゲイだった” 205 00:18:15,760 --> 00:18:18,320 “性的暴行を受けかけたが” 206 00:18:18,400 --> 00:18:23,840 “何とか男の1人から 銃を奪うことができて” 207 00:18:23,920 --> 00:18:26,160 “正当防衛で撃った” 208 00:18:26,240 --> 00:18:31,400 1人は頭を2発撃たれ もう1人は頭に1発… 209 00:18:31,480 --> 00:18:35,640 多くの場合で 暴漢を撃退する際に 210 00:18:35,720 --> 00:18:40,360 相手に与える傷とは 違って見えました 211 00:18:41,760 --> 00:18:44,200 だから信じませんでした 212 00:18:46,600 --> 00:18:50,800 自首してくる人には ありがちなんです 213 00:18:50,880 --> 00:18:53,240 都合のいい話をする 214 00:18:53,320 --> 00:18:56,800 自分たちを よく見せたいのです 215 00:19:00,560 --> 00:19:03,400 シェイファーは姑息で 216 00:19:03,480 --> 00:19:05,960 冷酷に見えました 217 00:19:06,040 --> 00:19:10,560 自分の頭脳を 過信していたようですが 218 00:19:10,640 --> 00:19:13,000 賢いとは言えません 219 00:19:13,440 --> 00:19:19,600 相手がゲイなら減刑になると 思っていた節があります 220 00:19:19,680 --> 00:19:24,680 ゲイを殺したなら 理解してくれるだろうと… 221 00:19:24,760 --> 00:19:28,120 彼はゲイを 毛嫌いしていました 222 00:19:28,200 --> 00:19:30,800 なぜかは分かりません 223 00:19:38,080 --> 00:19:40,920 “ようこそ ここからサライナ市” 224 00:19:54,120 --> 00:19:58,680 子供の頃 この辺りは とても静かだったわ 225 00:19:59,960 --> 00:20:00,800 友達が住むのは カスター通りや 226 00:20:00,800 --> 00:20:02,760 友達が住むのは カスター通りや ロバートの姉 ジュリエット・ シェイファー 227 00:20:02,760 --> 00:20:04,200 ロバートの姉 ジュリエット・ シェイファー 228 00:20:04,200 --> 00:20:05,600 ロバートの姉 ジュリエット・ シェイファー シェリダンやメリル… 229 00:20:05,600 --> 00:20:06,520 シェリダンやメリル… 230 00:20:06,600 --> 00:20:10,920 全部 将校の名前だから “将校通り”よ 231 00:20:14,400 --> 00:20:18,680 母は孤児院で 修道女に育てられたの 232 00:20:19,760 --> 00:20:22,680 とても厳しい人だったわ 233 00:20:22,760 --> 00:20:27,800 子供は多いのに 母親とは何かを知らなかった 234 00:20:30,920 --> 00:20:33,520 ハグも“愛してる”も 与えてもらえなかった 235 00:20:37,920 --> 00:20:41,720 母はよく養父と 大ゲンカしてたわ 236 00:20:41,800 --> 00:20:45,480 出てけと警察を呼んでは 離れられず 237 00:20:46,000 --> 00:20:47,840 いつもそんな調子 238 00:20:49,400 --> 00:20:51,680 あれが当時の家よ 239 00:20:54,360 --> 00:20:59,520 あの家に11人の子供と 大人2人が暮らしてた 240 00:21:00,000 --> 00:21:01,520 小さいわよね 241 00:21:04,840 --> 00:21:07,000 祝日も楽しくない 242 00:21:07,240 --> 00:21:13,400 本当にあの家では 何ひとつ幸せなんてなかった 243 00:21:13,480 --> 00:21:17,600 楽しかったのは 線路で遊んでた時ね 244 00:21:17,680 --> 00:21:21,280 右に行ったところに 要塞を作ってた 245 00:21:22,200 --> 00:21:26,920 それに学校も楽しかったわ 家じゃないからね 246 00:21:33,160 --> 00:21:35,320 ロバートは明るくて 247 00:21:35,400 --> 00:21:39,080 人が好きだったし 人気者だった 248 00:21:39,320 --> 00:21:44,720 皆のことを知ってたから あだ名は“詮索好きな記者” 249 00:21:45,040 --> 00:21:50,600 最新情報や今起きてることを 何でも知ってたのよ 250 00:21:56,160 --> 00:21:57,960 でもどういうわけか 251 00:21:58,720 --> 00:22:00,800 何をやっても叱られてた 252 00:22:01,360 --> 00:22:03,000 ヘマばかりして 253 00:22:03,080 --> 00:22:08,760 いつもお尻をたたかれたり 体罰を受けてたわ 254 00:22:10,960 --> 00:22:13,440 それでも幸せそうだった 255 00:22:13,520 --> 00:22:16,200 常に笑顔で頬を赤く染めて 256 00:22:16,280 --> 00:22:21,960 決して怒ることもなく 泣くこともなかったわ 257 00:22:25,320 --> 00:22:29,120 確かに ちょっとした盗みはやった 258 00:22:29,200 --> 00:22:34,320 捕まるのに またやるから 周りは困惑してた 259 00:22:41,440 --> 00:22:45,520 あの親から逃れるには 家を出るしかない 260 00:22:46,160 --> 00:22:48,400 15歳だったけど悩んだわ 261 00:22:48,480 --> 00:22:52,320 きょうだい4人が 残されるからよ 262 00:22:52,840 --> 00:22:56,520 ロバートのことが 一番心配だった 263 00:23:00,320 --> 00:23:02,280 私は長く戻らなかった 264 00:23:02,760 --> 00:23:06,640 ロバートは短期間だけど 海軍に入ったわ 265 00:23:07,120 --> 00:23:10,040 その後は 家に帰らないと言うから 266 00:23:10,120 --> 00:23:15,280 私はセントチャールズで 一緒に暮らそうと言ったの 267 00:23:16,240 --> 00:23:17,560 楽しかったわ 268 00:23:17,640 --> 00:23:21,880 3歳の息子の面倒を 見てくれたりして… 269 00:23:23,840 --> 00:23:28,400 だけど分かるでしょ その6~9カ月後に 270 00:23:29,200 --> 00:23:30,800 事件が起きた 271 00:23:42,640 --> 00:23:46,600 “踏切” 272 00:23:50,040 --> 00:23:54,800 ロバートはサライナを去り 親友とも別れた 273 00:24:03,440 --> 00:24:05,720 小2で初めて会った時― 274 00:24:05,800 --> 00:24:11,480 奴は大声でこう叫んでた “僕はプレスリーの弟だ” 275 00:24:11,560 --> 00:24:11,880 ウソつきだと思った 276 00:24:11,880 --> 00:24:13,960 ウソつきだと思った ロバートの幼なじみ オーブリー・マーティン 277 00:24:13,960 --> 00:24:14,320 ロバートの幼なじみ オーブリー・マーティン 278 00:24:14,320 --> 00:24:16,520 ロバートの幼なじみ オーブリー・マーティン でも家庭環境やオーラが 似てて近づいた 279 00:24:16,520 --> 00:24:19,480 でも家庭環境やオーラが 似てて近づいた 280 00:24:19,800 --> 00:24:25,640 先生は暗いオーラだと言って 俺たちを怖がっていた 281 00:24:27,600 --> 00:24:29,760 でもずっと一緒にいた 282 00:24:32,280 --> 00:24:35,920 ロバートはやんちゃ坊主でね 283 00:24:36,000 --> 00:24:39,720 他人以上のことを やりたがった 284 00:24:39,800 --> 00:24:43,600 危険であればあるほど いいんだよ 285 00:24:46,520 --> 00:24:50,720 電車が止まると 周りで遊んでたんだが 286 00:24:51,520 --> 00:24:56,160 ロバートは物足りず 動く電車に飛び乗った 287 00:24:56,240 --> 00:24:59,400 車両から車両に飛び移る 288 00:24:59,480 --> 00:25:02,400 これじゃ死ぬと思ったよ 289 00:25:02,480 --> 00:25:05,360 会うのはこれで最後ってね 290 00:25:05,800 --> 00:25:10,200 俺は“降りてこい やり過ぎだ”と叫んだ 291 00:25:10,280 --> 00:25:12,640 死ぬほどハラハラした 292 00:25:17,760 --> 00:25:21,440 成長してから 仲間とドライブして 293 00:25:21,520 --> 00:25:25,920 公園に行ったら 数人のゲイがいたんだ 294 00:25:26,000 --> 00:25:29,200 時々そばに寄って話しかけて 295 00:25:29,280 --> 00:25:32,680 気をそらして 奴らの物を盗んだ 296 00:25:33,960 --> 00:25:36,560 なぜそんなことをしたか? 297 00:25:36,640 --> 00:25:39,760 スリルを楽しむためかな 298 00:25:42,240 --> 00:25:44,760 実は仲間の1人が― 299 00:25:44,840 --> 00:25:50,040 ゲイとセックスして 戻ってきてたと後で知った 300 00:25:55,440 --> 00:26:01,520 奴があんな犯罪を犯し 捕まるとは思ってなかった 301 00:26:01,960 --> 00:26:07,040 それを予想してた連中は 大勢いたんだが― 302 00:26:08,640 --> 00:26:13,000 せいぜい車を盗むか 警官を傷つけるかで 303 00:26:13,080 --> 00:26:17,360 ゲイ2人を殺すとは 誰も思わなかった 304 00:26:19,280 --> 00:26:22,040 あいつらしくない犯罪だ 305 00:26:23,240 --> 00:26:27,760 例えば女を殴るとか 他の犯罪なら分かる 306 00:26:27,840 --> 00:26:32,440 そうさ そういうことなら 数回やってた 307 00:26:32,760 --> 00:26:36,320 それでもロバートは 女を選び放題 308 00:26:36,920 --> 00:26:39,240 奴は肌もキレイで 309 00:26:39,320 --> 00:26:45,320 美しい言葉で女を喜ばす 小学生の時からやってたよ 310 00:26:46,720 --> 00:26:49,160 女は悪い男が好きだ 311 00:26:51,560 --> 00:26:54,720 でも女と寝ると時々混乱して 312 00:26:54,800 --> 00:27:00,000 恋人をひどく殴って ケガさせたりしていた 313 00:27:01,360 --> 00:27:03,440 家の中を壊したりね 314 00:27:19,360 --> 00:27:21,960 逮捕の3年後― 315 00:27:22,040 --> 00:27:27,640 ロバート・シェイファーは 2つの殺人で有罪となった 316 00:27:28,920 --> 00:27:34,320 しかし今も多くの人が 殺したのは1人と信じている 317 00:27:34,400 --> 00:27:40,360 彼自身 2014年までは そう主張し続けていた 318 00:27:51,160 --> 00:27:55,240 遺品整理の時に シェイファーに連絡した 319 00:27:55,720 --> 00:28:01,440 2014年だ 事件のことが いろいろよみがえった 320 00:28:02,480 --> 00:28:06,240 24年経って 彼も19歳の少年じゃない 321 00:28:06,880 --> 00:28:09,000 どんな男か知りたかった 322 00:28:09,080 --> 00:28:14,240 当時はまだ1人しか 殺してないと言ってたんだ 323 00:28:14,320 --> 00:28:17,200 デイヴの罪を負わされたと 324 00:28:17,480 --> 00:28:23,360 彼の言い分を聞いて デイヴの方がキレやすく― 325 00:28:23,440 --> 00:28:26,600 主犯のような印象を受けた 326 00:28:27,040 --> 00:28:29,120 それで手紙を書いた 327 00:28:30,360 --> 00:28:32,600 “刑務所暮らしが長いね” 328 00:28:32,680 --> 00:28:36,800 “いろいろ読んだが 君のは貧乏くじだ” 329 00:28:36,880 --> 00:28:40,680 “外に出ても 僕たちは構わない” 330 00:28:42,520 --> 00:28:45,080 少し彼に同情しかけた 331 00:28:46,320 --> 00:28:48,040 19歳の罪だし― 332 00:28:48,720 --> 00:28:53,240 人生最悪の行為で 皆の記憶に残るわけだ 333 00:28:55,240 --> 00:28:57,000 許したくなった 334 00:28:59,880 --> 00:29:03,760 数日後にロバートから 手紙が届いた 335 00:29:06,120 --> 00:29:12,840 事件を詳しく書いたからと 手紙の中で警告してるよ 336 00:29:13,400 --> 00:29:17,960 生々しいから 1人で読んだ方がいいとね 337 00:29:19,040 --> 00:29:22,560 ネットで読む内容と 同じだと思ってた 338 00:29:22,640 --> 00:29:27,200 彼とデイヴが1人ずつ 殺したという話だ 339 00:29:27,880 --> 00:29:33,240 でも手紙には自分が 2人を撃ったと書いてあった 340 00:29:38,960 --> 00:29:42,120 “私は取り調べで刑事に” 341 00:29:42,200 --> 00:29:45,560 “2人が襲ってきたと 話しました” 342 00:29:46,160 --> 00:29:51,400 “そもそもこれが 全てのウソの始まりでした” 343 00:29:51,480 --> 00:29:57,480 “この殺人の全責任は 私1人にあります” 344 00:30:03,000 --> 00:30:08,080 “生まれて初めて 正直になる時が来ました” 345 00:30:11,400 --> 00:30:13,440 “俺がやった” 346 00:30:13,920 --> 00:30:18,840 “理由は分からないし 言い訳もできない”とある 347 00:30:19,560 --> 00:30:21,600 罪を認めたんだ 348 00:30:23,640 --> 00:30:25,400 返事を書いたよ 349 00:30:25,800 --> 00:30:28,960 “こちらは何も変わらない” 350 00:30:29,040 --> 00:30:30,640 僕たち家族は― 351 00:30:31,160 --> 00:30:33,880 彼を許しているんだ 352 00:30:34,680 --> 00:30:38,880 仮釈放審査会がどう決めても 構わない 353 00:30:40,600 --> 00:30:42,640 なぜ許すのか? 354 00:30:43,560 --> 00:30:45,840 きっと本当の理由は… 355 00:30:48,520 --> 00:30:50,240 人を許せないと 356 00:30:50,320 --> 00:30:53,160 自分の過ちも 許されないからだ 357 00:30:53,480 --> 00:30:56,840 彼は もう28年も 刑務所にいる 358 00:30:57,440 --> 00:31:01,080 ひと晩の 思いもよらない過ちだ 359 00:31:03,000 --> 00:31:04,920 おじさんも許すだろう 360 00:31:05,640 --> 00:31:07,280 そういう人だ 361 00:31:17,880 --> 00:31:20,680 新たな自白に見えたが ロバートは警察に この話を― 362 00:31:23,640 --> 00:31:25,800 20年以上前にしていた 363 00:31:27,640 --> 00:31:29,760 リチャードは知らなかったが 364 00:31:29,840 --> 00:31:34,080 ロバートは1992年に 2つの殺人を自白していた 365 00:31:36,520 --> 00:31:38,920 “セントチャールズ郡 検察” 366 00:31:45,160 --> 00:31:49,320 いつ供述を変えたか 定かではありませんが 367 00:31:49,400 --> 00:31:55,080 裁判が進むにつれて 彼の話は変わっていきました 368 00:31:56,360 --> 00:31:59,640 君は今朝 弁護士と話したね? 369 00:31:59,960 --> 00:32:04,840 供述については 拒否しろと助言された? 370 00:32:04,920 --> 00:32:05,920 拒否しろと 371 00:32:06,000 --> 00:32:07,400 分かった 372 00:32:07,640 --> 00:32:08,800 それでも話す? 373 00:32:08,880 --> 00:32:10,360 話します 374 00:32:10,440 --> 00:32:12,680 我々が起訴した後― 375 00:32:12,760 --> 00:32:17,960 シェイファーは警察に 別の話をし始めました 376 00:32:18,400 --> 00:32:21,480 正当防衛ではなかったと 377 00:32:21,560 --> 00:32:25,160 第一級殺人の自白になります 378 00:32:26,160 --> 00:32:29,120 セントピーターズで 車を停めて 379 00:32:29,320 --> 00:32:31,960 ヤングがドアに 手を伸ばした 380 00:32:32,840 --> 00:32:37,880 その時強盗以上のことが 起きる予感がした 381 00:32:37,960 --> 00:32:40,280 2人が撃たれるだろうと 382 00:32:40,360 --> 00:32:44,200 デイヴに聞かれて 〝撃つ〞と答えた 383 00:32:46,280 --> 00:32:49,080 1発目は当たったのかな? 384 00:32:49,320 --> 00:32:54,040 2発目は当たったね 近くて手に血が付いた 385 00:32:55,040 --> 00:32:56,600 夜の何時だった? 386 00:32:56,680 --> 00:32:59,760 横柄な態度に見えますね 387 00:33:00,520 --> 00:33:02,400 全く悔いていない 388 00:33:04,160 --> 00:33:07,600 取り調べは普通は苦痛ですが 389 00:33:08,560 --> 00:33:09,640 彼は違う 390 00:33:09,720 --> 00:33:12,800 殺しを誇らしげに 話しています 391 00:33:13,520 --> 00:33:16,840 それから ヤングの所に戻ると 392 00:33:16,920 --> 00:33:18,120 まだ溝にいた 393 00:33:18,200 --> 00:33:22,560 ヤングに近付くと 撃たないでと懇願された 394 00:33:22,800 --> 00:33:25,600 俺の顔はよく見てないし 395 00:33:25,680 --> 00:33:27,720 通報もしないってさ 396 00:33:28,520 --> 00:33:33,480 でももう心の中で 彼を撃つと決めてたんだ 397 00:33:34,000 --> 00:33:37,680 なぜその時撃つと 決めたんだい? 398 00:33:37,760 --> 00:33:40,880 すでにパーカーを 撃ってたし 399 00:33:40,960 --> 00:33:44,560 ヤングを撃たないと 俺に不利だ 400 00:33:44,640 --> 00:33:48,440 逃げて警察に 駆け込むに違いない 401 00:33:49,200 --> 00:33:50,400 分かってる… 402 00:33:50,800 --> 00:33:53,400 私が見たところ彼は― 403 00:33:53,480 --> 00:33:56,320 まるで動揺していませんし 404 00:33:56,680 --> 00:33:58,520 感情を見せていません 405 00:33:58,600 --> 00:34:01,480 淡々と説明しています 406 00:34:01,640 --> 00:34:05,360 逃げる男を背後から撃ったと 407 00:34:08,520 --> 00:34:11,680 ロバートは 弁護士を付ける権利を放棄 408 00:34:11,760 --> 00:34:14,800 罪を認めて死刑を望んだ 409 00:34:16,480 --> 00:34:19,000 そのため事件の全容は 410 00:34:19,080 --> 00:34:21,760 明らかにされなかった 411 00:34:23,080 --> 00:34:29,560 そして たった2時間で 死刑の判決が下った 412 00:34:31,040 --> 00:34:33,200 弾を3個込めた 413 00:34:33,400 --> 00:34:36,240 自分で死刑を求めました 414 00:34:36,320 --> 00:34:38,840 それが彼の望みでした 415 00:34:40,639 --> 00:34:44,079 罪を認めて 死刑を求めた結果― 416 00:34:44,159 --> 00:34:47,119 その通りになりました 417 00:34:47,600 --> 00:34:51,480 自分でコントロール したかったのでしょう 418 00:34:51,560 --> 00:34:56,120 裁判の行方を支配するには かなり有効な手です 419 00:34:57,680 --> 00:35:01,600 結末を考え抜いたかは 不明ですが 420 00:35:01,920 --> 00:35:05,560 思い通りに 事を運びたいという 421 00:35:05,800 --> 00:35:07,360 意思を感じます 422 00:35:07,440 --> 00:35:10,960 巧みに操ることが 目的なのです 423 00:35:21,520 --> 00:35:26,160 彼はゲイを狙った理由を こう語っています 424 00:35:26,240 --> 00:35:31,240 “相手がゲイじゃないと 勝ち目がないから” 425 00:35:31,560 --> 00:35:34,760 でもそれが 理由ではないでしょう 426 00:35:36,360 --> 00:35:39,520 背が高く強いゲイもいれば 427 00:35:39,600 --> 00:35:42,120 弱いストレートもいる 428 00:35:44,760 --> 00:35:47,120 憎悪が原因でしょう 429 00:35:47,480 --> 00:35:52,080 シェイファーにとって ゲイの存在が― 430 00:35:53,000 --> 00:35:55,480 耐え難かったのです 431 00:36:35,120 --> 00:36:36,840 忘れもしない 432 00:36:37,920 --> 00:36:43,400 娘を風呂に入れてるところに 妻が入ってきて言った 433 00:36:43,960 --> 00:36:46,000 “ロバートが人を殺した” 434 00:36:48,120 --> 00:36:50,080 僕は信じなかった ロバートの兄 フィリップ・ シェイファー 435 00:36:50,080 --> 00:36:51,160 ロバートの兄 フィリップ・ シェイファー 436 00:36:51,160 --> 00:36:52,360 ロバートの兄 フィリップ・ シェイファー あり得ない 437 00:36:54,440 --> 00:36:57,240 でも弟の怒りは理解できた 438 00:37:00,440 --> 00:37:05,640 やったことは許せないが 起こるべくして起きたと思う 439 00:37:08,640 --> 00:37:11,680 子供時代が違えば 結果も違った 440 00:37:14,400 --> 00:37:20,240 母親が愛してくれない理由を 弟に聞かれたことがある 441 00:37:20,440 --> 00:37:21,640 周りを見ると 442 00:37:21,720 --> 00:37:26,840 友達はそんな問題に 悩まされてないからね 443 00:37:27,200 --> 00:37:28,080 だろ? 444 00:37:28,320 --> 00:37:31,080 僕らは追い詰められていた 445 00:37:31,160 --> 00:37:33,880 その言い方がピッタリだ 446 00:37:34,320 --> 00:37:37,480 覚えてるのは夜中に起きたら 447 00:37:37,560 --> 00:37:42,760 寝ているロバートを 母がたたいていたことだ 448 00:37:45,400 --> 00:37:49,720 母は僕やロバートを “ウジ虫”と呼んでた 449 00:37:50,000 --> 00:37:54,280 後で意味を知って ショックを受けたよ 450 00:37:55,000 --> 00:37:57,400 なぜ僕がホモだと? 451 00:37:57,480 --> 00:38:01,800 今でもショックで ロバートとも話した 452 00:38:01,880 --> 00:38:05,360 鏡を見て女みたいか悩むんだ 453 00:38:05,680 --> 00:38:08,160 なぜ母親が子供に? 454 00:38:08,640 --> 00:38:11,640 ロバートも同じ気持ちだろう 455 00:38:11,720 --> 00:38:14,040 平均的な男なのにさ 456 00:38:14,840 --> 00:38:17,720 特に幼い頃 触られたら悩む 457 00:38:21,680 --> 00:38:23,720 僕には起きなかった 458 00:38:24,400 --> 00:38:27,400 そこがロバートと違う所だ 459 00:38:35,080 --> 00:38:36,640 ある道に― 460 00:38:37,400 --> 00:38:40,480 少年たちが通う家があった 461 00:38:40,560 --> 00:38:42,400 テレビゲーム目当てだ 462 00:38:44,680 --> 00:38:46,920 今ではそれが何か分かる 463 00:38:47,800 --> 00:38:49,920 近所の少年全員だ 464 00:38:52,520 --> 00:38:54,800 ロバートは傷ついた 465 00:39:14,800 --> 00:39:17,560 あれは小4の夏だった 466 00:39:19,440 --> 00:39:23,920 俺たちは12歳か 13歳ぐらいだったかな 467 00:39:26,360 --> 00:39:30,560 ロバートに その家に連れていかれた 468 00:39:32,400 --> 00:39:37,400 そいつはまるで全員の 親分気取りだった 469 00:39:39,120 --> 00:39:41,000 ガキの売春宿だ 470 00:39:41,440 --> 00:39:44,480 1人ひとりに値段を付けてた 471 00:39:46,200 --> 00:39:50,440 子供はカネが欲しくても 働けないから 472 00:39:51,360 --> 00:39:53,400 何だってやるんだ 473 00:39:54,800 --> 00:39:58,120 とにかくカネ欲しさでやった 474 00:39:59,120 --> 00:40:00,880 楽しかったぜ 475 00:40:01,040 --> 00:40:04,640 ピザ屋に行けるし パーティーもできる 476 00:40:04,840 --> 00:40:09,080 店でパーティーして 1日中楽しめる 477 00:40:09,320 --> 00:40:13,880 その前の出来事は カネが全て消してくれた 478 00:40:17,080 --> 00:40:19,160 でも嫌だったのは 479 00:40:19,680 --> 00:40:23,280 ロバートの 性行為を知った時だ 480 00:40:24,520 --> 00:40:27,720 俺はコンドームの上から くわえた 481 00:40:28,440 --> 00:40:29,840 それから― 482 00:40:30,760 --> 00:40:33,040 俺のをくわえさせた 483 00:40:33,200 --> 00:40:35,360 俺はそこまでだ 484 00:40:37,160 --> 00:40:40,200 ロバートのは もっとひどかった 485 00:40:40,280 --> 00:40:43,080 激しくて鳥肌が立つものだ 486 00:40:43,640 --> 00:40:48,640 そういう行為をする時は ある場所へ行く 487 00:40:49,280 --> 00:40:51,160 自分の番が終わり― 488 00:40:51,360 --> 00:40:55,440 車を降りると ロバートの番になる 489 00:40:55,520 --> 00:40:59,320 あいつは150~200ドル 稼いでた 490 00:40:59,400 --> 00:41:02,480 俺はせいぜい50~75ドルだ 491 00:41:03,160 --> 00:41:07,480 俺よりフェラが うまいからだと思ってた 492 00:41:09,040 --> 00:41:14,320 コンドーム無しなんだとか 俺の考えはその程度さ 493 00:41:15,760 --> 00:41:21,280 行為の内容については 互いに話さなかった 494 00:41:28,880 --> 00:41:33,320 それがあいつを 破壊行為に走らせた 495 00:41:34,120 --> 00:41:39,280 でもあいつはこの事件と あのことを結び付けられない 496 00:41:39,360 --> 00:41:42,280 あの過去を消したいか― 497 00:41:43,640 --> 00:41:47,840 自分を傷つけたことへの 償いだろうな 498 00:41:48,760 --> 00:41:50,600 無意識だとしても 499 00:41:50,680 --> 00:41:54,680 あいつは犯されたから ゲイを狙った 500 00:41:54,880 --> 00:41:59,280 それが俺の見方だし そう思ってる人間は多い 501 00:42:13,280 --> 00:42:16,400 死刑判決から数週間で― 502 00:42:16,480 --> 00:42:19,520 ロバートは 上告手続きを開始 503 00:42:21,080 --> 00:42:24,080 ロバートが “弁護の放棄”の影響を 504 00:42:24,160 --> 00:42:27,320 理解していなかった と見なし― 505 00:42:29,360 --> 00:42:35,560 裁判所は2004年に 死刑を終身刑へと減刑した 506 00:42:40,280 --> 00:42:42,160 俺は気付いていた 507 00:42:42,240 --> 00:42:46,400 同い年の少年たちとは 違うってことにな あれがあったから できる限りたくさん― 508 00:42:51,680 --> 00:42:53,600 女と過ごそうとした 509 00:42:53,680 --> 00:42:56,560 自分や他人に証明するためだ 510 00:42:56,640 --> 00:43:00,960 俺のせいじゃない ゲイなのは俺じゃない 511 00:43:01,280 --> 00:43:02,360 奴らだ 512 00:43:03,080 --> 00:43:05,360 だから俺は知ってた… 513 00:43:05,440 --> 00:43:10,080 弟が自分の虐待を語るのを 聞くのは苦しい 514 00:43:10,640 --> 00:43:13,160 解離的な話し方ね 515 00:43:13,240 --> 00:43:16,520 他人の過去を 語っているみたい 516 00:43:18,000 --> 00:43:20,720 証明したかったのよ 517 00:43:20,800 --> 00:43:24,040 自分は女の子が好きなんだと 518 00:43:24,120 --> 00:43:30,080 例のことがあったから 何度も考えてたんだと思うわ 519 00:43:30,160 --> 00:43:32,320 笑い飛ばせなかった 520 00:43:32,400 --> 00:43:36,800 “ウジ虫”と 軽く言われたりしたら― 521 00:43:36,880 --> 00:43:39,640 弟はすごく動揺してたわ 522 00:43:41,400 --> 00:43:45,200 家族や友達は 誰も信じなかったよ 523 00:43:45,440 --> 00:43:47,960 “まさか あのロバートが…” 524 00:43:48,040 --> 00:43:50,920 誰も俺を知らなかったのさ 525 00:43:51,000 --> 00:43:54,040 俺は何も隠してなかったぜ 526 00:43:54,120 --> 00:43:57,520 俺がしてきたことは 見えてたはずだ 527 00:43:57,600 --> 00:44:01,320 仮面は1つじゃなかったと いうことね 528 00:44:01,920 --> 00:44:05,400 はがれても その下に別の顔が 529 00:44:05,480 --> 00:44:07,400 更にその下にも 530 00:44:08,080 --> 00:44:11,480 壁と仮面が たくさんあったから 531 00:44:11,560 --> 00:44:14,400 誰も弟が分からなかった 532 00:44:25,360 --> 00:44:26,920 仮面をかぶったよ 533 00:44:27,000 --> 00:44:29,360 正体を知られたくない 534 00:44:29,840 --> 00:44:34,960 性的虐待を受けたことも 誰にも言わなかった 535 00:44:37,280 --> 00:44:41,560 俺が人格異常者のように 聞こえるよな 536 00:44:42,480 --> 00:44:46,040 その通り それが俺の生きざまだ 537 00:44:46,120 --> 00:44:50,760 異常なことをしながら 普通に生活してた 538 00:44:54,480 --> 00:44:57,720 最初の取材から39日後― 539 00:44:57,800 --> 00:45:00,920 ロバートは 更なる取材に応じた 540 00:45:04,520 --> 00:45:10,600 悪戯された過去を忘れる術(すべ)が 見つけられなかった 541 00:45:12,080 --> 00:45:15,480 復讐(ふくしゅう)すれば 周りに知られちまう 542 00:45:15,720 --> 00:45:19,160 人を殺しても 解消されなかった 543 00:45:19,240 --> 00:45:23,080 当時は2人がゲイとは 知らなかった 544 00:45:23,160 --> 00:45:24,600 察しはしたが― 545 00:45:24,680 --> 00:45:26,760 はっきりとは知らない 546 00:45:30,480 --> 00:45:32,960 弾が込められた銃があった 547 00:45:33,040 --> 00:45:35,560 非行を繰り返した末路さ 548 00:45:35,800 --> 00:45:39,360 銃があれば 強盗をするもんだし 549 00:45:39,440 --> 00:45:41,440 殺人だって犯す 550 00:45:41,520 --> 00:45:42,440 実際に― 551 00:45:42,520 --> 00:45:47,200 とっさに撃った 撃つ必要はなかったのに 552 00:45:51,880 --> 00:45:54,760 自分で死刑を求めました 553 00:45:54,840 --> 00:45:56,720 それが彼の望みでした 554 00:45:57,120 --> 00:46:00,560 罪を認めて 死刑を求めた結果― 555 00:46:00,640 --> 00:46:03,640 その通りになりました 556 00:46:04,000 --> 00:46:07,800 自分でコントロール したかったのでしょう 557 00:46:07,880 --> 00:46:13,160 裁判の行方を支配するには かなり有効な手です 558 00:46:13,960 --> 00:46:18,120 裁判のストレスは 想像を超えていた 559 00:46:20,720 --> 00:46:25,400 “罪を認めて死刑を求めれば 減刑される” 560 00:46:25,480 --> 00:46:27,280 そう思ったんだ 561 00:46:27,560 --> 00:46:31,920 皆が同情するだろうし 俺に有利だってね 562 00:46:32,680 --> 00:46:36,920 昔から“望む物には 注意しろ”と言うけど 563 00:46:37,600 --> 00:46:39,880 死刑判決が出ちまった 564 00:46:45,120 --> 00:46:47,720 周りにもショックを与えた 565 00:46:49,080 --> 00:46:52,760 犠牲者の遺族は 思いがけず後になって 566 00:46:52,840 --> 00:46:55,360 死刑判決を知らされた 567 00:46:55,440 --> 00:46:58,280 法廷に呼ばれなかったんだ 568 00:46:59,200 --> 00:47:02,120 アメリカでは 有罪判決の時― 569 00:47:02,200 --> 00:47:05,440 遺族は心情を訴える 権利がある 570 00:47:05,680 --> 00:47:09,080 加害者になんでも言えるんだ でも俺はその機会を避けた 571 00:47:12,960 --> 00:47:17,240 俺は有罪で 遺族に顔向けできなかった 572 00:47:17,720 --> 00:47:20,800 恥ずかしくて 会わせる顔がない 573 00:47:20,880 --> 00:47:25,160 遺族の権利を奪ったことに 後で気付いた 574 00:47:32,720 --> 00:47:35,640 誰かと話せるなら― 575 00:47:35,760 --> 00:47:38,960 誰よりもデイヴと話したい 576 00:47:39,280 --> 00:47:42,280 犠牲者の家族だけじゃなく 577 00:47:42,360 --> 00:47:45,800 あいつの人生も台無しにした 〝デイヴ・ スタインマイヤー 第一級殺人罪 偽証罪〞 578 00:47:45,800 --> 00:47:48,160 〝デイヴ・ スタインマイヤー 第一級殺人罪 偽証罪〞 579 00:47:49,560 --> 00:47:52,600 デイヴは11年の刑期を務めた 580 00:47:52,680 --> 00:47:55,680 取材には応じていない 581 00:47:59,560 --> 00:48:03,240 俺のウソで 刑務所に入れちまったし 582 00:48:03,640 --> 00:48:08,160 俺の罪であいつを 死刑にするところだった 583 00:48:08,240 --> 00:48:11,320 また人を殺すようなもんだ 584 00:48:11,400 --> 00:48:13,440 だから謝りたい 585 00:48:21,480 --> 00:48:22,920 返事を書いたよ 586 00:48:23,680 --> 00:48:26,880 “こちらは何も変わらない” 587 00:48:26,960 --> 00:48:28,520 僕たち家族は― 588 00:48:29,040 --> 00:48:31,880 彼を許しているんだ 589 00:48:32,600 --> 00:48:36,880 仮釈放審査会がどう決めても 構わない 590 00:48:37,840 --> 00:48:43,520 彼は知らないだろうが あの手紙で人生が変わった 591 00:48:43,600 --> 00:48:46,600 受け取った日のことを 覚えてる 592 00:48:47,600 --> 00:48:51,560 俺は変わりつつあったんだが 593 00:48:51,640 --> 00:48:55,760 もっと強く背中を押す何かが 必要で― 594 00:48:55,840 --> 00:48:58,280 それが彼の言葉だった 595 00:48:59,680 --> 00:49:04,200 つまり彼が俺に示してくれた 優しさで― 596 00:49:07,280 --> 00:49:09,840 いいことをしたいと思った 597 00:49:11,880 --> 00:49:16,320 ウソの後で真実を言うのは 容易じゃない 598 00:49:16,680 --> 00:49:20,480 それが2人の殺人だったら 尚更だ 599 00:49:21,440 --> 00:49:25,840 だからあの手紙をくれた彼に 感謝してる 600 00:49:25,920 --> 00:49:27,040 本当に